Galileo Galilei×BBHF対談、尾崎兄
弟が率いる両バンドの違いは「舞台と
スピーチ」ーーFM802『TACTY IN THE
MORNING』大抜卓人インタビュー完全

数々の青春ソングを生み出してきた、北海道のバンドGalileo Galilei。2016年に惜しまれつつも活動を休止したが、尾崎雄貴(Vo.Gt)・和樹(Dr)の兄弟を軸としたBBHFの結成を経て、2022年に再始動を発表。翌年には7枚目のアルバム『Bee and The Whales』をリリースした。それを機に、大阪のラジオ局 FM802で『802 BINTANG GARDEN Galileo Galilei Breath Again』と題し、1時間のスペシャル番組がオンエアされた。放送終了間際にDJの大抜卓人から放たれた何気ない一言をキッカケに、あるプロジェクトが動き出す。それが3月13日(水)から北海道、大阪、東京の3箇所で開催されるスプリットツアー『Tsunagari Daisuki Club "Galileo Galilei✕BBHF"』。そこでFM802『on-air with TACTY IN THE MORNING』(毎週月〜木曜日、6:00〜11:00)では、2バンドのメンバー全員にインタビュー。「演じる」Galileo Galileiと、「スピーチをする」BBHFと表現した2バンドの特徴を、大抜が丁寧に紐解いていった。RADIPASSアプリでは3月31日(日)まで完全版が配信中なので併せてチェックを。
●スプリットツアー、大抜卓人へのお返し●
ーーGalileo Galilei(以下、GG)は2007年に北海道の稚内市で結成されて、2010年にメジャーデビューを果たし、2016年に日本武道館公演を最後に活動を終了されました。その後オリジナルメンバーを軸にGGのサポートメンバーでもあったギターのDAIKI(Gt)くんが合流して、新たに結成されたのが「Bird Bear Hare and Fish」。その名前をキュッと(短く)してBBHFに変えたという歴史もありますよね。その間に尾崎雄貴くんはwarbear名義のソロ活動もあり、2022年にGGが再始動を発表しました。
岩井郁人(GG、Gt.Key):複雑(笑)。
ーー岡崎(真輝、Ba)くんはGGの再始動時に新たに加入したけど、元々BBHFのサポートメンバーなんだ。ということは、BBHFの歌も良く知ってるんだよね。
岡崎:もちろん。ファンとしてライブに行ったこともあります。
ーー(BBHFのギター)DAIKIくんは、前のGGのライブでギターを弾いて、GGのギタリストの岩井くんは、BBHFのプロデュースもしている。BBHFのベースはどなたが弾いているのですか?
雄貴:NewspeakのYoheyくんが弾いてくれています。DAIKIくんと元々CURTISSというバンドをしてたので、BBHFに新しい色味を加えてくれて、元々持っていたものが増長されていますね。
ーー色んな人が、色んな所をまたいで関係しているんですよ。ここらへんは徐々に紐解いていこうと思います。2023年6月にFM802で、新たなスタートを切ったGGの軌跡を辿る特番をオンエアしました。最後に「GGとBBHFの対バンライブをしたらおもしろいんじゃないの?」という話で盛り上がって、それが本当になっちゃったってことですよね?
雄貴:本当にそうです。卓人さんとお話しなかったら今回(の対バンは)なかったです。
岩井:頭にすらなかった。
雄貴:僕的にはお返しなんです。GGの再始動後初のライブも卓人さんと話していた『Radio Crazy』で。今回も実現させたいなと思って、僕からみんなに相談しました。
ーーありがとうございます。GGとBBHFのスプリットツアー『Tsunagari Daisuki Club』が2024年3月に札幌、大阪、東京の3箇所限定で開催されます。『Tsunagari Daisuki Club』というのは、雄貴くんが「繋がり」のあるアーティストを迎えて行うイベントで、2015年以来9年ぶり、2回目です。1回目はどんなアーティストを呼んだのですか?
