福士誠治、田中俊介、新原泰佑ら出演
 NYゲイコミュニティの人々の愛と自
由を求める物語『インヘリタンス-継
承-』を前後篇6時間半で上演

2024年2月、東京芸術劇場にて(阪、北九州公演あり)、2019年ローレンス・オリヴィエ賞4部門、2020年トニー賞4部門を受賞し、ブロードウェイ・ウエストエンドを感動で包んだ話題作『インヘリタンス-継承-』を熊林弘高を演出に迎え、上演することが決定した。
気鋭の演出家に新たな活躍の場を提供してきた東京芸術劇場。演出家・熊林弘高とは、2010年『おそるべき親たち』のシアターウエスト公演以来、充実した共同作業を積み上げている。熊林はシェイクスピアやチェーホフの古典作品を斬新な現代劇として蘇らせたプレイハウス公演、日本の現代劇やアングラ戯曲をスタイリッシュに演出した小劇場公演などを手掛け話題となった。熊林は寡作の人としても知られており、自身が納得した作品を1~2年に1本選びぬく熊林が「これだけは」と自ら上演を切望した作品、それが『インヘリタンス-継承-』だ。
「インヘリタンス」は2015~18年のNYを舞台に、1980年代のエイズ流行初期を生きた60代、HIVと共に生きる30代・20代の3世代のゲイの人々を描く。作者のマシュー・ロペスは本作でラテン系の作家として初めてトニー賞ベストプレイ賞を受賞し、この春ノン・バイナリー(自分を男性・女性という性別にあてはめない)俳優がトニー賞を受賞して注目を浴びた『お熱いのがお好き』ミュージカル版の脚本も手掛ける今注目の作家。
病気やマイノリティに対する差別や偏見を乗り越えて力強く生きる人々を描く本作は、上演権獲得を巡りコンセプト・プレゼンとなったが、熊林が勝ち抜き、作者ロペスより日本初演の演出を託された。前後篇6時間半にわたる超大作。熊林はそこに、いま語られなくてはならない物語を見出す。
(上段左から)福士誠治、田中俊介、新原泰佑(下段左から)篠井英介、山路和弘、麻実れい
キャスティングにこだわる熊林の指名を受けてたったのは、信頼篤き実力派の福士誠治、今後が期待される感性豊かな田中俊介、正反対の二役を演じる新原泰佑等、そして柾木玲弥はじめフレッシュな若手俳優陣。円熟味を増すベテラン勢、山路和弘、篠井英介等が顔を揃える。さらに熊林作品に欠かせない名女優・麻実れいが後篇のみ、クライマックスで登場するのも見どころだ。
【あらすじ】
30代の青年エリック(福士誠治)と劇作家のトビー(田中俊介)、60代の不動産王ヘンリー(山路和弘)とそのパートナーのウォルター(篠井英介)の2組のカップルを中心に物語は展開する。ウォルターは「田舎の家をエリックに託す」と遺言して病死する。トビーの自伝的小説がヒットしてブロードウェイで上演されることになるが、その主役に抜擢された青年アダム(新原泰佑)の出現により、エリックとトビーの仲は破たんする。リベラルと保守の両極のようなエリックとヘンリーが、ふとしたことから心通わせて結婚することになるが、その選択により、エリックとジャスパー(柾木玲弥)ら古い友人たちとの間に溝ができる。ウォルターの遺言の「田舎の家」が、エイズで死期の近い男たちの看取りの家となっていることが分かる。トビーはやがてアダムにふられ、彼にそっくりの男娼レオ(新原泰佑 二役)を恋人にするが、レオはヘンリーとも関わりがあった…。トビーに捨てられHIVに感染し行き場をなくしていたレオをアダムとエリックが救う。彼を「田舎の家」に連れて行くと、そこには男たちに寄り添い続けたマーガレット(麻実れい)がいて、 この家で起こったことを語り始める……。

熊林弘高 メッセージ
今まで自分は人の暗部や闇、社会の記憶などを描き、それに向き合っていく作品に惹かれてきました。
”過去は死なない 過ぎ去りさえしない”ーW・フォークナー
「私とは何者なのか」-人は何らか自分自身を演出しています。が、自分の本質を理解しない限り、本当の意味で人と人は結びつくことは出来ないと思います。
『インヘリタンス-継承-』に「癒すか、燃やすか」というセリフが出てきます。自分を成り立たせているもの、つまり自分の過去に(たとえ痛みが伴おうとも)向き合うこと。そうしなければ次の一歩に踏み出せない、人と人が互いに理解しあうことは出来ない……
『インヘリタンス-継承-』の最後で語られる「過去、現在、未来が一つに繋がる」という大きなテーマにつながる一言です。
もうひとつの魅力は一義的な視点ではなく、多様な視点で語られていることです。
『インヘリタンス-継承-』で描かれている沢山の会話は、加害者や被害者、白人や黒人、リベラルと保守、さまざまな背景をもつ人々の言葉で紡がれます。次の世代に「継承」されるものも「正」とされることだけではありません。
“良い芸術作品は、質問を与えるだけだ”というピーター・ブルックの言葉があります。古びない作品は質問を投げかけるだけで、答えを与えてくれるものではない。この作品でも様々な視点を投げかけてくれる。それがすごく面白いと思います。
そして、俳優の皆さんにはこの作品を選択してくれた勇気に感謝しています。
初めましての方もお久しぶりの方もいますが、題材も6時間半という長さも相当な覚悟がいる作品です。
これから始まる創作が楽しみでなりません。(談)

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