ライムベリーが語る、再始動への道
HIME「みんなの意思を背負って、前に
進む覚悟を決めた」
今回のインタビューはライブ終了後、メンバーの3人(MIRI、HIME、HIKARU)に、プロデューサーのE TICKET PRODUCTION(桑島由一)氏と同席のもとで行われた。ニューシングル「IDOL ILMATIC」のことを皮切りに、活動休止中のこと、復活ライブのこと。そして12月21日に開催される2ndワンマンライブについて。
デビューから3周年を迎えたライムベリーだが、激動の一年となった2014年に彼女たちは何を思っていたのか。そして再スタートの時に決めた覚悟とは。
参考:"可愛いラップ"を突き詰めたい ライムベリーが進む道
■活動休止と復活について
——2013年8月の1stワンマンライブの後、活動休止になって、翌年の4月にはメンバーが1名脱退されましたが、当時はどんな心境でしたか。
MIRI:とりあえず、いつ復帰ができるかなっていう不安と期待でいっぱいでした。私自身も正直、このまま無くなるんじゃないかって思った時期もあったりして。でも、「終わり」って誰かが言うまで、ライムベリーは続く可能性はあるから、そこに向けてがんばっておかないと。復活した時に、「休止の期間が痛かったよねぇ。この期間で落ちたよねぇっ」て、言われないようなライブがしたいって気持ちと、みんながどんな反応をしてくれるのかな、という期待がありました。
復帰が決まった時は、嬉しかったですけど、それよりも先に、大丈夫かなって思いました。MCが3人から2人になるって「1人欠けるだけじゃん」って思う方もいるかもしれないけど、結構大きくて。実際に歌ってみるとその重さを知るというか。
ラップなんで、言葉が多いじゃないですか。ホントに大変で疲れるんですよ。でも、一人減ったことでパワーが減ったなんて言われたくないし、ライムベリーはせっかく今出来ることが奇跡に近いことで、ちゃんとやらせてもらってるのだから、このチャンスをモノにしようと思いました。
HIME:休止期間は、ファンの方にホント申し訳ないなって思って。Tシャツ買ってくださったり、チェキ撮ってくださったり、毎回ライブに来てくれた方もいたので、このまま終わったら、最後のライブもやってないし、何も感謝を言いに行けないし。どうしたらいいんだろうって。
——復帰ライブで、HIMEさんがMCで「覚悟して決めたことだから」って言ったのが、すごく胸に突き刺さりました。その時の“覚悟”という言葉を補足すると、どんな気持ちですか。
HIME:もう、終わる寸前だったから。あの時、普通だったら終わってたと思うんですよ。それでもやるって決めたってことは、寝ないで動いてくれたスタッフさんもいるし、早い段階で意思を固めてくれたメンバーもいるから、それをちゃんと背負って、ちゃんと前に進もうっていう意味の“覚悟”です。
HIKARU:はじめはあんまりDJ HIKARUのキャラに納得してなくて、いつまでメガネと三つ編みにするんだろうとか思ってたんですけど、徐々に定着していって、好きになってくれるお客さんもいらっしゃったので、休止はもったいないかなぁって気がして。私はやめたメンバーと一緒にいることが多かったので、びっくりしたんですけど、楽曲も好きだったし、ラップとアイドルという要素も面白かったのでライムベリーは続けたいなぁと思ってました。
結構、先延ばしになっちゃったんですけど、それでも復活できたのでよかったです。
——休止の間にメンバー同士で集まって話したことはありました?
三人:何回かはあったよね。
HIME:でも、自分たちで決められないから、話しても進まないじゃないですか。やりたいって気持ちもあるけど、不安も大きくなって。だから辛かったよね。
MIRI:何していいかわかんないしね。
■新体制のライムベリー
——3MCから2MCになって、思った以上に以前とは違うものになりつつあると思うのですが、ライブを積み重ねる内に意識的に変えていったことはありますか?
