【動画あり】麻衣(ヴォーカル)「日
本の音楽を世界に届けたい」~『STA
ND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』<W
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<What's “スタクラ フェス”?> Artist Close-Up 麻衣
来たる2018年9月23日(日・祝)秋分の日、『イープラス Presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』(略称 “スタクラフェス” )が、横浜赤レンガ倉庫の特設会場にて開催される。会場には3つの野外ステージ(HARBOR STAGE/GRASS STAGE/Sunday Brunch Classic Stage)が設けられ、午前10:30~午後8:30まで10時間にわたり、気鋭の演奏家たちにより、クラシックのよく知られた名曲からオペラ、ミュージカルの名曲、さらにはスタジオジブリの音楽まで、多種多様なプログラムが繰り広げられる。クラシックのコンサートといっても決して堅苦しいものではなく、屋外で潮風を感じながら、食べたり飲んだり、時には寝そべりながら、多様な音楽を気軽に楽しめるのが、このフェスの特徴だ。もちろんここでは児童の入場も可だ。
この新しいタイプの野外クラシック音楽フェスの「It's 吹奏楽!~ブラスで聴くスタジオジブリの音楽~」(HARBOR stage 10:30-11:20 (50min))に、ヴォーカリストの麻衣(まい)が出演する。作曲家 久石譲を父に持つ彼女は、4歳の時に映画『風の谷のナウシカ』幼少時回想シーンで流れる「ナウシカ・レクイエム」(ラン ラン ララ~)を歌い、大きな印象を残した。2005年韓国映画『トンマッコルへようこそ』テーマ曲によりソロ活動を本格化、数多くの映画・テレビ・CMでその歌声を聴かせている。2014年6月には、久石譲の出身地で、唱歌『故郷』のふるさとでもある長野県中野市の音楽親善アンバサダーに就任、「音楽のある豊かな心」の普及を目指し、日々歌い続けている。そんな彼女から、スタクラフェス出演について話を聞いた。
──スタクラフェスの話を最初に聞いた時、どんなことを思いましたか?
横浜って、日本の中でも一風変わった港町でもあり、とてもいい雰囲気の街ですから、その赤レンガ倉庫で野外のクラシックのフェスティバルが行われるということで、ワクワクした気持ちになりました。
──今回麻衣さんは、スタクラフェスの幕開けを飾る「It's 吹奏楽!~ブラスで聴くスタジオジブリの音楽~」に出演されますが、屋外で歌った経験は?
野外で歌うことはよくあります。私がやっている合唱団「リトルキャロル」のクリスマスコンサートが毎年、けやき坂にある六本木ヒルズアリーナで行われています。去年もジャズっぽい編成で、ジャズと現代音楽とクリスマスソングの3本立てコンサートを行いました。ですから野外コンサートはかなり経験していて、とても好きですね。というのも、野外ならではの良さがあるんですよね。歌う側は畏まりませんし、お客様もフランクに楽しんでいて、いい具合の相互性があるのが素敵だなと思います。
──「It's 吹奏楽!」では麻衣さんと非常に縁の深いスタジオジブリ映画の名曲ばかりが演奏されますね。麻衣さんが何を歌うのかが気になります。
私は今、父の久石譲と一緒に世界ツアーをしています。去年パリから始まりまして、今年は4月にメルボルン、5月はカリフォルニア、9月がロサンゼルス。その9月がこのスタクラフェスとちょうど同じ日程だったので、私はもちろんスタクラフェスのほうを取ったんですけど……。
──え? 本当に?
当然ですよ! もう一も二もなく、スタクラフェスに出ようと!
