ReoNa「ガジュマル~Heaven in the
Rain~」に込めた思慕の情と、絶望の
向こう側の物語、ReoNa自身、ファン
、そしてお歌 

「絶望系アニソンシンガー」ReoNaが自身9枚目となるシングル「ガジュマル~Heaven in the Rain~」をリリースする。TVアニメ『シャングリラ・フロンティア』第2クールEDテーマであるこの楽曲は、今までになくウェットなバラードであり、ReoNa自身の思い出も詰め込まれた一曲となっている。この曲で歌われているのは絶望だけではなく、「会いたい」という思慕の情。デビュー五年目を超えた彼女が絶望の先に歌い上げた思いはどんなものなのか。同録されている楽曲に関しても思いをたっぷりと語ってもらった。

■「ガジュマル」は“じいじ”との思い出
――9枚目のシングル「ガジュマル~Heaven in the Rain~」が発売されます。TVアニメ『シャングリラ・フロンティア(以下シャンフロ)』第2クールEDテーマとしてすでに放送中ですが、どんな楽曲になりましたか?
ReoNaの曲としては、ここまでのバラード曲っていうのは意外となかったんじゃないかと個人的に思っています。本当にEDテーマという感じの曲になりました。
――ReoNaさんは『ソード・アート・オンライン(以下SAO)』の楽曲を担当していますが、今回の『シャンフロ』もオンラインゲーム、それもフルダイブ型のゲームを舞台にした作品です。繋がりみたいなものって感じられたりしますか?
フルダイブ型オンラインゲームの中のNPC(ノンプレイヤーキャラクター)と人の違いだったり。『SAO』というきっかけもあって、考えさせてもらえる時間は、ちょっと人より多かったんじゃないかなって思います。全然違う話になっちゃうのかもしれないのですが、先日毛蟹さんと話をしてて、過去にやったことがあるゲームの話になったんです。
――ええ。
そこで『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』の話になって。ビアンカとフローラどっちを選んだみたいな話になったんです。私の親くらいの世代から今まで、こんなに論争になり続けているって事は、私たちプレイヤーも真剣にゲームをプレイしているからこそ、NPCがただのキャラクターじゃなくて、人間と同じになるというか、凄い力を持つ瞬間があるって毛蟹さんと話してたんです。そんな世界観に寄り添わせて頂いてるな、と思います。
――『シャンフロ』第2クールの物語は、墓守のウェザエモンと遠き日のセツナにまつわる物語がメインとなってきます。それをかなり意識して作られた楽曲だと思うんですが、ウェザエモンが登場するユニークシナリオEX「此岸より彼岸へ愛を込めて」の舞台は桜が咲いています。そこに対してこの楽曲には「ガジュマル~Heaven in the Rain~」という自身のパーソナルをかなり埋め込んでいると思うんです。これはどういう意図なのでしょうか。
まず、セツナとウェザエモンの物語に寄り添わせて頂くとなった時に、 “想い”の部分に寄り添いたいと思ったんです。大切な人との別れっていう部分を考えて、私の中で一番真っ先に出てきたのがおじいちゃん……じいじとの別れだったんです。じいじに伝え残したことも、言えなかったこともいっぱいあるなって思って。今回の楽曲のスタートは、じいじに手紙を書くところからがスタートなんです。ありのままの気持ちを書いていった時に、改めて伝えたいものがいっぱい溢れてきて。
――お祖父様のことを想われていた曲だったんですね。
その手紙を元にハヤシケイ(LIVE LAB.)さんとアニメとの軸も考えつつ、歌詞に落とし込んでいきました。
――ガジュマルはお祖父様との思い出なんですね。
ガジュマルはじいじとの思い出を紡いでいく中で出てきたキーワードで。正直タイトルになるとは最初思ってませんでした。
――その話を聞くとインタビューとしては掘り返さざるを得ないと言うか、プライベートをお伺いすることになりますが、お祖父様はどんな存在だったんでしょうか。
子供の頃一緒に過ごしていたんです。幼少期に両親と離れて過ごしてた時間があったので、その時はもうほぼ親代わりというか。その後はずっと一緒にいられる存在ではなくなったんですけど、年に1~2回会うからこそ、安心して話ができる存在でした。多分単なる祖父以上の存在ではあったと思います。大人になってからも東京で行き詰まることがあると、積極的に島に帰るようにしていたので、振り返ると本当にいろんな時期のじいじが記憶の中にはいるな、と思います。
