【インタビュー】エスケイプ・ザ・フ
ェイト「納得がいかないことにはNO!

US/ネバダ州ラスベガス出身のメタル/ポストハードコアバンド、エスケイプ・ザ・フェイトがニュー・アルバム『 I Am Human』をリリースした。デビュー当初から爆発的な人気を誇ったアメリカ本国のみならず、その人気はワールド・ワイドに発展し、ヨーロッパ各国から東南アジア、オーストラリアを含むオセアニアから日本まで様々な国でツアーを行い、自らの音楽を世界に向けて拡散してきたバンドだ。
一方で、初代ヴォーカリストの不祥事による脱退を皮切りに、メンバーの度重なる脱退・加入にも巻き込まれた。更にはマネージメントの消失、レーベルの移籍など困難な話題も続いたものの、ここ数年はバンドまわりの状況も大きく好転し、その勢いは再び加速をみせている。今回はボーカリストのクレイグ・マビットに、アルバムの制作秘話やバンドの現在について語ってもらった。


──『I Am Human』は、2年ぶりとなる作品ですね。
クレイグ・マビット:そうなんだ。『Hate Me』のリリース以前はメンバーの急な脱退やレーベルの移動もあったし、急にマネージメントを失うこともあって、かなりタフな期間を過ごした。でも2年前に『Hate Me』という作品を作り上げることによって、メンバー同士の絆が深まっていった。そこからバンドとしても良い方向に向かって進んでいくことができ、とても良い状態で今回の作品に取り掛かることができたんだよ。
──コンスタントに作品のリリースを重ねられていますが、今作の制作期間はどのくらいかかったのでしょうか。
クレイグ・マビット:バンドとして初めて7ヶ月という長い期間をかけたよ。
──なぜ、制作期間が長くなったのですか?
クレイグ・マビット:以前は時間が足りなくて、レーベルかマネージメントに言われるがままにアルバムを完成させて、リリースから即ツアーという過密スケジュールになってしまうことが多かった。その中には、自分たちが納得いっていないものもある。だけど今回は、自分たちがしっかりと納得して、聴いてくれる人たちが愛してくれるような内容にしたかったんだ。どんなに時間がかかったとしても、自分たちの納得がいかないことに関してはNOと言い続けて、本当に作りたいものを掘り下げていったんだ。
──前作『Hate Me』と同様、グラミー受賞も経験のあるベテランプロデューサーHoward Bensonをプロデューサーに迎えていますね。
クレイグ・マビット:今回は自分たちが作りやすい環境を整えて、その中でアルバムを作り上げていきたいという意識があった。新しいプロデューサーを迎え入れて、お互いを最初から理解していくプロセスを踏むよりも、リラックスした環境で意見をぶつけ合う方が、新たなものが生まれていくだろうと思ったからね。Howardは実力もスキルもあるし、前作で一緒に仕事をした経験もあるから、適任者だったんだ。
──サビが清々しく突き抜ける「Broken Heart」や哀愁漂うツインギターのリフが心地よい「Four Letter Word」のような楽曲もあれば、パンキッシュな印象の「I Will Make It Up To You」、爽やかなアコースティック調の「If Only」など、サウンド面でもバラエティ豊かですね。
クレイグ・マビット:アルバムにコンセプトを持たせていなかった分、どんなシチュエーションでも、どんな感情でいるときも、しっかりと入り込んでいくことのできるアルバムにしたかった。楽曲に幅をもたせて、あらゆる状況下においても最高と言えるアルバムにしたつもりだよ。
──歌詞制作についてはいかがでしたか?
クレイグ・マビット:歌詞については、スムーズにいく部分もあるけど苦労することも多いんだ。というのも、自分が「これは良いな」と思ったとしても、他のメンバーに見せた時に「この単語が気に食わない」とか「この言葉をどうしても使いたくない」という意見が出ることが多々あるからね。そういった状況になったら、せっかく出来上がったものも、1から作り直さないといけないこともある。響きがしっくりこないと言われたら、同じ言葉でも違う発音で歌ってみたり、試行錯誤を重ねるよ。