──ありがとうございます! なんだか申し訳ないようです。
9月のロサンゼルスがマイクロソフトシアター、11月にニューヨークのカーネギーホール、というツアーなんですが、私はその中で『千と千尋の神隠し』を担当していて、「あの夏へ」という曲が、歌になると「いのちの名前」というタイトルに変わるのですが、それを父のピアノと私の歌だけでやっているんですね。そのあとに「ふたたび」という、ハクと千尋の主人公2人が「昔から知ってたんだよね」「初恋の相手だったよね」と語る名シーンのところでかかる曲も私が歌っています。だからその2曲はスタクラフェスでも歌いたいなと思っています。
他には、『となりのトトロ』の「さんぽ」を私がソプラノ歌手とデュエットしていて、私がメロディーをとってソプラノ歌手が歌い上げるというのが、やってみたら結構素敵なんですよ。その後、あまり歌うことがなかった「さんぽ」ですが、最近になって新たな気持ちで取り組めるような気がしているので、できたらいいなと思っています。まあ、スタクラフェスでデュエットはできませんが。
あと、『風の谷のナウシカ』の「ナウシカ・レクイエム」は私が4歳の時に歌ったものですが、父との世界ツアーでは「ナウシカ・コーナー」がコンサートの冒頭に来ていることもあって「一番最初からソリストはいらない」と、私はリストラされてしまいました(爆笑)。だから、スタクラフェスでは是非歌わせていただこうと思っています。
──それは嬉しいです! 本当に様々な曲を聴かせていただけるのですね!
自衛隊さんの吹奏楽と共演したことはあるのですが、その時は私のオリジナル曲を披露したので、吹奏楽とジブリを歌うのは初めてです。だから、とても楽しみにしています。
──麻衣さんにとって、いま改めて、ジブリの音楽とはどのような存在ですか?
「生活」ですかね。まあ、生活の一部のようなものというか……。今の世界ツアーの話も、宮崎駿監督が引退されるというお話を伺って、もう新しい作品はないのかもしれないと思っていた頃に、では父の音楽もこれからどういう風に展開していくのだろうかって考えたことがきっかけでした。
その過程で私の留学時代からの交友関係を辿って、たまたま知り合ったのがコロンビア・アーティスト・マネージメント(Columbia Artists Management Inc. )、通称「CAMI」と言われている、ニューヨークにベースのあるクラシック専門のプロモーターだったんです。私が映画音楽作曲家ダニー・エルフマンのコンサートを聴きにいった折に、楽屋に遊びに行ったら「CAMI」の社長が来ていました。ちょうど私が父のコンサートのDVDを持っていたので、それを彼に差し上げたら、3ヶ月後くらいに「DVDを観た、是非コンサートツアーをやりたい」と言ってきてくれて。しかも彼はジブリ映画を知らなかったんです。映画を知らない人が曲だけを聴いて「ツアーをやりたい」と言ってくれたということで、もしかしたらこれは世界中で父の音楽のツアーができるんじゃないか?と思ったんです。今のところ父は元気ですし、まだしばらくは元気に生きると思うので(笑)、これを先駆けにして世界中にジブリの音楽を届けていけるのではないかなと思っているんです。だから、私にとってジブリの音楽は「世界に届けたい」という存在ですね。
──映画を離れて、音楽としての魅力が改めて認められたということですね。
それはやはり嬉しかったですね。
──ジブリの音楽はピアノ学習者のお子さんたちにも絶大な人気があって、発表会で弾きたがる子がたくさんいます。
あ、でもジブリを発表会で弾くとなるとポップスチックになっちゃうけど(笑)、それはいいんですか?
──簡単にアレンジされた楽譜ももちろんありますが、原曲の雰囲気をきちんと出して弾きたいとなると結構難易度が高いので、「君をのせて」をちゃんと弾きたいんだったら「エチュード」もしっかり弾こうね!という、飴と鞭というか(笑)、励みになるんです。
なるほど、意外と難しいんだ。 パパっと弾けそうだけど、実は練習を要する曲。歌うのも同じなんですよ。すぐに歌えそうだけど、実はかなり歌い込まないといけなくて。
──ですから、「It's 吹奏楽!」を楽しみにしているお子さんはたくさんいらっしゃると思います。普段コンサートホールに入れない未就学児童の方も、スタクラフェスは入場可なので、お子さんの聴衆もきっと多いと思います。
それはいいことですよね。本当に楽しみです。
──ご自身が出演されるステージ以外で、気になるプログラムはありますか?
