村井良大×松田凌×玉城裕規『魔界転
生』クロストーク!「しっかり食べて
体力付けないと!」

日本テレビ開局65年記念舞台『魔界転生』が、2018年11月3日(土・祝)から東京・明治座にて開幕する。山田風太郎の原作小説を元に、マキノノゾミが脚本を、堤幸彦が演出を手掛ける一大エンターテインメントステージだ。
天草四郎(溝端淳平)を筆頭に、死んだはずの剣豪たちが死者再生の術で蘇り、柳生十兵衛(上川隆也)を中心とする勇猛果敢な「柳生衆」と戦う。本作に出演する「真田十勇士」の生き残り・根津甚八役の村井良大、柳生十兵衛の右腕「柳生衆」の一人・北条主税役の松田凌、妖術で蘇った魔界衆の一人・田宮坊太郎役の玉城裕規は、今年2月には舞台『99才まで生きたあかんぼう』で共演していた間柄。再会した3人がどのように本作に向かい合っていくのか。同世代のライバルでもあり、仲の良い3人ならではの和やかなトークとなった。
取材に先駆けて3人の撮影が行われたが、玉城が『アダムス・ファミリー』のモーティシアを彷彿とさせる、という話から「ルーカス(=村井)もいるから余計にそう見える」ついには松田が『アダムス・ファミリー』のメインテーマのイントロを口ずさみ出し、たまらず大爆笑となった。
笑いが落ち着いたところで取材はスタート。この模様をお楽しみください。
ーーつい先日まで共演されていたこともあるので、お互いの事はよくご存じかと思います。今回その3人が再び『魔界転生』で共演となりますが、今の心境はいかがでしょうか?
村井:出演のお話をいただいたときは嬉しかったです。この作品って今の時代に合っている作品だと思いますよ。また、マキノさん✕堤さんが手掛ける作品って非常に笑いが多いので、僕も大好きなんです。しかも『魔界転生』というビックネームのもと、日本人ならではの和のテイストを取り入れて、観る人たちが爽快になれる作品。海外の方にも観てもらえるレベルにしたいですね。
村井良大
松田:『魔界転生』は人間が犯す罪の中でも「不可能」「禁忌」を描いた作品ですよね。今は亡き剣豪たちを蘇らせて幕府の命を受けた者たちと戦う……ファンタジーではあるんですが、その一方で今の世の中とどこかリンクする部分もあると思います。だからこの時代に上演される事に意義があると思うんです。そして、そこに僕自身も出演できるのが嬉しいですね。製作発表の時、上川さんが「今年の秋が平成最後の秋」とおっしゃっていたことが今も記憶に残っています。平成から新しい時代に移り変わるこの年、この作品と出会えたことは、人間としてだけでなく役者としても自分の節目になる作品だ思っています。
玉城:もともとこの作品は知っていましたが、それが舞台になると聴いて、とても出てみたいと思っていました。とはいえ、自分がまさか出る事になるなんて夢にも思っていませんでした。夢のような大先輩の役者さんたち、ベテランのスタッフさんたちによる座組みの一員になれた事は光栄だと思っています。ここからこの作品の中でどれだけ光を放つ存在になりえるか、が勝負ですね。
個人的には魔界顔、妖怪顔って言われるので、魔界の人物で良かった、と心から思っています(笑)。
松田:……そのとおり(笑)!
玉城:ようやくこういう役がきたかと! ああ、さっきのメロディーは歌わないでくださいね。身体が自然と動いちゃうから。
松田:♪デレレレッ~(『アダムス・ファミリー』のメインテーマを歌い出す)
玉城:(動きがモーティシア風になる)
全員:(笑)
ーー玉城さんと松田さんは「堤組」初参加なんですよね? この座組みに入られて今どのような感覚でしょうか?
玉城:もっと緊張するかと思っていたんですが、入ってからは緊張が楽しみに変わりました。
松田:僕は逆に堤さんが演出で、上川さんが主演の作品で……と、ある程度イメージをしていたんですが、製作発表会見の場では手が震えてきちゃって。緊張なのか、恐怖なのか、武者震いかも!? そんな心境になっていたんです。
松田凌
ーー玉城さんと松田さんは「堤組」経験者の村井さんからアドバイスをもらったりしたんですか?
玉城:この作品の出演が決まった時、メールで良大くんに聞きましたね。堤さんってどういう人なのか、どういう演出をする方なのか……と。
村井:その時、話したかもしれないけど……改めて言っておくね。「ウケを取りにいくな」と。
玉城:えー……無理ぃ……(笑)。
松田:そういう人なの、堤さんって!?
