吉田鋼太郎「観ないと絶対に損です」
~柿澤勇人、北 香那とともに登壇し
た、彩の国シェイクスピア・シリーズ
2nd第一作『ハムレット』製作発表

2024年5~6月に上演する、彩の国さいたま芸術劇場開館30周年記念 彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd第一作『ハムレット』。この度、製作発表が行われ、吉田鋼太郎、柿澤勇人、北 香那、の3名が登壇した模様を紹介する。
製作発表は来月3月1日(金)にリニューアルオープンを控えた埼玉県・彩の国さいたま芸術劇場 大ホールにて、抽選で招待された約200名の一般オーディエンスを迎え開催された。
撮影:宮川舞子
1998年にスタートした彩の国シェイクスピア・シリーズは、蜷川幸雄氏のもとでシェイクスピア全37戯曲を完全上演することを目指し、国内外に次々と話題作を発表。シリーズ完結間近でこの世を去った蜷川氏から芸術監督のバトンを引き継いだ吉田鋼太郎は、2017年から残された5作品を見事に上演し、2023年2月に『ジョン王』の上演をもってシリーズを完結させた。
演出/クローディアス役:吉田鋼太郎           撮影:宮川舞子 
しかしその後も、新たなシリーズを望む声が多く寄せられ、ついに、2024年5月、吉田鋼太郎が新たに立ち上げる「彩の国シェイクスピア・シリーズ 2nd」の始動が決定。その記念すべき一作目に選んだのは、シェイクスピア不滅の金字塔『ハムレット』。主演のハムレット役は、吉田がこのタイトルロールを演じてほしいと熱望した柿澤勇人。また、ハムレットの恋人・オフィーリア役に北 香那など、新シリーズの開幕に相応しい清新な顔合わせが実現。
ハムレット役:柿澤勇人           撮影:宮川舞子
オフィーリア役:北 香那           撮影:宮川舞子
また、本シリーズとして2024年の『ハムレット』上演後は、来年25年に『マクベス』、再来年26年に『リア王』の上演を予定している。
途中、客席へ「『ハムレット』はどんな話だと思いますか?」と問いかけ、吉田から直接指名された観客のひとりがあらすじを説明する場面も。
撮影:宮川舞子
製作発表の終わりには観客も参加可能なフォトセッションが設けられ、和やかなムードの中、終了。吉田のシェイクスピアの造詣の深さや、柿澤、北をはじめとする俳優たちへの信頼がうかがえる会見となった。

撮影:宮川舞子

【ストーリー】
デンマーク王国では、2ヶ月前に王が亡くなり、先代の王の弟クローディアスが王に即位。そして、先代の王妃ガートルードはクローディアスと再婚する。父の死の悲しみも冷めぬ間に母が叔父と再婚したことに、王子ハムレットは憤りを感じていた。
ある日、従臣から亡き王の亡霊が夜な夜なエルシノアの城壁に現れるという話を聞き、ハムレット自身も確かめに行く。父の亡霊に会ったハムレットは、父の死はクローディアスによる毒殺であったと告げられ、復讐を決意する。
やがて、叔父クローディアスが父である王を暗殺した確かな証拠を掴んだハムレットは、王妃ガートルードとの会話を盗み聞きしていた侍従長ポローニアスを、クローディアスと誤って刺殺してしまう。ポローニアスの娘で、ハムレットの恋人であったオフィーリアは、悲しみのあまりに正気を失い、川で溺死してしまう。
ポローニアスの息子であったレアティーズは、父と妹の仇をとろうと怒りを募らす。クローディアスはハムレットの存在を恐れ、復讐心を持ったレアティーズと結託してハムレットを剣術試合に招き、毒剣と毒入りの酒を使って殺そうと画策する―。

