【電音部 インタビュー】
多彩な要素がミックスされた
コンテンツ『電音部』の魅力とは?
初音ミクちゃんのような
誰かの何かのきっかけに
そして、SHIBUYAエリアはフューチャーコアやハイパーポップなどインターネットで人気のジャンルで、しかもCVを務めているのがVTuberという。こういうコンテンツは声優さんに偏りがちですが、『電音部』はアイドルもいますよね。CV選びはどういう考え方なのですか?
石田
秋葉原はアイドルカルチャーが根強く、アイドルカフェの老舗ででんぱ組.incさんなどを輩出したディアステージさんがあるので、ストレートにディアステさんに所属している方にお願いしてしまおうと。マネージャーさんもみなさん協力的だし、キャストの方々も面白がって“もっとこうしたらいいんじゃないですか?”と提案してくださることもあって、一緒に作っている感じがすごくあります。
子川
VTuberさんに関しては、VTuber界隈の音楽シーンはインターネット音楽と親和性が高いので、そこにVTuberさんをキャスティングするのは当然だと思いました。それにこの先のエンターテインメントシーンを見据えた時、VTuberの存在は欠かせないものになると思ったので、バーチャルであるかどうかが関係なくなっているであろう20〜30年後という未来を作る、その一端を担う存在になりたいという話はキャストさんともよく話していますね。
石田
ユーザー様もそうですけど、キャストさんに関してもいろいろなバックグラウンドを持った方が集まってくれたらいいなという想いがありました。VTuberの方たちも他のキャストのみなさんと同じ扱いですし、ゆくゆくはライヴでもバーチャルならではの表現がもっとできたらと思っています。VTuberさんは海外でも人気が高まっているので、海外からの反応も非常に大きいですし。
3月にパシフィコ横浜で2ndライヴ『電音部 2nd LIVE -BREAK DOWN-』を開催されましたが、その反響や手応えはどうでしたか?
石田
ユーザー様にはご満足いただけたんじゃないかと。『電音部』のストーリーを知らなくてもライヴとして楽しんでいただけたと思います。ストーリーラインを知った上で来てくださった方は、より深くその部分も感じていただけたと思います。
子川
昼公演の『桜卯月の部』はハッピーエンドで終わって、夜公演の『神無月の部』はバッドエンドで終わるという構成だったのですが、演出のJUNGOさんにそれを話したら“意味が分からない!”って言われました(笑)。
原宿エリアのゆるふわな感じだった桜乃美々兎が、ツインテールを切られてダークサイドに転じたみたいな感じになりましたよね。昼公演ではハッピーだった曲が、夜公演では同じ曲がダークなアレンジに変わっていたのも話題でした。
子川
みんながポカーンとするだろうと思っていたので、我々の中では“ポカーンエリア”と呼んでいました(笑)。『電音部』はこれまでハッピーな感じでやってきたのですが、第2部を始めるにあたって一度それを破壊して、新たに次の展開を楽しんでもらいたいと思って。その伏線となるのが、おっしゃっていただいた夜の部の最後のポカーンエリアです。桜乃美々兎の身にちょっと悲しいことが起きるのですが、そこからの復活劇を見守ってほしいと思います。
石田
KABUKIエリアという新エリアが誕生したことで、桜乃美々兎に限らずそれぞれが壁にぶつかったり課題を抱えたりしていきます。新たなキャラクターに触れることで今までハッピーだった関係性に亀裂が走ったりもするので、今後にご期待いただければと。
エリアは定期的に広がっていくのですか?
子川
その予定です。
蒲田とかよくないですか?
子川
蒲田はもともとナムコがあった場所でゆかりがあるので、決してあり得なくはないです(笑)。
いいですね(笑)。『電音部』としての今後の予定は?
子川
6月末にベストアルバムをリリースする予定です。ベスト盤には今までCD化されていない曲も含めて全66曲を収録して。
石田
それは通常盤の話で、特装盤は100曲以上が収録されるのではないかと(笑)。今年開催したリミックスコンテストの入賞楽曲も収録されるので。あと、アートワークにもこだわって絶賛制作中なので、そちらも期待していてください。
では、最後になりますが、『電音部』をどんなコンテンツにしていきたいですか?
石田
ユーザー様、トラックメイカーさん、クリエイターさん、みなさんで一緒に作品作りができるようなものになればいいなと思っています。あと、やっぱり海外でもジワジワ広まりつつあるというところで、リアルライヴを海外で行なうということもやってみたいです。これも状況と相談しながらですけど。
子川
ボーカロイドの初音ミクちゃんきっかけでDTMを始めた方はすごく多く、米津玄師さんやYOASOBIのayaseさんなどもともとボカロPだった方がJ-POPシーンで活躍されています。そういう誰かの何かのきっかけになれるようなコンテンツにしていきたいですね。10年後の人気アーティストがインタビューで“音楽を始めたきっかけは『電音部』です”って言われたいです(笑)。
取材:榑林史章
画像/写真提供:(c)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.