まず、GRASS STAGEの反田恭平スペシャルステージですね。うちの母がピアノ好きで、反田君のコンサートはデビュー・リサイタルから聴きに行っているんです。当時彼はロシアに留学していたと思うんですが、まさにロシアの風が感じられました。土地って音楽に反映されるんだなって、すごく感じました。しかも彼は弱冠20歳くらいなのに既に成熟していて。ずっと一人でやってきたんだなということが一目でわかるというか。よくよく聞いてみたら、反田君って、中学生ぐらいでピアニストを志したけれども、親御さんが音楽に造詣の深い方ではなかったことから「まぁやりたいならやったら」という程度で、所謂親子で演奏家になるべくして突き進んだという形とは全く違う、自分の意志でこの道に入ってきた人なんですよね。その自立した感じと音楽がロシア風だというのが、すごく印象に残っているんです。今、反田君はポーランドに住んでいるんですよね。だから、音楽がポーランド風になっているのかどうかはわからないけど(笑)、現在の彼の演奏にはとても興味があります。
──反田さんはやはりロシアに行かないとチャイコフスキーは弾けないと思ってロシアに留学したそうですので、それは麻衣さんがまさに感じられた通りだと思います。その勉強過程でロシアの音楽はある程度つかめたので、今度はショパンを生んだポーランドにいらしたと。
あぁ、やっぱりね。反田君ってクラシックのど真ん中にいながら、演奏スタイルが現代ですよね。私も子供の頃は母の勧めでピアノの学生コンクールなどにも出ていたので、ピアノのことはわかるんです。そんなこともあって、彼の演奏はすごく気になるので是非聴きにいきたいと思います。
それから同じGRASS STAGEの「ブランチ on クラシック」のDEPAPEPEさんは父の曲を弾いてくれたことがあるんです。『トンマッコルにようこそ』っていう韓国映画なんですが、その時からすごくセンスの良いギターだったので、懐かしいです。あとはやっぱりHARBOR STAGEの「世界まるごとクラシック~みんなおいでよ、赤レンガ~」ですかね。青島広志さんは本当に面白いですし、クラシックを親しみ易くするという活動を息長く続けていらっしゃって。個人的にも青島さんの「11ぴきのネコ」という合唱組曲をNHKの合唱団で歌ったことがあるので、そのステージは楽しみです。で……、えっ? HARBOR STAGEの「クラシックinアニメ」では反田君が指揮棒を振るの!?
──そうなんです!
ピアニストっていいよね~。これは父が言っていたことですが、ヴァイオリンやオーボエのような単色の楽器よりも、ピアノって指揮に向いているの。基本的にピアノの人ってヘ音記号が普通に読めるでしょう? これね、物理的な問題として結構大きいと思う。ベートーヴェンの「交響曲7番」を振っちゃうのね!
──ベートーヴェンの「交響曲7番」は「譜面がすべて頭に入っているので、いつでも振れる曲だ」と反田さんがおっしゃっていました。
そういうポップなところがまた、いいですね! このスタクラフェスって、やり方が素敵だと思う。
──ありがとうございます。最初に横浜の魅力も語ってくださいましたが、会場となる赤レンガ倉庫や横浜界隈で行ってみたい、またはお客様におススメしたいスポットやお店などはありますか?
私、横浜でバイトしていたことがあって、所縁のある土地なんですが、今は神奈川県が運営している公共劇場、KAAT神奈川芸術劇場が凄いプログラムを企画しているので、よく観に行っています。バレエや演劇はどうしても東京一極集中になっているけれども、KAATの活動は芸術文化が地域に根付く最高のモデルだと思うし、それができる街=横浜だと思っているのでおススメですね。演劇もKAATに行かないと上演していない、素晴らしい公演がたくさんありますから。
──KAAT製作のオリジナル・ミュージカル『HEADS UP!/ヘッズ・アップ!」は、東京以外の地域発信の傑作として高い評価を得ましたし、芸術監督の白井晃さんが先鋭的な芸術を常に支持して、様々な面白い試みに挑んでいますね。
それはやっぱり横浜だからこそ可能になっている、というのはすごくあると思う。だからKAATには是非行ってみて欲しいです。
──最後にスタクラフェスへのお誘いのメッセージをお願いします。
スタクラフェスに出演します。スタジオジブリの曲を吹奏楽と一緒に歌いますので、是非たくさんの方に聴きにきていただきたいと思います。よろしくお願いします!
【動画】麻衣さんよりメッセージ

取材・文=橘凉香  撮影=鈴木久美子

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