高畑淳子の圧巻の演技!『土佐堀川
近代ニッポン―女性を花咲かせた女
広岡浅子の生涯』ゲネプロレポート

NHK連続テレビ小説『あさが来た』の原案となった『小説 土佐堀川』を舞台化した『土佐堀川 近代ニッポン−女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯』が2017年10月4日、日比谷・シアタークリエで開幕。開幕前の3日、最終総通し稽古=ゲネプロが行われた。写真とともにその様子をお伝えする。
『土佐堀川 近代ニッポン―女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯』のゲネプロの様子
『土佐堀川 近代ニッポン―女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯』のゲネプロの様子
『土佐堀川 近代ニッポン―女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯』のゲネプロの様子
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何と言っても、主演の高畑淳子がいい。激動の時代を生き抜き、様々な苦難を乗り越えた女実業家・広岡浅子の波乱万丈の人生をダイナミックに演じきっていた。17歳から亡くなる69歳までという年齢幅がとてつもなく広い役だが、どの年代でも強くたくましく生きた浅子らしさを丹念に表現。高畑の途切れることのない集中力と、役に没頭する姿を見て、この舞台への覚悟を感じた。特にラストシーンで、万歳をしながらゆっくりとゆっくりと逝く様が、この上なく美しく、感動させられた。
『土佐堀川 近代ニッポン―女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯』のゲネプロの様子
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浅子という女傑を主軸に据えた脚本も見やすくていい。もちろん高畑の演技力も相まってのことだが、浅子という人物の言葉一つ一つ、セリフ一つ一つが説得力と実感を持っていた。具体的でいてシンプルな構成と演出は好感がもてた。高畑が一番気に入っているセリフとして挙げた「聴くことを多くし、語ることを少なく、行うことに力を注ぐべし」や、テーマ的なセリフである「うちは九つ転び十起きやと思います」などは、思い出すだけで胸に刺さる。
『土佐堀川 近代ニッポン―女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯』のゲネプロの様子
『土佐堀川 近代ニッポン―女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯』のゲネプロの様子
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教訓めいた台詞が随所に散りばめられながらも、全体的に芝居は重くなりすぎない。場面転換の度に流れる、ポップで軽妙な音楽の効果もあるだろうが、合間合間に挟まれる"笑い"の要素が大きいだろう。特に、浅子の舅である正饒を演じる小松政夫は一瞬で場を和ませる魅力がある。日本喜劇人協会の会長らしく(?)、喜劇人として舞台を盛り上げる。お笑いコンビ「カラテカ」の矢部太郎も体当たりな演技で、笑いを誘っていた。
『土佐堀川 近代ニッポン―女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯』のゲネプロの様子
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浅子の夫・信五郎を演じる赤井英和、浅子のビジネスパートナーとなる正秋役の田山涼成、浅子の娘・亀子役の三倉茉奈、女中・小藤役の南野陽子、大隈重信の妻・綾子を演じる紫ともら豪華なキャスト陣の演技にも注目だ。なお、個人的には連続テレビ小説の影響で「五代ロス」になっている皆様に「シアタークリエに行けば五代様にお会い出来ますよ」と伝えたい。端正な顔立ちの葛山信吾が演じる五代友厚と浅子が心の中にある原風景を語り合うシーンはとても印象深かった。
『土佐堀川 近代ニッポン―女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯』のゲネプロの様子
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『土佐堀川 近代ニッポン―女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯』のゲネプロの様子
『土佐堀川 近代ニッポン―女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯』のゲネプロの様子
1幕と2幕合わせて2時間半ほど(20分の休憩含む)。女優高畑淳子の圧巻の演技で、広岡浅子の波乱万丈な人生を一気に駆け巡る舞台。ぜひご覧いただきたい。
『土佐堀川 近代ニッポン―女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯』のゲネプロの様子
『土佐堀川 近代ニッポン―女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯』のゲネプロの様子
『土佐堀川 近代ニッポン―女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯』のゲネプロの様子
取材・文・撮影=五月女菜穂

公演情報

『土佐堀川 近代ニッポン―女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯』

■原作:古川智映子「小説 土佐堀川」(潮出版社 刊)
■脚本:小池倫代
■演出:田村孝裕
■出演:
高畑淳子、赤井英和、田山涼成、小松政夫、葛山信吾、南野陽子
芋洗坂係長、越智静香、武岡淳一、矢部太郎、篠田光亮、紫とも、三倉茉奈 ほか

■日程・会場:
10月 4日(水)~28日(土)シアタークリエ【東京】
11月 1日(水)~5日(日)サンケイホールブリーゼ【大阪】
11月 7日(火)新川文化ホール【富山】
11月15日(水)呉市文化ホール【広島】
11月17日(金)東海市芸術劇場 大ホール【愛知】
11月20日(月)宝山ホール(鹿児島県文化センター)【鹿児島】
11月23日(木・祝)北九州芸術劇場 大ホール【福岡】
12月 2日(土)トークネットホール仙台(仙台市民会館)【宮城】

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