MIRI:3人の時って、みんなで歌うパートは、1人抜けてもなんとかなったんですよ。でも2人になったことで、どっちか1人休むとダメになるんですよね。だから、「私がやらなきゃいけないんだ」っていう自分に対する責任感がすごく強くなったんじゃないかなぁと思ってます。
——2人の役割分担がはっきりしてきたと思うんですよ。攻撃的な煽りはMIRIさん、かわいいパフォーマンスはHIMEさんみたいな。
MIRI:それは自然に決まっていったよね。
HIME:お互いいっしょにいる時間が長いので良いところもできないこともわかってるので。これは、私が得意だなってところ自分でやって。MIRIちゃんの特技が煽りがうまいのはわかるので、MIRIちゃんが何か言う時はそこでは黙るし、そこでカッコいいこと言ってくれるのはわかるので。
MIRI:それはすごく助かってる。HIMEはかわいい存在じゃないですか。声もかわいいし行動もかわいいし、スタイルもかわいいし、みんなかわいいじゃないですか。だから、かわいいのは全部任せてるんです。私がかわいいことやってもキモイって言われるから(笑)。多分、HIMEがいるからアイドルラップって言えるんですよね。
——ライブの振り付けはメンバーが考えてるんですか。
Eチケ:きっちりしたダンスはメンバーに振り付けしてもらって、それ以外の部分は自由に動いてもらったり、ラフにリクエストしたりしています。
MIRI:基本は自由ですね。本番での動きはMIRIたちの気分で変わることも多いです。
——HIKARUさんは、歌うパートが増えて、DJだけじゃなくなってきてますけど。
HIKARU:歌ばかりやってたので、ラップが本当にできなくて。二人のスキルがどんどん上がってきてるから、さらに差ができちゃうんですよ。もともと、声が高いので浮くんですよね。あっ浮いてるって思って、だからなるべく浮かないようにしてます。
HIME:HIKARUは出番前に、なるべくこっちに声の高さが合うように確認してくれたりとか。サビにも入ってくれて、いろんな場所で助けてくれて。機材のこともあるのに、器用にカバーしてもらっています。
——いずこねこのカバー曲の「BluE」や「きみとぼく」みたいな、HIKARUさんを全面に出す曲も増えてますね。
HIKARU:ありがたいことです。
——HIKARUさんは最近、EQ(イコライザー)で音を調整していて、ライブが以前より迫力を増したと思います。普段、DJの練習はされているんですか?
HIKARU:YouTubeで見たりします。家にCDJがあるので参考に。
——ラップだけじゃなくて「アンサーアンサー」や「きみとぼく」みたいなテクノ系の曲も増えていますが、今後はラップとテクノの配分は変わっていくんですか?
Eチケ:ラップメインという配分は変らないと思います。「きみとぼく」は歌モノですが、滅多に作らないタイプの曲として考えました。歌詞も普段のメンバー目線とは違うメッセージを込めてみました。
MIRI:メッセージね。
HIME:心を込めて、がんばったんだよね。
HIKARU:あの歌を歌わせていただくなんて光栄です。ライムベリーが恋愛モノって珍しいなと思って。恋愛モノで男の子の視点からの歌なので、私もイメージができなかったので、色々教えてもらいました。
■『IDOL ILLMATIC』について
——今日のライブもすごく楽しかったです。リリースイベントが続いていますが、手応えはどうですか?
HIME:手応えはすごく感じています。いつも来ていただいている方はもちろんなんですけど、インストア・イベントだと普通のお客さんも見ていただいて。今日は360度お客さんがいて、どこをみても笑顔で見てくれているのを身近に感じました。
——子どもが、後ろで踊ってましたね。
MIRI:すごい嬉しい。ほんと微笑ましいですよね。
——11月19日にニューシングル『IDOL ILLMATIC』が発売されました。MIRIさんは「これならいける」と思われたそうですが。
MIRI:最初に聴いたときは、今までの曲とは雰囲気が違うメジャー感があって「おおっ」て、感じました。カッコイイ曲だけど、みんなでクラップができて、はじめてのお客さんでも盛り上がれる曲なので、自分のものにして、しっかり歌っていきたいなと思いました。
HIME:はじめて聴いた時にとても楽しいと思ったから、ライブのときに初見の人が一番に食いついてくれると思いました。いつもは「早く覚えたいな」って思うけど、この曲はライブで早く披露したいと思いました。
HIKARU:サビとかも参加しやすい感じなので、「掴みにきたな」と思いました。
E TICKET PRODUCTION(以下、Eチケ):とあるレコーディングを見学したんですが、すごくいい体験だったんですよ。ヒップホップの初期衝動を感じて、それに感化されて勢いで曲を作ったら手応えがあるものができました。代表曲になる予感があったので、歌詞も象徴的な作りを意識して。もともと「手ヲ叩ケ」っていう「しあわせなら手を叩こう」みたいな、困ったことがあったら手を叩いて解決しようっていう曲をデモで作ってたんですよ。その曲にあった盛り上がるパートだけを「IDOL ILLMATIC」に差し込んだり、アイデアを詰め込んで完成させました。
——PVも発表されましたが、撮影はどうでしたか?
