5月歌舞伎座「團菊祭」に震えろ! 見
所が多すぎて既に感涙必至 【パイナ
ップルパン聖子♂のアラサー狂詩曲#
4】

今回注目したのは、歌舞伎。「年に50公演は観ないと死ぬ」なんて状態になるとさすがにワークライフバランスが崩壊して婚期を逃しがちですが(そういう人、たくさんいます。ちなみに私は年30回くらいに抑えているので大丈夫です)、何かと忙しいアラサー女子でも、せめて年に4回くらいは観ておきたいですよね。

3月2日に松竹が歌舞伎座・五月公演となる「團菊祭五月大歌舞伎」(平成28年5月2日~26日)の演目を発表。全国の歌舞伎ファンを中心に注目が広がっていますが、歌舞伎初心者にもかーなーり、オススメです。

「團菊祭」といえば、その名の通り九代目團十郎と五代目菊五郎の偉業をたたえて昭和初期にはじまった五月恒例の興業。今年の團菊祭の演目はこちらです。

【昼の部】
・鵺退治
・寺子屋
・十六夜清心
・楼門五三桐

【夜の部】
・勢獅子音羽花籠
・三人吉三巴白浪
・時今也桔梗旗揚
・男女道成寺

なにはともあれ『勢獅子音羽花籠』
ミーハー的な意味でも絶対見逃せないのは、夜の部の一幕目『勢獅子音羽花籠』。昨年11月には市川海老蔵の長男・勸玄くん(お目見得時・2歳7か月)が「江戸花成田面影」で初お目見得した記憶も冷めやらぬ中、この團菊祭では尾上菊之助の長男・和史くんの初お目見得が決定(お目見得時・2歳5カ月)。

この事実が発表されると、全国の歌舞伎ファンからは「絶対團菊祭行く!」「死ぬほどかわいい」「お父さんに似てる」「吉右衛門のじいじに似てる」「ショタのかがみだわぁぁぁぁあああああ」など興奮の声が噴出しました。

父方・母方双方の祖父(菊五郎・吉右衛門)に父・菊之助、さらに松緑、海老蔵、松也、錦之助、又五郎、雀右衛門、時蔵、魁春、左團児、梅玉ら、重鎮・大スター達が彩る舞台は、今後数十年の音羽屋を、ひいては歌舞伎界を語る上でも、絶対に見逃せない一幕。

これを見ておけば何十年か後に「あたし、今の菊之助(あるいは菊五郎)は初お目見えから見てるかんね~」と、子や孫に自慢できるわけです。お得ですね。

菊之助×海老蔵×松緑
個人的に見逃せない(どころか間違いなく何度か通うことになりそうな)のは、同じく夜の部の『三人吉三』(大川端の場)。菊之助・海老蔵・松緑がお嬢・お坊・和尚。想像するだけでヨダレが出そう……。というのも、はじめて「歌舞伎やべぇ、鬼やべぇ」と体の奥底から実感したのが、若かりし頃のこの三人、そう、"平成の三之助"時代の三人吉三を、NHKの『芸能花舞台』で観たあの瞬間(計算したくないけど20年くらい前かも)。

あの当時ですら「鬼やべぇ」だったのに、2016年の、より完成されつつある三人で「三人吉三」だなんて! 想像しただけで涙があふれそうです。たぶん観たら泣きます。もちろん、「歌舞伎、えーっといつか観たいとは思ってるんですけどね……」という方にもオススメ。きっと「三人吉三、鬼やべぇ」となることでしょう(そうならない人は、もう歌舞伎観るのやめた方がいいです)。

さらに、昼の部の『寺子屋』でも海老蔵(松王丸)、菊之助(千代)、松緑(武部源蔵)が共演。はぁ~。この3人の共演ってなんだか久々のような気がしますが、私が若年性健忘症になっているだけでしょうか(一方、寺子屋自体はここ数年で何回観たかわからないくらいです)。いずれにせよ、この三人の競演だけでも個人的には最高です。

特にイマドキ男子の色気の欠如と上っ面だけの浅さに物足りなさを感じている昨今のアラサー女子には、ぜひこの三人の競演を見て、色々な意味で濡れていただきたいところです。

もはや見所しかない
黙阿弥イヤー(※編注:河竹黙阿弥の没後百年)ということもあってか、昼の部で『十六夜清心』。菊之助が清心に。
「一人殺すも千人殺すも取られる首はたった一つ」「人の物は我が物と栄耀栄華をするのが徳」とかなんとか言いながら(名台詞ですが、ある意味"ジャイアニズム"の元祖じゃないかと思っています。※意見には個人差があります)、綺麗なお坊さんが今のネットスラングで言うところの"悪堕ち"する姿はたまりません。しかも今回は美しすぎる菊之助。子宮から感動しそうです。

また、昼の部の最後は吉右衛門と菊五郎の『楼門五三桐』。いわずとしれた石川五右衛門の有名すぎる一幕なので、観ておくといいですね。というか、30代40代で観たことがない人は恥ずかしいですね。ちなみに舞台は南禅寺の有名な山門なので、オトナ女子のたしなみ・京都観光の際にも「あー、これが絶景っつーやつね」と一粒で二度おいしい体験もできちゃいます。

『寺子屋』で子供が殺されてつらーい気持ちになって、『十六夜清心』で綺麗な坊さんが悪人に堕ちてどんよりした気分になった良い子ちゃんも、「絶景かな絶景かな」でおなじみの派手で短くてドーーーンな感じのこの演目ですっきりして(……って、これはこれで盗賊ですが)歌舞伎座を出て、のんびり銀座でお茶でもして帰れば、立派なオトナ女子です。

それから、夜の部の最後は『男女道成寺』。有名な『京鹿子娘道成寺』を知らない人は皆無だと思いますが、そのバリエーションの一つで、なんと海老蔵×菊之助。この組み合わせ、個人的に大好物すぎです。三人吉三と合わせて、夜の部は何度観ても絶対飽きる気がしません。
今回いろいろと書いてしまいましたが、やっぱり趣味の悪いただのアラサーの皆さんにはご遠慮いただいた方がいいかもしれません。だってチケットが手に入らないなんてことになったら悲劇ですよ

一応申し添えておくと、チケットの一般発売は4月12日からです。

菊五郎の体調は?
一方、気になるのは3日に発表された尾上菊五郎の体調不良。出番は『楼門五三桐』の真柴久吉(いわゆる羽柴秀吉)と孫の初お目見えでの鳶頭だけなので、こう言ってしまうと大変無礼ですし腹を切って謝罪する覚悟で申し上げますが、病み上がりでもなんとかなりそうですし、きっと五月には舞台に戻ってくると信じたいですね。

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▼執筆:パイナップルパン☆聖子♂
渋谷のネット関連企業で男として働く30代男。会社ではオカマってばれていないはず。「見た目はおっさん、中身はオネエ! 真実はだいたい玉虫色」がモットー。歌舞伎はただの素人。転職を考えているが、みんなにはナイショ!

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