【The Brow Beat インタビュー】
ひと筋縄じゃいかない
面白い作品ができて良かった
最終的には落ちるところまで落ちたら、
もう一回頑張りましょう!
なるほど。“The Brow Beatの世界にようこそ”的なイントロダクションで始まり、音楽飛行の中でいろいろな感情を体感して13曲目に《さぁ君が主役だ》と歌う旅立ちの曲「ネモフィラ」が来る構成に物語性を感じました。
Ryuji
確かに。「404」で《Welcome aboard TBB Airlines》っていう語りが入って「ネモフィラ」で《さぁ今門出だ 扉開いて》って歌っていますもんね。
「404」では“出発の準備はできた”っていう英詞も出てきます。
HAKUEI
なるほど(笑)。全然意識してなかった。
Ryuji
あははは。そして、最後の14曲目「ハレヴタイ」で晴れ舞台に立つっていうね。曲順はHAKUEIさんが考えたんですよ。
HAKUEI
天才かもしれない(笑)。曲順はめちゃくちゃ悩みましたけどね。正解がないから考えるのが大変なんですよ。並びによってアルバムのイメージが決まるし、Ryujiくんをはじめ、みんなで生命を削ってやってきたことがどう響くかなので、“これしかないな”って提案したら、Ryujiくんも“大丈夫です!”と言ってくれたので。そういう並びだったんだね(笑)。
まんまとハマりました。歌詞は生と死が生々しくも美しくエネルギッシュに表現されていると感じたのですが。
Ryuji
自分自身が音楽で人生を変えられた質なので、曲を聴いて人の生死を考えることって結構あるなって。例えば久石 譲さんの曲を聴くと“人生って何だろう?”と考えたり。音楽にはそういうパワーがあると思っているんです。歌詞は“俺はこう思う”ってお客さんにストレートに伝えられるツールだと思っているから、今一度、自分の人生について振り返る機会になればいいなって。
今の時代も反映された歌詞なのでは?
Ryuji
そうですね。確実にコロナ禍前より死が身近になってきていると思うので。
多くの人が生死と向き合わざるを得ない時代ですよね。
MVが公開されている「21グラム(404 ver.)」は映像も強烈ですが、曲を聴いてどん底の時に力をもらったというコメントが多く届いていますね。
Ryuji
そうですね。自分も昔はこういう歌に救ってもらったから、どん底を否定しちゃいけない気がするんですよね。好き好んでそういう状況になったわけではないと思うので。世の中には自殺を美化しているように受け取れる歌もあるけど、“それは違うんじゃない?”と伝えたかったんです。
HAKUEI
「21グラム」はすごい曲だと思いますね。かなりハイレベルな構成だし、表現力も含めすごいバランスで成り立っている。この曲のツインヴォーカルの在り方もThe Brow Beatならではですね。アルバムバージョンはちょっと歌詞を変えて収録していて、それもいいんですよ。曲が生き物のように変わっていくのが僕はすごく気に入っています。The Brow Beatには死生観とか深いところを抉るリアリティーのあるメッセージが似合うと思っているんですけど、人間賛歌的なものでありたいんですよね。どこかロマンチックで実際にはないんでしょうけど、理想郷への憧れだったりとか。当初からRyujiくんのメッセージにはそういう部分があって、僕も賛成だったし、死生観にしてもあえて苦しみから目を背けないで歌うことが救いになったり。苦しみや葛藤を含めてロマンを感じさせたいと思っています。
特にアルバム中盤はずっしりきますね。「離人」、ジャジーなシャッフルナンバー「初雪の前に」、ポエトリーリーディングの「ハミングバード」は刺さりまくりです。
HAKUEI
思い出した! 今回は曲数が多いので昔のアナログ盤のA面とB面をイメージしたんですよ。「ハミングバード」でA面が終わって、ひっくり返してB面の1曲目が「銃声」で始まるっていう。一回リセットしてまた勢いをつけるイメージがありました。
リード曲「銃声」では《狙い定めて0から始めようかな》と歌っていますが、これはどんな心境で書いた歌詞ですか?
Ryuji
今までの人生で何回も腐りきったことがあったんですけど、それでもなんだかんだ今まで生きているんだから、“何回も立ち直っているんでしょう?”って。皮肉もたくさん入れているんですが、“最終的には落ちるところまで落ちたら、もう一回頑張りましょう!”と。自分が落ち込んだ時に歌っても元気が出る歌詞にしたかったんですよね。アルバムは制作途中で“暗っ! 重たっ!”って思ったこともあったんですけど、結果的にいろいろな曲が収録されたなって。
HAKUEI
そうですね。Ryujiくんが持ってきたゴリゴリの曲もあったんですけど、これは今回はいらないかなって(笑)。
ハードコア系の曲ですか?
