2018/02/22 18:00

2018/02/22 18:00

絵画と音楽が映し出す、香取慎吾の“
秘めた内面”とは?『クソ野郎と美し
き世界』を現場&コメントから読み解
く:Vol.2

『クソ野郎と美しき世界』で見せる、3人の新たな姿とは? 香取慎吾編をお届け!

SMAP稲垣吾郎、香取慎吾、草なぎ剛がトリプル出演する話題の映画『クソ野郎と美しき世界』。本作は、3人がそれぞれに出演する3つのエピソードと、全員が一堂に会する最終エピソードからなるオムニバス・ムービー。
この記事の完全版を見る【動画・画像付き】
3人の持ち味と魅力が気鋭のクリエイターや映画監督によってどんな形で開花するのか? ファンはやっぱりそれが気になる。そこでここでは特にそこにスポットを当てて、撮影現場の模様や彼らと監督、共演者のコメントを紹介していこう。
映っているのは、ほぼ普段の僕のまま(香取)香取慎吾が出演するepisode2『慎吾ちゃんと歌喰いの巻』は、歌を食べて生きる謎の少女“歌喰い”と彼女に歌を食べられて唄えなくなったアーティスト=“香取慎吾”との不思議な関係をリアルとファンタジーの絶妙なバランスで描く一編。
監督・脚本の山内ケンジは元CMディレクターで、15年の舞台『トロワグロ』では第59回岸田國士戯曲賞を受賞、映画『友だちのパパが好き』(15)、『At the terrace テラスにて』(16)などでも注目を集めた異才だが、17年前の『Smap Short Films』の中の一編『治療』でもタッグを組んだ香取が主演とあって、「僕が脚本に落とし込むときに、主人公を香取慎吾本人にして、絵を描いているという設定を加えました」と独自のこだわりを強調する。
香取慎吾が香取慎吾を演じる。ファンにとってそんな嬉しいことはないし、香取も「『治療』のときだって“慎吾ちゃん”役だったから、今回“香取慎吾”役と聞いても驚かなかった。それに何もしなくていいから、すごく楽ですね。自室のセットには僕が描いた絵が飾ってあるし、映っているのはほぼ普段の僕のままなので、それはありがたかった」と笑顔を見せる。
香取が公私にわたってたくさんの絵を描いていることはファンなら周知の通りだが、本作では山内監督たっての希望で、香取がこれまでに描き溜めた実際の絵画が“香取慎吾”の自室のシーンの壁や棚に飾られ、その中には彼がよく描いているという“黒うさぎ”の絵もあったりするのだ。
自分の絵を見返して、気づいたこと
自分の絵を見返してみて、気づいたこと「『絵を貸して欲しい』と言ったら最初は断られるかなと思っていたんですけど、快く了承してくれて、倉庫のようなアトリエに呼んでいただいたんです。でも、巨大なものから小さなものまで数えきれないぐらい膨大な量の絵があったからなかなか選びきれなくて」
と、絵をセレクトした山内監督は語る。「それでサイズごとにいいなと思うものを選んで、なるべくたくさん飾るようにしました」
香取もセット内の自分の絵を眺めながら、感慨深げだ。
「自分の絵をじっくり見ることはないんですけど、今回、撮影中に一個一個の絵を見ると、こんなところにこんなものが描いてあるとか、この絵はヤバそう、精神状態がよくないときに描いたんだろうなというのか分かって。10年ぐらい前のものから最近の絵まで入り乱れていますしね」
ただ、よく見てみると、どの絵にも署名はない。そこにも香取のこだわりがあって、「名前や描いた日にちは裏に書いてます。表に書くのはあまり好きじゃなくて」ときっぱり言い切る。
ちなみに、本作のちょっと変わったヒロイン“歌喰い”を体現した12歳の注目のモデル・中島セナちゃんも絵が描くのが好きなようで、香取が「ここに飾ってある僕の絵の中でいちばん好きなのはどれ?」と聞くと、少し考えてから1枚の絵を指で示し、「えっ、あの魚みたいなのが描いてある奴? へ~そうなんだ」と作者を無邪気な笑顔にさせていたのが印象的だった。
でも、けっこう長い期間唄ってなくて(香取)香取慎吾の香取慎吾らしさを引き出す本作の重要なファクターは“絵画”だけではない。
SMAPのメンバーとして25年に渡って数々の名曲、ヒット曲を唄い続けてきた彼と“歌”とは決して切り離すことはできない。なのに、本作では香取慎吾が“歌喰い”に歌を食べられて、唄いたくても唄えなくなるという、実際の香取の現在の状況を表すような皮肉な展開が用意されている。
けれど、本人はいたって冷静だ。「“歌喰い”という妖怪みたいなものは昔からいそうな気がするし、“歌喰い”に歌を喰われると唄えなくなるというのは初めて知る感覚ではないので、面白いです」。それが香取の感想。
「以前、三谷幸喜さんのミュージカル『TALK LIKE SINGING』(10)で歌しか唄えない役をやったこともあるし。そのときは、すべての会話が歌になっちゃう主人公が最後に歌を奪われて喋れるようになる内容だったけれど、今回は歌を奪われて唄えなくなってしまう展開なので、自分には歌や音楽がついて回るものなのかもしれないですね(笑)」
そう言いながらも、「でも、けっこう長い期間唄ってなくて」と振り返る。
「絵画と音楽」が香取にもたらすもの
絵画と音楽、それぞれが香取にもたらすもの「昨年11月の『72時間ホンネテレビ』では唄ったけれど、あのときは半分意識がない状態で必死に唄っていたから、気持ちよく唄い上げるみたいなことはずっとやってないです」。そう言葉にした後で「唄いたくなること? あります、あります」と続けた。
「本作のepisode4で久しぶりに唄うのかな? いや、僕もまだ本当に何も知らないんですけど、“歌喰い”に歌を食べられるアーティストのミュージカルだったら、唄うしかないじゃないですか?(笑)」
さらに、香取は今回の役柄と重ねて自身と歌や音楽との関係について語り始めた。
「僕自身も最近、歌を奪われてしまったと言うか、同じような感覚があったんです。そう言えば、しばらく音楽を聴いてないなと思って、久しぶりに聴いてみたら、気分が晴れやかになったんです。それは、絵を描いているときと同じ感覚ですね。
僕の場合は絵に自分の心情が映し出されちゃうところがあるんですけど、音楽も気分がいいから聴こうではなく、無意識のうちにヘッドホンを出して聴いていて、聴きながら“俺、いま、すごく調子がいいんだな~”って気づく感じなんです。
逆に、さっきも言ったように、一時期は“あれ? もう何ヶ月も音楽を聴いてない”という状態だったんですけど、最近はわりと聴いてますね。ぼくのりりっくのぼうよみ、あの人の曲をよく聴いています」
絵画と音楽。本人も強調するように、大好きなそのふたつの表現には、香取慎吾の生々しい感情と感性が自然に滲み出てしまうのかも。そこにポイントを置いた『慎吾ちゃんと歌喰いの巻』では、新たなスタートをきった彼の決意や現在の心境が炙り出されるに違いない。

ウレぴあ総研

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着