DEEP “歌う”という熱い衝動、3年
ぶりアルバム『THE SINGER』に込めた
シンプルな決意表明

前作から3年4か月を経て、ついに届いたDEEPのニューアルバム。その間にグループはニューヨーク武者修行を敢行し、EXILE THE SECONDの全国ツアーに同行するなど、外からの刺激を創作力に変えて成長を続けてきた。そしてたどりついた一つの答えは、“歌う”という熱い衝動。『THE SINGER』というシンプルな決意表明を込めたタイトルのもと、DEEPの新たなスタートはここから始まる。
“歌いたい”という思いがある、そこから始まってるんですね。やっぱり俺らは生粋の歌い手で、それしかないよねということです。
――気が付けばDEEPも活動10年を超えて、初めて会った頃を思い出すと感慨深いです。ファンの方も、だんだん変わってきたりしていますか。
YUICHIRO:そうですね。昔から応援してくださっている方も、子供が生まれたりしてますね。「二人目できました」とか。それで一回離れていた方が、また戻ってきたりとか。
――いいですね。
YUICHIRO:「久しぶり」「おお!」みたいな。握手会とかで、そういうことがありますね。そうかと思えば、COLORの頃から来てくださってるファンの方も何人かいて。「〇〇さん!」とか。
――あ、名前も覚えてる。
YUICHIRO:手紙をもらうから、覚えちゃうんですよ。握手会に何回も来てくれたりするし。
TAKA:なんか、そういうグループですね。一緒に歳をとっていくというか。新しい方もいますし、離れていった方もいらっしゃると思うんですけど、長くついてきてくれている人たちを見ると、“ああ10年やってきたんだな”と感じるし。ありがたいですね。

――ありがたいですね。「SING」の歌詞は、そういう昔からのファンの人にものすごく響くと思う。
TAKA:そうなんです。“歌いたい”という思いがある、そこから始まってるんですね。やっぱり俺らは生粋の歌い手で、それしかないよねということですね、あの曲ができたきっかけは。「SING」をリリースしたことで、今回の『THE SINGER』というタイトルが生まれたと言ってもいいくらいなので。11年経った今だからこそ『THE SINGER』がいいんじゃないかと。
――まるでデビューアルバムみたいなタイトル。
TAKA:“え、今?”みたいな(笑)。“こういうグループです”って、今言う。
YUICHIRO:でも今だからこそ、という意味もありますね。DEEPはコンセプチュアルな『〇〇STORY』というアルバムをずっと出してきて、前作の『Love Light』から変えて。
――その頃から、目指す方向性がよりはっきりしてきましたよね。今回もその流れの先にあるアルバムという気はします。
TAKA:確かに。
――その、『Love Light』からの約3年間は、DEEPにとってどういう時間だったのか。
TAKA:2016年から2017年にかけてニューヨークに行っていて、帰ってきて4人がまたまとまって、最初のシングルの「SING」が出て。もう一回原点に戻って、やっぱり4人でDEEPだなという思いがあったし、10年という節目を迎えた時に、何が一番自分たちの心に残り続けているか?というと、“歌いたい”という思いでしかないので。「SING」に関しては、曲が完成するまでのプロセスがものすごく濃くて、作曲家の春川仁志さんという、僕らをデビュー当時から見てくださっている方に僕たちの思いを伝えて。“渾身のバラードを作りたいんです”“わかった。おまえたちのことを思って作る”ということで、作ってくださった曲が最高で、それが「SING」になったんです。
――いい話。
TAKA:最初に曲をいただいて聴いた時に、この曲のテーマは“歌いたい”にしよう、4人の思いを綴ろうということで、メンバーで歌詞を書いて、レコーディングも一発録り、ミュージックビデオも一発撮り。そこまでのプロセスにものすごいパワーがあったので、これを大事にしたいねということで、次に「Celebrate」を作ったんですね。KEISEIが人生の大きな分岐点として、結婚することに対するリアルな決意表明を曲にしたいということで、KEISEIプロデュースで「Celebrate」を作りました。ただ単に出来上がった楽曲ではなく、すごく意味があって作ったという。今までがそうじゃなかったということではないですけど、すごくリアルな物語が、ニューヨークから帰ってきてからアルバムができるまでの間にあったなと思うんですね。
――はい。なるほど。
TAKA:『THE SINGER』というタイトルも、シンプルだけどすごく意味がありますね。僕らの根源にある生き様のような、そういうアルバムになったんじゃないかなと思います。この3年の中で、いや、今までの11年の中でという感じの、すごく意味のあるアルバムだと思います。

