5年ぶりの「俺の愛バが!」コールが
会場を震わせた! 「ウマ娘 プリティ
ーダービー 5th EVENT ARENA TOUR G
O BEYOND -WISH- 」レポート

様々なメディアで人気上昇中のクロスメディアコンテンツ『ウマ娘 プリティーダービー』。その世界をライブで描き出すナンバリングイベントも5thに突入し、今年は全国4ヶ所のアリーナツアーへとパワーアップ! その第1弾「WISH」が7月15~16日に横浜・ぴあアリーナMMにて開催され、マスク着用での声援も5年ぶりに復活。その盛り上がった二日間の様子をお送りしよう。

■華やかなお祭り感全開のライブからスタート!
記録的な猛暑が続く中、その熱量をさらに盛り上げるように横浜・ぴあアリーナMMには多くのウマ娘ファンが集結し、会場内は両日共に満員御礼。さらに今回はマスク着用の上での声援が解禁になり、声出しアリの『ウマ娘』イベントは2018年開催の2ndイベント以来。初めてのコールを経験するファンも多いとあってか、開演前にはウマ娘によるコール練習がスタート!
DAY1では場内のファンを「ウマ娘ちゃんを愛する同志」と呼ぶオタクなウマ娘・アグネスデジタルが、DAY2では風水ウマ娘・コパノリッキーが親友&ライバルのホッコータルマエとワンダーアキュートも活躍した前日の感想を語りながら登場し、場内のファンも彼女達のイメージカラーのコンサートライトを輝かせてのコール&レスポンスで盛り上がる。その盛り上がりに感動してアグネスデジタルの魂が抜けかける一幕も。
そんな彼女達のおかげで会場も暖まり、開演直前に『うまぴょい伝説』が流れると、早くも場内はターフ色のグリーンのコンサートライトの輝きに染まり、全力の「俺の愛バが!」コールとクラップが響き渡る。そんな最高の盛り上がりと共にいよいよアリーナツアーの幕が上がった。
ナンバリングイベントの楽しみと言えばMCを務めるシークレットゲスト。DAY1ではゲームの育成モード「グランドマスターズ ー継ぐ者達へー」からサポートAIの三女神ダーレーアラビアン役・進藤尚美/ゴドルフィンバルブ役・佐藤聡美/バイアリーターク役・斎賀みつきが登場。そしてDAY2ではアニメ『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』から沖田トレーナー役・土田大が登場。三女神からの神託の如き始まりの言葉や、沖田トレーナーの熱いゲキを合図にいよいよライブがスタート。
スクリーンには多彩な光と共に様々なメディアのウマ娘たちの姿が映し出され、今日出演するウマ娘達がそれぞれの二つ名と共に映し出され、その都度場内は大きな歓声に包まれる。そしてカウントダウンからの壮大なファンファーレと共にステージ上に出演陣が勢ぞろい。その幕開けを飾るナンバーは、ゲームの2周年を記念した楽曲「DRAMATIC JOURNEY」だ。出演陣を代表してDAY1ではキタサンブラック役・矢野妃菜喜とダイタクヘリオス役・山根綺、DAY2ではアドマイヤベガ役・咲々木瞳とテイエムオペラオー役・徳井青空がファンにゲキを飛ばし、夢へ向かって走るウマ娘たちが辿る胸高鳴る旅路の歌を熱唱。開演前にすっかり熱の入ったファンからの声援も加わって、ライブは最高のスタートダッシュとなった。
オープニング後のMCでは両日共に声出し解禁&アリーナツアーの幕開けへの意気込みや、5th EVENT新衣装「Road of Radiance」の紹介、待望の出演に興奮と緊張冷めやらぬ初参加組のコメントなどで盛り上がる。