会見コメント
■吉田鋼太郎(演出/クローディアス役)
撮影:宮川舞子
この劇場では25年近く、シェイクスピアシリーズをやってきました。ひとくちに25年と言っても、それが劇団だとしたら25周年という随分長い期間になりますし、25歳の人が25年経ったら50歳で、息子や娘が舞台役者を目指して劇団に入る位の年月です。本当にそのくらい長い間、変わらず毎回満員のお客様の中でシェイクスピアを演じ続けて来れたということは本当に奇跡のようなことで、それを立ち上げて常にパワフルに走り続けてきたのが故・蜷川幸雄さんです。
そのあとを幸か不幸か、演出という形で任されました。幸か不幸かと申し上げましたが、不幸なんです。蜷川さんがやり残したシェイクスピア作品は5作品で、それらはほぼ上演されないような、難しい芝居でした。
去年小栗 旬さんの主演で『ジョン王』という、事実上の最後の公演を上演しました。蜷川さんの魂が僕の中にもあることを自負していますが、僕自身の血も入れながら蜷川さんの残してきた血脈のようなものを、魂だけは残そうと思って、できていたかはわかりませんが忠実にやったつもりです。
蜷川さんのひとつのポリシーとして、「シェイクスピアは大衆演劇だ」と常におっしゃっていました。僕達はイギリス人でも1600年代を生きる人間でもないので、現代の21世紀のお客様に伝わるようにひとつの架け橋を作らなければいけない。『ジョン王』では小栗さんを現代の青年として、劇場であるシアターコクーンがある渋谷の町から紛れ込んできた青年が舞台に上がってきたという形を取りました。
芝居というのはご存知の通り「PLAY」と書きます。遊びです。何をやったっていいんです。それを受け入れられるお客様もいればそうでないお客様もいるでしょうけれど、僕たちは好き放題やらせてもらいます。蜷川さんもずっとそうやってきたと思います。そのことだけは、蜷川さんから学んだこととして絶対に崩すまいと思ってやってきました。なるべく多くの人が喜んでくれる芝居をこれからも繰り広げていきたいと思っています。
『ハムレット』について言えばシェイクスピアが書いた36本の戯曲と『ハムレット』とで分けられる、それくらい特別な、演劇の最高峰と呼ばれている作品です。「父親が殺された」「母親が嫌な男と再婚した」、『ハムレット』は日常で起こりうる悲劇で、大したストーリーじゃないと思うんです。ではなぜ世界最高峰と呼ばれているのか? 今は言いません。これはぜひ観ていただきたいです。
僕は50年近くシェイクスピアをやっていますが、どうしても『ハムレット』だけはとことん自分が納得のいくものにしたいと思い、柿澤さん、北さん、そして素晴らしい理想のメンバーに今回来ていただきました。観ないと絶対に損です。劇場でお待ちしています。
■柿澤勇人(ハムレット役)
撮影:宮川舞子
3年ほど前に(吉田)鋼太郎さんと『スルース~探偵~』という二人芝居をやりました。その大千穐楽の終演後、帰ろうとした時に鋼太郎さんが「お前のハムレットが見えた」とおっしゃってくださったことを鮮明に覚えています。俳優ならみんな、誰しもがいつか挑戦したいと思う役だと思いますが、それを憧れの先輩でもあり、演出家である鋼太郎さんに「やろうぜ」と言っていただいたことがすごく嬉しくて、念願がって今に至ります。
おそらく僕の役者人生で一番の台詞量だと思いますし、自分の持っているものをすべてさらけ出しても追いつかないんじゃないかなという不安もあるんですが、鋼太郎さんを信じて、なんとかいい舞台を開けたいと思います。
■北 香那(オフィーリア役)
撮影:宮川舞子
自分がオフィーリアを演じるということが、(決定から時間が経った今も)まだずっと新鮮なまま嬉しくて、夢見ごこちのようなところがあるのですが、これからお稽古がはじまっていくにつれ、徐々に実感が湧いてくると思うのですごく楽しみにしています。
この作品をやっていく中で、きっと私は「こんなお芝居をする自分っていたんだ」という初めての出会いがあるような気がしていて、今すごくワクワクしています。

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