ドラマ・リーディング『それを言っち
ゃお終い』平田広明・坂東巳之助・白
樹 栞(プロデューサー)による公式
インタビュー公開 中村米吉のコメン
トも

2023年8月21日(月)~27日(日)六本木トリコロールシアターにて、ドラマ・リーディング『それを言っちゃお終い』が上演される。この度、平田広明・坂東巳之助・白樹 栞(プロデューサー)のオフィシャルインタビューが届いたので紹介する。

サロメ・ルルーシュ原作、フランスをはじめとする各国で上演されている『それを言っちゃお終い』(原題・『Fallait pas le dire』)。日本では六本木トリコロールシアターのレパートリーとして、これまで5回にわたって上演されてきた。第6回目となる今回は、平田広明と坂東巳之助、中村米吉という、声優✕俳優のコラボレーション。以前から交流はあるが共演は初という平田と巳之助、本作のプロデューサーである白樹 栞に、読み合わせを前にしたタイミングでインタビューを行った。
ーー『それを言っちゃお終い』はプレビュー公演から様々なキャストさんが演じてきましたが、今回声優の平田さんと歌舞伎俳優である坂東巳之助さん、中村米吉さんをキャスティングした意図を教えてください。
白樹:実は、この作品の為に最初にオファーさせて頂いた役者さんは平田さんなのです。この劇場ができて本が手に入った時点で声をかけさせて頂き、その時に2023年8月21日からという日程をいただき3年ほど待たせて頂きました。その前にもオファーさせて頂きましたがその時は「ストレートのお芝居はお稽古の時間を確保するのが難しい」ということで、今回もどうかなと思ったのですが、やっていただけたら絶対に面白いと思いました。平田さんの出演が決まり、巳之助さんと米吉さんにもお話を受けていただいて素晴らしいキャストさんが集まってくださったと感じています。
ーーオファーを受けたお二人としてはいかがでしょう。
平田:正直大変だなと思いました。以前にいただいたのはストレートプレイでしかもコメディだったので、稽古をする時間が取れずに断念しました。コメディはキャスト同士の息や効果とのタイミングがきっちり合わないとダメで、ちょっとズレるだけで失敗しますから。今回は1対1の朗読劇だったので、お相手の方とだけ呼吸を合わせられればいいのと、何よりも本が面白かったというのがありました。
女性の役を男性がやっても面白いんじゃないかとプロデューサーに伺って、だったらということで何名か推薦したんです。表面的にはライトな作品で、ずっと夫婦喧嘩しているように見える。でもそれだけじゃない、何かあると感じたので、それを探り合える人がいいなという思いがありました。ただ、(巳之助と)前から仲良くさせもらっているし作品は観ているけど一緒にお芝居したことはないんです。絡んでみてどうなるかはこれからの楽しみですね。これから読み合わせをしてみて、「えっ、みっくんってそうなの!?」となるかも。
平田広明
巳之助:やめてくださいよ(笑)!
平田:歌舞伎以外のお芝居も見せていただいているので、巳之助さんに関してはそういう心配はないと思います。米吉さんは、歌舞伎をいくつか観せていただいていますがお会いするのは初めてなので楽しみです。
巳之助:「平田さんとの朗読劇のお話が来ている」と聞いて、まず「どういうこと? なんで?」と思いました(笑)。おっしゃる通り一緒にお芝居をしたことはありませんし、僕としては幼い頃からテレビでよく声を聞いていた方ですから。『ワンピース』という作品を通して交流させていただくようになり、こうして声をかけていただいて非常にありがたいと思いました。台本も面白いと感じましたが、まずはこの機会が巡ってきたことが嬉しかったのでお応えしたいと思いました。 ただ、改めていただいた脚本を見ると、ちょっと大変だなとは思いました。2人の会話劇で、台本上のト書きが多いわけでもないので、やってみないとわからないというのが正直なところ。現時点では「どうなるんだろう?」という楽しみがありつつ、「不安はない」と言ってくださっている平田さんを不安にさせないようにしないと、という不安はあります。
平田:(取材が)読み合わせの前でよかったよね。読み合わせがボロボロだったらどよーんとなってたかもしれない。
ーーこの作品では家族のちょっとした話から社会問題まで扱いますし、日本の作品にはあまりないシニカルな視点で描かれていますよね。最初に脚本を読んだ時の印象はいかがでしたか?