トウカイテイオー役・Machicoのトレーナーの皆さーん!という挨拶を皮切りに、出演陣が演じるウマ娘の決めゼリフを交えて、いよいよ始まったツアー初日の意気込みを語っていく。DAY1ではビワハヤヒデ役・近藤唯が今日はウマ娘の色々な夢が詰まった公演になるのではと語ると、ナリタブライアン役・衣川里佳はその通りだ姉貴と一言で乗っかるだけで終わらせて笑いを誘う。そしてDAY2では初参加組のアグネスタキオン役・上坂すみれはコンサートライトの輝きに、そんなに発光してどうしたんだい? トレーナー君とタキオンらしいコメントを決めたり、マチカネタンホイザ役・遠野ひかるが待ち望んでいるファンに期待に応えるように、一緒に声出しで決めセリフのえい、えい、むん!をやって盛り上がる中、いよいよライブパートへのゲートが開いていく。
両日共にライブパートの幕開けを飾ったのはノリの良いWebアニメ『うまゆる』からのナンバー。DAY1は未来への夢へのトキメキを唄った「Bright Melody」をオリジナルメンバーのウオッカ役・大橋彩香&アグネスデジタル役・鈴木みのりと、シンボリルドルフ/エアグルーヴ/タニノギムレットと縁の深いトウカイテイオー役・Machico、ファインモーション役・橋本ちなみ、シンボリクリスエス役・春川芽生というメンバーでポップに唄い上げる。
続いて実況席に登場したサングラス姿のメジロパーマー役・のぐちゆり&ダイタクヘリオス役・山根綺のアゲアゲなDJと共に、90年代ユーロビート全開の『うまゆる』ナンバー「Dance 2 Endless Beat」。こちらもオリジナルメンバーのダイワスカーレット役・木村千咲/エアシャカール役・津田美波/ハッピーミーク役・吉咲みゆに加え、マルゼンスキーの親友・ミスターシービー役・天海由梨奈とツインターボの同期&ライバルのヤマニンゼファー役・今泉りおなというウマ娘の関係性を活かした組み合わせで、場内のファンも盛り上がった。
DAY2では「ゆるパカHAPPY DAYS!」をオリジナルメンバーのダイワスカーレット役・木村千咲/ツルマルツヨシ役・青山吉能/シンボリクリスエス役・春川芽生・タニノギムレット役・松岡美里に、トウカイテイオー役・Machic/テイエムオペラオー役・徳井青空/ライスシャワー役・石見舞菜香/メイショウドトウ役・和多田美咲/マチカネタンホイザ役・遠野ひかる/サクラローレル役・真野美月/ナリタトップロード役・中村カンナが加わる11名編成のスペシャルバージョンで、まさにハッピーなお祭りのようなステージが繰り広げられた。
そしてナンバリングイベントに欠かせないウマ娘達の始まりの歌「Make debut!」も登場。DAY1ではオグリキャップ役・高柳知葉、アグネスデジタル役・鈴木みのり、ファインモーション役・橋本ちなみ、スーパークリーク役・優木かな、メジロパーマー役・のぐちゆり、キタサンブラック役・矢野妃菜喜、カツラギエース役・藤原夏海、ハッピーミーク役・吉咲みゆらによるリミックスバージョンで、みんなでお祭り騒ぎしてください! というキタサンブラックらしい矢野のかけ声を合図に、サビのパートやクライマックスを会場全体で熱唱。声出し解禁だからこそできるホットな演出でライブパート序盤を締めくくる。そしてDAY2ではオリジナルバージョンをミスターシービー役・天海由梨奈/シュヴァルグラン役・夏吉ゆうこ/ホッコータルマエ役・菊池紗矢香/ワンダーアキュート役・須藤希/カツラギエース役・藤原夏海/ヒシミラクル役・春日さくら/タップダンスシチー役・篠田みなみら初出演組が熱唱。夏吉のファンへのお礼と僕たちのステージを楽しんでいってくださいというメッセージも交えて、フレッシュなデビューを披露してみせた。
■ソロナンバーパートではウマ娘達の個性が大爆発!
