​​名コラボ満載の新境地へ、大橋ト
リオが強者演奏家たちと迎えたコラボ
アルバム・ツアーファイナル

『ohashiTrio HALL TOUR 2023』2023.7.15(SAT)大阪・NHK大阪ホール
『ohashiTrio HALL TOUR 2023』大橋トリオ
福岡、愛知、東京を巡った大橋トリオの全国ツアー 『ohashiTrio HALL TOUR 2023』。7月15日(土)にNHK大阪ホールでファイナルを迎えた。ステージに現れたバンドメンバーは、ギター&男性ボーカル、コーラスのTHE CHARM PARK、ピアノの小林創、ベースの須長和広 、サックスの武嶋聡、ドラムの神谷洵平という、もはや大橋トリオのライブには欠かせない強者たち。さらに今回は、2023年1月にリリースされたコラボレーションアルバム『ohashiTrio collaboration best -off White-』を提げたツアーということで、女性ボーカルを務めるのはKitri(キトリ)のMonaだ。

『ohashiTrio HALL TOUR 2023』

バンドがダンサブルなリズムを奏で始めると、客席に立席を促すように両手で合図をしながら大橋トリオが登場。ギターを抱えた彼が歌い始めたのは、大橋が劇伴をてがけたNHKドラマ『探偵ロマンス』の主題歌「生きる者」。冒頭からの大盤振る舞いに、客席はすでに総立ち状態だ。
『ohashiTrio HALL TOUR 2023』
続けて披露されたのは、大橋自ら両手を頭上に振り挙げ、観客に手拍子をリクエストして始まった「アーモンド」。コラボアルバムではりりあ。とのデュエットだったが、今回のツアーではもちろんMonaと大橋がデュエット。タンバリンを鳴らしながら歌うMonaと大橋のシャーベット・トーンの歌声が重なり溶け合う中、ギターソロが最後に熱く響くと、場内から大きな歓声が沸き起こる。
『ohashiTrio HALL TOUR 2023』
『ohashiTrio HALL TOUR 2023』THE CHARM PARK
『ohashiTrio HALL TOUR 2023』Mona(Kitri)
大橋がピアノに向かったのは、「7番通りの曲がり角で」。曲の中盤、会場内の照明「客電」が灯され、満杯の客席がくっきりと浮かび上がる。その楽しそうなステージと観客の様子を見つめながら、ふと、ここ、NHK大阪ホールで大橋トリオが公演を行った2021年のことを思い出す。

『ohashiTrio HALL TOUR 2023』小林創
『ohashiTrio HALL TOUR 2023』須長和広

当初予定されていた11公演のツアーは東京と大阪のみ。集客数も制限されるなど、多くの規制の中、粛々とライブは行われた。それでも歌や演奏は本当に素晴らしく、だが、どれほど演奏に感動しても、大橋のユーモアあふれるMCに吹き出しそうになっても、声を出して応えることはできず、笑顔も涙もマスクに覆われて見えなかった。けれどこの日、客電が照らし出したのは、観客の誰もが音楽を心と身体で受け止め、自由に楽しんでいる光景。「さよならの無い世界」を歌い終えた後、観客が鳴らすバードコールのピヨピヨという音が響く会場を見渡して、大橋が嬉しそうな顔で話す。
「大阪NHKホール、こんな眺めだっけ? なんでだろ。びっしり(観客が)いらっしゃるからかな」
大橋のMCに場内から大きな拍手が沸き起こる。そう、私たちがずっと静かに待ち望んでいたのは、こんな風に音楽を楽しめる日がまた来ること、だった。

