SURFACE、デビュー25周年ツアー初日
から出し惜しみなしで過去と現在を貫
く2時間半のスーパーライブ

SURFACEデビュー25周年ツアー「It’ s OK!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

2023.07.29(sat) HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
椎名慶治永谷喬夫、SURFACEのデビュー25周年ツアー「It’ s OK!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」、いよいよキックオフ。25年の感謝を込めて、真夏の日本を駆け抜ける全8公演、初日の埼玉公演はファンクラブ「FACES」会員限定のスペシャルセットだ。猛暑をものともせず早くから会場に詰め掛け、フロアを埋めるFACESたち。SURFACEの音楽を深く愛する同志たちと共に始めるアニバーサリーツアー、準備はIt’ s OKだ。
SURFACE
1曲目から、百戦錬磨のメンバーによる強力なバンドサウンドが火を噴く。ドラムス・佐藤大輔は、前期SURFACEや椎名慶治ソロでも活躍してきたリズムマスター。キーボード・村原康介も椎名ソロでおなじみの顔だ。そして永谷の推薦で加わったベース・永井隆泰は、Nulbarichをはじめ多くのバンドに貢献するテクニシャン。開始早々、椎名が「いつもはやらないけど」と前置きしてメンバー紹介をしたのは、絶対の自慢と自信の表れだろう。そこに永谷の、驚くほどに若々しくパワフルなギターが加わり、ツアー初日からしっかりとロックバンド・SURFACEの音になっている。
「よく来たな。明日から何を言われてもIt’ s OKと言えるような、最高のライブを一緒に作り上げていきましょう。最後までよろしく」
椎名慶治
まだ初日ゆえ、セットリストは明かさないでおこう。しかし序盤から前期SURFACEと再始動SURFACEの楽曲が入り混じる、アップテンポ中心の華やかなメニューに盛り上がりが止まらない。永谷は涼し気な白シャツに黒キャップ、椎名は黒シャツに洒落たスカーフを巻き、ガンガン煽りながらぐんぐん飛ばす。そしてほぼ全曲で永谷が熱いギターソロを弾きまくる。1年ほど前に「今どきの若者はギターソロを飛ばして聴く」論争があったが、机上の空論は無視しよう。ライブハウスの現場で、気持ちの入ったソロを聴けば全てがわかる。これでいいのだ。
「このライブ、ヤバイから。落ち着くところないから。“もう若くないね”って二人で言ってたんだから」
永谷喬夫
椎名の口調は笑っているが、確かにこのセットリストはヤバい。永谷の「久々のオールスタンディングで夏らしい楽しいライブにしたい」という希望で選曲した、ハイテンションが永遠に続く長距離フライト。「俺にも休ませろ」という椎名の希望を入れて、中盤に1曲だけバラードを配しているが、「これが終わったらマジ休むところないからね。覚悟しろよ」(椎名)というスパルタン選曲は、しかしファンには望むところだ。そして一か所だけ種明かしをすると、SURFACEの最も古い楽曲と、最も新しい楽曲が隣り合う場面がある。単なる偶然らしいが、それはSURFACEの25周年を象徴する、とても印象深い瞬間だ。
「この並びにしたら、普通は昔の曲が古くさくて、くすっと笑える曲になるわけ。でも笑えない。未だに“自分らしく生きてますか?”って歌うたびに、生きてねえよ!って、自分の歌詞にイラっとするんだよね」
椎名の口調は笑っているが、確かにこの“最も古い楽曲”の歌詞はヤバい。TVドラマ『ショムニ』オープニングに使われた往年のヒット曲、と紹介するだけでは済まないギリギリの切迫感が今も色褪せない。その感覚は“最も新しい楽曲”にもしっかりと受け継がれている。SURFACEの25周年を貫くもの。それは決して諦めずに高みを目指し続ける反抗の意志、そして現状を笑い飛ばし肯定するしたたかなユーモア。
SURFACE
「楽しすぎない? これあと7回やっていいの?」
歌い、手を上げ、飛び跳ね、合いの手のコーラスを入れて自由に盛り上がる観客に、「俺の歌聞いてる?」と椎名。声援を飛ばしてMCにもツッコミを入れる、ファンとバンドとの関係が楽しい。「育て方を間違えた」と毒づきながら、「でもよくついてきたよね、俺たちみたいな奴らにさ。一度は手を離したのに、このへんにつかまってさ。感謝してます、どうもありがとう」と、ふと本音をもらす椎名。いつものように笑えるトーク満載、懐古的でしんみりした話を一切しなかったこの日のMCで、椎名が唯一素直な胸の内を吐露したとてもいいシーン。言葉にせずとも皆わかってる、このツアーを貫くメインテーマは「愛と感謝」だ。
SURFACE
後半はタオルを回すロックチューン、ミラーボールを回すダンスチューンなど、アッパーで多彩な曲を次々投下して爆上がり。アンコールに突入してもテンションはそのまま、往年のシングルを連発しつつ、観客の体力やライブハウスの環境を考えて、あえて本編には入れなかったという、ジャンプで盛り上がる曲も解禁して大騒ぎ。合間になぜか永谷と椎名の物まね歌合戦も飛び出して大騒ぎ。終わってみれば2時間半を超えるスーパーライブ。やっぱりライブハウスは楽しかった。やっぱりSURFACEのライブは楽しかった。
「It's OK、こんな感じのツアーをあと7本。今日FACESのみんなと遊ぶことができて、もっとブラッシュアップされていくので、さらに進化していくんだろうなと思います。もう一回、たとえばファイナルに見に来れば、“はーん、私たちが育てたライブね”ってマウント取れます」
SURFACE
ライブはバンドとファンが共に育てるもの。最高のスタートダッシュを切ったSURFACE 25th Anniversary TOUR「It’ s OK!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」は、このあと大阪、名古屋、福岡、仙台を回り、ファイナルは8月25、26日の東京公演だ。まだの方はぜひ一度。一度見た方はもう一度。25年経った今が最も充実して、心の底から楽しそうなバンドがほかにどれだけいるだろう。SURFACEはノスタルジーではない。今を生きる喜びを共有できる現在進行形の音楽だ。

取材・文=宮本英夫 撮影=牛島康介
SURFACE

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