カレーときどき村田倫子 #23 バンゲ
ラズキッチン

銀座、、、。大人の街。
「カレーを食べる」という意思を提げこの地に降り立つという意味では、初めての銀座です。実は、銀座は有名なカレー屋さんが色々と名を連ねるカレー界隈ではホットな場所なんです。つまりカレー激選区。
私も気になる店がたくさんあるのですが、中々足を運べず…。
そんな私の記念すべきカレー銀座デビューは、今年オープンしたばかりなのにも関わらず、すでにカレー通の方々から絶賛の声が集まる「バンゲラズキッチン」。碁盤上の地形が苦手で、銀座に来るとすぐに迷子になってしまう私ですが、地上に出ると、もう目の前にそびえ立つ銀座インズ2の中に入っている。
方向音痴さんにも嬉しい最高の立地。初心者にとってはとても助かります!
色々と個性が光る飲食店が軒を連ねるフロア。そんなラインナップに引けを劣らずスパイス香る素敵な門構えの「バンゲラズキッチン」。
店内に入ると赤と青であしらったフォトジェニックな壁紙に、大人なバーカウンター、グリーンが彩る洒落た照明。お店の内装のメインとなる壁紙はマンガロール、南インドのカルチャーや慣習を柄に落とし込んだもので、寺院やコックファイティングやタイガーダンスなど、現地の文化を感じられるようになっています。もうこの地点で、今まで私の中にあった「インドカレー店」のテンプレートをぐるっと覆してくる空間。未知の感触にすでに胸の高鳴りが抑えきれない(お腹もぐうの音をあげてる、、、、)
ここバンゲラズキッチンは、日本初の南インドのマンガロール料理専門店。
マンガロールは、インド悠久の歴史と文化が交差する、あらゆるインド料理のエッセンスが凝縮したグルメの街です。
そんな魅惑のマンガロール料理を心ゆくまで堪能してほしいというオーナーのバンゲラさんの想いがこもったお店。現地の文化がそのままイラストになった壁画を背に、未だ見ぬ魅惑の地マンガロールに思いを馳せつつ、ホール担当のクマールさんにも色々ご相談に乗ってもらって、オーダーしたのはこだわりのフィッシュターリセット(2685円)とフィッシュビリヤニ(1600円)。
バナナリーフできちんとめかし込んだ銅食器の上に、魚を使ったカレーにフライ! 使う魚は日替わりとのこと。この日は、バサという魚のカレーをメインにカサゴのフライでした。豆とかぼちゃとタマリンドとスパイスで煮込んだサンバル、サールというマンガロールスタイルのスープカレー。
中央に広がる見知らぬ顔のお米。これは、ブラウンライスという、マンガロールやケララの家庭でよく食べられるライス。
なんと、ここでしか食べれないという噂、、、!
そして、カレーたちを引き立ててくれるパパド(米と豆の生地で作ったクリスピーな豆せんべい)と干しエビのふりかけ。ふりかけはココナッツベースなので、カレーと混ぜると甘味の奥行きが広がる面白い存在。
マンガロールは海の近くの地域なので、このように魚のメニューが多いそうです。日本も地域によって美味しい幸のものが異なるように、インド料理と一口にくくるには、やはりまだまだ知らないことが多すぎるなあ…と遠いスパイスの国を思いながら、まずはバサカレーを口に含む。
ファーーーーーっと広がるスパイスの芳香にココナッツミルクの濃厚さと深みがまったり包む。そこに魚の旨味が奥行きを出して、最後にジーンと押し寄せる辛味。あぁ、!上品なのに美味しい!!!!!!!
余韻をこれでもかと残す後味はずるい!!!!
このカレーがまたブラウンライスのしっかりとした粒によく絡んで相性が抜群。
正真正銘、昔から現地で愛されてきたマンガロールの味は、日本人の舌も納得の故郷の味。
こんなにも本格的なマンガロールの風が吹き抜ける理由は、シェフに秘密あり! 高級ホテルで料理経験を積んだオーナーの知人のシェフが現地の本格的な味を提供してくれているのです。そして、故郷の味を伝えたいというお店の気持ち。だからこそ、抜かりなし、妥協なしの一皿なんです。
そして、竹の包におさまっているお米はバンゲラズキッチンの名物フィッシュビリヤニ。カシューナッツ、カジキマグロ、香り高いスパイスで炊かれたバスマティライスは絶妙にパラッとした舌触りが一粒の感触を楽しませてくれる。
ゴロッと顔を覗かせるカジキマグロの身の満足感と、その旨味をぎゅんと染みこんだライスの美味しさの破壊力! 竹筒のまま豪快に口にかき込みたくなる衝動を抑えるのが大変でした(大人な街だからお行儀よくね)
 
元々代々現地で飲食業を営んでいたオーナーのバンゲラさんは、日本にきて8年目にして、お店の開店を決意したそう。
カレーとナンでお腹がいっぱいになってしまうという、日本で定着したインドカレーのイメージを払拭したく、お酒が飲めてちょこちょこ頼めて、シェアもできる、さらに胃もたれしないメニューラインナップで構想を練っていたそうです。かつ、都内初!にこだわり、マンガロールの現地料理を出すお店としてオープン。(南インド料理屋さんはあっても、ピンポイントにマンガロール料理を出すお店は今までなかったのです!)
そのため、魚介を使った料理が豊富。マナガツオ、カジキマグロ、カサゴ、サバ、バサ、サワラなど現地で使われる魚を多様にメニューに取り込み、そこにサイドメニューとして、かぼちゃと豆とドラムスティックという野菜のサンバルや、えびをつかったふりかけ、現地ではジムの後に食べられるというヘルシー食なども盛り込んだセットが人気。さらに、お酒を楽しめるお店として、オリジナルカクテル(ノンアルコール含む)の考案にも力を入れています。
インド料理をあてにお酒を交わす楽しみ、異国の文化に触れ合う機会を提供する場。私たちの固執した印象に新しい風を吹かそうという真剣な母国愛と、情熱。話を聞きながら、あぁこんな素敵な人が営むお店だから、銀座で働く方の憩いの場となり、カレー通の心を掴み、愛されているのだと私の中ですとんと腑に落ちました。
この連載が始まり、記事をかき、回を重ねるたびにカレーの美味しさはもちろんなのですが、このお店の意思、背景、思いを私なりに皆さんに伝わっていると嬉しいなと思いながら書いてます。
好きな人の外見をただ眺めてるだけでも、なんとなく満たされるかもしれないけれど、その人の気持ちや、性格、考えてることを共有して一緒に過ごす方が
何倍も素敵で楽しいことだと思いませんか?
その過程、きっかけの一歩をそっと手助けできたら、私は嬉しいです。
日本人のお客さんに本当の南インドを知ってほしい。
そんなバンゲラさんの想いを代弁できたかなあ、、、。
今回も美味しいカレーと新しい出会いにご馳走さまとありがとう(^_^)
左からオーナーのバンゲラさん、ホールのクマールさん
 
Navigator&text:Rinko Murata
Photo:Kayo Sekiguchi
Edit:Miiki Sugita/Namiko Azuma(ASOBISYSTEM)
Design:Yuko Abe(ASOBISYSTEM)
 
バンゲラズキッチン
住所:中央区銀座西2-2 銀座インズ2 2F
電話番号:03ー3561ー5516
営業時間:11:00〜15:00(L.O14:45)/17:00〜23:00(L.O22:30)
出典:She magazine

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