HIME:学校を借りて撮影したんですけど、普通に学生なんで、あんまり違和感がなくて。まるでメンバーと同じ学校に通ってるみたいな雰囲気があって面白かったです。
HIKARU:エキストラさん(「いもうとシスターズ」の高梨あい・香月杏珠・木内麗華・永山せりあ・河合まゆが参加)がいたんですけど、私たちより若いんですよね。中一くらいにライムベリーやってた時は「えぇ中一なの?」って驚かれてたけど。
MIRI:一番年下だったのに、最近は年上になってきたよね。
——HIKARUさんがMPCという電卓みたいな機械を叩いてましたが、あれは、何だかわかりましたか?
HIKARU:あれは……ドゥンドゥンみたいな(笑)。とりあえず叩いてみてって言われて。リハーサルって言われて叩いたのが普通に本番のテイクで使われて、だから一回しか撮ってないんですよ。だから「これでいいの?」って感じで。でも始めての体験で面白かったです。
——「IDOL ILLMATIC」ってすごいタイトルですけど、みなさんは「ILLMATIC」って、どういうふうに説明を受けましたか?
三人:ヤバイとかカッコイイとか(笑)
——ライムベリーの歌詞って、マニアックな固有名詞やヒップホップ用語が出てきますが、あれはメンバーにはどのくらい説明するんですか?
Eチケ:歌詞を渡す時に毎回、最後に歌詞の説明コーナーがあって、例えば、「R.O.D.」の「AKAIのPAD」だったら、MPCっていう機材があるとか。他には、「doopはヤバい」「illもヤバい」みたいな感じのニュアンスで。
HIKARU:説明がざっくりしてて、何かシュールで面白いんですよ。
HIME:歌詞のこの意味もかけてるんだって思って、楽しいよね。
——NASはわかりましたか?
HIME:わかります。家のパパの部屋のカラーボックスにステッカーが貼ってあって、これだって思ってて。
——3年も活動していると、ヒップホップに対する知識も増えてくると思うんですけど、元ネタに対する意識ってデビュー当時に比べて変わりましたか?
MIRI:ファンの方がすごく調べてくれてアルバムを持ってきてくれたりするので、それをありがたく聞いたりしてます。
■「IN THE HOUSE」とお泊まり会
——2曲目の「IN THE HOUSE」は復帰ライブで初披露となったライムベリーの再スタートを象徴する曲だと思うのですが。
HIKARU:私たちのあるあるネタですね。
MIRI:すごいかわいらしい歌詞で、10代の私たちにぴったりな今しか歌えない曲かなぁって思って。MIRIたちがお泊りしたのをそのまま歌った曲だから、ファンの人たちからも愛されているイメージがすごいあります。復帰ライブで最初に歌ったときのことは、ほんとに認めてもらえるだろうかって想いが色々あって、緊張して何も覚えてないです。
HIME:「R.O.D.」はかっこよくラップしなきゃとか、「We did it」は遊園地にいる雰囲気を出さなきゃとか、他の曲は結構、雰囲気を作りこんで歌ってるんですけど「IN THE HOUSE」はいつもどおりの私たちの歌なんですよ。復活ライブだから緊張したんだけど、この曲だけは良い意味で気を抜いて歌えるので歌いやすいです。
HIKARU:最初聴いたときはすごくおしゃれな曲だと思いました。最初のイントロの感じが徐々に大きくなっていってレッツ、パーティー!っていう感じではじまって、しっとりした部分もあって、最後はあるあるネタが来て突っ込まれて終わるのが面白いなぁと思いました。
——「IN THE HOUSE」みたいなお泊り会はしたことあるんですか?
