【Lily.μ】季節を意識したアミュー
ズメントな作品
中学生時代からの夢が叶ったコラボ、親友への思いを綴ったピアノバラード、そしてキレのいいダンスチューンなど、多彩かつ可能性を体現した全10曲。心が躍る作品集だ。
取材:竹内美保
華やかで、幅の広さも濃さも兼ね備えた作品集ですね。
今回はコンセプトをひとつ立てて制作に取り組みたいな、と思ったんです。季節的なこともありますし、全曲踊れるくらいのアルバムにしたかったんですよね。それでEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)だったり、ドラムンベースを取り入れてみました。もちろん、私の根底にあるアコースティック寄りのポップスやロックのサウンドを生かした楽曲もありますから、とてもアミューズメント性があるアルバムにできたんじゃないかなと思います。
個性の強い楽曲が揃っていますけれど、それぞれの曲をご自分の声の色や質感にきれいに引き寄せていますよね。
声質的に音数が多くなればなるほど埋もれやすいと自分でも思うので、心に響きやすいニュアンスの付け方などはかなり意識しながら歌いました。プロデューサーのSTYさんも私の声の特徴を全部分かった上で、この声を生かしたディレクションをしてくださいましたし。自分の声の使い方に関してすごく勉強になったレコーディングでもありましたね。
EDMの「neon」はすごく面白かったです。このフックの効いたビートとLily.μさんの声を融合させたのはすごい!と。あと、「PARTNER」の男前な感じもカッコ良い。
「neon」は初めて聴いた時、私が歌ってカッコ良さが半減しないか心配でした。これは曲の精密さに対する声のディレクションが大きかったと思います。「PARTNER」は本当に可愛くしようと思えばもっと可愛くできるし、アイドルっぽくもできたんですけれど、“あえてロック色を強めにして歌いたい”とSTYさんにお話して、この歌い方にしました。
今作の最重要ポイントは、やはりSOUL’d OUTのDiggy-MO’ さんを迎えたリード曲の「SUMMER LOVE feat.Diggy-MO’ (SOUL’d OUT) 」ですね。
私がSOUL’d OUTさんがメジャーデビューする前からの大ファンだということが、このフィーチャリングが実現するきっかけだったんですけれど。ただ、“どうつながったの?”と思われるようなコラボレーションだと思うので、楽曲を含めてある意味実験的だとは感じていて。お互いの個性がうまく融合した、聴いて楽しいものに仕上がったと思います。
フィーチャリングってかけ合いみたいなものが多いですけど、この楽曲のDiggy-MO’さんは支えたり、背景を描き出す在り方をされているような臨場感もすごくありますし。
そうですね。私の歌詞だけでは足りない部分を補ってくださっているのはもちろん、景色、音、色などを綺麗に表現してくださっているので、とても深みのあるラテンナンバーになったかなって。“夏! 海! 解放的!”だけではない。
ちょっと泣けるというかグッとくる瞬間も。
ありがとうございます。解放的な季節で解放的な音楽なのに“涙を流せない強がり。芯の強さ”みたいな部分を表現しているところは、私の中で結構キーなんです。グッとくるようなものを出したいな、というのはすごくありましたね。
もう1曲、「嘘の「おめでとう」」もジーンときました。
この歌は私の一番大切な親友との関係がテーマになっているんです。すごく赤裸々ですけれど、本当に大切な人には誠実に気持ちを伝えたほうがいい、という思いが込めてあります。愛があるゆえの嘘だったり、誤摩化していたことも正直に真っ直ぐ伝えることで、むしろ愛がちゃんと伝わる…そういうことが聴いてくれる方に届くといいな、と思います。
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