ももクロ~ヒャダインが日本のアイド
ルPOPSを変えた!? マーティ・フリー
ドマン★鋼鉄推薦盤

●その2「次世代アイドルPOPSは“ジェットコースター系”」

 今のアイドルソングの世界は、世界で一番進化しているジャンルなんじゃないかと思うときがある。だってアイドルの曲って、普通のJ-POPに比べて複雑な気がしませんか? たとえばこんな感じ。

・ももいろクローバー『行くぜっ!怪盗少女』
・ももいろクローバー『ミライボウル』
たこやきレインボー『絶唱!なにわで生まれた少女たち』
私立恵比寿中学『ハイタテキ!』
でんぱ組.inc『ちゅるりちゅるりら』
・妄想キャリブレーション『魔法のジュース』

 これらの楽曲って一聴して「アレンジが複雑で、普通のポップスではない」という印象がある。テンポチェンジが激しかったり、転調で曲の印象がガラリと変わったり、まるでジェットコースターに乗っているような気分になるね。もう、これはプログレッシブ・ロックみたいなもんだよ。

 アイドル界にこのタイプの楽曲が増えたのは、やはり前山田健一(ヒャダイン)さんが手掛けた楽曲群が発端だと思う。事実、上にリストアップした曲も前山田さんの楽曲がたくさんあるしね。多くのアイドル・クリエイターたちは前山田ワークスの曲を聴いて、「これもアリなのか!」と思ったに違いない。

 ボクは前山田さんの曲を聞くたびにある種のシンパシーを覚えるんです。ボクが80年代にやっていたヘヴィメタルバンド「カコフォニー」の楽曲には、ヘヴィなギターリフの後に、途中で演歌風の泣きのギターソロが出てくる、なんていうけっこうトリッキーな作曲&アレンジをやっていたりしました。あと、とにかく音数を詰め込んでみたりもしたね。それと同じ実験的な要素を前山田さんの楽曲からは感じるんです。もしかしたら、彼とボクはちょっとセンスが似ているのかも。

 ちなみにこういう複雑な楽曲がどんどんヒットチャートに入る国って、実は日本しかないんです。欧米のヒット曲は余計な要素をどんどん抜いてシンプルにしていくような「引き算」で作られることが多いからね。これらのアイドルソングはその真逆で「足し算」で作られている。海外の友人のミュージシャンたちは「マーティは、いい国に住んでるなぁ」って感心してるよ。

(構成・文/尾谷幸憲 協力/バラン野島)Marty Friedman
マーティ・フリードマン
ギタリスト、プロデューサー。全米で1000万枚以上のCDを売ったヘヴィメタルバンド「メガデス」に在籍。2004年から日本の音楽シーンでも活躍。ももいろクローバーZ『猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」』への全面参加。ニューアルバム『インフェルノ』(ユニバーサル)が発売中。

新番組『アイドルお宝くじ』にナレーション出演中
<O.A.情報>
テレビ朝日/毎週金曜日 26:50~
BS朝日/毎週土曜日 26:30~
CSテレ朝チャンネル1/11月7日スタート・毎週金曜日 24:00~

月刊エンタメにて誌面版「マーティ・フリードマンのヘドバン★鋼鉄推薦盤[メタルレコメンド]を連載中!

【公式HP】

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