“モーニング娘。”の重圧を乗り越え
、モーニング娘。’15を作った13人

 今回のツアーを見て、モーニング娘。’15は全員が主役で、みんなで戦っているのを感じた。武道館公演後のラジオ番組で、鈴木香音は「(このツアーを通して)9人と4人というよりは、13人っていう形になったんじゃないかな」と話していた。初々しさとツアーをやりきった自信が見えた12期の『好きな先輩』、鞘師のロングトーンに会場が沸いた『女と男のララバイゲーム』や佐藤優樹と小田さくらの歌声が美しい『Memory 青春の光』、ツアーを通して飯窪春菜が担当したMCなど……見せ場をあげたらキリがない。13人全員で作り上げたコンサートは、回を追うごとに全員がめきめき成長しているのが体感でき、本当に楽しく、見応えのある内容になっていた。

 何よりも、“自分たちがモーニング娘。である”ことへの意識がとても強いのを、特に9・10・11期から感じた。先輩メンバーの卒業を経験し、後輩としての「憧れのモーニング娘。になれた」「先輩に追いつかなければ」から、グループを引っ張っていく「自分たちがモーニング娘。を作っていくんだ」という気持ちの変化。それが大きなものになっている気がした。


次ページは、武道館公演にぶつけられたメンバーの想い13人で作る、モーニング娘。'15の形

 これまでのモーニング娘。が素晴らしいグループだから、そしてモーニング娘。が大好きだから、今のモーニング娘。’15を最高のものにしたい。大きな大きな看板をこれまでは先輩たちと一緒に背負ってきたけど、今は自分たちが背負っていく。そして次に託していきたい。それはモーニング娘。である彼女たちにしかできないこと。そんな、武道館には収まりきらないくらいの、とてつもなく大きな覚悟がこの公演にぶつけられていたように思う。

 今回のツアー初日開演前、メンバーの何人かが泣いていたという。それぞれ涙の意味は違っただろうが、そこから緊張やプレッシャーを乗り越え、約2ヶ月のツアーを経て、のびのびと彼女たちらしく“モーニング娘。’15”を作ることにたどり着いた。「モーニング娘。はこうあるべき」という定義はない。しかし、佐藤が話していた「進化をするには、悔しいことやつらいことがいっぱいある。でもそれを乗り越えての成功だと思う」、そして「絶対に進化は止まりません!」という言葉。これこそがモーニング娘。であり、モーニング娘。はそうでなければならないのだろう。

 武道館公演の最後に「わたしたちを13色のサイリウムで輝かせてください」と譜久村が言っていたが、サイリウムの光なんていらないんじゃないかと思ってしまうくらい、ツアーを通して成長した13人が、達成感と自信でキラキラと輝いて見えた。しかしモーニング娘。’15は始まったばかりで、この先もっともっとすごいものを見せてくれるはず。だからこそ、もっとたくさんの人に知ってもらいたい。そしてもっともっと大きなステージで彼女たちを見たいと思った。

 今回のライブで、こうやってモーニング娘。が続いていくのだ、というのを目の当たりにしてしまったような気がする。本当にすごいライブだった。すごい、としか出てこないのが悔しくなる。東海林その子 アイドルが大好きです。アイドル、ファッションなどに関するライターをやっています。

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