退団が惜しまれる花組トップ娘役・花
乃まりあ これまでの活躍を振り返る

「トレタメ」編集部
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2017年2月5日をもって、宝塚歌劇を卒業する花組トップ娘役の花乃まりあさん。



早くから新人公演で抜擢され、さらなる飛躍が予感される中での花組への組替え。

蘭乃はなさんの後任として、2014年から、人気・実力を兼ね備えたトップスター・明日海りおさんの相手役を務めることになりました。

就任直後はファンからも不安の声も少なくありませんでしたが、作品を重ねるごとに、娘役としての魅力が増した花乃まりあさん。演じる役の幅も広く、「これからももっと明日海りお・花乃まりあの作品が見たい!」と思っていた矢先の卒業発表は、残念でなりません。

しかし、本人の決断ですから、笑顔で見送るのが宝塚ファンの運命。

今回は、花乃まりあさん退団特集として、これまでの活躍を振り返りたいと思います。

新人公演ヒロイン、バウヒロイン…早く
から抜擢された宙組時代

2010年に宙組に配属されると、2012年には研究科3年目ながら、「銀河英雄伝説」で新人公演ヒロインに初抜擢。

研3という若さ、初挑戦というプレッシャーの中、大役を見事に果たしました。ヒロインにふさわしい華やかな容姿と、落ち着いた台詞回し、透明感ある歌声は将来の大器の登場を予感させました。

その後も、「モンテ・クリスト伯」「風と共に去りぬ」と新人公演ヒロインを連続で射止め、存在感を発揮していきます。

宙組時代の花乃まりあさんと言えば、2013年のバウ公演「the WILD Meets the WILD」で演じたヒロイン・エマ役を忘れてはなりません。バウンティ・ハンターとして、男役相手に立ち回りを行い、お酒に寄って朗らかに歌い踊る姿は、まさに”じゃじゃ馬”なヒロイン。

バウ公演だからこそ、成立しえた挑戦的なヒロイン像だったかもしれませんが、この”強く、可憐なヒロイン像”が花乃まりあさんのイメージに定着したのは、間違いありません。

組替え、花娘・花乃まりあの誕生

2014年に花組へ組み替えが発表され、明日海りおさんのトッププレお披露目公演「ベルサイユのばら -フェルゼンとマリーアントワネット編-」ではロザリー役を担当。



続く「エリザベート」では、本公演でのエトワール、新人公演でのヒロイン・エリザベート役に体当たりで挑みました。

蘭乃はなさんの後任としてトップ娘役就任が発表された後での演目でしたから、否応なしに注目が集まる状態。歌唱力などはまだまだ発展途中ではありましたが、堂々たるエリザベート。自らの運命に苦しみながらも、毅然と生き抜いたエリザベートの姿が、花乃まりあさんの娘役人生に重なるような熱演でした。

明日海りおの相手役としての花乃まりあ

そして、明日海りおさんと花乃まりあさんのトップコンビが誕生します。



明日海りおさんは、早くから注目・抜擢され、ファンからの人気も高い”劇団の顔”の1人。

その相手役だからこそ、求められるレベルは当然高くなります。

突然の組替え、突然のトップ娘役就任に、当初から花乃まりあさんは不安に押しつぶされそうだったと、数々のインタビューで口にしています。就任1年目で台湾公演に行ったことをきっかけに退団を考えた、と退団記者会見でも話していたとおり、トップ娘役としての立場に本人も悩むことも多かったのでしょう。

しかし、舞台上では苦悩を微塵も見せず、どの役も魅力的に、明日海りおさんと息の合ったコンビネーションで魅せてくれました。

トップコンビは、夫婦のように”ラブラブ”の2人もいれば(早霧せいなさん・咲妃みゆさん、北翔海莉さん・妃海風さん)、学年も近く”舞台を作り上げる同志”の2人(珠城りょうさん、愛希れいかさん)もいるなど、そのあり方はさまざま。

明日海りおさん・花乃まりあさんにおいては、「師匠と弟子」だったと本人たちが対談で語っています(宝塚GRAPH 2017年2月号「花乃まりあサヨナラ特集」より)。

グラフ2月号。みりかの対談。 この対談を読み終わって、まず今までの作品を改めて全部見返そうと思った。 まるで、二人がコンビを組んでから今までの作品全部の稽古場風景を一気に見れたような気がする。 pic.twitter.com/uZjoFuoQ26 — Ririo♡ (@kana_mi_yu) 2017年1月20日

作品をより良くしようと、日々ダメ出しをしてくれる明日海りおさん。

花乃まりあさんは、できずに泣いてしまった日もあったとか。それでも食らいつき、毎日努力を続けたからこそ、作品を重ねるごとに2人の方向性がピタリと合い、花組の魅力が増して行ったのだと思います。

魅力的なトップコンビとして、これからもさまざまな関係性がみたいと思っていた矢先の退団は、やはりファンとして惜しまざるを得ません。

出会った”運命の役” いじらしく、底
抜けにキュートな花乃まりあのサリー・
スミス

トップ娘役として、花乃まりあさん最大の当たり役といえるのは「ミー・アンド・マイガール」のサリー・スミス役でしょう。

何度も再演されている名作で、数多くの先輩方が魅力的なサリー象を描き上げていますが、花乃まりあさんは彼女らしいサリーを好演し、好評を博しました。



花乃サリーを見て一番感じたのは、いじらしさ。

愛するビルのために身を引く…という悲しさを滲ませ、「一度ハートを失ったら」では思わず涙してしまいました。登場シーンのじゃじゃ馬な印象から、ビルを思う一途な少女、そして淑女へと変わっていくさまが見事に演じられていて、花乃まりあさんの芝居心も強く感じました。

また、明日海りおさんとの息の合ったアドリブシーンも、毎公演の楽しみでした。サリーとして自由に舞台を駆け回る姿は溌剌としてキュート。まさに、花乃まりあさんならではのサリー像だったと言えるでしょう。

花乃まりあの真骨頂、高貴な王女・タル
ハーミネ役で宝塚を去る

退団公演となった「雪華抄 / 金色の砂漠」は、どちらも新たな花乃まりあさんに出会える演目。

日本物のショーでの着物の美しさは圧巻で、「安珍・清姫」の場面など、記憶に残る和物の名場面になったと思います。



また、「金色の砂漠」では、明日海りおさんを奴隷に従える王女・タルハーミネ役を熱演。

高貴で、傲慢で、ワガママで…宝塚のトップ娘役としては実に異例の役どころです。この役を宛て書きされ、さらに熱演で答えることができたのは、花乃まりあさんが娘役を極めたからでしょう。本人も「この役に出会えるのを待っていたのかもしれない」というほど、花乃まりあさんの魅力が発揮される役になりました。

最後の公演のエトワールも務めた花乃まりあさん。



「エリザベート」での不安げなエトワールと違い、トップ娘役としてのキャリアを重ね、絶え間ない努力があったからこそ、自信に満ちた、華やかな歌声を響かせてくれました。

花乃まりあさんの一挙一動からは、相手役の明日海りおさん、諸先輩方を尊敬し、宝塚を愛している姿が伺えました。不安げに揺れていた蕾も、今や大輪の花を咲かせましたね。

短い宝塚人生を、濃く、華やかに過ごした花乃まりあさん。その姿は、ファンの中に大切な想い出として残ることでしょう。
著者:海野りんご

トレタメ:宝塚歌劇団

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