富士山の麓でアイドル150組を観る至
福の空間―Twin Box Fujisan初日を現
地レポ!

 同フェスは、2012年に秋葉原にオープンしたライブスペース「Twin Box AKIHABARA」の3周年を記念して開催されたもの。数々の音楽イベントも開催される「山中湖交流プラザ きらら」を会場に、全部で5つのステージと物販のテントブースが設置され、シルバーウィークのリゾート地にアイドルたちの熱い歌声が鳴り響いた。
 記者が到着した午前11時の時点で、1000台収容の駐車場は半分ほどが埋まっており、早い時間からなかなか盛況の様子。イベント自体は10時スタートで、入場口をくぐると右側には参加各グループの画像をあしらったのぼりがはためき、いやがうえにも気持ちが盛り上がる。

 そして目に飛び込んでくるのはグリーンステージだ。ここにはグリーン、ブルー、レッドという3つのステージがコの字状に配置されており、3つのステージを簡単に掛け持ちできる位置関係になっている。
 ステージが隣同士だと音が混ざり合うのではと心配になるが、実際にはまったくと言っていいほど気にならない。MCの時に隣の歌声が少し聞こえる程度で、それがMCの邪魔になることもなかった。むしろ、何かしらの歌声が絶え間なく聞こえてくることで、フェスっぽい雰囲気に包まれるというメリットもあるのだ。

 それらのステージから少し離れた場所には、新進気鋭のグループが出演する富士見ステージがあり、その周辺には物販用のテントが立ち並んでいる。ここまでがひとつのエリアとなっており、フードカーも複数あるなど、これだけで立派なフェスと呼べるほどの規模になっていた。
 さっそく物販のテントをのぞいてみると、ビジュアル系ロックアイドルのリリックホリック歌劇団を発見。9月15日深夜に放送されたバラエティ番組「そんなバカなマン」(フジテレビ系)で一気に注目度が上がったグループで、この日も早い時間の出番だったにも関わらず、他グループのファンも含めて列ができていた。

 他のブースでは、TwinBoxAKIHABARAで定期ライブを開催しているフレンド♡フレンドが無料握手会を開催。わずか4日前にメインステージでのオープニングアクトが決定したばかりで、貴重な機会をファン拡大に活かしていた。この手のフェスでは新規グループの開拓も楽しみの一つとなる。
 そのメインステージことTwinBoxステージは、このエリアから奥に向かって数分歩いたところにある。早速足を運んでみると、巨大な建物が見えてきた。山中湖畔にそびえる“シアターひびき”がこの日は、メインステージとして使われているのである。

 その規模たるや、a-nationのようなスタジアムフェスにも匹敵するサイズ。その前には奥行き100mほどもある扇形の客席エリアが広がる。満員になると実に8000人もの観客を飲み込み、アイドルフェス分野では最大級のステージと言っていいだろう。
 記者が訪れたときはちょうど、フラップガールズスクールがタオルを振り回しながら『面舵イッパイ!』をパフォーマンス中。傍目にはステージ前に少しだけ観客がいるように見えるが、実際にはTwin Box AKIHABARAには入りきらないほどの数百人が集まっており、ステージの巨大さを実感させる。

 同様にステージ上の広さも相当なもの。総勢20名を超えるALLOVERがパフォーマンスしている時でさえ、まだ余裕を感じさせるほどだ。

 一方で客席には後ろ上がりの角度が付いており、どこからでも見やすい構造になっているため、Cupitronのような3人組でもステージに注目して楽しむことができる。どんな規模のグループでもそれぞれの持ち味を見せられる絶好の場となっていた。
 ほかに特筆すべき点としては、どのステージも音響が良いのである。ボーカルが埋もれたり、演奏が割れたりすることもなく、屋外とは思えない良品質の音を楽しむことができた。これならステージ上のアイドルたちも、思う存分に力を発揮できたことだろう。


次のページは、メジャー系とライブアイドルが入り乱れるカオスでハッピーな空間をレポート! 再びグリーンステージ側に戻ると、ちょうど吉川友がパフォーマンス中。どんなステージでも自分色に染めるのはさすがの一言だ。秋葉原を拠点とするライブアイドルから、吉川のようなメジャーアイドルまで、幅広いジャンルのアイドルを一カ所で楽しめるのが魅力となっていた。
 やがて隣のブルーステージではアップアップガールズ(仮)のライブがスタート。さすがに集客力は高く、ステージ周辺の気温が一気に上がる。