■「しょうもない」と感じていたものが価値を得た
――家族の思い出ってその人の中で大事なもので、それを楽曲にのせるっていうのは、パーソナルな思い出をパブリックなものに転換させる行為なんじゃないかと思うんです。しかもアニソンにするということで、アニメの想いも伝えないといけない。そこに対する抵抗感みたいなものってあるんでしょうか。変な言い方ですが、自分の思い出を切り売りするというか……。
抵抗感はないです。そもそも活動をするにあたって、私ずっと自分の人生を振り返って“しょうもない”って言葉で表現することが多かったんです。自分の過ごしてきた半生はあまりいいものだと思えていなかった節があって。でも「アーティストになるっていうことは、今、自分が“しょうもない”と感じているものや、傷ついた過去たちが、ひっくり返って価値があるものに変わる職業だから」って言ってもらえたことがあって。それ以降、自分の過去やパーソナルな部分を削って届けることに対する抵抗みたいなのものは、あまりないと思います。
――同じ地元、奄美大島のことを歌った曲だと、以前「ネリヤカナヤ ~美ら奄美(きょらあまみ)~」もリリースしていますが、それよりもっとReoNaという存在のパーソナルな部分に寄っている楽曲だと思います。作詞もReoNaさん、ハヤシケイさん。作曲毛蟹さん、編曲Panさんと宮野幸子さん。強力な布陣ですよね。大事な一曲なのだとメンバーを見るだけで思ったんです。
そうですね。
――良い曲を作って、それをタイアップ作品とする、でも自分の想いもきっちりとのせる。というのが、すごくReoNa的な音楽だと思うんですけど、同時に今までReoNaが作り上げてきたアーティストとしての神秘性だったり、世界観みたいなものが、パーソナルを見せることによって薄まっていく部分もあるんじゃないかと。
そういう部分もあると思います。思い描いていたReoNa像から、過去を知れば違いがある可能性だってあるかもしれない。
書籍として『Pilgrim』をリリースして、お仕事っていう形で初めて奄美に帰ったり、「ネリヤカナヤ ~美ら奄美~」という曲ができたり、その積み重ねの先にこの曲「ガジュマル~Heaven in the Rain~」があるので。私がアーティストとして走り始めた当初では、自分のじいじの曲を書くなんて思っていなかったし。少し前までならじいじに手紙を書いて、それを曲に、って言われたら尻込みしていたかもしれない。そういう部分で言うと、私の中での見せたい自分像が変化してきているのかもしれないです。
――変化してきている部分はあるんですね。露出も増えてきたと思いますし、ReoNaさんのパーソナルを知りたいというファンも増えてくるんだと思います。
こういう人間が歌ってます。
こういう思いで歌ってます。
こういうことが過去ありました。
こういう部分を知って欲しいです。
こういう部分を共感して欲しいです。
っていう思いが、その人が曲をもう一歩知る、もう一歩愛する一助になってくれたら、私自身のことを知ってもらえる意味はあるなと思います。
――音楽を知ってもらうのが第一。
デビューしてからのこの5年間って、曲に出会ってから私っていう存在を知ってくれる人の方がきっと増えてきているんじゃないかなと思っていて。
――それはそうだと思います。アニメの曲を聴いて、ReoNaを知るというのは絶対にある。
それって私にとってはすごく誇らしいことなんです。元々そういう存在になりたかったから。だから曲から出会ってくれて、ReoNaに興味を持ってもらえた時、少しでも他の曲が気になる存在で居たいと思います。
――変化している部分もあるけど、「絶望に寄り添う、手も引かない、背中も押さない」というのは変わらないんですね。
変わらないです。きっとこれからも絶対に変わらないと思います。
――この間、開催された『ふあんぷらぐど2023』追加公演(2024年1月19日KT Zepp Yokohama公演)のステージで、「ガジュマル ~Heaven in the Rain~」をライブで初披露されました。
はい、この曲だけマニピュレーターの篠崎恭一さんにも入ってもらって、原曲に近い形でお送りさせて頂きました。
――初披露、歌ってみた感想、反応はどうでした?
