大森靖子、30人限定の弾き語りライブ
を開催
&終演後にはインタビューも!
シンガーソングライターの大森靖子が、9月30日にYahoo! JAPAN 本社17階 LODGEスタジオで30人限定の弾き語りライブを開催した。9月27日に発売したアルバム『MUTEKI』に収録の新曲「流星ヘブン」のミュージックビデオを見て、GYAO!とYouTubeで配信された2パターンから間違い探しをして、全て正解した方から抽選で30名を招待したもの。大森のファンの中でもコア中のコアなファン30人が集結し、ライブ&生配信という、いつものライブとは少し違った雰囲気の中で大森は14曲+αを披露した。
配信が始まる少し前に、会場に登場した大森。拍手がわき起こりお客さんの間から「かわいい」と声が上がる。大森は「今日どうしてもやってほしい曲はある?」とリクエストを募り、お客さんから「音楽を捨てよ、そして音楽へ」や「東京秘めごと」などが挙がると、「やりましょう。OK、OK。じゃあ、最初はみんなで歌ってほしいんだけど良いかな」と、声をかけてライブ配信がスタートした。
1曲目はリクエスト通り「音楽を捨てよ、そして音楽へ」で、お客さんによる<音楽は魔法ではない>という合唱で始まった。この曲を1曲目からやるあたりは、さすが大森靖子といった感じだ。アコギをかき鳴らしながら、大森の歌声が観客の歌と重なり、大森の歌声は次第にパワフルさを増す。時には足を踏みならして、感情のままに歌っているといった雰囲気だ。続けて「TOKYO BLACK HOLE」では、一転して消え入りそうなほど小さな声で歌い、サビでは雄叫びのような声を響かせる。ギターもポロポロとつま弾くような雰囲気から荒々しい演奏まで、歌と一体化して多彩な表情を見せた。髪が顔にかかろうがおかまいなしで音楽に没頭する大森を、30人が食い入るように見つめた。
「こんばんは。昔はもっと狭い規模感で5年くらいやってたこともあったから、今日みたいなのは昔のライブハウス時代に近いイメージかな。今日は配信でライブすることの良いところを見てもらえるのが嬉しいです」と大森。会場にはどことなく緊張感が漂っていたが、それもまた大森のライブにとっては栄養素。続く「マジメになるとついチャカしたくなるところもあるけど、今日は楽しんでください」という言葉に、何かをやってくれそうな期待感が滲んだ。
音源ではバンドサウンドで収録している曲も、弾き語りで披露された。「みっくしゅじゅーちゅ」は音源ではポップでかわいらしさのあるロックサウンドだが、弾き語りになってもポップな雰囲気は変わらず。たまにシャウトしたりと、ライブならではのレアなバージョンで聴かせていた。神聖かまってちゃんのの子をフィーチャリングした「非国民的ヒーロー」のコーラス部分でもお客さんに「一緒に歌ってください」と言って、かけ合いを楽しんだ大森。曲の持つ楽しさや勢いはそのままに、より言葉が突き刺さるライブならでは演奏と歌を30人はじっくり楽しんだ。
ステージと客席の距離感は非常に近く、しかも大森は積極的にお客さんとコミュニケーションを取りにいく。配信が「流星ヘブン」のMV映像に切り替わった間は、「今日何か嫌なことがあった人いる?」「こんな大森靖子効果があったよ!とか、何かあった?」など、いろいろなことを質問する。お客さんも「リリイベで友だちができました」など答えていて、会場はなごやかな雰囲気。ライブ配信に戻って「呪いは水色」を歌った時は、客席に入っていってお客さんと指切りしたり、お客さんのひざの上に座って歌うなど仕掛けていった。ちょっとドギマギするお客さんの反応もむしろ嬉しそうで、お客さんのメガネを取って自分でかけたりとイタズラ放題で、そんな様子に客席からは笑いもこぼれた。
最後に「自分で自由を不自由にしないでほしい。あなた自身を美しくしてほしい。誰一人同じ人はいない、全然違う30人の個性がある。それは絶対に誰にも剥がされないのだから」とメッセージを伝えて、「マジックミラー」を歌った。語りかけるようなしっとりしとした歌から、徐々に高揚感がわき上がるようなメロディ。ちょっと涙ぐんでいるような様子のお客さんもいて、30人の観客は大森の言葉と歌声に心をグッと掴まれていた。