――あらためて、「Celebrate」は本当にいい曲。ミュージックビデオも最高。
KEISEI:ありがとうございます。これはCarlos K.という、今をときめく男と一緒に作ったんですけど。
――ときめいてますね。あちこちで名前を見る。
KEISEI:彼とは7~8年前に出会っていて、その頃はまだそんなにときめいてなかったんですけど(笑)。家が近かったこともあって仲良くなって、僕のことも彼女のことも知ってるし、この曲はカルロスしかありえないと思ったんですね。メンバーが僕に全部プロデュースを任せてくれたので、ミュージックビデオにしても、僕が監督さんと話し合って決めました。ヘアメイクも仲のいい友達がやってくれたり、身近な人と一緒に作り上げたという思いがあって、本来アーティストはこういうスタイルで、絆は現場で固まっていくのかなって、今回やってみて思いました。これから活動していく上で、大切なことを学んだなと思います。
――なるほど。
KEISEI:表に出るだけじゃなくて、けっこう裏方もやってたんですよ。人によって合う合わないはあると思うんですけど、僕は合ってましたね。それも含めて楽しかったです。
――兄弟は、どんな手応えですか。今回のアルバムについて。
RYO:新曲が3曲あって、「DWTS」はもうライブでやってるんですけど、ライブ映えしますね。振りもあるんですよ。そうかと思えば、どバラードの「あなたに」もあって、アルバムの推し曲になってますし。それと、EXILE THE SECONDのツアーを一緒に回らせてもらって、全33公演というすごく長いツアーの中でSHOKICHIくんと一緒に歌っている「The One」のカバーを、ここにも収録させてもらってます。バランスが取れた1枚になったと思いますね。
YUICHIRO:「U-turn love」「Guess What Girl」「Turn Back Time」は、2年前にレコーディングしていたんですよ。でも2年経って聴いても、僕らが歌ってる音楽は色あせないんだなと思いました。あとは11年間歌ってきた今だから歌える「SING」というバラードとか、「あなたに」もそうですけど、僕らがコーラスグループでもあり、一人一人がシンガーでもあるということを伝えられるアルバムになったと思います。特に「Turn Back Time」は音楽業界の方に人気が高くて、名曲と言われてます。
――「Turn Back Time」はかっこいい。クールで浮遊感があって、ほとんど洋楽的なサウンドメイク。
YUICHIRO:かっこいいですよね。音がすごく気持ち良くて、Nao’ ymtさんはすごいなと思いました。洋楽でもできないようなサウンドというか。
KEISEI:濃いですよね。
YUICHIRO:ニューヨークのスタジオでプロデューサーに聴かせたら、“WOOOO!”って言ってましたね。
TAKA:あれはYUICHIROの高音に対して言ってたんだよ。“なんだこの声は!? ”って。
YUICHIRO:そうだっけ。歌ってみろって言われて、アカペラで「Tell Me It’ s Real」(K-Ci&JoJo)をパッと歌ったんだけど、その人にはまったく刺さらなかった(笑)。知られてないのかな。ああいう時はやっぱり「End Of The Road」(BoyzIIMen)とか、みんなが知ってる曲のほうがいいのかもしれない。
KEISEI:日本とアメリカって、やっぱり違うよね。日本で90'sのR&Bが好きな人にテディ・ライリーの話をすると喜んでくれるけど、アメリカの黒人だと“誰だそれ?”みたいな。
YUICHIRO:こっちで流行ってる曲と、向こうとでは全然違う。Blackstreetでも「No Diggity」は知られてるけど。
――余談だけど、その話すごく面白い。ニューヨークで生活してきたからこそわかる、日米の音楽性の違いみたいな。
KEISEI:Nextとか、こっちだとまったく有名じゃないけど、向こうだとみんな踊りだしちゃう。へえ~って思いましたね。コーラスグループだと、安定して人気があるのは112。どこでも流れてました。
