[第46回]連載通算200回! 宮澤佐江が
舞台『ZEROTOPIA』で再認した「スタ
ッフさんへの感謝は忘れない」姿勢と
役作り

「今の自分に染みる台詞がいっぱい詰まった舞台」と佐江ちゃんが話す、絶賛上演中の『ZEROTOPIA』。アイドル復活? と言われたという役づくり、舞台を支える人たちへの思いなどたっぷり聞きました!

ーーさあ、佐江ちゃん。今回もよろしくお願いします。
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よろしくお願いします!
ーー今日は撮影前にパラパラと雨が降り始めて、急遽、室内での撮影になりましたね。撮影、おつかれさまでした。
おつかれさまです!
ーー今日は公演中の舞台、地球ゴージャスプロデュース公演Vol.15『ZEROTOPIA』の休演日ということで、「ミラチャイ」の取材日となりました。ミラチャイスタッフも、『ZEROTOPIA』さっそく拝見しましたよ!
よかったぁ。嬉しいです。ありがとうございます。
ーーまだまだ公演はつづくので、今回はネタバレにならないように、注意してお聞きしていきたいと思います!
はい!
ーーまずは、佐江ちゃん扮するサンディーについて。舞台に最初に登場したとき、「宮澤佐江は存在しない」と、佐江ちゃんが言っていた意味が、やっとわかった気がしました。(第44回)
サンディーのルックスから、もう、宮澤佐江はいないと思います(笑)
ーーアイドルだった佐江ちゃんだからこそ、サンディーのルックスやふるまいが、すごくしっくりきている印象がありました。
「アイドル・宮澤佐江、復活!」って、いろんな人から言われました。
だけど、自分としてはそんな意識はないんですよ。ルックスも、アイドル時代にサンディーほどまでは、やったことなかったですし(笑)
常に内股で立つのを意識して、全員で踊るところでも、「サンディーっぽく、ぶりぶりにクセを付けて踊っていいよ」って、振付の先生から言われていたんです。
私も、ただ踊るだけじゃサンディーの衣装に負けてしまうと思っていて。なので、すごく激しく踊ったり、「どんだけ首傾げるんだ?」っていうくらい、首を傾げてぶりっ子したりしてます。すごくクセをつけて踊っているんです。
ーー演じきらないと、衣装や、キャラクターに負けてしまいそう。
そうですね。
でも、「演じているけど、なじませて観せないといけない」と思っています。そうしないと観ている人は、気持ちが悪いというか、違和感を感じてしまうと思うんです。
自分がやっていて「気持ちが悪い」「違和感がある」と思っていたら、観ている人たちに絶対伝わっちゃうと思うから。
なので、出だしやインパクトのある部分は、ぶりっ子したり、声を作ったりして、しっかり作り込んでいるけど、途中からはそれを変えているんです。
途中から自分が普段、台詞を言っているときに出ちゃう「高めの声のテイスト」に変えて、そんなに意識せずにやっています。だから今回は、「ミックスして役を作っている」感じがします。
ーー「役と自分をミックスする」のは、これまでの舞台経験でなかったのではないですか?
地球ゴージャスだからこそ、できること
そうですね。なかったです。「地球ゴージャスの作品だからこそできること」というのかな。
地球ゴージャスは、役の1人ひとりにスポットを当ててくれる作品なんです。なので、この場面では役としてしっかりなりきって、他の人が前に出ているときは、逆に、ちょっと落ち着かせて、とかメリハリをつけています。
役に1本の筋はちゃんと通っているんだけど、見せ場によってメリハリをつけている感じです。
ーー確かに、全体を通じて、それぞれが主役の場面がちゃんとありました。
そうですね。本当に、今回もすごいと思います。
あと、ゴージャスでは、「LV」と呼ばれている立ち位置の方たちがいて。
ーー「LV」というのは?
わかりやすく言うと、ミュージカル界だと「アンサンブル」と呼ばれている立ち位置の方たちです。ですが、(岸谷)五朗さんが、「ゴージャスには、アンサンブルはいない」と言われていて、私も本当にそうだと思っているんです。
踊ったり、歌ったりしてくれる「LV」と呼ばれる方たちは、今回、一緒にお芝居をするシーンがないんですが、その方たちもすごいんです。
「LV」の方たちは、今回、ある島に流れ着いた8人の、過去の風景のなかにしか出てこないんです。
ーー佐江ちゃんは、その8人のうちのひとりなんですよね。
はい。でも、過去のことだから、現在に存在している8人には、見えてない設定なんです。だから、「LV」の方たちとは、いつも以上に関わりが少なくて。
前回の『クザリアーナの翼』のときは、同じ民族同士で、歌ったり踊ったりできたんだけど、今回は、全然おしゃべりもできない。
ましてや、今回はダブルキャストなので、本番期間中でも劇場に行かない日があるから皆と会えなくて。「さみしい」って、ずっと言ってます(笑)
ーーまだ、初日の幕が開いて間もないですよね。これから各地で公演もありますし。(編集部駐:取材日は4/24)
そうですよね。楽しみです。
ーー幕が開いたばかりといえば、舞台に立ってみてわかったことなどありますか? 稽古場にいるときとは変化したこととか。
稽古のとき、通しでできたのは、私は2回だけだったんです。その後は、ゲネで通しをやって、次は初日の本番。なので、今やっと皆でやる通しを体感して、なじめてきてる気がしてます。
でも、まだ、慣れていなくてよかったなって思う部分もあるんです。
なぜかというと、今回は「なぜ、同じ島に集められたのか、その理由がわからない人たちが繰り広げていくお話」でもあるから。
皆がどういう動きをするか、慣れていないことで、よりリアルに驚きを体感できているんです。
ーーなるほど。ダブルキャストの花澤香菜さんの舞台を観る機会もありましたよね。自分の初日前に、自分が立っていない舞台を観て、どう感じましたか?