配信が終了した後もライブは続き、そこでは「さっちゃんのセクシーカレー」他、「歌謡曲」を歌おうとするも歌詞が浮かばず、「最初なんだっけ?」とお客さんに聞きながら思い出しているうちに、田村直美の「ゆずれない願い」の一節になってしまう場面も。会場に笑いと拍手が沸き起こる中、「今日はタダでしたけど、人生的に元を取れましたか?」と大森流で締めくくった。
ほぼノンストップで、最新アルバム『MUTEKI』収録曲以外も多数披露したライブ。アコギ1本の演奏と歌は、大森の感情が魂から溢れ出している雰囲気。それをこの至近距離で聴くとより生々しく、大森の背負う傷や痛みがそのまま伝わってくるようで、擦り傷がヒリヒリと痛むような感覚で胸を締め付けられた60分だった。このレアな経験をした30人にとっては、一生忘れられない一夜になっただろう。
終演後にちょっとしたインタビューの時間があったので、この日のライブについて聞いてみた。
ーーでは、まず今日の感想を。
「今日はお客さんが来てくださっての配信で。配信の時は家で見ている方に見やすいようにと映り方を意識するのですが、今日はそれを意識しつつ目の前にいるお客さんのことも意識しなければいけなくて。そういうことをやるのは今まで経験がほとんどなかったので、貴重な経験になりました。家でパソコンの画面を見てくださっている方にも、いつもとは違うライブ感を楽しんでいただけたと思います。あと縷縷夢兎の東佳苗さんがセットを飾って世界観を作ってくださったので、とても華やかで素敵な画面映りになっていたと思います」
ーー今日やった曲の選曲は、事前に考えていたのですか?
「いえ、何も考えてなくて。その場で、この曲の後にこの曲をやったら自分的にグッとくるな〜とか、その場の雰囲気を感じつつ、パッと思いついてやった曲もあるし。最近は自分の中で、「みっくしゅじゅーちゅ」の後に「非国民的ヒーロー」をやるのがハマってて。この流れをやるのは多いかもしれないです。今日は逆になっちゃったけど」
ーー「みっくしゅじゅーちゅ」とか、バンドサウンドの曲もアコギ1本でやっていて。
「弾き語りのライブはずっと続けていて。CD音源ではロック調やピコピコしたサウンドにアレンジされている曲でも、ファンの方から「この曲を弾き語りでやってほしい」という声をたくさんいただきます。そういう声に応えて実際にやってみると、意外にこの曲は上手く出来るじゃん!とか、この曲は弾き語りっぽいから出来そうと思っていたけど、やってみたら意外とそうでもなかったとか。いろいろな発見があって面白いです」
ーー今日は30人という規模感でしたが、そこはいかがでしたか?
「昔は5人とか10人とか、それこそ1人という時もあって。そんな時期が5年くらいあって。自分の経験としても、お客さんが少ない時のほうが難しくて緊張感もあると思っていたので、今日は30人全員を絶対に説得するというか、同じ気持ちになってもらうとか、ここは違うねというところを発見してもらうとか、そういう風になってもらおうと思っていました。それに弾き語りライブは頻繁にやっているので、そこで成長して来た曲をやることが多くて。だから、今日のライブも今までの全部の積み重ねかなって」
ーー今日、この30人に伝えたいと思っていたことは?
「最後のMCでも言いましたけど、マイノリティに成り下がらないでほしい、自分の個性がカッコ良いんだと思ってほしいということ。それは前からずっと思っていますけど、最近は特に強く思います。「カッコ良いよ」と、まずは私がみんなに言って。…何様だって感じですけど(笑)、私のファンにはまずは私が言ってあげたいし、お互いに言い合えるようになりたい。互いに「最高だよね」って。こういう話をすると私がマイノリティの味方をしていると言う人がいるけど、そう言われない、それが当たり前の世界になってほしい。
ーーまたこういう企画があったら?
