【SKY-HI×社長
(SOIL&"PIMP"SESSIONS)
インタビュー】
敷居は低く、底は深い
『LOVE SUPREME』!
最後までどうなるか
分からないのでスリルはある
本番にならないと分からないわけですね。
社長
そうなんです(笑)。
SKY-HI
こういう時、セッションが好きな自分で良かったなって思いますね。所属アーティストも複数人連れていくわけですけど、みんながオロオロしないで済むというか、“何か困ったら社長が助けてくれるだろう”って状態で行けるのは、自分がセッションを楽しめる人間だからかなって思うんです。
社長
カッコ良い!
SKY-HI
“俺が碇になるよ”って。そういう意味で、心配はしてないです。でも、最後までどうなるか分からないのでスリルはあります(笑)。
そういうふうにセッションとか、その場で起こることを楽しめるというのは、昔からですか?
SKY-HI
そうですね。経験もありますけど、基本的な思考もそうだったんだと思います。もともとスティーヴ・ガットに憧れてドラムを叩き始めたし、ヒップホップが好きになって、今みたいにバトルブームが起こる前からフリースタイルが好きだったから、四六時中いろんなところでやっていたから、バトルも出てたけど、バトルよりもセッションが好きで。10代後半からやってたイベントにはジャズバンドもいて、毎回セッションをやっていたんですけど、正直言って2000年代半ばの渋谷FAMILYなんてガラガラですよ。こっちは第2土曜日をもらっているのに(笑)。多い時は50〜60人ぐらい入ってたんですけど、5人ぐらいの時も結構ありましたから。
社長
へぇ〜。
SKY-HI
そういう時はセッションを30分ぐらいやって、なんかずっと遊んでいる感じでしたね(笑)。それはそれで楽しかったし、自分の中のミュージシャニズムを形成してくれた音楽的原体験だったと思います。
ちなみにSKY-HIさんから見たSOILの魅力は?
SKY-HI
これを人は“バランス感覚”って呼ぶんだと思うんですけど、さっき『LOVE SUPREME』の本国の話をされた時に、すごく本質的であるのにカッティングエッジだとおっしゃっていて、そのバランスの凄まじさを感じることが多いです。リリースされた楽曲からも、ライヴからも。由緒正しきジャズバンドである側面と、歴としたジャズだけど時代に併せてヒップホップやポップスを絡めるバンドで、軸足以外のはみ出る方向がすごく多量かつ大足なので毎回楽しいと思って聴いてます。
社長
ありがとうございます!
社長から見たSKY-HIさんの魅力は?
社長
メジャーポップシーンのど真ん中で、これだけの結果を残してきた存在である一方で、軸足がストリートにあり続けている。そこがSKY-HI一番の魅力で面白さでもあり、惹かれるところですね。ちゃんとストリートミュージックが生まれる場所に軸足を置いて、共通の先輩でもあり、ストリートに居続けるRHYMESTERとも接点を持っていて。それこそ言葉を返すようですが、“バランス感覚”を分かってやっているのが彼の面白さですね。実際に一緒にプレイしたら分かるけど、ちゃんとリズムを理解している。体にストリートのリズムが染みついてるからやりやすいんです。
では、『LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL 2023』を観に行こうと思っている人に向けて、それぞれメッセージをお願いします。
SKY-HI
“気軽に行けるのがいいよなぁ”と思っていて、ジャズってだけで身構えたりするんじゃなくて、散歩の延長で行けるので。音楽って喜びとしてプリミティブなものだと思うんですよ。それこそ3大欲求の一個下ぐらい。“聴く、踊る、楽しい!”みたいな本能的なものに近づきやすい、しかもロックフェスのように我を忘れるほどの興奮でそうなるんじゃなくて、自然に人間が“ヒト”に戻れる空間と音楽の力があるんじゃないかなって。忙しい昨今、人間をやりすぎて動物である“ヒト”を失くしがちだと思うので、“芝生、座る、ヒト”みたいな(笑)、そんな時間を作れる場所だし、無料エリアもあるし、フラッと来てもらえると良い休日なると思います。
社長
まさにおっしゃる通り! “ジャズ”と聞いて身構えるものではなく、ジャズフェスというのは恐らく街の夏祭りに一番近い存在だと思うんです。
SKY-HI
あっ、別の取材で俺が言ったやつ!
社長
はい(笑)。
SKY-HI
これがサンプリングってやつです(笑)。
社長
仮に音楽とか楽曲そのものを知らなくても楽しめるのがジャズの懐の深さです。“インプロビゼーション”や“アドリブ”と呼ばれる、その瞬間、その時にしか聴けない即興芸術が体験できますし、曲を知らなくても必ず楽しませますし、年齢とか性別を超えて楽しめる時間なので、ご家族みんなで来ていただいたら全員で楽しんでいただけるんじゃないかと。
SKY-HI
いいですね。敷居は低く、底は深い『LOVE SUPREME』!
社長
コメントの最後を泥棒されましたが、まさにそうだと思います(笑)。ぜひ、現地に来て楽しんでください。
取材:田中隆信