雄貴:当時繋がりのあったTHE NOVEMBERS恋する円盤、僕らをプロデュースしてくれていたPOP ETCに出てもらいました。それがキッカケでTHE NOVEMBERSの小林(祐介)さんと強い繋がりができたので、THE SPELLBOUNDの対バンにBBHFとしてお誘いいただけたのかなと思っています。僕らの中で終演後も続いているものだったので、「GGで続けてたことを続けてみよう」ということで、この名前でBBHFを呼ぶことになりました。
ーーなるほどなー! でも、雄貴くんの喉に相当な負担があるんじゃないかなと、僕は思うんですよ。
雄貴:ハハハ(笑)。声の中で2人格作って、こっちは右を使って、こっちは左を使うみたいな感じで分けていこうかなと思います。
●「演じる」Galileo Galilei、「スピーチをする」BBHF●
DJ 大抜卓人とGalileo Galilei、BBHF
ーー僕が「やってみたらどう?」と提案した時、「いろんな感情がうごめいていると思います」と仰ってたんですよ。GGとBBHFのスイッチは、違うものですか?
雄貴:2023年12月に、(GGとしてフェスに出演した2日後に)BBHFとしてビルボード横浜でライブをしました。久しぶりのBBHFのライブだったのもあって、「BBHFはこうやってステージに立てばいいんだ」と気づけた瞬間でした。当時よりも、(GGとの)違いが自分の中で明確になっています。再始動を発表したころ、ファンには「曲を書く人間は尾崎雄貴だから、そこは変わらない」と言っていました。でも実際にライブをやってみたら、どうしようもなく違う。僕の中では、どっちもどちらかに影を落とすことはないし、照らすこともない距離感がある。違う銀河に行くみたいな感覚で、どんどん違いを仕掛けようと思っています。
ーーDAIKIくんはGGでツアーを周ってからBBHFでギターを鳴らした時に、演奏家として違うものを感じたのでしょうか。
DAIKI:自分がリードギタリストとして立つものと、後ろでサポートするという意味合いでも全然違います。GGのサポートに参加する前は不安でした。雄貴くんから電話で「とりあえず一回やってみない?」とお誘いをいただきましたが、ファンの皆さんも、自分自身も混乱しないかなと。でも実際に参加してみると、やっぱり別のものなんだなと実感できました。雄貴くんが分別をつけているかはわかりませんが、楽曲自体も構成が全然違います。もちろんレコーディングしているメンバーも違うので、楽曲もプレイスタイルも違う、別のバンドですね。
ーービートも違うだろうけど、和樹くんはご自身で切り替えできるんですか?
和樹:全く別の考え方で叩いています。GGは調和、全体を包み込むみたいなイメージです。
ーーアンサンブルのひとつとなるということだね。
和樹:BBHFは「俺がドラマーじゃい!」というか(笑)。そういう違いはあります。
ーー岡崎くんは、唯一ファン目線で客観的に見られる立場にいると思うんだけど、違いはありますか。
岡崎:BBHFのビルボードのライブで、キーボードとギターのサポートとして参加しました。GGは素の自分という感じ、BBHFのライブの時は個の強さが一番しっくりくるなと思っております。
ーープレイヤーの個性を前面に出しあって、それがひとつになったのがBBHFなんだ。岩井くんはBBHFをプロデューサー目線で見ていたと思います。
岩井:僕もGGのメンバーでもあるので、俯瞰して見れていないんですけど。GGにDAIKIくんが参加してくれることによって、僕のギタリストとしての色がより明確になります。逆もそうで。今回のGGのツアーを周ってみて、DAIKIくんとは全く質の違うギタリストなので、お互いを映えさせていると改めて思いました。雄貴が言っていた「影も光も照らしもしない」と同時に、お互いの微妙な違いがお互いの持っている本質を色濃くするところがおもしろいですね。
ーー以前、雄貴くんがGGとBBHFの違いを聞かれた時に、「どう答えるんだという気分になった」と話をしていたのに、今は明確に持っているね。
雄貴:僕の中でも「(公演の間が)近ければ近いほどおもしろいんだ」という異質な世界なんですよ。ファンの皆さんにも違うものとして捉えることより、比べてみてほしいです。僕らと同じようにおもしろいと思えるんじゃないかなと。
ーー少し前に雄貴くんと、2つのバンドで伝えたいメッセージについて「物語を紡ぐ方なのか、リスナーにメッセージを届けたいのか、明確にどっちかのバンドはそうありたいんだ」と話しをしていた記憶があるんだけれども、言葉のチョイスもあえて変えているのですか?
