[第44回]地球ゴージャス『ZEROTOPIA
』本番直前! 宮澤佐江に聞いた今の心
境と、地球ゴージャス愛を熱く語る

4/9に初日を迎える、地球ゴージャスプロデュース公演Vol.15『ZEROTOPIA』。本番直前の佐江ちゃんに今の心境を聞きました。公開稽古、2度目のWキャスト、地球ゴージャス愛について熱く話してくれました。

ーーさあ、佐江ちゃん。今回もよろしくお願いします。
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よろしくお願いします!
ーーさあ、さっそく初日を間近に控えた『ZEROTOPIA』のお話を今回もお聞きしていきましょう。
はい!
ーー聞くところによると、稽古場でのお稽古が、いよいよ終了したそうですね。
そうなんです。ちょうど昨日終わりました。(取材日は、4/2)
ーー稽古場といえば、3月初旬にあった『ZEROTOPIA』の公開稽古に、ミラチャイスタッフもお邪魔しました。
来ていただいたんですよね。ありがとうございます!
ーーあの日は、稽古場での会見のほか、劇中から4つの楽曲が披露されました。稽古場での記者会見は珍しいと思うのですが、佐江ちゃんとしては初めての経験ですか?
はい。稽古場会見って初めてでした。でも最近、作品によっては稽古場会見があるみたいです。
自分もそうなんですが、稽古場の様子ってすごく見てみたいと思うんです。
自分が舞台を「観る」側で、劇場でパンフレットを買ったりするときも、必ず、まずは後ろの方の、稽古場のオフショットから見るんです。DVDを買ったときも、まずはメイキングから見たりします。
だから、稽古場会見は、それぞれの役者さんのファンの方にとっても、きっと嬉しいことなんじゃないかなぁって思うんです。
先日は、私たちも緊張することなく、「いつもの稽古姿を見せるべきだよね」って、公開稽古に臨みました。衣装やヘアメイクをかっこよくキメずに、普段の稽古場風景を見ていただけたと思います。
ーー作り手側としては作っている過程を観せるって、どんな感じなんでしょう。
一部分とはいえ、先に見せてしまって、ちょっともったいないなあ、という気持ちもあったりします。
それで満足してしまう人もいると思うし。でも、それとは逆に、ますます興味をもって「もっと他の部分も観たい」って、思ってくれる人もいてくれると思っています。
本番では間違いなく、ブラッシュアップされて、もっとすごいものになっていると思います。衣装やヘアメイクがついて、セットや照明もあって。まさに「ゴージャス!」になると思います(笑)
ーーお稽古が終わったとなると、いよいよ次は会場入りですね?
よみがえる「赤坂ACTシアター」の思い出
はい。数日後には、赤坂ACTシアターで舞台稽古が始まります。
やっぱり、稽古場で、稽古着を着て稽古しているときと、実際の舞台で、衣装を着て、ヘアメイクをしてリハーサルするときとでは、現場の空気感も全然違います。
でも、実際の舞台での稽古は、私たちキャストのためというより、スタッフの方々のための稽古だったりするんです。なので稽古場での稽古中に、エンタメの部分をどれだけ固められるか、というのもとっても大事なことなんです。
これから数日のお休みをはさんで、私たちキャストが会場入りしてスタッフさん方と合流して。稽古場にはなかったセットでお稽古をして、その3日後にはゲネプロ(※最終リハーサル、 通し稽古のこと)、その翌日には、初日(4/9)を迎えるという感じです。
劇場入りして、自分でどう感じるか、まだ想像つかないな。どう思うんだろう。。 個人的に最初から大好きな劇場だったから。
ーー赤坂ACTシアターといえば、前回の『クザリアーナの翼』のときは、関東に大雪が降りましたね。
あった、あった!! 4年前ですよね。大雪! 劇場に来られない人や、帰れない人もいっぱいいて。今でも、「『クザリアーナの翼』のときは、いろんなことがあったよね」って話をします。
雪が降って、お客さんが来られなくて、2階席がガラガラに空いていて。開演時間も5分くらい遅らせて、でも、それ以上遅らせるわけにもいかなくて。。
キャストも、雪の影響で劇場入りが遅れるかもしれないから、いつもより3、4時間も早めに家を出たのに、結局、到着するまでしっかり3時間くらいかかっちゃって。
ーーその日のこと、以前のミラチャイでも話してくれましたよね。(第97回)
そうそう! 私は、いつも車で通っていた道を、雪で車が故障してしまったので、劇場まで電車で行ったんです。幸い電車は動いていたし、赤坂ACTシアターは駅から近いので、遅れずにすんだんですが…。
駅まで歩いたから、服はもちろん下着までビチョビチョになっちゃって。その日は、ちょうどママが観劇に来る予定の日だったので、着替えも持ってきてもらいました(笑)
ーーその赤坂ACTシアターも2度目、地球ゴージャスに出演するのも2度目。
??