村井:素でやっておもしろかったらいいんだけれど、あざとく笑いを取りにいこうとすると堤さんはすぐ見抜くと思うよ。
松田:でも玉ちゃんはそういうことしない人じゃない? しかも敵方だし。僕ら人間側のほうがうっかりやってしまいそう。
玉城:……役を膨らましていく過程でそういう事をする可能性、なくはないんだよね(笑)。しかも良大くん、僕にそう言ったということは……自分がそういう事をやる人間だと思っている訳で……。振り返るといくつか思い当たる事がなくはなくて……(声がどんどん小さくなる)
村井:何か、悲しい過去を掘り起こしちゃった!?(玉城の顔を覗き込む)
(左から)玉城裕規、村井良大
玉城:いや……(笑)。
松田:でも笑いっていいですよねー。笑顔って一番大事。(無理やり話題を変えようとする)
全員:(笑)
玉城:そう、チャレンジって大事だよねー失敗しようが何をしようが!
松田:チャレンジも大事、狙わないのも大事。全部大事ですよ、うん。がんばりましょう(笑)。でも実際問題、良大くんや栗山(航)くんなど『真田十勇士』経験者の方々から教えてもらっていますが、結局本人と会ってみないとわからないですしね。
村井:しかも今回堤さんがどう演出してくるか、まだわからないからね。
松田:さっき玉ちゃんと話していたんですが、この舞台、体力面が心配なんです。会見の時に堤さんが「男子は覚悟して」という話を聞いて、体力作りをしてみようかなと思ってるんだ。体力作りって元々しない人間なんだけど、いよいよやらないとマズイんじゃないかなって。
玉城:僕も。年齢も上だしさ。
村井:……いくつになったんだっけ?
玉城:32歳。もう衰えを感じています(笑)。
松田:70公演以上ってすごいよね。なかなかないよね。
ーー玉城さんは、これまでタフな舞台に多数出演していらっしゃるから、体力には自信があるのではと思っていたんですが?
玉城:体力作りはしてなかったんですよ。むしろ疲れが見えている感じが芝居的に良かったこともあったんです。身体がどこか痛いくらいがちょうどよかったんです。でも最近身体が疲れてくると脳が停止するようになってきちゃって(笑)。
玉城裕規
村井:それってどういう状態(笑)?
玉城:ふらっとしたり、景色がかすんで見えるというか、夢の中に入るような感覚になったりするんですよ。炭水化物を抜いたりしているから……。
村井:とりあえず、ほうれん草を、食べて!
松田:ある程度は食べた方が良いと思うよ。身体を相当動かしているんだもの。
玉城:(公演チラシを見ながら)最初は福岡公演からか……俺、絶対いっぱい食べちゃう。何食べてもおいしい場所だもん。
村井:その時ばかりはしっかり食べようよ。みんな動いているんだもの。
松田:そうそう!
玉城:そうだね。だからその直前までギリギリ身体しぼって、初日に爆発させる!
村井:実は俺もこの舞台で福岡に行くんです、って話をとある先輩に言ったら「……お前、太るなよ~!」って開口一番言われました。「そういうあなたは福岡でどれだけ太ったんですか」って話になるんですけどね(笑)。でも美味しい物がいっぱいあるんですよ、福岡は。(玉城を見て)魔界転生してきたらデブになってた、ってのは困るわ(笑)!
玉城・松田:(笑)
村井:着物だとある程度までは太ってもバレないしね(笑)。
(左から)村井良大、松田凌

松田:でもこれだけ動く舞台ならほっといても痩せるんじゃない?

玉城:逆に食べなきゃ持たない、ってことになるかなあ?
ーー『真田』の時、自分を含め、体重の増減はいかがでしたか?
村井:役にもよるんですが、皆痩せていきましたね。だってハードだもの。今回は『真田』よりさらに立ち回りが多そうだからどうなることやら……。
ーー玉城さんが演じる田宮坊太郎は居合の達人なんですよね?
玉城:これまでの作品で殺陣はそこそこしてきたんですが、居合は初めてなんです。
村井:玉ちゃんの殺陣って妖艶なんだよね。色気がある。
松田:あーそれ、わかる。
村井:何か前にやっていたんだっけ?
玉城:ううん。殺陣指導の人からとか、近くで出来る先輩役者さんのやり方を見て学んできた。
村井:下半身の使い方がほかの人と違うんだよね。膝かなあ?
玉城:僕自身は他の人との違いがよくわからないんだよね(笑)。
ーーそして松田さんが演じる北条主税という人物。調べてみたのですがあまり情報がないんですよね。そのあたり堤さんなどと話をしていますか?
松田:実は僕もまだわからないんですよ。端的に言うと十兵衛の右腕たちの一人で、腕の立つ剣士だとは聞いてます。まずは栗山さんや丸山さんみたいに殺陣が得意な方々に負けないように自分も稽古をしようと思ってます。自分も武道をやってきた人間なので、そんなに負けないとは思うのですが、実際に稽古をしてみたら「ああもっとここを鍛えなきゃ」って改めて気づかされるんだと思います。
ーーそして村井さんは「真田十勇士」の生き残り・根津甚八役。前作から繋がっている役っておもしろいですね。
村井:そうですよね。ただ、今回どうやらおもしろキャラになりそうなんです。なんとなくそんな空気がしているんですよ。
全員:えー(笑)。
ーー前回共演したことで、お互いの強みなどをいろいろとご存知かと思うのですが、それぞれ相手に感じていることを紹介していただけますか?