雄貴:自分の曲を聞き返して、作った時のことに思いを馳せるタイプではないんです。だからこそライブをやると「こういう歌詞を歌ってたんだな」と思い出すことがあって。ガリレオは楽曲で描いた登場人物と自分の考え方が違うこともあるので、演じています。舞台に上がってる感じ。逆にブルースのような、「俺はこう考えているんだけど、お前らどう思う?」みたいな気持ちは、BBHFの方が強いです。みんなの前でスピーチしてる。
●『TACTY IN THE MORNING』とのコラボも?●
ーー歌い方も違うだろうし、比べて聴いてみるのはおもしろいね。セットリストや構成は徐々にイメージしているのでしょうか。
雄貴:何にも考えてないです。何も考えてないけれども「きっとこういうかち合わせになるだろう」というのはあります。(発表時は)ファンに対して「戦うわけじゃない」と言ってたんですよ。でも今はお互いにパンチをかますつもりでやる方がおもしろいじゃんと思っています。DAIKIくんとも「BBHFぶっ倒す勢いでいくぞ」という話をしていたり。お互い相当全力でやります。
ーーメンバー構成は? 今日インタビューさせていただいているメンバーは、どちらのバンドにも出ると考えていいですか?
雄貴:そこも考えたいですね。BBHFでのDAIKIくんを観てもらいたいし、僕も当日はBBHFのDAIKIくんに目の前にいてほしい。この間気づいたんですけど、BBHFの時は歌いながらずっとDAIKIくんのギターを見ているんです。だから(メンバーを)変えていくんだろうなと思っています。僕がどっちもガチで行ける形態がベストですね。
ーーDAIKIくんに託されているというわけですね。
DAIKI:頑張ります。「対バン」という言葉があるように、「仲良しこよしでやるんじゃないぞ」という気持ちは昔から持っていて。今回は同じメンツもいるんだけれども、対するという意味合いで、気持ちを込めようかなと思っています。
ーー「俺だー!」というBBHFと、「調和で!」というGGとだと、BBHFを先にやった方がいいんじゃないですか?
和樹:確かに、お客さんからの見え方としても、どっちの方がいいんだろうというのはあるかもしれない。
雄貴:ボーカルとしては、BBHFをお尻にやりたいですね。和樹は違ったりするのかな。
和樹:うんうん。自分もGGやってからBBHFの方がいい。
岩井:決定しつつあるな。僕もライブが終わってお酒を飲みながらBBHFを観たいので、GGからBBHFで(笑)。
岡崎:自分も岩井さんと同じで(笑)。
岩井:こう言ってますが、真面目に考えますね。
ーー当日のお楽しみということで。当日といえば大阪公演ですけど、僕が担当しているFM802の番組『TACTY IN THE MORNING』とコラボできたらなと思ってるんですけどね。先攻後攻の間を繋ぎますよ(笑)。
雄貴:心からお願いしたいです(笑)。
ーーあとそれぞれのバンドのバックグラウンドを、もっと知ってもらうような映像を流してみるとか。両バンドのキーとなる北海道で、こういうメロディーが生まれているんだとわかるような映像も、観てもらえた方がいいかなと思うんですけどね。
雄貴:横浜のビルボードライブが、人生初めての2回まわしだったんですよ。最初長いなと思ったんですけど、公演と公演の間の1時間半がめちゃくちゃ大事だったんですよね。まったく同じライブを同じセットリストなのに切り替えることができたんです。卓人さんが仰ったように、せっかくスプリットをやるんだったら間に時間を置きたいので、切り替わる何かが欲しいです。
ーー切り替えられる何かね。開催までまだ時間はありますので、じっくり打ち合わせしながらできればと思います。リハーサルに入るのはいつごろ?
雄貴:1か月前くらいには準備をし始めるんじゃないかなと思います。BBHFはこの間DAIKIくんに札幌に来てもらって、2週間くらい一緒に曲作りをしたんです。昨年12月にリリースした「エデンの花」以外にも、その中で生まれた曲があるので披露するかもしれません。GGはツアーの時に「すげーアルバム出すから」と約束しちゃったから、(リハーサル以外は)それを制作しようかなと。
ーー制作はどっちもやっていくんだ。2バンドの話がたっぷり聞けたのも、なかなか貴重な機会だったな。3月は、どんなライブになるんでしょうね! どんな感情で我々も聴くのか。セットリストも楽しみだなあ。貴重な時間をありがとうございました。
一同:ありがとうございました!
取材=大抜卓人(FM802 DJ) 文=川井美波

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