『ohashiTrio HALL TOUR 2023』神谷洵平
『ohashiTrio HALL TOUR 2023』武嶋聡

続いて始まったのは、「マイク1本コーナー」。洋楽/邦楽のカバーや自身の曲をアコースティックでアレンジしてやるコーナーだ。大橋にとって「ルーツでもある」というピーター・ポール&マリーの「Don't think twice , It's Alright」でスタート。シンプルだからこそ際立つ、演奏の妙と音と声が重なる美しさ。酔いしれる観客に向かい、「実は、いちばん楽しい」とマイク1本コーナーへの思いを語る大橋。バンドメンバー全員が再びステージに現れると、自らが劇伴を担当したNHK大阪制作の『探偵ロマンス』について語る大橋。

『ohashiTrio HALL TOUR 2023』

『ohashiTrio HALL TOUR 2023』
「探偵もので、しかも大正時代。これだけで音楽を作る者としてはゾクゾクするシチュエーションなんですよ。力を入れて制作しました」。そして、『探偵ロマンス』のサントラからオープニング曲と「わぬ夢」をアコースティックで披露。さらにこの日は特別に、手嶋葵をフィーチャーした「真夜中のメリーゴーランド」をMonaとのデュエットで披露。サックスのソロパートでは「もう一声」「からの?」「それはさておき」と、さらなる演奏を要求して煽る楽しそうな大橋。強者音楽家集団だからこそ可能な遊びに、客席から大きな歓声が上がる。

『ohashiTrio HALL TOUR 2023』

再び本編に戻ると、「VENUS」で大橋がロックなギターソロをエモーショナルに披露。「ミルクとシュガー」ではリズムに合わせてシェーカーを振った後に、チャーミングなパンチを繰り出したりと、今までにないエンターテインメントな面を次々と披露。大橋がバンジョーを持って始まった「Happy Trail」で武嶋のソプラノサックスがソウルフルに炸裂した後は、客電が灯された場内にドラマティックな「サクラ」が響き渡る。

『ohashiTrio HALL TOUR 2023』
『ohashiTrio HALL TOUR 2023』

余韻冷めやらぬ客席のコールに応えて始まったアンコールでは、ツアーグッズに身を包んだメンバーと大橋がステージに登場。
「手を替え品を替え、いろいろやってますが、今回がいちばん楽しい。来年も再来年も手を替え品を替え、もっといいステージを更新して、もっといい曲を作っていきたいと思います」
大きな拍手が響く中、メンバー紹介の際のソロ演奏では、3日前に誕生日を迎えた大橋への「Happy Birthday To You」のフレーズを、メンバーそれぞれが独自に披露。すると、「45歳になりました。ちょっと微妙な気持ちになっちゃった。45か……ま、いっか」と、感慨に浸る大橋。そんなリラックスムードの中、「モンスター」、「Be there」とコラボ曲をTHE CHARM PARK、そしてMonaとのデュエットで披露。とりわけ驚いたのが、「Be there」の「イエイ、イエイ」という掛け合いのパートで、何と客席との熱いコール&レスポンスを繰り広げるという新境地!
最後にメンバー全員で手を繋ぎ、笑顔で挨拶をした後、大橋が1人ステージに残ってピアノに向かうと、「生まれた日」をしっとりと演奏。観客とともに生で音楽と感情を分かち合う喜びを美しく穏やかに彩った。
『ohashiTrio HALL TOUR 2023』
終演後、歓声が聞こえたり、表情が見えるライブを久々にやってみた手応えと意外な新境地について尋ねると、大橋は笑顔でこんな風に話してくれた。
「コロナ禍前のライブでも、コール&レスポンスのようなことはやってなかったんだけど、今回のツアーで初めてやってみて、こっぱずかしい気持ちもあるけど、お客さんが楽しそうにしてくれてるのが良かった。今回のツアーはそういう発見があったし、またそういう曲ができたらやってみてもいいかな?」
『ohashiTrio HALL TOUR 2023』
取材・文=早川加奈子 写真=オフィシャル提供(撮影:渡邉一生)

>Spotifyにてプレイリスト『ohashiTrio HALL TOUR 2023 -Set List-』を公開中
(一部楽曲を除く)

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