「ハリー・ポッターと賢者の石~子供
のための管弦楽組曲」をはじめ、オリ
ジナル・スコアによる最新録音を収録
 『素晴らしきジョン・ウィリアムズ
の世界』発売

2023年6月14日(水)『素晴らしきジョン・ウィリアムズの世界』が発売された。
近年では、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルへ客演指揮者として迎えられるなど、音楽界の注目の的となっているジョン・ウィリアムズ。素晴らしいメロディと豪華絢爛で見事なオーケストレーションは映画音楽ファンのみならず全ての音楽ファンから敬愛されている。本日発売となった本作は、ジョン・ウィリアムズによるオリジナル・スコアを使用した録音で、オリジナル・サウンドトラックを超える録音と演奏を目指して制作された。
収録曲の中で、ジョン・ウィリアムズによる子供のためのオーケストラ入門ともいうべき「ハリー・ポッターと賢者の石~子供のための管弦楽組曲」の全曲を初録音。オーケストラの魅力を昨今、日本でも人気が再燃しているハリー・ポッターと共に存分に楽しめる内容になっている。他にも、合唱+オーケストラによる『プライベート・ライアン』の感動を誘う『戦没者への賛歌』、『スター・ウォーズ エピソード1ファントム・メナス』の「運命の戦い」など聴きどころ満載である。
ジョン・ウィリアムズの魔法(マジック)を解き明かせ! オリジナル音源のハイレゾでも聴き取れなかった
楽譜の細部まで堪能できる、まるで「4K ULTRA HD」のような新録音
今年91歳を迎えた作曲家ジョン・ウィリアムズ。キャッチーな旋律も確かに彼の魅力かもしれない。だが、彼が音楽を書き下ろしてきた映画を思い起こしてみてほしい。フィクションから実話まで、全く異なる世界観をもった映画ばかりなのに、基本的に用いているのは伝統的なオーケストラ。編成は大きく変えず、それでいて各作品に見合った多彩な音楽を生み出していることには、誰もが驚くほかないはずだ。
幸いジョン・ウィリアムズの主要な楽曲は「John Williams Signature Series」というタイトルで楽譜が出版されており、コンサートで演奏される際にも使われている。ところがジョン・ウィリアムズ自身が指揮した自作自演盤は、音楽的にはもちろん素晴らしいのだが、いわば一流のマジシャンによる華麗なイリュージョンをみるようなもの。どのようなタネで魔法に視えるのかは、なかなか掴めなかった。
だが騙されたと思って、この録音を良いオーディオ環境で鑑賞してみてほしい。収録された音にじっくり耳をそば立てるだけでも、どのような楽器が重なっているのかがしっかり聴こえてくるではないか! それでいて、自作自演盤にあったような編集によって恣意的に生み出されたのであろう人工的で不自然なバランスにもなっていない。手品の種明かしをされてもなお、その手腕の見事さに感服してしまう……竹本泰蔵指揮の東京交響楽団による録音はそんな演奏に仕上がっている。
『スター・ウォーズ』『シンドラーのリスト』『プライベート・ライアン』といった珠玉の名作を彩った音楽の演奏も文句なしに素晴らしい。ただ、このアルバムで最もご注目いただきたいのは子供のための管弦楽組曲『ハリー・ポッターと賢者の石』だ。全9曲の組曲なのだが、最初と最後以外は使用楽器を限定した編成になっており、普段とは異なるジョン・ウィリアムズの顔が堪能できる。チェロアンサンブルとクラリネットソロのための〈家族の肖像〉、リコーダーが活躍する〈ダイアゴン横丁〉などはその筆頭格。懇切丁寧な演奏だからこそ、新たな魅力に気付けるはずだ!
小室敬幸(音楽ライター、映画音楽評論家)

アーティスト

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

新着