初披露ではあったはずなのに、「ガジュマル ~Heaven in the Rain~」に向かうまでの楽曲の流れや紡いでいた言葉がすごく自然に感じたんです。「HUMAN」から「ガジュマル ~Heaven in the Rain~」だったんですけど、このメッセージを届けるのにふさわしい曲順だった気がします。
――ひょっとしたらこれからReoNaのライブの中で、大事なポジションを担う曲なんじゃないかなと思ったりもします。
そんな気がします。
■「HUMAN」を作った時に、私の中で曲に引っ張り上げられた感覚があった
――ご自身的にはバラードを歌う、ということに関しての得意、苦手という意識はあるんですか?
もともと私、アップテンポよりバラードの方が得意だと勝手に思っていたんです。でも自分のことを知れば知るほど、バラードって本当に難しいなって思います。改めてバラードって、すごく試されるなって思いました。
――それをシングルとして出してくるのは自信だったり、チャレンジの現れなんでしょうか。
「HUMAN」を作った時に、私の中で曲に引っ張り上げられた感覚があったんです。曲に一歩先に踏み出させてもらったというか。もちろん今までいろんなタイプの楽曲を歌わせてもらってるからこそ、得るものがない楽曲ってないんですけど、「HUMAN」の時は特にグンと引き上げられたと言うか。その感覚はそれで終わりじゃなくて、まだもう一歩、その道の先にあったなって「ガジュマル ~Heaven in the Rain~」を歌って感じました。
――なんか絶妙なラインをついている曲というか、うまく隙間を作っていると思ったんです。言葉の隙間に聴いている人間の思いを汲んでくれている感覚というか、「ReoNaの歌っていることって、自分にも当てはめられる」って思える。そういう余白の作り方が非常にうまいと感じていて。
出来上がった楽曲を聴いていると、凄く解釈の余地があって。今生の別れじゃなかったとしても、別れには付随して後悔が生まれたりするものだと思うから。
――過去曲をライブで聴いていても、ユーザーが感情を差し込める隙間みたいのは少しずつ増えているような気がして、なんかその信頼関係は出来ているのかな、っていう印象はあります。
私の原体験が、誰かの共感するための種になってくれればいいけど、誰かの共感を阻害するものになってほしくないなっていう思いが凄くあって、自分が知っている思いで、知っている感情じゃないと表現できないとも思っています。
――デビュー当初「絶望」というキーワードの印象が強かったReoNaさんが、キャリア5年を超えて深みみたいなものが出てきたような印象もありますね。
あの頃は切実だったんだと思います。もう本当に何より切実な問題で、ずっと自分の心を覆っていたものが「絶望」だったんだと思います。それは無くならないけど、その向こうや、横にあるものに目をやるぐらいの人間にはなれたのかもしれない。
――でも視界からは消えない、ということなんですかね。どんなに視点変えてもチラチラする。
そうですね。でも、そういう人は多いんじゃないかなって思います。悲しい出来事の支配力ってすごく大きいので。どんなに嬉しい言葉をいっぱいもらっても、たった一件SNSで心ない言葉を言われただけでズンってなるし。今日は良い日だったなと思っていたのに、家に帰ったらすごく昔のどうでもいいことを思い出して急に落ち込んだりとか。そういう薄暗い幕とは、ずっと付き合って生きてきたので、今でも変わらない部分です。
■初めて語る「じゃあな」誕生秘話
――では、そろそろ次の曲の話も聞かないと……初回盤と通常盤、期間盤で収録曲が違うのですが、両方に入っている曲の方から聞いていきたいと思います。「じゃあな」です。ご自身の決め台詞が曲タイトルになっています。改めて聞きたいんですが、なぜ「じゃあな」というのをご自身の決め台詞にされたのでしょうか。
まだどこにも話したことなかった気がするんですが、私もまさかこんなに長く付き合う言葉になるとは思ってなかったんです。きっかけはデビュー前になるんですけど、人生で初めてワンマンライブをやらせてもらった……多分18歳の誕生日かな。ワンマンライブってものを初めてやって、その時まだお客さんも80人とかで、アコースティックだったんです。当然デビュー前の10代だったので、舞台のはけ方なんて決めてないわけです。
――終わって、舞台から降りる時どう締めるか考えてなかった。
はい、今振り返ると恥ずかしい瞬間がいっぱいあるんですけど、たぶん照れ隠しだったんだと思うんです。とっさに「じゃあな!」って言って。そんなことを言ったことすら意識してなかったくらいだったんですけど、後で「そういえば、じゃあな!って言ってはけてきたけど、あれ毎回やるの?」って聞かれて。私本当に意地っ張りな逆ばり人間だったんで、じゃあ、毎回それ言ってやろうと思って……そこからの付き合いです(笑)。
――別に狙っていたわけじゃなかったんですね。
この言葉と一生付き合っていこうと思って発した言葉ではなかったです。
――なるほど、今「いじっぱりの逆ばり人間だった」という言葉も出ましたが、それは今でも変わらず?