ライブパート序盤戦を締めくくったのは両日共にウマ娘達のソロ曲だ。
DAY1ではホッコータルマエの「けっぱれ!輝きストレート」とワンダーアキュートの「悠々閑々」からスタート。故郷・苫小牧の名物が飛び交うスクリーンをバックにロコドル感全開のパフォーマンスを繰り広げる菊池に、静かに移り変わる四季の移ろいと共に、ゆったりした時間を共に歩む思いを情感たっぷりに唄い上げる須藤と、共に演じるウマ娘のカラーを表現したパフォーマンスで場内を盛り上げた。
そんな二人と縁が深いコパノリッキー役・稲垣好もDAY2のソロパートに「ラキハピファンタスティック」で登場。風水パワーでみんなを幸せにという想いを元気に唄うリッキーの応援にホッコータルマエとワンダーアキュートが実況席に登場。サビのコーラスを二人が唄って一緒にステージを盛り上げる姿がスクリーンに映し出され、親友&ライバルなダート三人娘の夢の競演に場内も盛り上がった。
さらにウマ娘同志の関係性を盛り込んだ演出が光ったナンバーも。DAY1ではビワハヤヒデ役・近藤唯の「手綱と絆」では、ターフを走る数式と光と共に、ライバルとの絆を力に変えるビワハヤヒデの走りへの思いを近藤が熱唱。そして後半には妹・ナリタブライアン役の衣川が登場し、二人が待ち望んでいた姉妹共演ステージが実現。ステージの左右で互いに向かい合いながら、絆を確かめ合うように唄う姿に場内も沸き上がった。
DAY2では虚弱な体質に苦しみながらも走ることを求め続けたツルマルツヨシのソロナンバー「Play Again」では、実況席にトウカイテイオー役・Machicoが登場。モデルの競走馬が共にシンボリルドルフの子どもということで、『ウマ娘』でも縁が深いツルマルツヨシの応援に駆けつけ、客席にも彼女へのコールをお願いするなど、こちらも絆を意識した演出に歓声が上がった。
そしてDAY2ソロパートのトリを飾るのは、タニノギムレット役・松岡美里の「Destroy for Dasein」。華やかで可愛いコパノリッキーのステージから、一転してダークで激しいロックナンバーが空気を震わせ、迫力の雄叫びのようなボーカルとヘッドバンキング、そしてモデル競走馬の代名詞にもなっているキックでの柵破壊もステージ上で再現され、場内は一気にヒートアップ! ラストは雄叫びと共に天を見上げながらひざまずくポーズを決めて締めくくったが、曲を終えてのMCタイムになってもそのまま固まって動かず、他のウマ娘からツッコミが入る一幕も。
ライブパートの序盤を終えてのMパートでは、それぞれのウマ娘らしいコール&レスポンスを決めるコーナーがスタート。DAY1ではラーメン大好きなファインモーションが「ラー!」と叫ぶと場内から「メーン!」と声が上がり、アグネスデジタルはみんなそれぞれ推しを叫んでと呼びかけてカオスな状態に。そしてDAY2では土田がアニメ『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』にちなんでクラシック三冠レースコールをファンと共に決める。そして両日共にシメは全員揃っての「俺の愛バが!」を決めて、ライブパートは中盤戦へと突入していく。
■DAY1では舞台「ウマ娘 プリティーダービー」~Sprinters' Story~がまさかの再演!
