【ライブレポート】vistlip 、11周年
。「“あの頃は良かったね”なんて言
わせない」

vistlipが毎年7月7日に行っている周年記念ライブ<vistlip 11th Anniversary LIVE[SeventhEleven]>が、今年も7月7日の七夕にZepp Tokyoにて開催された。
SEに使われたのはライブタイトルの“SeventhEleven”にひっかけてか、モンキーズの不朽の名曲「Daydream Believer」(日本では忌野清志郎氏のカヴァーでもおなじみ)。曲に合わせてフロアーがハンドクラップで盛り上がる中、お店に入店するときのチャイム音が流れ、智(Vo)の“Welcome to the vistlip”という声に合わせて幕が落ちるという、ユーモアあふれるvistlipらしい演出だ。

これまでの周年ライブにはなかった巨大な「XI」の文字を背景に据えたステージセットは、自在にL.E.Dの光の色が変化していく仕様。新しい衣装を着たメンバーが大歓声の中、定位置につき、智が叫び、特効とともにライブは疾走感たっぷりのナンバー「Jack」から始まった。Yuh(G)の骨太なギターリフから始まる荒々しさとキャッチーさを兼ね備えた初期のナンバー「Sara」へとなだれこむ。しょっぱなから前のめりなテンションせいか、「星一つ灯らないこんな夜に。」も上がった拳と“Hiコール”で場内はすでに後半戦のような一体感。
「[SeventhEleven]にようこそ! 11周年迎えました。今日はあえていつも使っているような映像はなくしてセットだけでライブらしいライブをしようと思いました。“あの頃は良かったね”なんて言わせない最高のライブするから、みんな楽しんで行こうぜ!」−−智

瑠伊(B)のベースがフィーチャリングされる「THEATER OF ENVY」、周年ライブでは必ずと言っていいほど演奏される「SINDRA」では切ないイントロでステージが青く染まり、やがてTohya(Dr)がドラム台から立ち上がり、フロアを煽り、いつも以上に攻めのアプローチ。そこから結成10周年のタイミングでリリースされたvistlipらしいハードなミクスチャーロック「Timer」を投下し、海(G)とYuhがポジションをチェンジした「My Second B-Day」へと。己龍BugLug、R指定と共に全国を騒がせた<均整を乱す抗うは四拍子>や“ラフ”が1つのテーマであるシリーズツアー<SUPER Good vibes CIRCUIT II>が影響を及ぼしているのかもしれないが、この日の彼らからは直球のライブで勝負していこうとする気概が感じられた。まさにライブへの想いを歌った「MONOGLAM」では智がみんなが叫ぶ声を「聞こえない!」と煽り、フロアーを挑発していく。
ライブ半ばのちょっとしたブレイクタイムでは智が背を向けて「これ光ってるの見えてる? 光らせてみて。いろんな色にしてみて。俺、見たいんだよ」とスタッフに無邪気なリクエストをして、Yuhも「これグラデーションもできるんですよ」とやや自慢気(?)。しゃべらない瑠伊がいじられたり、いつものvistlipらしい和気藹々としたムードで熱くなったフロアーをクールダウンさせつつ、智が11周年を迎えたことへの感謝を伝えた。

「次の曲はまだ自分が未熟だった頃に書いた歌詞で女々しい部分が露呈しているかなと思うんですけど、今は自分やバンドに自信を持ってカッコよくいたいなって。そしたら自然と愛というものは返ってくるのかなと思うようになりました。まずは僕たちからの“愛してる”をみんなに伝えたいと思います」

山あり谷ありだったバンド人生だからこそ、感じられるようになったことが智の口から語られた後に演奏されたのはvistlipが葛藤している時期に書かれた名曲「夜」だ。作品を届けることへの真摯な想いが赤裸々に綴られたこの曲は歌をひきたたせるシンプルなアプローチ。包容力を増した11周年のvistlipヴァージョンで届けられ、「REM SLEEP」は躍動感あふれるライブアレンジでフロアーを跳ねさせた。
そして、これも周年ライブ初の光景。「Mob Character」では海が客席に下り、センターに移動して、柵の上に腰かけギターをかき鳴らした。この試みに場内は“おお〜!”とばかりにエキサイト。海の提案により<SUPER Good vibes CIRCUIT II>から試みてきたパフォーマンスがZeppでも実現し、サビでは海のまわりでサークルモッシュ。智からファンに拍手が送られ、Tohyaの見せ場のドラムソロを挟んでライブは後半戦へと。