村井:玉ちゃんは声が魅力的。他の誰とも被らないんですよね。
玉城:でもよく真似されるんだよー(笑)。
村井:いやいや、真似される役者さんって最近少ないんだよ。
玉城:声をいじられるようになって「あ、これが俺の個性の一つなんだ」って自覚しました。
玉城裕規
村井:玉ちゃんのそこが偉いところだよね。普通は皆にいじられて「真似されないように」と目立たない声にしようとするじゃない? でも「これは自分の個性だ」って受け入れたのがすごい。
ーーそんな玉城さんから見た村井さんの強みは?
玉城:台本の読み解き方、細かい役作りを考える姿は素敵だなと思う。僕にはそこまで出来ないし。あと、本番中でも他の役者さんの芝居を調整しようとする事もすごいなって。
ーーそんな事があったんですか?
玉城:ある役者さんがその日絶不調で、それに気が付いた良ちゃんが芝居を成り立たせようと力技で整えようとしてたんですよ(笑)。本当にすごかった。一緒の板の上に立っていると本当に頼りになる存在です。
ーーそして松田さんの事はいかがですか?
玉城:凌ちゃんはいい意味で変わる人。その場その場で雰囲気から何から全部変化する。自分に正直なんだろうなあ。
村井:その日によって躍動感が違うんだよね。(松田に向かって)その日嫌な事があった場合、その事を抱えたまま舞台に上がる?
松田:上がっちゃいますね(笑)。
玉城:それがいい感じにもなったりするし。それもまた個性だよなあ。
ーー松田さんご自身はお二人が言っている事、心当たりがありますか?
松田:ありますね。自分の人生を考えるにあたり、いつ人生が終わるのか、どういう生き方をしていくかなんて分からないので、極力あるがままに生きていきたいと思うんです。一生こんな感じで生きていそうです。
松田凌
ーー松田さんから見た、村井さんと玉城さんってどんな人物ですか?
松田:同じ世代の中でもすでに先を走ってた二人。今こうやってラフに話ができるのが不思議です。二人とも全然異なる「色」……というか「熱」を感じるし、その大きさも全然違うんです。またそれが自分とはまったく違うのであー欲しいなってため息が出てしまいます。良大くんは例えるなら「職人」。役者の理想の形だなって思います。
村井:(照れながら)がんばりまぁ~す(笑)
松田:そしてこちらの~(玉城に手を伸ばす)
村井:なんか通販番組みたいだよ、凌ちゃん(笑)。
松田:こちらの玉城裕規という商品をご紹介します(笑)。玉ちゃんは、自分が持っている才能や能力、見てくれに甘んじない人。役者が持たなければならない「熱」を持っている人です。僕はこの二人に出会ったことで、二人の影響を100%受けています。その結果、僕がいちばんすばらしい存在になると思います。ありがとうございます(笑)!
村井・玉城:(笑)。
村井:(ふと、思い出したように)そういえば僕、玉ちゃんにたまに本気で怒るよね。
松田:……あれ、ガチ凹みしてるんですよ、玉ちゃん。
村井:え。そうなの!? てっきり何も響いてないと思ってた(笑)!
村井良大
ーー何が起きたんですか?
松田:玉ちゃんが以前、本番中に台詞を飛ばしたことがあって、僕も含めて他の共演者は「そういうこともありますよね~」って笑っていたんだけど、良大くんだけは「お前、ホンマやったな!」とぼそっと口にしてて。やばい、これは本気で怒ってるわってことがあったんです。
玉城:その時、俺、初めて良ちゃんにLINEしましたもん。「ごめんなさい」って(笑)。僕は自分が台詞を飛ばしたことについては何も思ってないんだけど、良ちゃんが怒ったことに対して凹んでたの。
村井:ごめん、また古傷をえぐってしまって……(笑)。
全員:(笑)
村井:よくよく考えると、『魔界転生』で初めて玉ちゃんと敵味方になるんだな。
松田:確かに! ああ、楽屋が別になっちゃうのかなあ。
玉城:本当だ。魔界チームと人間チームとで部屋割になる? ……いずれにしろどんな舞台になるか、おもしろそうだよね。
(左から)玉城裕規、村井良大、松田凌
普段から仲が良くなければこのような和やかなトークにはならないだろう。最後まで笑いあっていた3人は、舞台『魔界転生』の座組みの中で、若手役者たちを牽引する存在となっていくのかもしれない。
スタイリング/吉田ナオキ<村井良大>、ヨシダミホ<松田凌、玉城裕規>
取材・文=こむらさき 撮影=鈴木久美子

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