J、53歳の誕生日に開催したF.C.限定
ライブで宣言「自分にしかない音を追
い求めて最高の景色を観せたい」

J BIRTHDAY LIVE 2023 -ENDLESS SUMMER 2023℃-

2023.8.12 Spotify O-EAST
7月から4都市を巡るツアー『J LIVE TOUR 2023 SUMMER-ENDLESS SUMMER 2023℃-』を開催していたJが、その東京公演の翌日、自身の誕生日となる8月12日(土)、東京・渋谷Spotify O-EASTにてF.C.Pyro.(=オフィシャルファンクラブ)会員限定で恒例のバースデーライブ『J BIRTHDAY LIVE 2023』を開催した。
Jファンにとって、みんなで歌い、叫び、大騒ぎをしてケーキまみれになるJのバースデーライブは、いわば夏の風物詩。「日本の夏、Jの夏」がついに戻ってきた!!
2023年の春から声出しを解禁したJのライブ。この日のフロアはファンクラブ会員のPyro(Jファンの呼称)たちで超満員。場内に入れなかった人たちやいろいろな事情で当日ライブに来られないファンも画面の向こうから生配信で参戦するなか、サポートメンバーのmasasucks(Gt)、溝口和紀(Gt)、有松益男(Dr)がオンステージ。地響きのように鳴り響くOiコールとクラップに呼ばれ、Jが舞台に姿を現わす。耳に手を当て、フロアから巻き起こる歓声を全身で受け止めた後、灼熱の夏を貫くように雄叫びをあげる。
そうして、ライブは「Twisted dreams」で幕開け。今夜はJとPyroの真っ向勝負。Jが曲中、マイクスタンドをお立ち台に引きずりあげて歌うパフォーマンスで、冒頭から本気の火花をフロアに散らすと、続く「Evoke the world」では、一面のOiコールとジャンプでフロアが場内の空気を揺らしまくる。有松が繰り出すマーチングドラムで刻一刻とフロアの熱量と狂騒感が増していったところに「もっとー!」とJが叫び、さらなる頂へとかき立てていく。
冒頭2曲でものすごい熱風を作り出したJは、まず自分の誕生日を毎年たくさんの人にお祝いしてもらえることについて「幸せなヤツだと思ってます」と言って、配信カメラにも手を振って感謝を伝える。そして「俺の言うこと聞いてくれ」とファンクラブのみんなだからこそ、ぶっちゃけるように語りかけ「とことんいきましょう。大騒ぎしようぜ!」と叫んだあと、そこにJとファンのメガアンセム「PYROMANIA」を投入。オーディエンスは、任せろといわんばかりにライターで炎を灯し、シンガロングを届ける。それを、一瞬後ろを振り向いたあと、フロアに向き直ってJが愛おしそうな表情で眺めていくのがたまらない。お互いの多幸感を、溝口のエモいギターソロがさらに高めていったところに「RECKLESS」。masasucksのギターリフが灼熱の夏の太陽光となってフロアに降り注ぐと、観客たちは最大級のOiコールを会場に響かせ、夏真っ盛りのなか「RECKLESS」を聴けた喜びを露わにする。
いまはこうして声出しでライブをできるようになったが、ここ3~4年、様々な規制を強いられ「ライブができなかったこともありました」と、コロナ禍のことを振り返ったJは「自分たちはいま改めて“自由”を手にした」と話し、その自由を「それぞれ、俺のようにおかしくなってもいいし(笑)、ゴッチン(溝口)みたいにクールでもいいし、益男くんみたいにパワフルでもいいし、masa(masasucks)みたいにカッコよくてもいいし。それぞれ楽しんでいけばいい」と感慨深く語り掛けた。そして「それぞれが楽しめる道を用意しました」という言葉から「Route 666」へ。轟音の塊となったバンドアンサンブルが転がりだすと、それにのっかって一緒にドライブした先に待ち受けていたのは「SIXTEEN」。《The boy》《And girl》と観客に呼びかけ、《自由への扉叩け》と歌いながら、Jはフロアにロックミュージックに憧れていた子供の頃の自分を見つけ「おい、俺はいま、お前が憧れていた自分になれているか?」と問いかけているようにも感じた。
「みんなの熱気が凄くて、びしゃびしゃ」と言ってTシャツを引っ張って見せるJは、ファンクラブ限定だからこその和んだ口調で語り掛ける。そして、「誕生日に集まってくれたみんなにお返し」と言って「俺とメンバーしか知らない新曲を持ってきました」と、タイトルもついていない新曲を初披露。セットリストには“NEW SONG”と記されたこの曲は、夏の眩しい太陽を切り裂いていくようなmasasucksのギターリフで幕開け。太陽で迷いを溶かして“前に進んでいけ”というメッセージをたずさえたこの曲は、Jのポップメイカーならではのメロディックなサビが耳に残る。Jのニューサマーソングになりそうな予感がした。
