名曲「四季」誕生から300年 辰巳琢
郎、高田 翔が紡ぐヴィヴァルディ父
子の希望に満ちた愛の物語

2023年12月~2024年1月にかけて、愛知、兵庫、東京にて、バロック音楽劇『ヴィヴァルディ -四季-』が幕を開ける。

舞台はイタリア、ヴェネチア。サン・マルコ広場近くのカフェには、今日も様々な人たちが集う。床屋でありながらヴァイオリンに長け、サン・マルコ大聖堂のヴァイオリニストにも選ばれていたジョヴァンニは、息子のアントニオの才能を見抜き、どうしても音楽の道で成功させたいと願い、まずは神学校に入れて、遂には司祭にして身分に箔をつけさせた。今日もこのカフェに来ては息子自慢をしながら、息子をプロデュースしていくジョヴァンニ……。本作は、かの高名な音楽家、アントニオ・ヴィヴァルディの父、ジョヴァンニ・ヴィヴァルディが、息子と歩んだ栄光と挫折の人生を、ヴィヴァルディの傑作『四季』にあわせて描いた作品だ。
ジョヴァンニ・ヴィヴァルディ役には、映像作品でも引っ張りだこな俳優、辰巳琢郎が。息子であり偉大なる作曲家アントニオ・ヴィヴァルディは高田 翔が扮する。
また、花井悠希(ヴァイオリン)、林 愛実(フルート)、山本有紗(電子チェンバロ)の生演奏が彼らの名演を彩る。
稽古がいよいよスタート。都内某所で取材会がひらかれた。
ーー稽古もはじまりましたが、いかかがですか?
高田:順調に進んでいる感じはしています。まだこれからですが、とてもアットホームな雰囲気でできています!
辰巳:まだ数日ですが、手応えはいいですね。役者それぞれ個性があって、いい物が出来そうな予感がして、彼(高田)とは親子役なので、これから親子の関係をきちんと作っていかなければ…。もともと、ふたりは身分が高くないんです。階級社会の中でのし上がっていくために、ジョヴァンニは人生をかけて息子を育てるんですが、まず、神学校にいれて司祭にさせる。司祭になるということは、庶民が成り上がるための手段だったんですね。そして、恐らく、一番苦労しそうな部分なんですが、芝居の中で時代が変わっていく。年齢を重ねていく変化をどうつけるか。僕自身は40代の壮年期から70代くらいまでかな。
辰巳琢郎
高田:自分は25歳くらいスタートで、50歳くらいまでを演じますね。
辰巳:難しいですよね。親子の感情や向き合い方、子どもを信じる気持ち、それは、きっと現代と同じだと思っています。舞台上に出てくるたくさんのキャラクターの誰にでも共感をもってもらえる芝居じゃないでしょうか。
ーーお互いの印象を教えてください。
高田:辰巳さんの第一印象は『いい声だな~~』って(笑)すっごくダンディですよね。聞いていて心地いいけど、力強さもあって重厚感のある声で。お仕事いっしょにしながらいいなぁ~って思います。
辰巳:見るからに好青年ですよね、芯もあって華もある。お芝居は、個人のものではあるけれど、それぞれに干渉して、相乗効果を出せるかっていうことが重要だと思うので、しっかりコミュニケーションをとりましょうね。
高田:そうですね、楽しみですね。
辰巳:今回、名古屋スタートで兵庫、東京と上演しますが、それぞれホールもサイズ感が違う。ホールのサイズ感で響きや表現も変わるし、名古屋の初日から東京の大千穐楽までは時間もあるので、熟成されていろいろ変わると思うんです、それも是非楽しんでいただきたいですね。
ーー親子を演じる上で、大事にしていることはありますか?
辰巳:まだ本当にこれからなんですけど、食べに行ったり飲みに行ったりしたいよね。
高田:そうですね、でも、僕、急に飲めなくなってきたんですよ。30過ぎたら、お酒に弱くなっちゃって……ウコンを毎日飲んでます。
辰巳:えっ、毎日お酒飲んでるの??
高田:毎日飲んでるわけじゃなくて、健康のためです(笑)母がウコンをいっぱいくれたんですよ、体にいいからって。だから、朝晩10錠、飲んでますね。
辰巳:そうなんだ……って、こんな感じでお互いをいろいろ知ってね、関係を築いていけたらと思います。
高田 翔