平田:テーマに関しては身近じゃないものも結構ありますが、そこについては言い慣れない言葉をちゃんと言えるかなくらい。喧嘩のネタはなんでもよくて、そもそも意見がぶつかり合うってどういうことなのかをしっかり捉えないと、退屈な時間になると思うんです。フランスの作品であれそこは同じだろうし、その部分をきちんとやればいい。ただ、わかっていても簡単にはできませんが。
やっぱり互いに興味がある、愛情があるから文句を言いたくなるんでしょうね。「相手を否定するのは自分の思いや考えを認めてもらいたいから」というのが絶妙な匙加減で面白く書かれている。確かに2人は喧嘩しているし、題材は耳慣れない文言もあるから最初は「どういうことで言い合ってるの?」と思うかもしれない。でも、なんで喧嘩しているのかという本質がわかれば面白さが伝わるんじゃないかと思います。
巳之助:平田さんがおっしゃる通りだと思います。あくまでも2人の会話の中で様々なテーマが定められていて、それについてやりとりする。その関係性、思っていることをお互いにぶつけ合っているのを通して演じる役者が何かを伝えることもできるし、そうではないやり方もできるし、逆に客席に座っている方がそれを拾うことも、やり取りの面白さをキャッチするために、テーマを聞き流すこともできる。多様な見方をできるのがこの作品の良さだと思います。
だから、どのくらいの温度感で、それぞれのテーマをどこまで掴んで表現するのか。お客さんにどこまで受け止めて欲しいのかをこちらで作っていける自由度の高い作品だと思うので、2人で作っていけたらと思いますね。
坂東巳之助
ーー読み合わせはまだということですが、本日何件か取材を受けたということなので、白樹さんから見たお2人の印象・期待はいかがでしょう。
白樹:今まで出演してくださったみなさんも素晴らしく、面白い公演ができましたが、今回は総集編になるんじゃないかと思っています。最高にワクワクドキドキしています。ただ、企画において心残りがいくつかあるのでもう一度同じキャストで再演させてもらいたいですね。
平田:それは見てから決めてください。
巳之助:本当にそうです(笑)。
ーー白樹さんからプレッシャーがかかったところで、これからの稽古と本番に向けた意気込み、お客様へのメッセージをお願いします。
平田:この作品はどうしても演出が必要になります。元々お芝居として書かれているし、ト書きに「台所に行く」って書いてあったりするので。演出家の田邊さんとも初めてですから、そこを演出でどうカバーしてくださるのか、テクニカルな不安はいくつかあります。稽古を積み重ねて掴んでいく時間もないし、今まで培ってきたものの中からどれだけのものをだして、相手とどんな化学反応を起こせるか。そこはお楽しみにという感じです。ただ、不安よりワクワクが大きいです。巳之助さん、米吉さんとなら乗り越えていけるんじゃないかなと。
できあがりがどうなるかは……。自分たちがある程度納得できてもそれをお客様に受け入れていただけるかは蓋を開けてみないとわかりませんから、「絶対に面白いから観に来てください!」と無責任なことは言えません。でも、(巳之助と)久しぶりに会ってインタビューを受けながらお話しして、最低限自分たちは楽しめるんじゃないかという確信は得られました。我々が楽しめないものはお客さんも楽しめないですから。楽しんでいる2人を観に来ていただけたらいいなと思います。
巳之助:僕も概ね同じ意見です。ポジティブな意味でどうなるかまだわかりません。今の段階ではわからないことだらけです。わからない状態の僕が喋ったことをわからない状態で記事にして、わからない人が読むわけですから、誰にも何もわからない(笑)。この記事を読んだ方の中にすでに観た方やわかった方がいたら逆に僕に教えてほしいくらいです(笑)。
白樹:私が一番楽しみにしていると思います。平田さんはレギュラーをたくさんお持ちでお忙しいですから、オファーをしてから3年近く、本当にこの日が来るのかと不安と期待を抱えて待っていました。現実になっているうえに素晴らしいお相手と公演をしてくださる。巳之助さんは今『八月納涼歌舞伎』に出演されているんですけれど……お客様は歌舞伎座の公演を観て、一緒にこちらへ移動してくださる感じになると思います。
巳之助:そうだといいですね。日比谷線で一本ですから。
平田:(歌舞伎公演のセリフに)この芝居のタイトルを入れて宣伝できないの?