「新曲もガンガン作ってるので、楽しみにしてて下さい」と告げたあとは、スケール感たっぷりのロックバラード「ACROSS THE NIGHT」を熱唱。低音から高音、下から上へ、1オクターブを超えていくエモい歌唱。有松がパワフルな音でドラマティックな盛り上がりを作っていったあと《壊れたのなら また最初から創り始めればいいさ》と繋ぐJの声が、ものすごい説得力で観客の心を揺さぶる。
このあとライブは後半戦へ。「俺、今日敬語でしゃべってる」と言いだしたJに「もっとはじけて!」と観客が言葉を投げかけると、Jがその言葉を拾って「(フロアに向かって)はじけてんのか? 配信組もはじけてんのか?」と息の合ったコール&レスポンスでつないで「Die for you」へと展開。ここから場内の熱量はクライマックスへ向けて爆進。Jのアカペラの歌い出しから「BUT YOU SAID I'M USELESS」が始まると、クラップの嵐が渦巻き、グルーヴィーなロックンロールにのせて、天国までみんなでドライブ。間奏でJがフロントを動きながらオーディエンスを指差していくと、それを合図に観客たちはその後、一丸となって《F✕✕K YOU!》の大合唱をステージに届ける。そして「Go Charge」でバンドメンバーもフロアにいるBOY、GIRL、全員がどこまでも大暴走して、さらにテンションを高めていった先。夏の心地よい風が吹き抜けていくようなサウンドに包まれ、「NOWHRE」のシンガロングが天井を突き抜けて、大空目がけてどこまでも広がっていく。Jが信じ、響かせるその音楽と生き様に人生を揺さぶられたオーディエンスの歌に、みんなが酔いしれた瞬間だった。だが、そんな感動に浸らせたまま終わらせないのがJ。最後は「Gabriel」で大暴れして、本編は汗まみれになってフィニッシュ。
アンコールの代わりに、この日はオーディエンスがバースデーソングを歌唱。“Dear, J”の“J”のところだけ、ロングトーンで叫ぶのがここのファンクラブのマナー(微笑)。その声に呼ばれ、ステージに再び現れたJは「53だぞ?」と年齢を明かし「こんな年齢になるなんて想像もしてませんでした」と前置きしたあと「今日も新曲をプレイしたけど。Jにしかない音を追い求めていって、みんなと最高の景色を観たい……いや、俺が観せたいと思います」と抱負を述べた。
そうして、このあとは恒例のケーキカットへ。ろうそくを吹き消したあと、Jがナイフのかわりに素手でカットしたケーキをフロアに飛ばしておすそ分けをするのだが、この日はケーキの欠片がステージ正面にいた女性の頭上にごっそりのっかってしまう。それに気づいたmasasucks、スタッフがすぐにタオルを渡し、さらにJも「大丈夫か?」と声をかけ、タオルを差し出した。タオルをもらったフロア前方の観客たちは気をきかせて、後ろのファンにもタオルを回していく。Jのライブでは、以前からスタッフが配った水を最前列から後方に回していく光景はよく見られた。このようなメンバー、スタッフ、ファンの心温まる気配りが、いつの間にか“Jイズム”として、Jのライブには根付いていった。その瞬間を目の当たりにしたシーンだった。
そうして「帰るときにO-EASTのスタッフの方にお詫びを伝えて」とファンに頼み、自ら「すいません」と謝罪したあとは、「大騒ぎ、できますか? いけるかー?」とフロアを挑発。アンコールは解放感たっぷりの「Feel Your Blaze」のいきなりの投下で、どこまでも鮮やかに燃え上がっていき、「いくつになっても、俺はこの気持ちでいこうと思います」と告げ「BURN OUT」をそのままの勢いで畳み掛ける。ここで圧巻のOiコールを鳴り響かせ、ライブが終わったあとも途切れることなく熱いパッションを放出し続ける熱をファンに浴びせまくって、この日のライブはフィニッシュ。
「一つ約束だぜ。なにがあっても、次に会うときまで、くたばんなよーーー!!」とメッセージを残して、颯爽とステージを後にした。
Jはこのあと、10月7日(土)からLUNA SEAとしてアルバム『MOTHER』と『STYLE』のツアーを現代に再現する全国デュアルアリーナツアー『LUNA SEA DUAL ARENA TOUR 2023』、ソロでは10月28日(土)から秋のスペシャルライブ『J LIVE 2023 FALL INCREDIBLE 4 NIGHTS-TOKYO LIVE CIRCUIT-』を開催する。また、今回レポートしたライブは、現在ニコニコ動画でアーカイブ視聴ができるので、そちらも楽しんでもらいたい。

取材・文=東條祥恵 撮影=田辺佳子

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