新国立劇場、「こどものためのバレエ
劇場 2024」で『人魚姫』を上演 振
付は貝川鐵夫

2024年7月27日(土)~30日(火)新国立劇場 オペラパレスにて行われる、「こどものためのバレエ劇場 2024」公演で、貝川鐵夫振付の新国立劇場バレエ団委嘱作品・世界初演『人魚姫』を行うことが発表された。
「こどものためのバレエ劇場」とは、新国立劇場が2009年より次世代を担う子どもたちが、優れたバレエ芸術に触れられる機会を提供する目的で実施してきた。子どもの“バレエ観劇デビュー”を考えながらも、全幕のバレエを観るには少し早いと感じている低年齢層の子どもがいる家庭や、初めてバレエを観劇する方に向けて、バレエの美しさ、楽しさを1時間半前後に凝縮した『しらゆき姫』(2009年)、『シンデレラ』(2012年)、『白鳥の湖』(2016年)、『竜宮 りゅうぐう』(2020年)と新制作上演を重ねてきた。2023年には、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ「First Steps:Swan Lake」を日本向けにアレンジし、ナレーターによる、バレエの舞台を構成する要素の解説やストーリー展開のナレーションなどを挟みながら、第3幕を中心に『白鳥の湖』の魅力を凝縮した「エデュケーショナル・プログラム『白鳥の湖』」を上演。いずれも、子どもにとって身近な原作をもとにした、わかりやすい語り口でつくられていると同時に本格的なクラシック・バレエとして振り付けられ、子ども連れの大人にも十分見ごたえのある作品として仕上げられている。
貝川鐵夫
今回上演する『人魚姫』の振付を手掛けるのは2022年まで新国立劇場に22年間ダンサーとして在籍した貝川鐵夫。バレエ団の中から振付家を育てるプロジェクト「NBJ Choreographic Group」に発足当初から参加し、いくつもの作品を発表。21年新国立劇場<子どもたちとアンドロイドが創る新しいオペラ>『Super Angels スーパーエンジェル』でも振付を担当するなど、振付家として意欲的に活動している。
川口直次による舞台装置デザイン画
植田和子による衣裳デザイン画(人魚姫)
クリエイティブスタッフには新国立劇場でも数多くの作品の美術を手掛けてきた川口直次、貝川と協働を重ねてきた衣裳デザイナーの植田和子が加わり、誰もが知るアンデルセン童話の『人魚姫』をモチーフにした新作バレエを貝川と共に創り上げる。
人間の世界に憧れた人魚姫が海の外で出会うのは、恋の喜び、悲しみ、そして……この世の不条理に触れた人魚姫の切ないラブストーリーを、新国立劇場バレエ団から誕生するオリジナルバレエとしておくる。子どもから大人までの全ての世代に向けた、バレエの魅力が詰まった舞台を楽しみにしよう。
【ものがたり】
嵐の夜、人魚姫は海で溺れていた王子を助けます。人魚姫は王子に憧れ、魔女の魔法で人間となりました。再び出会った二人は互いに惹かれあいますが、王子には既に決められた婚約者がいたのです……。

吉田都舞踊芸術監督よりメッセージ
2024年夏、「こどものためのバレエ劇場『人魚姫』」を世界初演いたします。
今回の企画は新国立劇場バレエ団から振付家を育てるため、デヴィッド・ビントレー元舞踊芸術監督の発案・監修のもとに発足したプロジェクト「NBJ Choreographic Group」において、「全幕バレエを」という構想からスタートいたしました。2021年に“物語バレエ”をテーマに作品を募集し、貝川さんの『人魚姫』を「こどものためのバレエ劇場」の新作として膨らませることとなりました。
童話として親しまれている『人魚姫』をバレエにすることで、お子様やバレエにあまり馴染みのない大人の方がバレエを楽しまれ、身近に感じてくださることを期待しております。
バレエは言葉を発しないため、子どもたちの受け止め方は無限で、さまざまな想像をかき立てられることでしょう。「子どもたちの想像力・創造力を豊かにしたい」。貝川さんや私が「こどものためのバレエ劇場」へ向けて持つ思いです。新国立劇場、そして「こどものためのバレエ劇場」がお子様たちの未来を育む場になるよう、努めてまいります。
演出・振付 貝川鐵夫よりメッセージ
2024年夏のこどものためのバレエ劇場『人魚姫』で、振付・演出を務めさせていただきます。
新国立劇場バレエ団に在籍中は、立ち役から主役、クラシックからコンテンポラリーまであらゆる役や作品を経験させていただきました。また、ビントレー元芸術監督時代に「NBJ Choreographic Group」ができ、それ以来振付活動をしてきました。その結実として、今回このような機会を頂戴することとなり、感謝申し上げます。『人魚姫』はパ・ド・ドゥとして最初に「NBJ Choreographic Group」で発表しましたが、吉田芸術監督に見出され全2幕の全幕バレエとして生まれ変わります。
今作品はアンデルセンの「人魚姫」をモチーフにしました。
彼女が王子との恋は実らず泡となってしまうという切ないストーリーは多くの方が親しまれているかと思いますが、実は泡となったその後300年間、天国に召されるまで風の精として過ごすという結末をご存知の方は少ないかもしれません。「親から愛しみを受ける子どもを見つけて私たちも微笑むと 300年の試練は1年ずつ短くなる。逆に、親を悲しませる悪い子を見て涙を流すと1日ずつ長くなる」。物語のラストで人魚姫は他の風の精霊たちからそのように教わります。何か教訓めいたその示唆は、私たちに問題を出されているような、ここに大事なことが隠されていそうな…そんな思いを抱きながら作品全体を構想しました。
使用楽曲はドビュッシー、サティ、グリンカ、メンデルスゾーン、ヴェルディ、ロッシーニ、マスネなど、19世紀に活躍した作曲家の音楽を中心に選びました。19世紀はクラシック音楽においてあらゆる音楽表現が生まれた時期とも思えるのです。美しい旋律、形式、ダイナミック性、繊細性、呼吸、その1音1音が物語表現に欠かせない存在です。
人魚姫は深海奥深くから、人間の魂に憧れ、未知の地上へと足を踏み入れ、様々な人間模様、喜び、おかしさ、寂しさ、醜さ、辛さを経験します。
そして、人魚姫は人間の魂をどのように思い生きていくのか。
この物語にはわかりやすい答えがある訳ではありません。子どもたち一人ひとりの感じるままに、このバレエをご覧いただきたいです。

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