巳之助:踊りがメインでほとんど喋らないので難しいですね(笑)。
白樹:8公演しかないのが本当に残念なので、また同じキャスティングでやっていただきたいですね。最低2ヶ月か出来たら2年! やっていただきたいなって思っています。
巳之助:2ヶ月か2年はちょっと幅がありすぎじゃないですか(笑)。
平田:だから見てから!
白樹:あと、今回はタイトルを記したトランプのようなプログラムカードを作りました。観劇の記念として撮影していただけます。スペシャルカーテンコールもありますから、ぜひ楽しみにいらしてください。
本作は8月21日より六本木トリコロールシアターで上演される。パリでの上演も期待!
中村米吉 コメント
中村米吉
夏の盛りの六本木。
日本屈指の繁華街でフランスの短編を歌舞伎役者が読む。
なんとも不思議な取り合わせだと思われているでしょう。
大丈夫。私自身が1番不思議でよく分かっていなんですから(笑)
今回の作品は、風刺の効いた、ある種の人の心理を突いた作品だと感じています。これまで触れてきた作品とは全く
毛色が違いますね。
社会問題すらもサラッと扱うこうした作品はやはりフランスというお国柄ならではのものなのではないかなと感じて
います。
“本音と建前”が良きにしろ悪きにしろ駆使されている日本では書きにくいのではないでしょうか。
フランスの作品といえば、今年初めて歌舞伎以外の舞台、『オンディーヌ』に主演させていただきました。
水の精であるオンディーヌが人間に恋をし悲恋を迎える作品でしたが、その理由も純粋すぎて嘘のつけないオンディ
ーヌが嘘や建前、お世辞に溢れた人間世界と相容れなかったからでした。
そんなオンディーヌを表現するために、セリフには風刺の効いた言葉をオンディーヌの口を借りて、作家が人々への
皮肉を込めたのでしょう。
演じさせて頂きながら、フランス戯曲ならではの作り方だなと面白く感じたものです。
今回もの作品も同じように風刺や皮肉が込められ、題の表す通り「それを言っちゃお終い」なのかもしれないけれど、
どうして言ってはいけないのか、言えないことの方が不健全ではないのか、そんなことを思わせてくれます。
言葉尻を取られて批判されることも多く、当たり障りのない言葉でしか表現が出来なくなりつつある今の時代に上演
することの面白さのある作品なのではないでしょうか。
ご共演の平田さんは子供の頃から幾度となくお声を拝聴し、楽しませてくださった方です。嬉しい反面、朗読という
声を駆使する今回のような作品では相対する怖さも感じています。
とにかく胸を借りまして、“クソ”お世話になりたいと思っています(笑)
また、常日頃からご一緒の巳之助兄さんとは、ある意味ダブルキャストとなりますが、同じようなお役を勤めること
は普段あまり多くありませんし、1から役を組み立てる時の発想にいつも驚かされ、感心されられる先輩でもあります
から、私自身も肩を並べられるように作っていかなくては!
個人的に、人となりに親近感や共通点を感じる兄さんでもありますから、こうした企画で共演せずともご一緒できる
のは嬉しい限りです。
是非とも皆さんには見比べて楽しんでいただきたいと思っています。
3〜4ページほどの短い2人による会話のみで構成され、場所、時間、性別、年齢、関係性いった役柄すらも定めらて
おらず、自由に読んでいくという、読み手側の技量や引き出し、発想にかなり委ねられた作品でもあります。
中身もかなりセンシティブなワードも飛び出しますし、冷静に読んでいくと中々シビアなものになりかねないのでは
ないでしょうか。
皆さんと相談しながら、遊べるところは遊んで、考えさせられるだけではなく、娯楽としての面をしっかり持った作
品にできたら!
え? こんな暑い最中に六本木なんて行きたくない?
「それを言っちゃお終い」ですよ!(笑)
是非とも足をお運びくださいませ。よろしくお願い致します!

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