繋いだ手のひらのように温かいBUMPの
バラード「スノースマイル」

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冬が寒くって本当によかった
君の冷えた左手を
僕の右ポケットに お招きするための
この上ない程の理由になるから
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数多ある、冬の寒さで冷えた手を温める動作のなかで、こんなにキュンとする表現はあるだろうか。男性がこんなことを思っていると知ったら、女性は思わずにっこりしてしまうだろう。また逆に、この部分の歌詞を知っている男子なら、彼女の左手を自分のポケットに「お招きする」のを、一度はやってみたいと思うはずだ。
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またキレイなままの雪の絨毯に
二人で刻む 足跡の平行線
こんな夢物語 叶わなくたって
笑顔はこぼれてくる
雪のない道に
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実はこの歌、歌詞を辿っていくと、「雪が降っていない」。雪を待ち望んでいる幸せな二人が、コツコツと足音を鳴らしながら乾いた舗道を歩いている。
雪の絨毯に足跡を刻むのは、男性がそう夢見ているだけで、現実のことではない。けれど歌詞を読んでいると、雪なんて降っていなくても、笑顔の彼女が目の前にいるだけで十分幸せなことがわかる。
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まだキレイなままの雪の絨毯に
二人で刻む 足跡の平行線
そうさ夢物語 願わなくたって
笑顔は教えてくれた
僕の行く道を
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この曲には「道」という単語が三回でてくる。「雪の無い道に」。「僕の行く道を」。「君のいない道を」。初めは現実の雪のない道のことを歌っていたが、段々と観念的な意味の歌詞になっていく。「彼女とふたりで歩いている道」から、「僕がこれから歩いていく道」という意味合いになっていくのだ。
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君を出会えて本当によかった
同じ季節が巡る
僕の右ポケットにしまってた思い出は
やっぱりしまって歩くよ
君の居ない道を
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ラストまで聴くとわかるのだが、この曲に出てくるふたりは、何年か後に別れている。別れているが、後悔するよう出会いでは決してなかった。「君と出会えて本当によかった」と言えるような、これからの人生を励ましてくれるような、素敵な思い出となって、心のなかにある。けれど、そんな大切な思い出はポケットにしまったままで、「僕」は歩く。思い出に執着してはいけないからだ。そこにもう「君」はいないけれど、その道の先は明るくひらけている。「僕は」これから、その道をどこまでも進んでいくことになるだろう。
その道の途中で、彼女との日々は、温かく幸せな思い出として、時々僕のポケットを温める。
冬になると決まって思い出す誰かが、あなたにもいるだろうか。
TEXT:緑の瞳( http://www.hitomimidori.com/

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