橋本良亮&河合郁人インタビュー「A
.B.C-Zってすごいと思わせたい」 音
楽劇『コインロッカー・ベイビーズ』
再演

現代日本文学の傑作、村上龍原作の『コインロッカー・ベイビーズ』が、2016年音楽劇として誕生すると、主人公のハシとキクをはじめとする若者たちが持つエネルギーや純粋さ、可能性、そしてもがきを熱く表現し大きな話題となった。あれから2年が経ち、2018年7月11日 (水) からTBS赤坂ACTシアターにて本作が再び上演される。
主演は初演に続き、A.B.C-Zの橋本良亮と河合郁人。今回の公演では、公演期間の前半で橋本がキク役、河合がハシ役を演じ、後半でお互いの役を入れ替えて演じるという挑戦に挑む。初演時から互いの役をやってみたかったと考えていた橋本と河合にその胸の内を聴いてみた。
ーーまずは再演が決まったときの感想を教えてください。
河合:純粋に嬉しかったです。初演のときにやったことを認めてもらえたんだと思いました。
橋本:再演ということですが、今回はハシ役とキク役、どちらもやりますからね。これはこれで初演のような気持ちで新たに臨みたいと思っています。
ーー今さらですが、初演の公演が全部終わったとき、手ごたえを感じましたか?
河合:手ごたえしかなかったです。ファンの方からの意見、小説ファンの方からの意見、スタッフの方からもいろいろな意見をいただきまして……。また、それぞれの意見が少しずつ違っていて、人によって感じ方が異なるのが演劇らしくていいなと思いました。
橋本:初演はやり切った感がありましたね。「良かったよ!」以外の意見をこんなにもたくさんいただけたのは、この作品が初めてだったかもしれないです。
河合:いろんな方が観に来てくれたのも印象に残っています。V6の森田剛くんが観に来てくださった日、その時に限って僕のマイクが壊れてしまって。幕間に「お前がいけないからマイクが壊れるんだよ」って突っ込まれました(笑)。でも、2幕が始まる直前にポンッと俺のお尻を叩いてくれて……。
橋本:それが剛くんらしい優しさだよね。
ーーこの舞台を経験したことで、ご自身の中に何か変化を感じたりしましたか?
河合:人見知りがなくなりました(笑)。脚本・演出の木村信司さんが、たぶん僕を解放してくれたんだと思います。「恥ずかしがっていることが恥ずかしい」と教えていただいたことで、芝居に対して恥ずかしがらずに向き合えるようになりました。おかげで、芝居を全力でできるようになり、困った時、迷った時は周りの人に聞けるようにもなりました。
橋本:そうそう。僕も稽古中、「河合さんってこんな人だったっけ?」って思うことがあって(笑)。初演の時、アネモネにキスする場面で「稽古はどうするつもりなんだろう」と様子を見ていたら、河合さんが「ねえ、今日やっちゃう!? やっちゃう!?」って、すごく積極的に話しかけていて(笑)。今まで見たことがない河合さんの姿だったので本当にびっくりしました(笑)。
河合:以前、音楽劇『ルードウィヒ・B ~ベートーヴェン歓喜のうた~』の時は、ほとんど(共演者と)話ができなかったんです。人見知りが強すぎて。
橋本:芝居が終わるとすぐ楽屋に行っちゃってね(笑)。
河合:(笑)
ーー河合さん、人見知り、卒業おめでとうございます(笑) 一方、橋本さんが舞台を通して感じたことは?
橋本:毎日が変化の連続で、自分が演じる「ハシ」という人間と常に闘っていたような感覚でした。また、舞台が始まる瞬間、(赤ちゃんの)ハイハイで登場するんですけど、出た瞬間に「今日はこんなハシになるな!」と感じていました。
河合:僕も同じ事を思ってた。あのハイハイで登場する瞬間って不思議な感覚なんだよね。で、そこから歌い出したときに、その日のハシとキクが「決まる」感じがしたんです。毎日少しずつ違っていたので、毎回新鮮な気持ちで演じることができましたね。
ーー初演の時に「この役を渡したくない」とおっしゃっていたのを覚えていますか? 再演でお互いの役を入れ替えることになりましたが、それを聞かされた時どう思われましたか?
河合:再演のハシとキクがこの二人でなかったら、今頃相当ひねくれていたと思います(笑)。この二人の中で役が入れ替わるのは「新たな挑戦」だから、是非やってみたいと思いました。でも、はっしー(橋本)のキク役がなんだかすごく似合いそうなんだよね。それがちょっと心配で(笑)。
橋本:河合さんは正直にそう言えるのがかっこいいですよ! 僕は言いたくないもん。絶対ハシ役は誰にも渡さないぞって気持ちがまだ残っているんです(笑)。
河合:僕にとって、ハシ役は相当頑張らないとできないと思うんです。ある意味(自分が演じた)キクよりハシという人物を目の前で見てきたので、ハシという役を自分が演じるというのがまだ想像できないんです。
橋本:僕は初演の頃からキク役もやりたかったんです。だから再演までの2年間、ずっとキク役を演じている自分を想像していました。「キク役を奪いたい、ハシもキクも俺のものだ」って思うくらい(笑)。
河合:じゃあ僕はタクシードライバー役をやるよ……来年あたりに(笑)。僕はこの物語の中に出てくる役を全部やってみたいと思っていました。僕がガリバー(アネモネのペットのワニ)役をやったら、超すごいよ! そして相当かわいいよ(笑)!