スクリーンにはトゥインクルシリーズのパドックが映し出され、実況役・明坂聡美とは違った声での実況が響き渡る。それに合わせて力強いタップダンスと共に現れたのは、勝負服姿のダイタクヘリオス、ダイイチルビー、ヤマニンゼファー、ケイエスミラクルの四人。何とDAY1のライブパート中盤戦は、今年1月に上演された舞台「ウマ娘 プリティーダービー」~Sprinters' Story~をダイジェスト再演という、見逃していたファンには嬉しすぎるサプライズに場内は湧き上がった。
舞台版で他のウマ娘を務めたアンサンブルのメンバーも勝負服姿でステージに登場し、怪我から復帰したケイエスミラクルを迎えてのレースがスタート。タップダンスで走りや順位を表現しながらのレースシーンの熱さに、実際のレースを見ているかのような大歓声が巻き起こる。そしてこのレースのウイニングライブとして「本能スピード」がスタート。普段のウマ娘ライブとは違った舞台ならではの演出のステージに場内はますます盛り上がっていった。
そしてステージはレース後の控え室に移り、再び一緒に走れるようになった四人が過去を振り返るという形で、舞台版終盤の再演がスタート。
命がけでスプリンターズSに勝とうとするミラクルを止められないルビーの考えを、自らの「楽しい走り」で変えようとするヘリオスと、レース後にその心意気に感じ入り、初めてヘリオスに笑顔を見せるルビー。
自分の存在証明のために悲壮な決意を固めるミラクルと、彼女に勝つことで救おうとするルビーなど、四人の揺れ動く思いを歌唱を交えたミュージカルで演じられ、場内はいつしか静まりかえり、みんなが圧倒的なクオリティで繰り広げられるウマ娘達のドラマを見入っていた。
そんな舞台版パートもいよいよグランドフィナーレに。突然スタンドの客席通路にヘリオスのズッ友・メジロパーマー役・のぐちゆりが現れてのゲキを皮切りに、ステージにはアンサンブルのウマ娘達も勢ぞろいしてテーマソング「Overrunner!」がスタート。場内のファンも観劇モードからライブモードへと切り替わり、スタンディングオベーションの代わりに力強いコールで舞台スタッフ&キャストへの感謝を送り、サプライズに満ちたライブパート中盤を締めくくった。
再演を終えてのMCコーナーでは、それぞれが舞台版の思い出を振り返り、舞台用に作られた勝負服をクリルと一回転してファンへと披露。そして最後は舞台の座長を務めた山根からは、この日のために再び結集してくれた舞台版のスタッフとキャスト、そしてこの舞台を楽しんでくれたファンへ感謝の言葉が送られた。
■DAY2中盤戦は圧巻のパフォーマンスの連続!
一方DAY2は場内が暗闇に包まれると、スクリーンに映し出された「BoC'z」のロゴに場内は大歓声に包まれた。今年のエイプリルフール企画として誕生した、ボウシを愛するウマ娘達によるボウシの素晴らしさを世に広めるためのアイドルグループ「BoC'z」(ボウシーズ)がまさかのリアルライブに登場だ。ブルーとピンクのライティングを浴びながらボウシ姿のウマ娘ダンサーズと共にオリィザ a.k.a.ライスシャワー(石見舞菜香)/816-n a.k.a.マチカネタンホイザ/MACOtMai a.k.a.ホッコータルマエ(遠野ひかる)/マリン・C a.k.a.シュヴァルグラン(夏吉ゆうこ)が、黒とグレーのストリートファッションまとってボウシ姿のダンサーと共にダンスパフォーマンスを繰り広げる。そしてリーダーのキャップ・ビー a.k.a.ミスターシービー(天海由梨奈)がアリーナ通路を悠然と歩いてステージ上で合流し、アッパーチューンなナンバー「Hat on your Head!」を見事なパフォーマンスで決めて、場内のテンションをクールかつ熱く引き上げてみせた。