変わらないところもあると思います、良くないなって思います。
――シングルカットされてもおかしくないぐらいパワーのある曲だと思いました。毛蟹さんのサウンド全開というか。これも作詞に関わってらっしゃるんですね。
「じゃあな」っていう言葉が当てはまっている時点で、作詞に私が関わるのは必須だったと言うか。曲ができるタイミングって本当にいろいろあって、今回でいうと、毛蟹さんが制作をしていく中で、何の前ぶれもなく「じゃあな」っていう言葉がはまった楽曲を出してきたんです。そもそも私の中でこの言葉を曲にするっていうアイデアはなかったので。
――そうですよね(笑)。
でも、これで「じゃあな」にもう一個意味が生まれたと思っています。毛蟹さんの中にある「じゃあな」を形にしてもらっていて、それに私が「こういう風にしたいんです」という感じで完成しました。
――逃げていい、と訴えている曲なのに、凄く疾走感があるのは面白いですよね。
こんなにレコーディングの段階から、ライブのことばかり考えている曲も、私の中では珍しかったと思います。歌う時にもずっとライブの絵が頭にあって。「じゃあな」って言うってことはライブだと最後なのかな、とか。
――改めて「じゃあな」ってフランクな語りかけですよね。グッと距離が近いというか。
はい、どうしてもライブを意識する部分は多いですし、強い楽曲を貰えたと思っています。
――自分の中で気に入ってる歌詞とかありますか?
切り出すの難しいですね。でも一番切実だと思う部分は「強くなんかなれやしなくて、勇気なんか持てやしなくて、自信なんかありもしなくて……」って部分。
――確かにそこはそうですね、加えて凄く毛蟹さんを感じる言葉もあって、二人の言葉が混ざっていくのが魅力的な曲でした。
最近で言うと「原作者」の時に思ったんですが、毛蟹さんがReoNaのことを考えずに作った楽曲でも、最後は私の言葉に戻ってきてくれる感じがあって。こういう部分が、これまで時間をかけて毛蟹さんと楽曲を作ってきた、ということなのかなって思います。
■今、さだまさしをカバーするということ
――そして、「不良少女白書」。さだまさしさん作詞作曲、ダ・カーポの榊原まさとしさんに提供した1981年の楽曲です。これは凄く時代を反映している楽曲だと思うんですが、荒幡さんの編曲もあって、全然古く感じませんでした。メロディーの良さって普遍的なんだなと、感じさせる曲なんですけど、とはいえもう今は「不良」って言葉、聞きませんよね。
確かに。私の世代でギリギリ聞いたことあるかも……くらいかもしれないです。髪染めたりとか、ピアスしたりとかすると、「そんな不良みたいな」って言われたような……。
――でも聴いて思ったこととして、結局いつの時代も悩んでいることって、あまり変わらないんだなと。
時代を経ても今も共感できる言葉たちだと思います。
――歌ってどうでした?