HIKARU:1回あるよね。
MIRI:でも、私いつもオールするオールするって一番うるさいんだけど、いっつも最初に寝ちゃうタイプで、すぐ寝ちゃったんですよ。
HIKARU:初オールは結局できなかったんです。HIMEに「オールしよう。オールしよう」って言った瞬間に私、寝てたらしくて。
HIME:HIKARUに「頼むからオールしよう」って言われて、それを間に受けて超真剣に起きてて、でも隣見たら、いびきかいて寝てるんですよ。
——そういうエピソードをEチケさんは、本人たちに取材したりしてるんですか?
Eチケ :BLOGを読んだり、楽屋で話してるのを盗み聴きしたり……。
三人:こわい〜(笑)。
——シングルが発売になって、12月21日には、2ndワンマンライブ「MAGIC PARTY VOL.2」がありますが、締めくくりとしてライブに向けての意気込みを教えてください。
MIRI:復活してはじめてのワンマンライブで、前回のワンマンライブから一年とちょっとなので、成長したなってことを見てもらいたい。同時に「今、私たちはここにいるよ」ってことを、改めてみんなに伝えられたらと思います。
HIME:前回の2倍くらいの大きさなんですよ。1stワンマンライブは緊張したことしか覚えてなくて、4人だったけど、結構しんどかったんですよ。だから今回、3人でもっと倍のところにいるわけだから、メンバーのサポートもしたいと思ったし、ずっとリリースイベントが続いてワンマンだと体力面でも忙しいなと思って気持ちが焦ったりするので、メンバー同士で支えあっていければと思います。当日はツアーに来てくれた方に満足して帰ってもらえるようにしたいです。
HIKARU:ライムベリー復活して、もうこの時期にワンマンが出来るってのは本当にありがたいことで。最初はあんまりお客さんが来ないのかなぁとか、復活してからのライムベリーをあんまり気に入らないって人もいるかと思ったんですけど、そんなこともなくて。キャパの大きいところでやらせてもらえるから、感謝を返して、今後のライムベリーも応援していただけるようにがんばりたいと思います。リリースイベントツアーを経て復活後の集大成的なものになるので、絶対来て欲しいです。
(取材・文=成馬零一)
デビューから3周年を迎えたライムベリーだが、激動の一年となった2014年に彼女たちは何を思っていたのか。そして再スタートの時に決めた覚悟とは。
参考:"可愛いラップ"を突き詰めたい ライムベリーが進む道
■活動休止と復活について
——2013年8月の1stワンマンライブの後、活動休止になって、翌年の4月にはメンバーが1名脱退されましたが、当時はどんな心境でしたか。
MIRI:とりあえず、いつ復帰ができるかなっていう不安と期待でいっぱいでした。私自身も正直、このまま無くなるんじゃないかって思った時期もあったりして。でも、「終わり」って誰かが言うまで、ライムベリーは続く可能性はあるから、そこに向けてがんばっておかないと。復活した時に、「休止の期間が痛かったよねぇ。この期間で落ちたよねぇっ」て、言われないようなライブがしたいって気持ちと、みんながどんな反応をしてくれるのかな、という期待がありました。
復帰が決まった時は、嬉しかったですけど、それよりも先に、大丈夫かなって思いました。MCが3人から2人になるって「1人欠けるだけじゃん」って思う方もいるかもしれないけど、結構大きくて。実際に歌ってみるとその重さを知るというか。
ラップなんで、言葉が多いじゃないですか。ホントに大変で疲れるんですよ。でも、一人減ったことでパワーが減ったなんて言われたくないし、ライムベリーはせっかく今出来ることが奇跡に近いことで、ちゃんとやらせてもらってるのだから、このチャンスをモノにしようと思いました。
HIME:休止期間は、ファンの方にホント申し訳ないなって思って。Tシャツ買ってくださったり、チェキ撮ってくださったり、毎回ライブに来てくれた方もいたので、このまま終わったら、最後のライブもやってないし、何も感謝を言いに行けないし。どうしたらいいんだろうって。
——復帰ライブで、HIMEさんがMCで「覚悟して決めたことだから」って言ったのが、すごく胸に突き刺さりました。その時の“覚悟”という言葉を補足すると、どんな気持ちですか。
HIME:もう、終わる寸前だったから。あの時、普通だったら終わってたと思うんですよ。それでもやるって決めたってことは、寝ないで動いてくれたスタッフさんもいるし、早い段階で意思を固めてくれたメンバーもいるから、それをちゃんと背負って、ちゃんと前に進もうっていう意味の“覚悟”です。
HIKARU:はじめはあんまりDJ HIKARUのキャラに納得してなくて、いつまでメガネと三つ編みにするんだろうとか思ってたんですけど、徐々に定着していって、好きになってくれるお客さんもいらっしゃったので、休止はもったいないかなぁって気がして。私はやめたメンバーと一緒にいることが多かったので、びっくりしたんですけど、楽曲も好きだったし、ラップとアイドルという要素も面白かったのでライムベリーは続けたいなぁと思ってました。
結構、先延ばしになっちゃったんですけど、それでも復活できたのでよかったです。
——休止の間にメンバー同士で集まって話したことはありました?