そのノリを引き継ぐように、ブルーのライティングとレーザーが飛び交う中でオリジナルよりアップテンポな「Never Looking Back (Remix Ver.)」をダイワスカーレット/メイショウドトウ/キタサンブラック/ツルマルツヨシ/サクラローレル/シンボリクリスエス/カツラギエース/ヒシミラクル/タップダンスシチーがダンスを交えて歌いきって、迫力のステージを見せつけた。
そしてナンバリングイベント初出演となるアグネスタキオン役・上坂すみれは、ソロ曲「ライトレス」を初披露。その名の通りの超光速の粒子が飛び交うようなまばゆいスクリーン&ライティング演出の中、圧倒的な迫力のボーカルで新たな世界へと進み続けようとするアグネスタキオンの心象風景を力強いパフォーマンスで表現してみせた。
クールなナンバーが続いて緊張したファンの身体を解きほぐすように始まったのは、『うまゆる』エンディング主題歌「ミッドナイト・エピローグ」。トウカイテイオー/ダイワスカーレット/ライスシャワー/メイショウドトウ/キタサンブラック/サクラローレル/ヒシミラクル/タップダンスシチーら8名が、ウマ娘達のパジャマパーティーの様子を可愛くポップに唄い上げる。
盛り上がったDAY2ライブパート中盤を締めくくるのは、2022~23年冬に大井競馬場で開催された東京メガイルミと『ウマ娘 プリティーダービー』のコラボレーション記念ソング「KIRARI MAGIC SHOW」。大井競馬場を彩ったイルミネーションを再現したようなスクリーンビジュアルと共に、同競馬場と縁が深いコパノリッキー/ホッコータルマエ/ワンダーアキュートの3人が、キュートで華やかなクリスマスソングを熱唱。猛暑に疲れたファンの心を癒すような、最高の真夏のクリスマスとなった。
終了後のMCでは初出演の上坂すみれが1人で唄うのが寂しかったと言いつつ、「ライトレス」を唄っているとマンハッタンカフェと演じる小倉唯の姿が見えたし、応援してくれるモルモットくん(ファン)もいたので寂しくなくなったと語った。そして真夏の花火大会として、お囃子に合わせてランチャーで客席にテープを発射するパフォーマンスで盛り上がり、次はDAY2ならではの企画ライブパートがスタート。
■DAY2では『ROAD TO THE TOP』で繰り広げられたクラシック三冠の激闘が甦る!
DAY2のライブ後半戦は、アニメ『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP』の世界をライブで描き出すスペシャルパートがスタート。スクリーンに映し出されたのはクラシック三冠へと挑むナリタトップロード/アドマイヤベガ/テイエムオペラオーの姿。そして同作で実況役を務めた本泉莉奈がシークレットゲストとして実況席に登場し、場内のファンへ三人への声援をお願いしたところで、OP主題歌「Glorious Moment!」がスタート。高らかなファンファーレと共に場内に声援が爆発する中、アニメ本編の映像を交えながら疾走感とパワーにあふれるボーカルで勝負の歌を熱唱。後半では実況席に現れた沖田トレーナーの叫びにナリタトップロードが決意のセリフで応え、最後は三人でランウェイを走ってメインステージに辿り着いてラストを決めて見せた。
続いてはテイエムオペラオーからの呼び込みを受けてアリーナ中央ステージにメイショウドトウ役・和多田が登場し、オペラオーに憧れ並び立ちたいと思う気持ちを込めた「ゼッタイトナリ…!」 を、途中で心の声を漏らしてしまいながらも元気にけなげに唄い上げた。
次のナンバーは皐月賞を勝利したテイエムオペラオーのクラシック三冠への決意を唄った「Forever gold」。荘厳な歌劇場を思わせるビジュアルを背負い、曲タイトルの通りの黄金を感じさせるライティングと炎の効果を浴びながら、オベラオーが己の目指す理想へ邁進する決意を徳井は威風堂々としたボーカルと佇まいで見せつけた。