HAKUEI
いつかやりますけどね。ストックも3曲あるんですよ。こんなに曲数多いのに入りきらなかったっていう。
Ryuji
HAKUEIさんのストック曲もとんでもないですからね。教会に死神が降りてきたみたいな(笑)。
HAKUEI
いかがわしい感じのね。それぐらいやりたいことがいろいろとあるんですよ。
ボーナストラック「The Brow Beat 学園校歌」(Type Cに収録)は笑いましたが、前からある曲なんですか?
HAKUEI
いいえ。“ボーナストラックどうする?”っていう話の中で、僕が“架空の学園の校歌とかどう?”って言ったら、Ryujiくんが“やりましょう! それもアドリブで歌いましょう”と(笑)。メロディーも歌詞も適当なんですが、あとから整理してコードをつけたんですよね。で、一発録り。
Ryuji
お互いに好きなメロディーを交互に歌って。日本の校歌史上、一番転調している(笑)。
しかも、ふたりとも朗々と歌っていますね(笑)。
この記事が掲載される頃にはツアー中ですね。
Ryuji
ツアーでも校歌は歌いますよ。お客さんがひとりでも笑ったら最初からやり直すので(笑)、集中して聴いてほしいですね。さらに言えば母校を思い出して泣いてほしい。
あははは。どんな気持ちになって帰ってほしいですか?
Ryuji
暗い曲が多いですけど、とりあえず元気になってもらいたいですね。“楽しかったー! 明日も頑張ろう”って。
HAKUEI
こういうご時世なので大変な中、来てくださる方も多いと思うので…まぁ、いつでもそうですが、全力で気持ちを伝えるので“本当に来て良かったな”と思ってもらえればと。
ボーナストラック入れると15曲のアルバムなので、それだけで本編が埋まっちゃいそうですね。
HAKUEI
そうなんですよ! 以前の曲が入る隙間が少ないんですよね。
Ryuji
しかも、校歌が歌い直しになったら、それだけで30分かかってしまうかもしれない(笑)。
取材:山本弘子
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アルバム『404』2022年4月27日発売
PONY CANYON
- 【Type A 初回限定盤】(CD+DVD)
- PCCA-06126
- ¥4,950(税込)
- 【Type B 初回限定盤】(CD+特製TBBバンダナ付き)
- PCCA-06127
- ¥4,000(税込)
- 【Type C】(CD)
- PCCA-06128
- ¥3,000(税込)
『The Brow Beat Live Tour 2022 “404”』
5/06(⾦) ⼤阪・Zepp Osaka Bayside
5/11(⽔) 愛知・Zepp Nagoya
5/14(⼟) 新潟・NIIGATA LOTS
5/15(⽇) 宮城・SENDAI GIGS
5/17(⽕) 神奈川・KT Zepp Yokohama
5/19(⽊) 広島・BLUE LIVE HIROSHIMA
5/20(⾦) 福岡・Zepp Fukuoka
5/27(⾦) 北海道・札幌PENNY LANE 24
5/28(⼟) 北海道・札幌PENNY LANE 24
6/03(⾦) 東京・LINE CUBE SHIBUYA
6/04(⼟) 東京・LINE CUBE SHIBUYA
ブロウビート:俳優・佐藤流司がアーティスト「Ryuji」として結成したバンドプロジェクトで、PENICILLIN「HAKUEI」とのツインヴォーカル&トータルプロデュースにより、ヘヴィ、オルタナティブで骨太なサウンドから軽快なロックまで、多種多様なRyujiの世界を表現し続けている。2018年1月1日、1stアルバム『ラグナロク』で待望のデビューを果たし、1月17日から仙台を皮切りにスタートした1stツアー『The Brow Beat Live Tour 2018 “Ragnarök”』のチケットは全公演がソールドアウトに。その後、配信限定でリリースした楽曲もiTunes Store ロック部門で軒並み1位を獲得するなど勢いは止まらない。そして、21年7月にシングル「ハレヴタイ」でメジャー進出し、22年4月にはアルバム『404』を発表した。The Brow Beat オフィシャルHP
「21グラム (404 ver.)」MV
「爆風」MV
「銃声」MV
「シンデレラ」MV
「ハレヴタイ」MV