ダブルキャスト、めっちゃ得
「ここでこのスポットライトが当たっているということは、ここで思い切り芝居をしよう」とか、客観的に自分がいないステージを観られるからこそ、すごく感じることができました。
なので、劇場に入って本番を迎えて芝居が変わったっていうのは、いまだにあります。
ーー自分が立っていない舞台を観られるのは、ダブルキャストならではの強みですね。
そうですね。
花澤香菜ちゃんがやってくれているからこそ、感じられたものもあったから。それをふたりで共有して、「このときのライトは、ここにきてるから、あそこに入ればカッコよくキマる!」とか話したりして。
いろんな人にダブルキャストについて、よく聞かれるんです。
「ダブルキャストでやるのと、そうでないのとどっちがいい? 」
「ダブルキャストは大変だよね」
って。確かに大変なんです。だけど、めっちゃ得なんだよなぁって私は思ってます。
あと、劇場に入ってわかったことといえば、五朗さんが作り上げていった照明、マッピング、音響についてもそうです。本番前、劇場に入ってからの数日間で、五朗さんが寝ずにスタッフさんと作っていったんです。
その様子を身近で見ていて、「ここでいいスポットライトを当ててもらっているからこそ、それに応える何かをしたい」って、より強く思うようになりました。
ーー岸谷さんは、舞台の全体を見ながら自らも出演しているんですもんね。
すごいですよね。
毎日、前日の舞台のダメ出しをしてくださるんです。毎回の舞台を、お家へ帰ってからか観ているのか、劇場に来る前に観ているのかはわからないけど。芝居や殺陣をショートにしたり、シーンを変化させていったりもしていて。
初日の本番前に、五朗さんの楽屋へご挨拶に行ったとき、五朗さんが台本を見て台詞を覚えている姿に感動しました。自分が書いた台本を、って当たり前なんですが、
「今回、俺、できてる方だよね、寺ちゃん」
って、寺(脇康文)さんと話しながら、その姿がかわいいというか、もう、すごい! と思って。。
ーーお芝居のことはもちろん、学ぶこともとても多いのではないですか?
スタッフさんへの感謝
そうなんです。「スタッフさんへの感謝は忘れない」という姿勢も学ばせてもらっています。
皆に「ありがとう」って言うんです。「昨日も夜中までありがとな」って。大道具チーム、照明チーム、映像チームそれぞれに言うんです。
五朗さんは、自分も舞台に立つ役者だから役者の気持ちもわかる。わかるからこそ、スタッフさんに意見も言える。そういう姿を見せてもらえている気がします。
「ここで、このライトを当てると客席が見えなくて踊りづらくなるから、こうじゃないライトを当てて」とか。皆がいる前で指示しながら作っていくんです。
そういう姿を見ているからこそ、「愛があるなぁ」って余計に感じて。
だから、絶対に間違えないで、しっかりやらなきゃいけないっていう思いが湧いてきて。
「スタッフさんがいてくれて当たり前」と、思いがちな気持ちを、地球ゴージャスは、スタッフさん1人ひとりに、感謝を述べたくなる感情にさせてくれるんです。
それは『クザリアーナの翼』のときも感じていたことで。
その経験があったから、自分の卒業コンサートを創ったときも、スタッフさんへの感謝の気持ちがあふれんばかりに湧いてきて、20分以上のスピーチをしてしまった。その理由は、たぶん、そこにあります!!