続いては日本ダービーを制したアドマイヤベガのソロナンバー「Like a Shooting Star」。夜空に輝く星・ベガに生まれてこなかった妹の姿を重ね、彼女のために走り続けようというアドマイヤベガの静かな決意を咲々木が情感を込めて唄い上げていく。そして咲々木のシルエットをリアルタイムでステージの逆側に映しだして妹の姿を見せるなど、きめ細かな演出でアドマイヤベガの世界をステージ上に創造。最後は流れ星を受け止めるように歩く彼女からの妹へのメッセージで締めくくった。
最後は菊花賞でついに勝利を掴んだナリタトップロードの「ONCE MORE, I CAN」。 スクリーンに歌詞が飛び交うタイポグラフィ演出をバックに、彼女の勝利への執念を中村が力強く熱唱。そして終盤は実況からのさらなるエールをお願いしますの言葉に、菊花賞の最終直線の競り合いのように歌も声援もヒートアップ。そして最後は気合いの乗ったシャウトからの「本日は本当にありがとうございましたー!」の挨拶と共にステージは暗闇に包まれ、ライブの幕は閉じた……が、場内はすかさず「アンコール!」の声に包まれる。これはファンと共に作り上げるアニメ最終回の再現なのだ。
スクリーンにはアンコールの声に応えるバックステージの三人の姿が映し出され、アニメでの三冠クラシックの戦いを振り返るスペシャルムービーが流される。そして再び三人がステージに登場し、アニメ内でのアンコールで三人が唄った「イチバン星が駆ける空」を三人のイメージカラーの星がスクリーンに輝く中で唄い上げ、ファンも出演者も、会場にいたすべての人が『ROAD TO THE TOP』の世界に浸って、スペシャルパートは大団円で幕を閉じた。
MCコーナーではみんなが凝った映像演出の数々に泣きそうになったと語り、沖田トレーナー役・土田は実際にステージ上で涙ぐむ姿を見せた。そしてこのパートの曲は初披露ということでそれぞれが曲への想いを語り、「ONCE MORE, I CAN」の最後のシャウトはカンペの指示でのぶっつけ本番だったと語る中村の話には場内も驚きの声で包まれた。
■受け継がれていくウマ娘達の「-WISH-」を歌に込めて……
ライブもいよいよ終盤戦へ。そこで両日通して行われたスペシャルパートが、今回のイベントテーマ「-WISH-」を語る時間だ。
出演陣全員がアリーナ中央の円形ステージに並ぶと、会場の上から降りて来るラウンドスクリーン。そこには走るウマ娘達の姿やシルエットと共に、「ーWISHー」に込められた想いの言葉が映し出されていく。
「憧れを超えていく想い」「君とならきっと超えられる」
「誰もが諦める中起こした奇跡に」「そして今自分自身を」
「夢を、そして憧れを超えていく」「僕らなら超えられる」
願いを込めてそれらを読み上げて、場内へのファンに想いを届けるウマ娘達。そして、その想いにちなんだ様々な楽曲が、この日だけのスペシャルユニットで披露されていく。
両日通して唄われたのは、テレビアニメ第1期のラストを飾った思い出のナンバー「Special Record!」。トウカイテイオーとキタサンブラック、ナリタブライアンとビワハヤヒデ、ダイイチルビーとケイエスミラクル、テイエムオペラオーとメイショウドトウなど、強い絆を交わした者同士のデュエットがこれからも続いていく夢への想いを唄い上げてた。
そしてテレビアニメ第2期OPテーマ「ユメヲカケル!」がDAY1ではオリジナル、DAY2ではフィナーレ直前にSymphonic Ver.で披露され、ミスターシービーとカツラギエース、メジロパーマーとダイタクヘリオス、ホッコータルマエとワンダーアキュート、シンボリクリスエスとタニノギムレットなど、歌のフレーズ通り「友達以上、仲間でライバル」な関係のウマ娘達が揃い、それぞれの関係性を込めながらのボーカルが織りなすハーモニーにファンからも大きな歓声が巻き起こる。