 バックステージから近いこともあり、出番を待つライブアイドルたちが熱いまなざしでアプガを見つめる。アイドルがアイドルを観る姿をこんな間近で見る機会もなかなかないかもしれない。
 さらに隣のレッドステージには、話題沸騰中の絶叫する60度が登場。くノ一風の衣装に和風なメロディという個性的な取り合わせに、文字通り絶叫のボーカルが富士山麓に木霊する。

 もんてろの挑発するような笑顔と、魁-KAI-の絞り込まれた肢体が緑濃い山々を背景に躍動し、空の下に新鮮な景色を見せていた。余談だが、2人のステージを見ていたとくにアイドル知識のない女性は、「無駄な肉がまったくない。若さって素晴らしいわあ」との感想を漏らしていた。
 このように右にアプガ、左に絶叫する60度という、あまりに贅沢な横並び。どちらに足を運ぶべきか、これほど悩む場面もそうないかもしれない。しかも、この裏ではメインステージにゆるめるモ!が登場しているのだから、なおさらである。TIFや@JAM EXPOとは異なり、その気になれば1曲ごとにショバ替えすることさえできそうだ。

 そんな悩ましいラインアップの次は、ブルーに赤丸ダッシュ☆、レッドに大阪☆春夏秋冬が登場し、☆の競演だ。片や早くも来年2月発売の3rdシングルに向けてイベント真っ最中の赤丸、そして10月18日のワンマンライブ@大阪に向けてアピール中のしゅかしゅん。カラフルと黒一色の対比もまた、目移りする並びと言えよう。
 クラクラするようなひと時を経て、再びTwinBoxステージに戻ると、ステージには華やかな空色の衣装をまとったアキシブprojectの姿が。全国14カ所ライブハウスツアーを完遂し、明らかに一回り大きくなった彼女たちが、自信に満ちた表情でのパフォーマンスだ。

 9月18日の渋谷duoで初披露した新曲『Answer』も仕上がり具合十分で、これからアジアに進出していくという勢いを見せつけてくれた。

次のページでは、暮れなずむ湖畔のメインステージでの熱いパフォーマンスを紹介! やがて日が傾きはじめ、暑かったステージにも涼しい湖風が吹き込んでくる。なにしろ山中湖は標高980mという高所。日本で3番目に高いところにある湖である。初山梨のアイドルたちが口々に「水道が冷たい!」と驚いたように、日が暮れると涼しさが辺りを包みこむ。

 だが吉川友が真っ赤なカーニバル風の衣装で登場すると、ステージの熱気はむしろ上昇し、客席のボルテージも一気に上がる。オールスタンディングの会場はまさにカーニバル騒ぎ。終わりゆく夏を惜しむかのように屋外フェスシーズン最後の熱狂が沸き起こっていた。
 続いてはアップアップガールズ(仮)が畳み込むようなセットリストで観客を煽り、『ジャンパー!』では富士山を揺るがすかのような一斉ジャンプだ。

 ここのMCでちょっとした奇跡が起こる。この日の富士山はほぼ一日中雲に隠れていたのだが、アプガが昨年の富士山頂ライブについて語ったその瞬間、ホンの少しだけだが山頂が姿を見せたのである。まるで「ん、ワシのことかね?」と富士山が顔をのぞかせてくれたかのようだった。
 吉川友からアプガのコンボですっかり温まったTwinBoxステージ。そこにさらなる熱さをもたらしたのが、8月のTIF以来、アイドル界のホットな話題になっている大阪☆春夏秋冬だ。

 夕暮れ時のメインステージ。しかもアプガの次という、以前だったら考えられないような厚遇に、しゅかしゅんはバラード曲の『ロミオ』をセトリに組み入れるなど、魂のステージで応えてくれた。
 この時点でとっぷりと日も暮れ、各ステージは夜の顔を見せ始める。煌々と輝くステージ以外はかなりの闇に包まれ、そのなかに熱を帯びた観客がうごめく。そんな光景がまた、祭りの夜のようで心地よい。

 夜の屋外ステージと言えば、TIFのスマイルガーデンを思い起こす人も多いだろうが、都心のフェスとはまた違った魅力がこの山中湖畔には広がっていた。
 今回のTwin Box Fujisanは、集客面ではさらに一押し二押しが必要だったかもしれないが、参加者の満足度がこの上もなく高かったのは間違いないだろう。この場を体感した人なら次もまた、足を運びたくなるはず。来年の開催にも期待したい。

■Twin Box Fujisan公式サイト
■TwinBox AKIHABARA公式サイト

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