ーー普段からクラシックは聞かれますか? 好きな作曲家などはいますか?
辰巳:特に誰が好きで誰に傾倒しているというものはないかなぁ。僕は大学の卒業論文が『アマデウス』の研究なんです。最近は、娘(ソプラノ歌手の辰巳真理恵)が歌っているのでオペラをきく機会も増えました。いろんなジャンルが素晴らしいと思うので、ひとつには絞れないかなぁ。
高田:クラシックはそこまで詳しいってわけではないですが、音楽は好きです。ずっと久石譲さんの音楽が好きで、舞台前とか本番前に絶対に聞くようにして、僕のルーティーンなんです。今回のお仕事をきっかけに、ヴィヴァルディを深く知っていけると思っています。
辰巳:僕も、もともと詳しかったわけじゃなくて、仕事をすることで知っていたことってたくさんあるよ。だから、まず、好きだと思ったらまとめて聞いてみるところからで十分じゃないかな。
ーー夢を追いかけるということについて、心がけていることはありますか?
高田:僕は仕事をしていく上で、『ひとりじゃないしな』っていう感覚は大事にしています。全部、みんながいて成り立つものなんですよ。ひとりの力ではできなくて、まわりの人に支えられていて、演者さんだけじゃなくてマネージャーさん、カンパニーのみんなもそうですね、みんなで絆を積み上げて、よりよいものに突き進んでいく感じがあるので、ボクは『ひとりじゃなくみんなで作り上げていく』ということを意識しています。
辰巳:僕自身もまだね、やりたいことはたくさんあります。でも最近は若手の子の成長をみるのが楽しいですね。ついこの間、40年ぶりに『劇団そとばこまち』に客演しました。学生時代に主宰していた劇団です。
若い子たちがエネルギッシュに舞台を作っているのを見て、『ああ、バトンがつながっていて嬉しいなぁ……』と感慨深いものがありました。
今の日本って、どこか閉塞感があると思うんです。僕が若い頃は、ずっと上り坂でしたが、今はそんな雰囲気じゃないでしょう。だから、舞台やお芝居で、世の中を明るくしたいと思うことが増えました。生の舞台っていうのは特殊なんですよね、お客様が喜んで帰ってくださる人の顔が見られる。その直接のやりとりの中で、自分も初心に戻って勉強することも多くて。それって、若い頃から見ていた夢というか芝居へのこだわりは、これなんだなぁ、って改めて思うんです。芝居ってやっぱり面白いです。
(左から)高田 翔、辰巳琢郎
ーー最後にみなさまにメッセージをお願いします。
高田:最後歌うシーンもあるんです、そのシーンもすごく重要なので注目してほしいです。今回は、生演奏があり、とても上品な感じになると思います。さらに笑えるシーンもあって、いろんなキャラクターがいる。チームワークの良さを出せたらいいなと思っています。是非、観に来てください。
辰巳:今回の音楽劇はスペクタクルというような大きな仕掛けのある舞台ではなく、生身の人間の物語なんですよね、日常生活だったり何気ない会話だったり、そういう雰囲気を大事に表現したいです。特に、舞台のヴェネチアの雰囲気をどう出せるかを考えています。イタリアの方って、とにかく地元を愛しているんですね。地域の文化や言葉、そういうものを大事にしていきたいです。セリフにはない空気感でイタリアの雰囲気を出せればと…。そして、舞台はお客さまと作り上げるものなので、足を運んでいただきたいです。年末年始にふさわしい作品です、人生っていい物だ、そんなお芝居になると思います。
今年は、『四季』は1723年に作曲され、300年の記念すべき年。ヴィヴァルディの時代を表現した音楽とともに表現される人間劇だ。
愛知公演は12/9~10にウィンクあいち大ホール、兵庫公演は12/27~28兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、東京公演は年明け2024年1/6~14まで新国立劇場小劇場にて上演予定。
ライター:森きいこ   写真:谷中理音

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