思っていた以上にすっと自然と歌えた気はしています。元々カントリーが好きって言ってきて、日本におけるカントリー的な曲たちって一体何なんだろうって思った時、フォークっていうキーワードが上がってきたんです。そこから「絶望年表」や「生きてるだけでえらいよ」っていう楽曲が出来てきて。さだまさしさんの楽曲も聴いていて。どこかで絶望系の大先輩と思っていた部分もあって。
――そう言われたらそうかも知れませんね。テイラー・スウィフトとか、エド・シーランが好きで、そこにフォークも紐づいてきて、ReoNaを経由することで古さを感じないのは素晴らしかったです。
ツアーを経て、荒幡亮平さん、山口隆志さんと一緒に曲を咀嚼できたからこそだと思います。この曲はライブを経てからレコーディングできたのが大きかったです。
■何故、シングルがこの曲順になっているかというのも感じてほしい
――そして最後の一曲「3341よ」です。Panさんの曲ですが、数字で「さみしいよ」と表記するのは面白いですね。
このタイトルはみんなで話していて、ここに終着したんです。もちろん作詞・作曲・編曲はPanさんなんですけど、LIVE LAB.名物の全員野球というか、みんなで集まって曲の話をしてたんですけど、タイトルだけ最後の方まで決まらなくて。いろんな案を出していたら、このタイトルが出て。満場一致で決まったんです。
――「不良少女白書」は初回・通常盤に、「3341よ」は期間盤に収録されているので対比してしまうのですが、比べるとやはりメロディー自体が今っぽいと思いました。加えて「ガジュマル ~Heaven in the Rain~」との対比も面白くて。『シャンフロ』目線で見れば、墓守のウェザエモンや、遠き日のセツナの感情にかなりフォーカスして聴ける曲という印象があって。
確かに。
――「Simoom」のときも思ったんですけど、Panさんって結構原作があるものに対して、彼自身の捉え方で面白いアプローチの曲を出してくる印象があるんです。「Simoom」は『アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】』の世界観を捉えていたし、今回の「3341よ」もそういう捉え方ができる。
私の中のオタクな部分で喋ると、ReoNaの曲って結構イメージソングにしやすい曲が多いなって勝手に思っているんです。自分の好きなキャラクターの関係値に、曲を当てはめられるというか。例えば「カナリア」って、『ハッピーシュガーライフ』の物語に寄り添わせてもらった曲ですけど、ああいう関係値のキャラクターって他にもいるよなって思えるし、曲が含んでいる成分がいろんな関係値にフィットしていたりすると思っているんです。この「3341よ」も、その解釈の余地がある成分が多い曲だと思っていて。
――「不良少女白書」も「3341よ」も、両方聞くと今のReoNaさんの振り幅が見えるっていう印象がありました。解釈の余地っていう意味で言えば、ウェザエモンとセツナだけでなく、セツナとアーサー(ペンシルゴン)の関係値みたいなところにもフォーカスできるというか。
作品の軸でこの曲が沢山紐解けるのは、私の中でも今新発見です。なんでアーサーが自分のハイレアアイテムから武器から全部投げ打ってでも、ユニークシナリオEX「此岸より彼岸へ愛を込めて」をクリアしようとしているのか……。
――これ、セツナがNPCだっていうのが意味深いと思っていて、そこに寄り添える曲をReoNaさんがやることに意味が出てくるのが積み重ねなんだよな、と。過去に『SAO』でキリトとユージオの友情に歌で寄り添っているから、説得力が生まれる。『シャンフロ』の期間限定生産盤に入るべき一曲だと思いました。
Panさん自身もこの曲を書いてた時に、「ガジュマル ~Heaven in the Rain~」の編曲作業もしてらっしゃったので、何回も直して何度もトライして行く中でこの曲が生まれたそうなんです。それだけ自分が追い詰められている状態で生み出したものだからこそ、素直に真っ直ぐ届く楽曲になってるんじゃないかと。
――なんかやっぱりその全員野球ってさっき言っていましたけど、CD1枚を通して作品に寄り添うみたいなところもあると思ったんです。
何故この曲順になっているかというのも感じてほしいです。
――では最後に……折角なので、お祖父様に伝えたいことがあれば。
じいじにですか、そうか、言霊は残りますもんね。じいじ、この曲を聴いてどう思ってくれてるんだろう……。
――どんな方だったんですか?
言葉数も多いわけじゃないし、厳格なところは厳格だし、他の人にはない愛情の角度で優しさをくれた人でした。私がデビューしたのは、じいじが亡くなった後だったんです。そうだな……

間に合わんかったけど、なんとなく私の中では勝手にいろんな節目を見守ってくれてるつもりでいたから……
もう返事がもらえることはないのはわかってるけど……
人間って忘れてっちゃう生き物だから、だから写真を撮って残したりとかすると思うの。この曲が出来て、歌うたびに思い出せるようになったから、何度だってじいじのことを思い出して歌っていくね。

って、伝えたいです。
インタビュー・文=加東岳史

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