和楽器バンド『Strong Fate』和の神
髄!神秘的な音と光景 妖艶な歌声が
渾然一体となる!

このバンドの魅力は、それぞれが主役!という和楽器バンドならではのスタイルだ。個々の技術が高く、それを重ねたり押し出したりすることによって楽器を奏でるたびに独特な世界観が生み出され、声を発するたびに聴く者を魅了する。また和楽器という日本特有の楽器の音色が実に耳に心地よく、和の強さを感じさせてくれる。

2016年1月6日に行った日本武道館ライブで初披露された『Strong Fate』は和楽器バンドというアーティストの形を体現し、まさに和の神髄と言っても過言ではない楽曲となっている。映画のイメージソングとしても知られている名曲だ!

注目してほしいのは「かっこよすぎる」と話題のMVだ。Vo.鈴華ゆう子の妖艶な姿と歌声、和楽器の神秘さとバンド楽器の迫力。そして、この世の果てと崩壊していく様を見事に表したシリアスながらも聴き入ってしまう歌詞だ。





「ひとつふたつ過去めくりつなぐ 点と点が線にそれは死を呼ぶ声」で女性が指と指を結んで離すことで、線を作っている。細かな動きまでも綺麗に見せることで歌詞の印象がより強く残る。この”女性”だが、一瞬誰か分からないと思うほど雰囲気が変わった鈴華である。
歌詞には、過去をさかのぼることで幾つもの真実を知ることができるが、それは知ってはならない過去。繋ぎ合わせてしまったために死を呼んでしまうという意味が込められている。音も歌うペースも早いことから、死への加速を感じさせる。




急激にテンポが遅くなり、鈴華の歌声と蜷川の津軽三味線が重なる。魅惑的で美しい妖艶な姿と、空間に広がるような澄んだ歌声が聴く人を一気に世界に惹き込む。和の歌姫に手を引かれ、異世界へとやってきたと思うほどに声と音で魅了する。




また最初の歌詞と同じリズムで曲が流れていく。このように繰り返すことで前の「終わりなき この場所で 輪廻を待つ」を表すのと同時に、また美しい歌声と音が聴けるのではないかと期待が高まるのだ。
「留まること知らず」は過去を調べることを辞めずに、真実に近づいていくことだ。この時はまだ死を呼ぶ声には気づいておらず「読み解けば罠」で謎を解いてしまったことで初めて罠だと知ることになる。気づいた時にはもう遅く「忍び寄る言霊」に恐怖しながら「耳をふさぎ込んで」後悔している。触れてはならない過去を知ってしまったことを。




「終わりなき この場所で 輪廻を待つ」と同じように歌われている。気づいているだろうか?同じリズムを交互に繰り返しているだけではなく「輪廻を待つ」や「連鎖を問う」など繰り返すことを望むのかと何度も問いかけていることを。歌詞も段々と死や崩壊が近くなっていて1つの物語のようだ。
「黒い目が」というのはもはや人ではなく呪いに相当するもので、死を呼ぶ呪いが覗き込むほどに迫っているのだ。




サビに入った瞬間を表現するならば”解放”だ。声も音も一気に強さと壮大感を増し、これまで繰り返していたリズムから一変、その先の世界へと踏み込んだような未知の広がりを体感することだろう。歌詞の内容も次の展開を見せ、「聴こえる聴こえる」言霊の「地を這い嘆く声」その声に誘われてひたすらに「彷徨う彷徨う」




「理由もなく手繰り寄せて離す」は過去を繋ぎ合わせて真実に迫っておきながら、受け入れきれずに結局離し、その中途半端さがより思念を強めてしまうことを表している。それを変えることができない「Strong Fate(強い運命)」こそが「この世の果て」である。

MVには切腹をするシーンやメンバーが倒れるところなど、シリアスな部分もある。しかし、そんな光景に置いても美しさと力強さを感じさせるのは和楽器バンドにしかない魅力だ。曲の終わりと共に像が崩壊していく圧巻の演出にも注目してほしい。

全てが一体となって生まれた和の音楽の境地、曲を聴いてMVを見ているだけで1つの映画を見ているような感覚をぜひ味わってほしい!

TEXT:SHIN

UtaTen

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