「スタッフさんへの感謝は忘れない」。それを五朗さんと、寺さんに教わりました。
ーーまず、自らがやって背中を見せてくれるんですね。
そうなんです。怒らないし、言ってほったらかしにするだけじゃないんです。
ーー自分より上の立場の人のそういう姿を見ると、自分もやらずにはいられない気持ちに自然となります。
本当にそうです。
スタッフさんも、「キツいけど、何とか方法を考えてやらなくちゃ」っていう思いになると思うんです。
スタッフさんも、「役者のために」というのはもちろんあるけれど、「五朗さん、寺さんのために」っていう気持ちが絶対あるんだろうな、ってすごく感じてます。
ーーそんな「愛」ある岸谷さんが書かれた今回の『ZEROTOPIA』は、封印された「怒り」がテーマにもなっていますよね。封印された怒りを解放して、試練を超えていく、サンディーのそのシーンがすごく印象的です。
キーワードですよね、封印! (第44回)
台詞が今の自分に染みる
アトラス役のまっけん(新田真剣佑)と、ワンさん役の寺さんとの会話のなかに「それを乗り超えられる人でなければ、神さまはその試練を与えない」みたいな台詞があって、いつも、いい台詞だなぁって思いながら聞いているんです。
自分に試練がきたとき、
「何で私だけ? 」
「何で僕だけ? 」
って、思う人は絶対にいると思うんです。でもそれは、その試練を乗り超えられる人だからこそ、こういう試練がきたと思えば、「人より得な人生を送れてよかった」って、思えると思うんです。
今回の『ZEROTOPIA』にも、こういう素敵な台詞がいっぱい詰まっています。
自分がやっていて、その台詞が今の自分にも染みるって、あまり経験がないことなんです。もともと原作がある『ピーターパン』や『王家の紋章』のときは、ここまで強く感じることはなかったから、そこがすごいなと思うんです。
ーー台詞を生み出した方が近くにいらっしゃることも大きいかもしれませんね。
そうだと思います。『朝陽の中で微笑んで』のときも、いい台詞だなと思うことがたくさんありました。脚本を書いた方が近くにいることは、すごく大きなことなんだと思います。
台詞が今の自分に染みると、今、ここにいてよかったって本当に思います。
ーー長期にわたる公演、これからも佐江ちゃんをはじめ、皆さんの無事完走を願っています。
ありがとうございます!
ーーさあ、最後になりましたが、ここでひとつお知らせが…。
??
ーー今回で、「ミラチャイ」連載が通算200回を迎えました!
200回すべて、宮澤佐江の経験でできている
えー!? いつ!? 今回で? ハッ!! スゴーーーい!! パチパチパチ(拍手)
ーー(拍手)。2013年にスタートした旧連載は毎週更新、2016年7月にリニューアルしてからは隔週更新に変わりました。
そう、そうです。
ーー連載100回目にはお祝いしました。
覚えてます!
ーー今回は通算ですし、同じ回を前・後編に分けたこともあったので。200回とはいえ数え方にもよりますから、サラっと、でもポイント通過のお知らせを、と思いまして(笑)
でもスゴい! 200回ッ!! エグい! 取材回数は何回? 月に1回は取材をしているから…
ーー60回ほどになっていると思います。
60回…。毎回の取材で1時間半から2時間くらいお話しているから、合計すると、100時間超え? ッファァァーーーーーっ!!
ーー200回すべてが、佐江ちゃんの経験からできているものだと思うと、その積み重ねはすごいものだと改めて思います。
いやぁ。。(汗)
書籍(『これさえあれば。』)や連載を読み返したりすると、昔の方がいいこと言ってるなって思うんです。今の自分にすごく響く言葉を言っていたりして。
ーー書籍ではそういうところを抜粋しているからそう感じるのかも?
へそがどんどん曲がっていってるんじゃないかと思うんです。曲がりまがって1周しちゃいそう! あっははははは。
ーー舞台の数をたくさん踏んで、すごく成長しているのを感じます。
ここ1年は、いろんな意味で成長したなと思います。大人になったというか。
ーー最後にひと言、未来の「ミラチャイ」に向けて、そしていつも読んでくださる皆さんに、ひと言お願いいたします!
えー! ひと言!? (考え中の佐江ちゃん)
言うことで、運がついてくる
「ミラチャイ」でさりげなく言ったことが、形になっているって感じることが多いんです。なので、内に秘めることもときには大切だけど、どこかで言って残しておくことって大切で、そこに運がついてくるんだろうなって思います。
それを「ミラチャイ」で感じているので、これからも思ったことは、すぐ「ミラチャイ」で言って残しておこうかなって思います。
「ちゃんと結婚できますように」
って、言っておこう(笑)。甥っ子ができたからか、いずれかは結婚したいし、子どももほしいし。
ーーそうそう! 今日の取材では、そのお話も聞こうと思っていたんです。「佐江ちゃん、おばさんになる」っていうテーマで。
コラァッー!(笑)
BBA、BBAだぁ〜! あははは!
ーー(笑)。ではでは、この続きは次回のミラチャイでといたしましょうか。
はい!
ーーそれでは今回も、たくさんのお話ありがとうございました。また次回もよろしくお願いします!
ありがとうございました。甥っ子ができたことによって、誰かと家庭をもつとか、出産とか、ちょっと昔より…、というか、ついこの間より希望がかなり強まりました。
その希望を叶えるために…、次回はそんなお話もしていきます。また、次の「ミラチャイ」でお会いしましょうね!
撮影:増田慶 スタイリング: 藤井エヴィ ヘア&メイク: 小林依里香
次回の更新は、5/25(金)予定です。

ウレぴあ総研

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