銀テープが発射された「Hameln」では瑠伊に智が笑顔でマイクを向けるシーンも微笑ましく、ライブのキラーチューンをたて続けに演奏。カラフルな照明が似合う「Dead Cherry」ではYuhがセンターでキメのフレーズで魅了し、瑠伊が下手、海が上手で煽り、「踊ろうぜ!」と叫んだ「 HEART ch.」では海がジャンプし、Yuhと瑠伊が隣り合わせでプレイするなど、華やかなパフォーマンスが繰り広げられた。楽器隊の絡みも緊迫感あふれる「GLOSTER IMAGE」ではYuhのタッピングソロの後に智が海のラップにバトンタッチするジェスチャー。フロアーは波打つように揺れ、本編最後の「LION HEART」ではみんなの歌う声が場内に響きわたった。
アンコールではTohyaが周年ライブに毎年、手作りのカレーを持ってくるというエピソードから調理師免許をとったほうがいいという話にまで発展し、物販の光るしゃもじ(しゃもじ型ペンライト)の話題でも、実際にしゃもじとして使えるのか議論(?)に。そして、今回は映像がないために海が口頭で今後の活動について告知。8月にシングル「BLACK MATRIX」がリリースされること、10月に東名阪でA9と2マンツアーを開催すること、11月末にアルバムをリリースし、12月から全国ツアーを行うことなどが報告され、集結したファンを喜ばせた。

ここからは七夕スペシャルといってもいい楽曲を披露。「-OZONE-」が贈られ、場内の照明が明るくなった「Idea」では一緒に歌おうと智が呼びかけ、ミラーボールの光が反射する中、「July Vllth[Re:birth]」はみんなが灯したしゃもじ型ペンライトが青い星のようでもあり、泳ぐ魚のようにも見えたのが印象的。七夕にしか演奏されないこの曲を歌う前に智が大雨の被害について触れ、ずっと楽しみにしていてくれたのに足を運べなかった人たちに想いを馳せ、やりきれない気持ちを伝えたことも加えておきたい。

再び、感謝の気持ちを伝え、まだまだやるべきことがあるし、少しでも多くの人たちにvistlipの音楽を聴いてほしいと11周年を迎えての心境を語り、最後はみんなで手を繋いでジャンプ。最後に残ったTohyaがPUC(パンダ・うさぎ・コアラ)で盛り上げ、「おつかれ」「ヤンマー」の恒例の挨拶でジ・エンド。
しかし、ここからが予想を裏切る展開だった。会場の外に出ていった人もいた中、場内に「FBA」が爆音で鳴り響き、慌てて走って戻るファン。メンバーがステージに再びあらわれ、智は「俺らはまだやりたいから、やるわ」とニヤリ。嬉しい悲鳴の中、「FIVE BARKIN ANIMALS」を投下。タオルが振られる中、「彩」でこれでもかとばかりに暴れ倒し、ライブを締めくくった。

興奮さめやらないフロアーからは、アンコールの声が鳴り止まず、メンバー自らの「本日の公演は終了しました。帰れ! 以上!」というアナウンスが流れるほど。それでも続いたアンコールの声はやがて拍手へと変わっていった。

取材・文◎山本弘子
セットリスト

01. Jack
02. Sara
03. 星一つ灯らないこんな夜に。
04. THEATER OF ENVY
05. SINDRA
06. Timer
07. My Second B-Day.
08. MONOGRAM
09. 夜
10. REM SLEEP
11. Mob Character
12. Hameln
13. Dead Cherry
14. HEART ch.
15. GLOSTER IMAGE
16. LION HEART
ENCORE1
17. ‐OZONE
18. Idea
19. July Vllth[Re:birth]
ENCORE2
20. FIVE BARKIN ANIMALS
21. 彩


「BLACK MATRIX」

発売日:2018年8月29日(水)

■LIMLTED EDITION(初回生産限定盤)(CD+DVD)
品番: MJSS-09227~8
価格: ¥1,800+税
・(CD) 「BLACK MATRIX」 ※TVアニメ『千銃士』エンディングテーマ
・(DVD)ROUGH the vistlip

■vister(CD+DVD)
品番:MJSS-09229~30
価格:¥1,800+税
・(CD) 「BLACK MATRIX」 ※TVアニメ『千銃士』エンディングテーマ
・(DVD): 「BLACK MATRIX」Music Video +Making映像 収録予定

■lipper(CDのみ)
品番: MJSS-09231
価格:¥1,200+税
・CD(全3曲収録)
M1:「BLACK MATRIX」 ※TVアニメ『千銃士』エンディングテーマ 
M2:「Original Words Complex」
M3:「The Other Side

※初回封入特典:
・トレーディングカード(ランダム封入)
発売元:マーベラス
販売元:ソニー・ミュージックマーケティング

<vistlip oneman tour 2018>

2018年12月2日(日)福岡BEAT STATION
2018年12月8日(土)金沢EIGHT HALL
2018年12月9日(日)大阪BIGCAT
2018年12月14日(金)仙台RENSA
2018年12月17日(月)札幌ペニーレーン24
2018年12月22日(土)名古屋DIAMOND HALL
2018年12月26日(水)新木場STUDIO COAST

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