SIX LOUNGE、レコ発ツアーファイナル
でSUPER BEAVERと火花散らした信念の
ライブ

SIX LOUNGE TOUR 2018 “夢うつつ” 2018.6.20 LIQUIDROOM
メジャーデビュー作となった最新ミニアルバム『夢うつつ』のレコ発ツアーとして開催された、SIX LOUNGEの全国対バンツアー。ツアーファイナルのLIQUIDROOM公演ではSUPER BEAVERをゲストに迎え、ガチンコのツーマンライブを繰り広げた。
SUPER BEAVER
「年下とか年上とか関係なく、SIX LOUNGEというバンドに最大級の敬意を払って、精一杯やらせていただきます!」(渋谷龍太/Vo)と、まずステージに立ったのは先攻・SUPER BEAVERだ。1曲目は「証明」。真っ向からフロアへ飛び込んでくる4人の音、そして真っ向からステージへ飛び込んでいくオーディエンスのシンガロングが一緒になり、共に音楽を鳴らしていく光景はとても美しいものだ。2曲目に選んだのは「青い春」。結成14年目の“青春”を高らかに鳴らしたあと、渋谷はSIX LOUNGEについて「真ん中に芯が通っていてバチバチにやる後輩が出てくるとチッって思う」というふうに言っていた。この言葉がそのまま彼ら自身にも返ってくるようなものであることは言うまでもないし、だからこそそのあとに「めちゃくちゃワクワクします」「後輩は先輩をぶっ倒しにくるんだろ? 受けて立とうじゃねえか」と付け加えたのだろう。「正攻法」にある<正攻法でいい まっすぐでいい まっすぐがいい><斜めに構えるせいで 綺麗なもの 見逃してしまいたくないな>というフレーズは、この2組の競演を象徴しているようだった。
SUPER BEAVER
SUPER BEAVER
最新アルバム『歓声前夜』収録の新曲「ラヴソング」にて、どんどん剥き出しになっていくバンドサウンドの人間臭さ。「長く続けることに意味があるんじゃない、意思を持って続けることに意味があるんだ」(渋谷)と伝えたあとに届けた、「人として」の毅然とした響き。自分の意思を信じるということ、貫くことを諦めないこと。全身全霊をかけてそれを伝え続け、年下の同志に対して自らの背中を見せる4人のやり方は、これまでの歩みがあり、一挙一動、一音一音に説得力のあるバンドだからこそ選べたものだろう。ラストの「秘密」まで大合唱を巻き起こし、そうして大きな喜びを目一杯分かち合い、終了。「最後に先輩として偉そうなこと言わせてな。このあと出てくる後輩のこと、よろしくお願いします!」(渋谷)と言い残し、SIX LOUNGEへとバトンを託した。
SUPER BEAVER
SUPER BEAVER
そして後攻・SIX LOUNGE。ヤマグチユウモリ(Gt/Vo)のピンボーカルが始まりを告げる「10号線」、3ピースサウンドが溢れだした瞬間、こんなにダイナミックに鳴らすことのできるバンドだったっけ?と率直に思った。ヤマグチの歌声はよく伸びているし、肩をはだけさせながら低音を刻むイワオリク(Ba)、歌詞を口ずさみながら大きく振りかぶるナガマツシンタロウ(Dr)に関しても一音一音が真芯を捉えている。ツアーを経ての成長がそのサウンドによく表れていたからだろう。「よく来たな、リキッドルーム! ずっと唄いたかった! 俺たちが大分・SIX LOUNGEだ、よろしく!」というヤマグチの挨拶もかなり頼もしく聞こえた。
SIX LOUNGE
「ショウをしに来たわけじゃないので。ここはライブハウスなのでライブをやって帰ります。自由にやってくれ!」と告げ、「ZERO」「ORANGE」「SHEENA」と続けて演奏。つい先ほどまでステージに立っていたSUPER BEAVERのライブに触発されたのか、3人のアンサンブルはバチバチと火花を上げるが如く激しく、ほとんどの曲のテンポが音源よりもかなり速い。しかし自分たち自身をコントロールできていないような感じはなく、むしろ、バンドの手綱を握るナガマツが、メンバー2人の背中をしっかりと見ながらさらに焚きつけるため、意図的に加速へと導いていっているような印象があった。そうして呂律が回るギリギリを狙ったかのようなテンポで「LULU」をやりきったかと思えば、ヤマグチの叫ぶようなタイトルコールを機に「トラッシュ」に突入。フロアからも拳がガンガン上がりまくり、場内のテンションは最高潮に達したのだった。
SIX LOUNGE
一転、涼やかな響きのする「SUMMER PIXY LADY」、スローバラード「メリールー」のあと、MCへ。「大げさだけど生きてるなっていうか、バンドやってるなあって思います」とヤマグチは手応えを語り、飾り気のない言葉でオーディエンスへの感謝を伝えていく。その直後、白色のシンプルな照明を背負って鳴らされた「くだらない」の堂々とした響きたるや。この日ヤマグチはオーディエンスに対して「良い歌を唄って返します」というふうに話していたし、普段からよく「良い歌を」ということを言っているのだが、彼は必ずここぞという時にバシッとキメてくる。彼の歌はただ情熱的なだけでなく、いちボーカリストとしてのプロ根性みたいなものも滲み出ているからさらにグッとくる。
SIX LOUNGE
そして「泣きたい時に泣いて、笑いたい時に笑って、唄いたい時に唄って。俺は今、ロックンロール唄いたいから唄ってんだ!」(ヤマグチ)と、クライマックスに登場したのは「俺のロックンロール」。自分の抱いた感情を生かすということ。そうして自分で塗り替えていった世界は、例えば今このライブハウスで生まれている光景がそうであるように、決して孤独などではないのだということ。この春メジャーへ移籍したばかり、まだ20代前半だというこのバンドが唄うそのメッセージからは、奇しくも、SUPER BEAVERが14年間誠実に唄い続けてきたメッセージと同じような“意思”を読み取ることができる。「俺たち、この景色絶対忘れないわ!」と目を輝かせたこの3人は、いったいどんな道を歩んでいくのだろうか。それはまだ分からないが、少なくとも、紆余曲折を経てもなお自分たちの信念を守り続けてきたSUPER BEAVERと改めて対峙した経験は、若い彼らにとって確かな糧になったのではないだろうか。
「ファイナルだけど、明日は移動日で明後日は名古屋で。余韻もなしにどんどんやります。そういうことなので、これからもよろしくお願いします!」と、笑うヤマグチ。SIX LOUNGEの旅はまだ、始まったばかりだ。

取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=夏目圭一郎
SIX LOUNGE

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