橋本:・ものすごくアネモネにぶん投げられますけどね(笑)。
河合:(笑)。どの役に対しても同じ思いを抱いていて、ROLLYさんがやったD役をもし自分がやったらどうなるだろう、などと想像していましたね。
橋本:僕がキク役をやりたいと思ってきたのは稽古の時から。キクがタクシードライバーを殴り倒してアネモネを助ける場面は絶対やってみたいと思ってた!
河合:あの場面、キクがかっこいいからね!
橋本:そうなんだよ!
ーーさきほど、二人がお互いの役を交替することが再演の「新たな挑戦」とおっしゃいました。実際にそうすることで、どのような効果が得られそうですか?
河合:ハシとキクってタイプが異なる二人です。二人はやり方が違うので、対立もしたりするんですが、目指しているところは一緒。そういう時に発揮する若者の力ってすごいんじゃないかな、そしてかっこいいんじゃないかなと思うんです。今回役を入れ替えることで、子どもが本気を出したら怖いんだぞ、ということをハシとキク両方から、より伝えていくことが出来るじゃないかと思っています。
ーーその結果、ハシとキクが若い世代の代弁者としてより強いメッセージを伝えていくんですね。ところで、お二人はハシとキクという人物をどう捉えていますか?
橋本:ハシは、ものすごく寂しがりやで繊細。だけど誰よりも強い。
河合:やりたいことがぶれないよね。ハシの人生のほうがおもしろいだろうなあ。
橋本:いろいろな経験をしているからね。キクもそうだろうけど。
河合:キクは真っ直ぐでオープン。そんなところに影響されて僕もオープンになれた気がする……あれ、つまり自分に影響されたってこと(笑)!? でも、キクに出会えて気が付かされたことがいっぱいありますね。
橋本:そう二人とも自由人でかっこいい。普通の人ができないことを恥ずかしがらずできるからね。
河合:男の中の男だと思うよ。やりたいことを貫き通しているし。
ーー初演の時の忘れられない思い出はありますか?
橋本:ハシの人格がぶっ壊れてしまう「ハエのシーン」。大特訓しました。木村さんと一対一で2日間くらいずっとこの場面だけを作ってましたね。
河合:そこから続く場面もすごく大事なんだけど、僕は、気持ちが入り過ぎて椅子を投げる時に何度か壊しちゃった(笑)。
橋本:その場面を今度は僕もやるんだよね。早くやりたいなあ。
河合:あの場面は、僕たち二人だけでやるからね。語弊があるけれど、ニヴァを蹴ったりする場面も早くやってみたいんです。
橋本:そういえば、僕……舞台袖で自分の腹にパンチを入れて、気持ち悪くなってからステージに出てた。極限状態、苦しい状態を作りたくて。腹パンチ以外でもっと苦しくなれる方法ないかなって指を口に突っ込んでみたり。息が出来ないくらい苦しい状態に追い込まないとハシの役ってできなかったんです……(河合を見て)今、ヒントを与えたからね(笑)。
河合:じゃあ、僕は指三本、口に突っ込む(笑)。今はどういう風にハシの役を作っていけばいいか、どんな声を出せばいいのか、まだイメージがつかないです。だから早く稽古に入って木村さんの演出を受けたいですね。
橋本:僕らがどんなに考えていっても木村さんが全部いい意味でひっくり返してくれると思うんだよ。
ーー稽古はこれからですが、この再演に対してどのように取り組んでいきたいですか?
河合:前回やったキク役はゼロベースに戻して作っていきたいです。今回、お互いの役をやる事で元の役について新たに気がつくことがあると思うんです。また新しいキクとハシに出会えると思います。あと……僕、30歳なので、舞台上では30歳に見られないように頑張ります(笑)。
橋本:お客様を絶対楽しませるのが一番なんですが、それと共に「A.B.C-Zってすごいな」って思わせたいんです。これが成功すればもっとA.B.C-Zは強くなれると思うんです。「こんな事もできるんだぞ」って見せつけたいんです。
ーーA.B.C-Zの他の3人(戸塚祥太、五関晃一、塚田僚一)も、TV、映画、舞台と活躍していますし、個々で活動して得た力がグループに大きな影響を与えそうですよね。ところで今回はA.B.C-Zのコンサートの間にこの公演が挟まっているんですよね。気持ちの切り替えという点では大丈夫ですか?
橋本:コンサートは、わーって騒げるからいい気分転換になります。そういえば、2年前のときもライブがあったけど、そのときキク役が抜けていなかったでしょ?
河合:え? 抜けてなかったっけ?
橋本:僕が指摘するならまだしも、五関さんに言われてたからね。「河合さん、キクが抜けていない」って(笑)。
河合:(笑)。五関さんは舞台を観にきてくれたんだけど、僕に対する感想が「本当はこういう役やりたかったんでしょ?」だからね(笑)。大正解だけど、もっと他に言うことなかったのか、と(笑)。
橋本:今回は2役あるからどうなるかなあ。
河合:今年のコンサートではキクだけでなく、ハシも出てくるかもしれない(笑)!
ーー最後に公演に向けての意気込みをお願いします。
橋本:今回、最初の1週間で前回と違う役をやるんですが、その後の1週間で「ああ、こっちのほうが落ち着くわ」って言われたくないですね、やるからには! だから前半の1週間でいいものを見せつけたいです。
河合:後半の1週間で「あ、やっぱり違うハシ(キク)を観たい」と思ってもらって、地方公演にもお客様を呼べたら勝ちだよね! 観た方を中毒にさせたいですね。
橋本:どちらのバージョンも1回ずつは観てもらいたいですね。
取材・文=こむらさき
スタイリング=リシェス
ヘアメイク=奥山信次(Barrel)

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