ーーなので今回は、2度目つながりで、昨年の『王家の紋章』に続き、2度目となるWキャストについても、聞いてみたいと思ってるんです。
はい!
ーーもちろん、前回とは役柄も違うので、比べるのは難しいと思います。ですが、同じ役柄をやっている人がもうひとりいるというのは、やりやすい部分もあれば、難しいところもあると思うんです。実際のところどうなんでしょうか。
花澤香菜ちゃんとのWキャスト
人によっては、Wキャストが苦手な人もいると思います。作品によって作り方も違うと思うし。
わかりやすく、前回の『王家の紋章』で説明すると、例えば、新妻聖子さんと宮野真守さん、平方元基さんと佐江といった、固定した組み合わせしかないWキャストでお芝居を作るのなら、お稽古はよりスムーズだと思うんです。
でも、Wキャストが2組いて、ペアを固定しないとき、「こっちの人とも稽古しておいた方がいいよね」となって、お稽古にもすごく時間が必要になるんです。
現場によっては、ひとつのペアを完成させた後、別のペアを作っていくところもあると思うんです。
でも今回は、私がやる「サンディー」だけが、花澤香菜ちゃんとWキャストです。うーん、そうだなぁ…、前回の『王家の紋章』のときに感じて、今回も同じように感じていることは、
同じ役だけど、まったく違うものを観せられるから、Wキャストって面白くて、Wキャストだからといって、まったく同じものにする必要はないということ。
でも現場によっては、例えば、海外なら、Wキャストどころか、トリプルキャスト、クワトロキャストもあったりします。台詞の言い回し、間(ま)、動き、歌い方、感情の持ち方、すべて決まったものしかやれないこともあるかもしれない。
だけど、ありがたいことに、今まで自分が経験してきたWキャストは、それぞれの個性を出して、臨ませていただけました。今回も、
「佐江ちゃんは佐江ちゃん、香菜ちゃんは香菜ちゃん。全然違うサンディーがいて、楽しい」
って。(岸谷)五朗さんからや、他のキャストさんからも言っていただけました。
あと、人に言っていただいて、自分もそうだなと感じているのは、花澤香菜ちゃんのサンディーは、ありのままの香菜ちゃんがサンディーとして生きて、舞台に立っているという感じで。
私のサンディーは、サンディーという役を演じているという感じなんです。
実際の自分っぽくはない役ですし、テクニックを使って観せなきゃいけないな、というのは、稽古に入る前から感じていました。
以前、初めて地球ゴージャスに出たときに、寺(脇康文)さんが、いろんなところで言ってくれたことがあって。
「右も左もわからない感覚のまま、ありのままの佐江ちゃんで役と向き合う姿。その姿を、僕たちは二度と出すことはできない。初めての舞台でしか出せない初々しさがある」
って。当時はそう言われても「あ…、そうなんですか(汗)」という感じでしかわからなかったんです。
だけど今回、香菜ちゃんは、舞台に立つのは約10年ぶりで、こういう大きい舞台に演劇で立つのも初めてだそうで。そういう香菜ちゃんを見ていると、寺さんが、あのとき私に言ってくれていた言葉の意味がすごくよくわかるんです。
それは、まっけん(新田真剣佑)を見ていても思います。右も左もわからない状態で、役に体当たりでぶつかっていく感じ。これは確かに、もう、私には出せなくなってしまっているなって、すごく感じました。
ーーそれは、自分が成長したなと誇らしく感じるのか、それともちょっと淋しく感じるのか、どちらなんでしょう。
ゴージャス初のWキャストに感慨
淋しいというのはないです。成長したし、経験を積めたんだって。今回、思いました。
去年、立て続けに4作品に出させていただいて、舞台だけで1年を過ごしたことが自分の中ですごく大きくて。そこで経験して得たことの全部が、今回の『ZEROTOPIA』に生かされてるなって感じてます。
ーーどれも貴重な経験ばかりですね。
そうですね。