「またいつでも!」
Photo by 萩原宏樹
Text by 榑林史章
配信が始まる少し前に、会場に登場した大森。拍手がわき起こりお客さんの間から「かわいい」と声が上がる。大森は「今日どうしてもやってほしい曲はある?」とリクエストを募り、お客さんから「音楽を捨てよ、そして音楽へ」や「東京秘めごと」などが挙がると、「やりましょう。OK、OK。じゃあ、最初はみんなで歌ってほしいんだけど良いかな」と、声をかけてライブ配信がスタートした。
1曲目はリクエスト通り「音楽を捨てよ、そして音楽へ」で、お客さんによる<音楽は魔法ではない>という合唱で始まった。この曲を1曲目からやるあたりは、さすが大森靖子といった感じだ。アコギをかき鳴らしながら、大森の歌声が観客の歌と重なり、大森の歌声は次第にパワフルさを増す。時には足を踏みならして、感情のままに歌っているといった雰囲気だ。続けて「TOKYO BLACK HOLE」では、一転して消え入りそうなほど小さな声で歌い、サビでは雄叫びのような声を響かせる。ギターもポロポロとつま弾くような雰囲気から荒々しい演奏まで、歌と一体化して多彩な表情を見せた。髪が顔にかかろうがおかまいなしで音楽に没頭する大森を、30人が食い入るように見つめた。
「こんばんは。昔はもっと狭い規模感で5年くらいやってたこともあったから、今日みたいなのは昔のライブハウス時代に近いイメージかな。今日は配信でライブすることの良いところを見てもらえるのが嬉しいです」と大森。会場にはどことなく緊張感が漂っていたが、それもまた大森のライブにとっては栄養素。続く「マジメになるとついチャカしたくなるところもあるけど、今日は楽しんでください」という言葉に、何かをやってくれそうな期待感が滲んだ。
音源ではバンドサウンドで収録している曲も、弾き語りで披露された。「みっくしゅじゅーちゅ」は音源ではポップでかわいらしさのあるロックサウンドだが、弾き語りになってもポップな雰囲気は変わらず。たまにシャウトしたりと、ライブならではのレアなバージョンで聴かせていた。神聖かまってちゃんのの子をフィーチャリングした「非国民的ヒーロー」のコーラス部分でもお客さんに「一緒に歌ってください」と言って、かけ合いを楽しんだ大森。曲の持つ楽しさや勢いはそのままに、より言葉が突き刺さるライブならでは演奏と歌を30人はじっくり楽しんだ。
ステージと客席の距離感は非常に近く、しかも大森は積極的にお客さんとコミュニケーションを取りにいく。配信が「流星ヘブン」のMV映像に切り替わった間は、「今日何か嫌なことがあった人いる?」「こんな大森靖子効果があったよ!とか、何かあった?」など、いろいろなことを質問する。お客さんも「リリイベで友だちができました」など答えていて、会場はなごやかな雰囲気。ライブ配信に戻って「呪いは水色」を歌った時は、客席に入っていってお客さんと指切りしたり、お客さんのひざの上に座って歌うなど仕掛けていった。ちょっとドギマギするお客さんの反応もむしろ嬉しそうで、お客さんのメガネを取って自分でかけたりとイタズラ放題で、そんな様子に客席からは笑いもこぼれた。
最後に「自分で自由を不自由にしないでほしい。あなた自身を美しくしてほしい。誰一人同じ人はいない、全然違う30人の個性がある。それは絶対に誰にも剥がされないのだから」とメッセージを伝えて、「マジックミラー」を歌った。語りかけるようなしっとりしとした歌から、徐々に高揚感がわき上がるようなメロディ。ちょっと涙ぐんでいるような様子のお客さんもいて、30人の観客は大森の言葉と歌声に心をグッと掴まれていた。
配信が終了した後もライブは続き、そこでは「さっちゃんのセクシーカレー」他、「歌謡曲」を歌おうとするも歌詞が浮かばず、「最初なんだっけ?」とお客さんに聞きながら思い出しているうちに、田村直美の「ゆずれない願い」の一節になってしまう場面も。会場に笑いと拍手が沸き起こる中、「今日はタダでしたけど、人生的に元を取れましたか?」と大森流で締めくくった。
ほぼノンストップで、最新アルバム『MUTEKI』収録曲以外も多数披露したライブ。アコギ1本の演奏と歌は、大森の感情が魂から溢れ出している雰囲気。それをこの至近距離で聴くとより生々しく、大森の背負う傷や痛みがそのまま伝わってくるようで、擦り傷がヒリヒリと痛むような感覚で胸を締め付けられた60分だった。このレアな経験をした30人にとっては、一生忘れられない一夜になっただろう。
終演後にちょっとしたインタビューの時間があったので、この日のライブについて聞いてみた。
ーーでは、まず今日の感想を。
「今日はお客さんが来てくださっての配信で。配信の時は家で見ている方に見やすいようにと映り方を意識するのですが、今日はそれを意識しつつ目の前にいるお客さんのことも意識しなければいけなくて。そういうことをやるのは今まで経験がほとんどなかったので、貴重な経験になりました。家でパソコンの画面を見てくださっている方にも、いつもとは違うライブ感を楽しんでいただけたと思います。あと縷縷夢兎の東佳苗さんがセットを飾って世界観を作ってくださったので、とても華やかで素敵な画面映りになっていたと思います」
ーー今日やった曲の選曲は、事前に考えていたのですか?