YUICHIRO:今はR&Bグループよりヒップホップなんですよね。仲間を全員引き連れて、ステージで騒ぎまくる感じ。
KEISEI:前よりも集団芸っぽくなってる。飛び跳ね方がすごい。クラブで各自が楽しく踊るとかじゃなくて、一致団結して盛り上がる、みたいな。
YUICHIRO:でもBoyzIIMenは未だにすごいですね。
TAKA:ちょっと年配の方向けではありますけど。
YUICHIRO:でもさ、ジャスティン・ビーバーとやったり、最近だとチャーリー・プースとやったり。それがめっちゃいいんですよ。下の世代からすごいリスペクトされているのを感じる。そういった感じに、俺らもなっていきたいですね。
KEISEI:向こうで一番感じたのは、人生を賭けて音楽をやってるんだなという感覚ですね。体を張ってる感じがする。そういうものなんでしょうね。俺らも、今までは“いい曲だな”と思うものを一生懸命やる感覚だったんですけど、そこに自分の人生を乗っけていければいいなと思うし。
DEEP 撮影=北岡一浩
――だから響くんだと思いますよ、「SING」も「Celebrate」も。明らかに歌に人生が乗ってる。
TAKA:次、だな。
KEISEI:次ですよ。ちゃんと毎日の人生を最前線で生きていかないとダメなんだよね、マジで。でもこうやってまたアルバムが出せて、これを機にまたツアーとか、単独公演をやってほしいという声もたくさんもらっているので。ありがたいですね。
YUICHIRO:ツアーやりたいね。マジでやりたい。
RYO:それと初回限定盤のDVDには“DEEPに聞きたい50のこと”というコーナーがあって、バラエティ寄りの動画になっているんですけど、これも初挑戦ですね。11年一緒にやってきたけど、どれだけメンバーのことをお互いに知ってるか?みたいな。一人が別室に入って、質問に対する答えを言って、ほかの3人がその答えを予想するという、面白い映像になってます。
――だいたい合ってるでしょう。
RYO:だいたい外れてましたね(笑)。
YUICHIRO:それが面白いんですよ。
KEISEI:初めてキスした場所はどこですか、とか。
TAKA:知らないよそんなの(笑)。
KEISEI:そういう、この年齢だからできるような、アダルティな質問もちょこちょこ入ってます(笑)。
RYO:そういうものもありつつ。この『THE SINGER』は、あらためてDEEPの自己紹介アルバムにもなるかなと思います。
YUICHIRO:そうだね。いい歌、歌ってるよなって思っちゃう。曲のバランスが本当にいいなと思います。
――新しいファンも、これをきっかけに入ってほしい。
TAKA:そうですね。EXILE THE SECONDと一緒に回らせていただいたことで、新しく知ってもらう方も増えましたし。
YUICHIRO:ハイタッチ会とかに来てくれるよね。インスタのコメントとかで触れてくれたり。
TAKA:ずっと応援してくださっているファンの方々を大事にしつつ、新しいファンの方にもDEEPを知ってもらって、ファミリーになってもらうような活動をちゃんとしていかないといけないということですね。全国をきちんと回って行こうと思っているので、まだ決まってないですけど、その時にはぜひ遊びに来てください。
――DEEPのファン、熱いですからね。SNSとか見ても、すごく熱心。時に厳しい意見も投げつつ、すごく愛を感じる。
TAKA:親心みたいな。
――そうそう。最初に言ったみたいに、一緒に歳を取ってきた感覚があるんだと思います。
TAKA:見守られてる感はありますね。
YUICHIRO:批判されてもいいんですよ。何も言われないのが一番ダメだから。
TAKA:みなさんの思いに応えられるように、しっかりと活動していきますので。ついてきてほしいですね。
取材・文=宮本英夫 撮影=北岡一浩

DEEP 撮影=北岡一浩

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