でも、Wキャストなので、初日の幕が上がると、香菜ちゃんには、なかなか会えなくなってしまうんです。
昨日の最終稽古で、ふたりして涙が流れそうになるのをこらえて、抱きしめ合いました。本当、香菜ちゃんのこと考えると涙が出てきそうになる…。
あと、地球ゴージャスが25年間で、15作品をやってきて、Wキャストでの配役は初めてのことなんです。これまでもやってみたいと思っていたけれど、なかなか実現できずにいたそうなんです。
そんななかで、今回はWキャストをやりたいということで、地球ゴージャスに1度だけ出演した経験のある私に、改めて声をかけてくださって。
『クザリアーナの翼』でコルリ役をやったとき、私自身はまったく覚えていないんです…、だけど、地球ゴージャスのおふたりに、そう思っていただける何かを残せていなかったら、今回私に声をかけてくれていなかったと思うんです。
そこは、自信を持ってもいいところなのかなって、思ってます。
ーー地球ゴージャス初のWキャストなんですね。それは誇らしいことですね。信頼感がないと、なかなか任せられないものかもしれませんね。
その喜びもあります。信頼…、こんな私を信頼してくれるの!? って、思ってしまいます(汗)。でも、チャレンジでもあり、プレッシャーでもあり、恩返しもしたいし、成長した姿も見せたいし、きれいに終わらせたくないなというか。
人間性の物語をちゃんと作って、役として作品のなかに生きたいと思っています。
ーー岸谷さんから頼られていますね。
まだまだ経験の浅い、私が言えることではないんですが、今回、五朗さんがすごく、メインキャストといわれている方々に頼ってくれているのを、私もすごく感じています。
そのなかの一員になれていることがすごく幸せだと思います。
ーー自分が信頼している人から、信頼されるのは嬉しいことですよね。
心を見てくれる人たち
本当にそう思います。これまでなかったことです。同世代で刺激し合って、「がんばっていこうな!」って、肩を組んで言える熱い仲間はいっぱいいたし、これからも出会えると思うんです。
でも、こんなにも大ベテランの方に信頼していただけて、
「わかりました。絶対、いい作品にします」
って、そういう言葉を交わせる人たちがいてくれるって、本当に幸せだなって思います。
ーー今回の作品に取り組んでいる佐江ちゃんは、「苦しい」とか「壁を超える」とか、そういう感じとは違いますね。
今回は、自分の「壁」を超えるというより、この作品をお客さまにお観せするために、どうすればもっと作品がよく見えるかを考えています。
それは、自分自身が地球ゴージャスのファンで、地球ゴージャスを大好きだからこそだと思うんです。それぞれのキャストの人たちが、ひとりずつそう思っているんです。
ーー岸谷さん、寺脇さん、本当に素敵な方なんですね。佐江ちゃんの言葉から感じることができます。
心を見てくれる人たちだからだと思うんです。おふたりの、表面だけじゃない感じがすごく好きです。
今回の作品のオーディションに受かったキャストの方々は、もちろんパフォーマンスがすごくて、地球ゴージャスの今回の作品を盛り上げてもらいたい、という方ばかりだと思うんです。
でも、それだけじゃなくて、熱い思いや、きれいな心をもっていなきゃ、キャストに選ばれていなかったと思うんです。本当に皆、1人ひとりが最高なんです。
キャストの皆が、五朗さんと寺さんをすっごく好きだと思う。私と同じくらい!
ーー前回、岸谷さんと寺脇さんは、佐江ちゃんにとって「恩師」と言ってましたよね(第42回)。キャストの皆さんは、佐江ちゃんにとってどんな存在ですか?
新しい愛情を教えてくれた
地球ゴージャス大好き仲間! ただの仲間じゃない。本当に、五朗さんと、寺さんのことが大好きな仲間たち。そのひと言があるか、ないかだけで違うと思います!
ーー佐江ちゃんが、48グループから一歩外に出て、最初に経験した舞台が、地球ゴージャスで、本当によかったですね。
はい、本当にそう思います!