三人:何回かはあったよね。
HIME:でも、自分たちで決められないから、話しても進まないじゃないですか。やりたいって気持ちもあるけど、不安も大きくなって。だから辛かったよね。
MIRI:何していいかわかんないしね。
■新体制のライムベリー
——3MCから2MCになって、思った以上に以前とは違うものになりつつあると思うのですが、ライブを積み重ねる内に意識的に変えていったことはありますか?
MIRI:3人の時って、みんなで歌うパートは、1人抜けてもなんとかなったんですよ。でも2人になったことで、どっちか1人休むとダメになるんですよね。だから、「私がやらなきゃいけないんだ」っていう自分に対する責任感がすごく強くなったんじゃないかなぁと思ってます。
——2人の役割分担がはっきりしてきたと思うんですよ。攻撃的な煽りはMIRIさん、かわいいパフォーマンスはHIMEさんみたいな。
MIRI:それは自然に決まっていったよね。
HIME:お互いいっしょにいる時間が長いので良いところもできないこともわかってるので。これは、私が得意だなってところ自分でやって。MIRIちゃんの特技が煽りがうまいのはわかるので、MIRIちゃんが何か言う時はそこでは黙るし、そこでカッコいいこと言ってくれるのはわかるので。
MIRI:それはすごく助かってる。HIMEはかわいい存在じゃないですか。声もかわいいし行動もかわいいし、スタイルもかわいいし、みんなかわいいじゃないですか。だから、かわいいのは全部任せてるんです。私がかわいいことやってもキモイって言われるから(笑)。多分、HIMEがいるからアイドルラップって言えるんですよね。
——ライブの振り付けはメンバーが考えてるんですか。
Eチケ:きっちりしたダンスはメンバーに振り付けしてもらって、それ以外の部分は自由に動いてもらったり、ラフにリクエストしたりしています。
MIRI:基本は自由ですね。本番での動きはMIRIたちの気分で変わることも多いです。
——HIKARUさんは、歌うパートが増えて、DJだけじゃなくなってきてますけど。
HIKARU:歌ばかりやってたので、ラップが本当にできなくて。二人のスキルがどんどん上がってきてるから、さらに差ができちゃうんですよ。もともと、声が高いので浮くんですよね。あっ浮いてるって思って、だからなるべく浮かないようにしてます。
HIME:HIKARUは出番前に、なるべくこっちに声の高さが合うように確認してくれたりとか。サビにも入ってくれて、いろんな場所で助けてくれて。機材のこともあるのに、器用にカバーしてもらっています。
——いずこねこのカバー曲の「BluE」や「きみとぼく」みたいな、HIKARUさんを全面に出す曲も増えてますね。
HIKARU:ありがたいことです。
——HIKARUさんは最近、EQ(イコライザー)で音を調整していて、ライブが以前より迫力を増したと思います。普段、DJの練習はされているんですか?
HIKARU:YouTubeで見たりします。家にCDJがあるので参考に。
——ラップだけじゃなくて「アンサーアンサー」や「きみとぼく」みたいなテクノ系の曲も増えていますが、今後はラップとテクノの配分は変わっていくんですか?