DAY1ではアリーナツアーの始まりに合わせて、2021年に『ウマ娘』の新たな始まりを印象づけたゲーム版テーマソング「GIRLS' LEGEND U」も唄われた。イントロと共に歓声が爆発し、ステージ上のウマ娘とファンが声を合わせて冒頭のウォークライを口ずさむ。そして「トレセーン! ファイオー! ファイオー!」では力強い声出しコールが重なって、会場が揺れるような盛り上がりとなった。
さらにウマ娘達の魂を衝き動かすような、熱き戦いの歌も忘れてはならない。
DAY1ではオグリキャップ/ホッコータルマエ/ワンダーアキュートらダート強豪ウマ娘トリオによる「UNLIMITED IMPACT」、孤高のウマ娘・エアシャカール役・津田美波が、シャカールそのもののような不機嫌さとパワフルさを見せつけるパフォーマンスに女性ファンから歓声が上がり、ファインモーション役・橋本ちなみもひたすらにその姿を見つめ続けていた「Air Race」、重低音のメロディが轟く中でダンサーを従えたシンボリクリスエス役・春川のクールで力強いパフォーマンスが繰り広げられた「THE SUPER STRONG S」と、ファンの体力に勝負を挑むような破壊力満点のナンバーが続いた。
特定のレースで勝ったウマ娘だけが歌えるナンバーも、ファンの心をくすぐるようなユニットで披露された。
クラシック戦線で勝利したウマ娘だけが唄える「winning the soul」は、DAY1ではこのツアー用にアレンジされた「GO BEYOND Mix Ver.」で三冠ウマ娘のミスターシービー&ナリタブライアンが力強く唄い上げ、後半では二冠まで辿り着いたトウカイテイオー役・Machicoとエアシャカール役・津田も加わり、ひりつくようなライバル心がぶつかる緊張感が漂わせるステージに。DAY2ではオリジナルバージョンをミスターシービーとカツラギエースというライバル同士で掛け合いを交えながらぶつかり合う熱い歌声を響かせた。
さらにDAY1では「全てを超えろ」というアオリと共にダイワスカーレットとナリタブライアンの二人がスクリーンに映し出され、強豪ウマ娘がシノギを削るシニアG1を勝った者しか唄えない「NEXT FRONTIER」を披露。燃えさかる炎の映像とステージに上がる火花、そしてファンが輝かせる真紅のコンサートライトで場内が真っ赤に染まる中、次なる勝利を求め続ける飽くなき心の叫びを熱唱。後半ではオグリキャップ役・高柳知葉、メジロパーマー役・のぐちゆり、シンボリクリスエス役・春川芽生ら二人同様にシニアG1を制したウマ娘も加わり、王者の力強さを感じさせるデュエットを奏でてみせた。
そしてDAY2では「極限を超えろ」「走り続けたものだけに挑める道がある」というアオリと共に、「最強とは何か?」を問いかける熱いロックナンバー「BLOW my GALE」を、シンボリクリスエス/タニノギムレット/コパノリッキー/ホッコータルマエ/ワンダーアキュート/ヒシミラクル/タップダンスシチーと己の信念とプライドをぶつけ競ったウマ娘達が熱唱し、場内を熱狂で満たしていった。
そんな戦いの歌の中から両日通して唄われたのが、ゲーム『ウマ娘』のトレーナーがシノギを削って挑んだチャンピオンズミーティングに勝ったウマ娘だけが唄えるスペシャルナンバー「Ms. VICTORIA」。推しのウマ娘にこの歌を唄わせたくて、涙を呑んだトレーナーも多い歌だけに、「喝采を超えろ 凱歌を響かせろ」という言葉と共に始まるやいなや会場を揺るがすようなコールが場内に満ちあふれ、それに負けじと10人のウマ娘が真っ赤に染まる場内に勝利の凱歌を響き渡らせた。
■最後を飾るのは待ちに待ってた声を合わせての「うまびょい!」
激しい歌の連続を乗り越えた後に待っていたのは、フィナーレへと繋がるエモーショナルなナンバーの連続だ。DAY1ではゲームの1st Anniversaryを記念した「We are DREAMERS!!」、そして何物にも代えがたい出会いを唄った「永遠の色彩」を、ウオッカとダイワスカーレット、ファインモーションとエアシャカール、オグリキャップとスーパークリークい、ライバルや友達という言葉以上の結びつきを見せるウマ娘達が唄い、情感のこもったハーモニーに大きな拍手が送られた。