いろんなところで言っていることだけど、家族に対する愛、恋人へのLOVE、友達へのLOVEでもLIKEでもない。新しい愛情を教えてくれたのがおふたりだった。
その愛は、五朗さんや寺さんに出会う前にも、たくさんもらっていて、ただ、見過ごしてしまっていただけなのかもしれない。でも「愛情」って、「気づかなきゃ、意味がない」とも思うんです。
新しく出会った人と友人になるときも、私の基準は「愛」になっちゃってる。その愛は「LOVE」じゃなくて、この人に愛をもって、ちゃんと接することができるかな? 愛をもって、厳しいこともちゃんと言えるかな、とか。
一方的に愛を渡すだけじゃなくて、ギブ・アンド・テイクで、この人も愛を返してくれるのかなって、友だちを見ちゃったりしてます。
だから、私は男の子の友人が多いのかも。男の子の方が、女の子より素直で、友だちから愛をもらったら、ポーンと素直に、シンプルに、愛を返してくれるから。それがストレートで、心地いいんです。
女の子は、例えば、私みたいに素直じゃなくて、「この人は、愛を返してくれるのかなぁ」とか、いろいろ考えちゃってストレートじゃなくなっちゃうから(笑)
でも今回の地球ゴージャスでは、女の子と仲良くなる率がすごく高いんです。
女の子の同世代が多くて、「この子らオモロい!! 」って、思える子たちがたくさんいるんです。いつもなら男の子と仲良くなりがちな私なんですが(笑)
ーー(笑)。さあ、そんな素敵な方たちと、数日後に初日を迎える佐江ちゃん。最後になりましたが、初日に臨む意気込みを、改めてお願いできますか?
「宮澤佐江」は存在しない?
はい! まず、先日、ちょうど3/11にSNSで発信したことなんですが、どうしようもない、どこにもぶつけようのない怒りとか、悔しい気持ち、悲しい気持ち、人によっては、憎しみもあるかもしれない。
自然による災害で、どこに悲しみをぶつけたらいいかわからない、そういう気持ち。そんな、どこにぶつけていいかわからない感情を、エンタテインメントで表現しているのが今回の作品なんです。
地球ゴージャスがすごいと思うのは、そんな感情をいかにハッピーなエンタテインメントとして観せられるかを考えているところだと思うんです。
だからといって、心に何かを抱えている人ばかりに観に来てくださいと言うのではなくて。もちろん、今、すっごく幸せっていう人にも、観に来てほしいと思ってます。
いろんな感情を抱えた人が観て、観た人によって違うメッセージを受け止めることができる、そんな作品だと思います。
皆が心に秘めて、どこにぶつけたらいいかわからない感情を、皆の代わりに私たちが作品で表現できたらいいなって、すごく思っています。
上演時間の3時間で、今、心に抱えていることが、一瞬だけでも忘れられる時間を、皆さんへ与えられたらいいなって思っています。
…、というのが、一般の人へ向けた意気込みで。
ファンの人に向けては、自分で言うのも変だけど、”宮澤佐江は存在しない”と思います。今までも言ってきたけど、今まで以上に役として演じていると思うから。
あと、ゴージャスならではのダンスや振り付けのシーンも、もちろんありますが、今回は、振り付けの表現も、役として生きることを、これまでで一番、意識しています。
だから、「ここ、ここ。ダンスで佐江ちゃんの好きな仕草」っていうのは、1秒もないと思います。
あー、でも唯一、あそこだけ、宮澤佐江がでそう。でも、ダメ、ダメ、ダメ、ダメ〜。
ーー宮澤佐江を「封印」してください(笑)
「封印」?
でも、すごく期待して観てほしいなって思います。あと、真剣佑のキレイさに見とれないでねーって、書いておいてくださいね!
ーーはい(笑)
真剣佑と同じシーンに佐江が出てるとき、「真剣佑がキレイ過ぎて、佐江ちゃん観てなかったー」っていうことに、くれぐれもならないように、お願いいたします(笑)。まっけん、本当に、彫刻のようにキレイな美少年だから。
ーーはい、劇場で、そちらも一緒に確認したいと思います! 今回もたくさんのお話ありがとうございました! 次回もよろしくお願いします!
はい、ありがとうございました! 4/9に『ZEROTOPIA』の幕が上がります。もちろん、出せる力は出し切って稽古は終えたけど、初日までに、さらにブラッシュアップされていくと思います。
エンタテインメントとして観せる楽曲はもちろんのこと、皆が本当にかっこいい! 次回も引き続き『ZEROTOPIA』のお話です。次回もどうぞお楽しみに!
撮影:増田慶、市川雅仁(稽古場会見) スタイリング: 藤井エヴィ ヘア&メイク:伊藤遥香

ウレぴあ総研

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