Eチケ:ラップメインという配分は変らないと思います。「きみとぼく」は歌モノですが、滅多に作らないタイプの曲として考えました。歌詞も普段のメンバー目線とは違うメッセージを込めてみました。
MIRI:メッセージね。
HIME:心を込めて、がんばったんだよね。
HIKARU:あの歌を歌わせていただくなんて光栄です。ライムベリーが恋愛モノって珍しいなと思って。恋愛モノで男の子の視点からの歌なので、私もイメージができなかったので、色々教えてもらいました。
■『IDOL ILLMATIC』について
——今日のライブもすごく楽しかったです。リリースイベントが続いていますが、手応えはどうですか?
HIME:手応えはすごく感じています。いつも来ていただいている方はもちろんなんですけど、インストア・イベントだと普通のお客さんも見ていただいて。今日は360度お客さんがいて、どこをみても笑顔で見てくれているのを身近に感じました。
——子どもが、後ろで踊ってましたね。
MIRI:すごい嬉しい。ほんと微笑ましいですよね。
——11月19日にニューシングル『IDOL ILLMATIC』が発売されました。MIRIさんは「これならいける」と思われたそうですが。
MIRI:最初に聴いたときは、今までの曲とは雰囲気が違うメジャー感があって「おおっ」て、感じました。カッコイイ曲だけど、みんなでクラップができて、はじめてのお客さんでも盛り上がれる曲なので、自分のものにして、しっかり歌っていきたいなと思いました。
HIME:はじめて聴いた時にとても楽しいと思ったから、ライブのときに初見の人が一番に食いついてくれると思いました。いつもは「早く覚えたいな」って思うけど、この曲はライブで早く披露したいと思いました。
HIKARU:サビとかも参加しやすい感じなので、「掴みにきたな」と思いました。
E TICKET PRODUCTION(以下、Eチケ):とあるレコーディングを見学したんですが、すごくいい体験だったんですよ。ヒップホップの初期衝動を感じて、それに感化されて勢いで曲を作ったら手応えがあるものができました。代表曲になる予感があったので、歌詞も象徴的な作りを意識して。もともと「手ヲ叩ケ」っていう「しあわせなら手を叩こう」みたいな、困ったことがあったら手を叩いて解決しようっていう曲をデモで作ってたんですよ。その曲にあった盛り上がるパートだけを「IDOL ILLMATIC」に差し込んだり、アイデアを詰め込んで完成させました。
——PVも発表されましたが、撮影はどうでしたか?
HIME:学校を借りて撮影したんですけど、普通に学生なんで、あんまり違和感がなくて。まるでメンバーと同じ学校に通ってるみたいな雰囲気があって面白かったです。
HIKARU:エキストラさん(「いもうとシスターズ」の高梨あい・香月杏珠・木内麗華・永山せりあ・河合まゆが参加)がいたんですけど、私たちより若いんですよね。中一くらいにライムベリーやってた時は「えぇ中一なの?」って驚かれてたけど。
MIRI:一番年下だったのに、最近は年上になってきたよね。
——HIKARUさんがMPCという電卓みたいな機械を叩いてましたが、あれは、何だかわかりましたか?
HIKARU:あれは……ドゥンドゥンみたいな(笑)。とりあえず叩いてみてって言われて。リハーサルって言われて叩いたのが普通に本番のテイクで使われて、だから一回しか撮ってないんですよ。だから「これでいいの?」って感じで。でも始めての体験で面白かったです。
——「IDOL ILLMATIC」ってすごいタイトルですけど、みなさんは「ILLMATIC」って、どういうふうに説明を受けましたか?
三人:ヤバイとかカッコイイとか(笑)
——ライムベリーの歌詞って、マニアックな固有名詞やヒップホップ用語が出てきますが、あれはメンバーにはどのくらい説明するんですか?
Eチケ:歌詞を渡す時に毎回、最後に歌詞の説明コーナーがあって、例えば、「R.O.D.」の「AKAIのPAD」だったら、MPCっていう機材があるとか。他には、「doopはヤバい」「illもヤバい」みたいな感じのニュアンスで。
HIKARU:説明がざっくりしてて、何かシュールで面白いんですよ。
HIME:歌詞のこの意味もかけてるんだって思って、楽しいよね。
——NASはわかりましたか?