「いえ、何も考えてなくて。その場で、この曲の後にこの曲をやったら自分的にグッとくるな〜とか、その場の雰囲気を感じつつ、パッと思いついてやった曲もあるし。最近は自分の中で、「みっくしゅじゅーちゅ」の後に「非国民的ヒーロー」をやるのがハマってて。この流れをやるのは多いかもしれないです。今日は逆になっちゃったけど」
ーー「みっくしゅじゅーちゅ」とか、バンドサウンドの曲もアコギ1本でやっていて。
「弾き語りのライブはずっと続けていて。CD音源ではロック調やピコピコしたサウンドにアレンジされている曲でも、ファンの方から「この曲を弾き語りでやってほしい」という声をたくさんいただきます。そういう声に応えて実際にやってみると、意外にこの曲は上手く出来るじゃん!とか、この曲は弾き語りっぽいから出来そうと思っていたけど、やってみたら意外とそうでもなかったとか。いろいろな発見があって面白いです」
ーー今日は30人という規模感でしたが、そこはいかがでしたか?
「昔は5人とか10人とか、それこそ1人という時もあって。そんな時期が5年くらいあって。自分の経験としても、お客さんが少ない時のほうが難しくて緊張感もあると思っていたので、今日は30人全員を絶対に説得するというか、同じ気持ちになってもらうとか、ここは違うねというところを発見してもらうとか、そういう風になってもらおうと思っていました。それに弾き語りライブは頻繁にやっているので、そこで成長して来た曲をやることが多くて。だから、今日のライブも今までの全部の積み重ねかなって」
ーー今日、この30人に伝えたいと思っていたことは?
「最後のMCでも言いましたけど、マイノリティに成り下がらないでほしい、自分の個性がカッコ良いんだと思ってほしいということ。それは前からずっと思っていますけど、最近は特に強く思います。「カッコ良いよ」と、まずは私がみんなに言って。…何様だって感じですけど(笑)、私のファンにはまずは私が言ってあげたいし、お互いに言い合えるようになりたい。互いに「最高だよね」って。こういう話をすると私がマイノリティの味方をしていると言う人がいるけど、そう言われない、それが当たり前の世界になってほしい。
ーーまたこういう企画があったら?
「またいつでも!」
Photo by 萩原宏樹
Text by 榑林史章
【セットリスト】
音楽を捨てよ、そして音楽へ
TOKYO BLACK HOLE
みっくしゅじゅーちゅ
非国民的ヒーロー
ミッドナイト清純異性交遊
呪いは水色
オリオン座
君に届くな
あまい
東京秘めごと
少女漫画少年漫画
ハンドメイドホーム
アナログシンコペーション
マジックミラー
TOKYO BLACK HOLE
みっくしゅじゅーちゅ
非国民的ヒーロー
ミッドナイト清純異性交遊
呪いは水色
オリオン座
君に届くな
あまい
東京秘めごと
少女漫画少年漫画
ハンドメイドホーム
アナログシンコペーション
マジックミラー