斉藤和義

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【斉藤和義 リコメンド】
デビュー30周年記念盤で考える
斉藤和義のアーティストとしての本質

今春発表された22ndアルバム『PINEAPPLE』がまったくもって記憶に新しい斉藤和義から新たなリリースアイテムが届く。“デビュー30周年記念アルバム”と銘打たれた『ROCK’N ROLL Recording Session at Victor Studio 301』がそれだ。現ツアーメンバーと、なんと一発録りでレコーディングした全12曲を収録する、ファン必携のアニバーサリー盤である。

“ライヴ=生演奏”をパッケージした
スタジオレコーディング盤

 デビュー30周年という大きな区切りに際して、スタジオ一発録りのアルバムをリリースするというのが、何とも斉藤和義らしい。アーティスト・斉藤和義の真骨頂は生演奏=ライヴにあると言っていい。1993年のデビュー以来、ライヴを欠かした年はない(コロナ禍で自身のツアーがままならなかったこともあったが、あの時にしてもカーリングシトーンズに参加してツアーを行なっている)。もはや、その活動においてライヴはなくてはならないものである。この『ROCK’N ROLL Recording Session at Victor Studio 301』(以下『ROCK’N ROLL』)が発売される最中にもツアーを行なっている。4月29日の千葉から始まったニューアルバム『PINEAPPLE』のレコ発全国ツアー『KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2023 “PINEAPPLE EXPRESS”〜明日大好きなロックンロールバンドがこの街にやってくるんだ〜』は7月30日まで続く。『ROCK’N ROLL』発売当日は島根でライヴだ。しかも、である。8月24日からはデビュー30周年記念の全国ツアー『KAZUYOSHI SAITO 30th Anniversary Live 1993-2023 30<31 ~これからもヨロチクビーム~』が始まる。こちらは9月22日の東京国際フォーラムホールAまで続く全国10公演。デビュー30周年に相応しい過密スケジュール(?)だが、これも彼が生粋のライヴアーティストである証左と言える。

 これまで発表してきたライヴアルバムの多さからもまた、斉藤和義が生演奏=ライヴに重きを置いていることがよく分かる。『十二月』『Golden Delicious Hour』(ともに1999年6月発表)から始まって、『KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2021 “202020 & 55 STONES” Live at 東京国際フォーラム 2021.10.31』(2022年10月発表)まで実に14作品。映像ソフトが主流になった昨今、これだけライヴアルバムを発表してきたアーティストは、少なくとも同世代にはいないだろう。そのこだわりは間違いなく当代随一だ。『ROCK’N ROLL』はそもそも無観客であるし、全収録曲を一日で一気に録ったわけではないので、いわゆるライヴアルバムではない。しかしながら、ツアーメンバーとの一発録りは、それこそ『ROCK’N ROLL』発売タイミングに行なわれている全国ツアーでの演奏スタイルと変わりはなく、2023年での“ライヴ=生演奏”をパッケージした、言わばスペシャルなスタジオレコーディング盤という見方もできるだろう。
斉藤和義
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OKMusic編集部

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