──『I Am Human』のラスト・トラック「Let Me Be」は、前作『Hate Me』のラスト・トラックにもなっていましたね。
クレイグ・マビット:「Let Me Be」はロバートが作った曲で、彼の想いが籠もった楽曲なんだ。今回、ロバートから「アルバムに入れたい」と提案があったことで、確かにキャッチーで良い曲であること、そして、ファンのみんなの間でウェディング・ソングになっているという理由から、今作にも収録してみようということになった。
──それは素敵ですね。
クレイグ・マビット:左手の薬指に、この曲のタトゥーを入れてくれたファンとも会ったことがある。こんなに愛されている曲ならば、『I Am Human』というアルバムの締めくくりにもふさわしいと思ってね。
──エスケイプ・ザ・フェイトはデビュー以降止まることなく常に綿密なスケジュールでツアーを続けていますが、振り返ってみるといかがですか?
クレイグ・マビット:ツアー生活が始まってから既に12年の月日が経とうとしている。これまで得たものは自分にとって本当に貴重なものなんだ。俺自身を作り上げているし、結果としてこの経験が作品となっているからね。
──ここ最近は、様々な国へ赴いてショーを行なっていますね。
クレイグ・マビット:今では東南アジアとか自分たちが一度も足を踏み入れたことのない土地でライヴをやることがある。南米に行くと、ファンのみんなの熱量が凄まじすぎて、自分たちが世界で一番人気のバンドであるように感じることもあるよ(笑)。ヨーロッパやイギリスは、第二の故郷のような感覚になる。
──行きたい場所や印象に残った会場などはありますか?
クレイグ・マビット:それはもちろん日本だよ。俺は『ファイナルファンタジーVII』にハマってしまって、もともと日本に大きな興味を持っていた。初めて日本に行った時は、ゲームの中に入り込んだような感覚になって本当に感動した。ゲームセンターにも行って、みんなが『ストリートファイター』をすごく上手にプレイしているのを見て「日本って本当に最高じゃないか!」と噛み締めたよ(笑)。
──日本のファンに向けて、メッセージをお願いできますか?
クレイグ・マビット:みんないつもサポートしてくれてありがとう。早く日本へ戻ってショーを開き、みんなと良い時間を共有したいとずっと考えているんだ。2014年にGlamour Of The Killというバンドとのヨーロッパ・ツアーがあったんだけど、彼らが急にいくつかのライヴをキャンセルした。理由を聞くと「どうしても日本に行ってショウをやりたいから」というものだった。なんて羨ましいんだと思ったよ。彼らのように一刻でも早く日本へ戻るために、友達や周りに「Escape The Fateが見たいんだ!」と訴え続けてくれ。日本のみんな、愛してるよ。
取材・文:Leyna

エスケイプ・ザ・フェイト『アイ・アム
・ヒューマン』

2018年3月30日 世界同時発売

【通常盤CD】 ¥2,300+税

※日本語解説書封入/歌詞対訳付き

1.ビューティフリー・トラジック

2.ブロークン・ハート

3.フォー・レター・ワード

4.アイ・ウィル・メイク・イット・アップ・トゥ・ユー

5.ブリード・フォー・ミー

6.ドゥー・ユー・ラヴ・ミー

7.アイ・アム・ヒューマン

8.イフ・オンリー

9.エンパイア

10.レシピ・フォー・ディザスター

11.ライオット

12.ディギング・マイ・オウン・グレイヴ

13.レジスタンス

14.レット・ミー・ビー
【メンバー】

クレイグ・マビット(ヴォーカル)

ケヴィン “スラッシャー” ガルフト(ギター)

TJ ベル(ギター)

ロバート・オーティス(ドラムス)

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