萩原聖人、植田圭輔、細見大輔、ラサ
ール石井が伊坂幸太郎作品で濃密演技
~石井光三オフィス『死神の精度~7
Days Judgement』

石井光三オフィスプロデュースによる舞台『死神の精度~7Days Judgement』が2018年8月30日(木)、東京・あうるすぽっとで上演中だ(公演は9月9日まで)。その後、倉敷、名古屋、兵庫、山形、仙台、盛岡を巡演する。
本作は伊坂幸太郎氏の代表作の一つとされる同名小説の舞台化作品だ。2009年8月に和田憲明の脚本演出により、初演された。伊坂作品は、そのエンターテイメント性溢れる現実離れした設定ゆえに映画化されることこそ多かったが、こちらは伊坂作品として初めて舞台化が果たされた。活字として読み継がれる小説と違い、時間と空間を共有する”ライブ”ならではの作品として、伊坂ファンからも演劇ファンからも好評を得た。初演から9年、東京公演を皮切りに地方ツアー6都市を回るスケールアップで、この度再演となった。
初日舞台前に出演の萩原聖人植田圭輔、細見大輔、ラサール石井が会見をおこなった。
萩原聖人:千葉(ミュージックが好きな死神)役
四半世紀ぶりに和田憲明さんの演出作に出させていただきます。和田さんの濃密な演出を久しぶりに受けてみて変わったな、成長できたかなと思うところもあれば、25年経っても良いところはそのまま変わらない和田ワールドでした。稽古場で、はじめ僕の考えた千葉のイメージとは違う千葉を和田さんから要求され、やりたい芝居と良い芝居は違うんだなと感じましたが、和田ワールドとして成功した作品だと思っています。
(「先日、ドラフト任命されプロ雀士になりましたが」の問いに対して)“俳優”にどっぷり浸からなければできない作品だと思っています。一度リセットした気持ちで真剣に向き合うことができました。俳優とプロ雀士という2つの仕事に対して向き合うのにとても相応しい作品だと思っています。
(「この作品を麻雀に例えるとどんな役になりますか?」の問いに対して)純チャン三色(純全帯ヤオ九三色同順)ですね。しかも捨て牌が2枚出てて待ちが悪いやつ(笑)。
左・萩原聖人 右・ラサール石井
植田圭輔:阿久津(藤田を慕う若いヤクザ)役
僕は皆さんよりもずっと年下で、大先輩たちとの稽古でしたが、どれだけ一生懸命食らいついていけるか、余計なことを考えず、素直にぶつかってきました。飲み込むこともあれば、なにくそ!と思うこともありましたが、今思うと楽しいお稽古場でした。僕の演じる阿久津は、人間臭くて屈折していて、ちょっとまぬけなところがあります。阿久津の人間くささが好きだし、僕自身と似ている部分を感じていたので、演じやすかったです。
観終わったあと、雨も晴れの天気も好きになっていただけるんじゃないかな。皆さんからどんな反応や感想がいただけるか楽しみです。
右・萩原聖人、左・植田圭輔
細見大輔:千葉の同僚役
永遠に初日が来ないのでは、というぐらい緻密な稽古をしてきました。和田さんを信じて、本番を迎えたいです。僕は、実は劇中着替えが大変なのですが、和田さんが最後までこだわった衣装にも注目していただきたいです。華がない男ばかりのキャストですが、僕は植田くんはこの作品のヒロインだと思っています(笑)。彼の頑張っている姿をぜひ観に来てください。
左・細見大輔、右・萩原聖人
ラサール石井:藤田(7日間の判定の対象、ヤクザ)役
初演から9年が経ちましたが、また新たに1から創り上げてきました。ゲネプロではドキドキで緊張はしましたが、失敗せずできたかなと、一安心しています。初演の時は、上演期間中にセリフや演技がまとまって安定してきたかなという時に、和田さんから「常に“今”を演じているんだからもっと流動的に!」とダメ出しを受けたこともあって。安定を望まない演出家さんなので、今回、幕が開いてからもあるんじゃないかな。
伊坂幸太郎ファン、演劇ファン、そしてエンタメ作品のファンの方でも楽しめる作品ですので、ぜひ観に来てください。
ラサール石井
≪Story≫
「死神の精度」主人公は死神。その姿は毎回“仕事”がしやすいように設定されている。 「死」を実行される対象となった人間を一週間、つまり7日間調査し、その実行が「可」か「見送り」か 判断し報告する。調査員の死神は、実行がどのような形でなされるかを知らないが、8日目、死神はそれ を自ら確認する。そうして、死神のひとつの仕事が終わる。
調査と言ってもたいそうなことではない。1週間前に相手に接触し、2,3度話を聞くだけ。判断基準は個々の裁量にまかされているが、よほどのことがない限りは「可」の報告をすることになっている。 死神たちは人間やその死には興味がないが、人間界のミュージックはこよなく愛している。これは死神に共通して言える事で、CDショップに行けば必ずといっていいほど他の死神と出会う事が出来る。
主人公である「死神」が仕事のために人間界へ赴くと必ず雨が降っており、彼は青空を見たことがない。 今回、彼が担当するのは、藤田という中年の男だった。 事前に渡された情報によれば、やくざ、ということらしい。
死神の千葉(萩原聖人)は指令を受けてヤクザの藤田(ラサール石井)のところにやってきた。今回の彼の姿は40代の中年男。藤田は兄貴分を敵対する栗木に殺され、その敵を取ろうと舎弟分の阿久津(植田圭輔)に探らせていた。死神を派遣する情報部の予定通り、阿久津は千葉と巡り会う。藤田が匿われている部屋に潜入した千葉は藤田を観察し始める。馬鹿正直なくらいの任侠の男、藤田。その藤田に心底惚れ込んでいる阿久津。死神・千葉が加わったことで、彼らの運命は加速する。ストーンズの能天気なブラウンシュガーがBGM代りに鳴り響く。
右から ラサール石井・植田圭輔・萩原聖人
≪原作者≫ 伊坂幸太郎 コメント
2009年の初演の際、自分の書いた小説がもとになっているということを忘れ、純粋に楽しんだことを覚えています。
≪原作者≫ 伊坂幸太郎 プロフィール
1971年、千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年「オーデュボンの祈り」で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、作家デビュー。 2003年「重力ピエロ」が直木賞候補となる。2004年「アヒルと鴨のコインロッカー」で第25回吉川英治文学新人賞を、「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2008年「ゴールデンスランバー」で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞を受賞。
≪脚本・演出≫ 和田憲明 プロフィール
演出家、劇作家。1960年生まれ。大阪出身。早稲田大学卒業後、1984年に劇団「ウォーキング・スタッフ」を結成、『アリゲーター・ダンス』シリーズ等、パワフルでホットな作品で人気を得る。1999年よりプロデュース公演の形態に移行し多彩な作品を上演。舞台ならではの「生(ライブ)」にこだわる作品創りに加え、映像的な印象を与える演出に定評がある。また俳優の魅力を充分に引き出す演出家として、観客のみならず多くの個性豊かな俳優から信頼と支持を得ている。伊坂作品は『死神の精度』に続いて、2011年に『オーデュボンの祈り』を戯曲化(演出ラサール石井)、2015年には『死神の浮力』をリーディングで取り上げている。
「SOLID」(1999)第7回読売演劇大賞優秀作品賞
「304」(2014)第22回読売演劇大賞優秀演出家賞
「三億円事件」(2016)第24回読売演劇大賞優秀作品賞
「怪人21面相」(2017)第25回読売演劇大賞優秀作品賞優秀演出家賞

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