そしてライブ両日のフィナーレを飾るラストナンバーは、世代を超えて受け継がれていくウマ娘の魂の賛歌「Everlasting BEATS」だ。DAY1では三女神によるファンへのメッセージも加わり、かつて走った者達の魂を受け継ぎながら今を走り続けるウマ娘達の想いを、メインステージに広がった22名が荘厳なハーモニーで唄い上げて、5thイベントDAY1は静かに幕を閉じた……。
だが、まだまだウマ娘達との時間を終わらせたくない! そんなファンの想いがこもった、2ndイベント以来の「アンコール!」の声が場内に響き渡る。そんな想いに応える様に、シークレットゲストからアンコールが始まるまでの間にゲーム・イベント・グッズなどの最新情報や、9月16~17日に名古屋で開催の5thイベントツアー第2弾「-GAZE-」の追加情報が告知される。特に「-GAZE-」の追加出演者として、DAY1に長谷川育美(ミホノブルボン役)、石見舞菜香(ライスシャワー役)、井上遥乃(イナリワン役)、佐伯伊織(キングヘイロー役)、DAY2に上田瞳(ゴールドシップ役)、篠原侑(カレンチャン役)、大和田仁美(スマートファルコン役)、首藤志奈(ハルウララ役)、ファイルーズあい(シリウスシンボリ役)の追加出演決定のニュースには大歓声があがり、そしていよいよアンコールの幕が上がった。
出演ウマ娘達の紹介映像が流れ終わり、アリーナ中央・ランウェイ・メインステージにその日の全員が勢ぞろいして始まったのは、夏に弾けるウマ娘達の姿を情熱的に唄ったダンスナンバー「Gaze on Me!」。猛暑が続くこの日にピッタリな曲に、ステージ上のウマ娘も場内のトレーナーも一気に最高潮まで熱くなる。
曲を終えての最後のMCでは、出演陣を代表したメンバーからライブをやり終えた喜びや、みんなの声援が聞けるようになったことへの嬉しさ、自分が演じるウマ娘らしさをみんなに伝えられたかなどを熱く語った。
そして実況役・明坂聡美からの「まだまだ盛り上がりたいですよね!」という恒例のフリからのシメの一曲「うまびょい伝説」がスタート! しかも今回は4thイベント千秋楽でトレーナー役・沖野晃司が「いつかみんなで「俺の愛バが!」と声を出せる日が来ることを」と待ち望んだ、2ndイベント以来となる声出し声援付きだ。
「うまぴょい!」「俺の愛バが!」をはじめ、多彩なコールが客席から飛んで、ステージ上のウマ娘とファンが共に盛り上がる様子は、まさにゲームやアニメ本編で描かれるウイニングライブの風景そのものだ。最後にはライブを共に盛り上げたウマ娘ダンサーズや、DAY1ではこの日のために再結集した舞台版キャスト&アンサンブルも勢ぞろいし、また次のレース(イベント)での再会の約束で、DAY1は大団円のラストを迎えた。
「ここから生まれた希望が旅路になる…紡がれていく物語は夜を越えて」
「重なり合った想いは眼差しの先へ そしてGAZEへ」
ラストにスクリーンに映し出されたナレーション映像と共に、夢の続きは「-GAZE-」へと繋がっていく……。
それぞれのウマ娘にまつわるドラマから導き出される関係性にこだわったセットリストや、大がかりな企画ブロックでただのライブに留まらないイベント感を生み出したウマ娘 プリティーダービー 5th EVENT ARENA TOUR GO BEYOND -WISH-。次の名古屋ではまた新たなコンセプトで『ウマ娘 プリティーダービー』の世界を描き出すとのことなので、来年3月まで続く5thイベントに今後も注目だ。
文=斉藤直樹

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着