HIME:わかります。家のパパの部屋のカラーボックスにステッカーが貼ってあって、これだって思ってて。
——3年も活動していると、ヒップホップに対する知識も増えてくると思うんですけど、元ネタに対する意識ってデビュー当時に比べて変わりましたか?
MIRI:ファンの方がすごく調べてくれてアルバムを持ってきてくれたりするので、それをありがたく聞いたりしてます。
■「IN THE HOUSE」とお泊まり会
——2曲目の「IN THE HOUSE」は復帰ライブで初披露となったライムベリーの再スタートを象徴する曲だと思うのですが。
HIKARU:私たちのあるあるネタですね。
MIRI:すごいかわいらしい歌詞で、10代の私たちにぴったりな今しか歌えない曲かなぁって思って。MIRIたちがお泊りしたのをそのまま歌った曲だから、ファンの人たちからも愛されているイメージがすごいあります。復帰ライブで最初に歌ったときのことは、ほんとに認めてもらえるだろうかって想いが色々あって、緊張して何も覚えてないです。
HIME:「R.O.D.」はかっこよくラップしなきゃとか、「We did it」は遊園地にいる雰囲気を出さなきゃとか、他の曲は結構、雰囲気を作りこんで歌ってるんですけど「IN THE HOUSE」はいつもどおりの私たちの歌なんですよ。復活ライブだから緊張したんだけど、この曲だけは良い意味で気を抜いて歌えるので歌いやすいです。
HIKARU:最初聴いたときはすごくおしゃれな曲だと思いました。最初のイントロの感じが徐々に大きくなっていってレッツ、パーティー!っていう感じではじまって、しっとりした部分もあって、最後はあるあるネタが来て突っ込まれて終わるのが面白いなぁと思いました。
——「IN THE HOUSE」みたいなお泊り会はしたことあるんですか?
HIKARU:1回あるよね。
MIRI:でも、私いつもオールするオールするって一番うるさいんだけど、いっつも最初に寝ちゃうタイプで、すぐ寝ちゃったんですよ。
HIKARU:初オールは結局できなかったんです。HIMEに「オールしよう。オールしよう」って言った瞬間に私、寝てたらしくて。
HIME:HIKARUに「頼むからオールしよう」って言われて、それを間に受けて超真剣に起きてて、でも隣見たら、いびきかいて寝てるんですよ。
——そういうエピソードをEチケさんは、本人たちに取材したりしてるんですか?
Eチケ :BLOGを読んだり、楽屋で話してるのを盗み聴きしたり……。
三人:こわい〜(笑)。
——シングルが発売になって、12月21日には、2ndワンマンライブ「MAGIC PARTY VOL.2」がありますが、締めくくりとしてライブに向けての意気込みを教えてください。
MIRI:復活してはじめてのワンマンライブで、前回のワンマンライブから一年とちょっとなので、成長したなってことを見てもらいたい。同時に「今、私たちはここにいるよ」ってことを、改めてみんなに伝えられたらと思います。
HIME:前回の2倍くらいの大きさなんですよ。1stワンマンライブは緊張したことしか覚えてなくて、4人だったけど、結構しんどかったんですよ。だから今回、3人でもっと倍のところにいるわけだから、メンバーのサポートもしたいと思ったし、ずっとリリースイベントが続いてワンマンだと体力面でも忙しいなと思って気持ちが焦ったりするので、メンバー同士で支えあっていければと思います。当日はツアーに来てくれた方に満足して帰ってもらえるようにしたいです。
HIKARU:ライムベリー復活して、もうこの時期にワンマンが出来るってのは本当にありがたいことで。最初はあんまりお客さんが来ないのかなぁとか、復活してからのライムベリーをあんまり気に入らないって人もいるかと思ったんですけど、そんなこともなくて。キャパの大きいところでやらせてもらえるから、感謝を返して、今後のライムベリーも応援していただけるようにがんばりたいと思います。リリースイベントツアーを経て復活後の集大成的なものになるので、絶対来て欲しいです。
(取材・文=成馬零一)
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