【ザ・クロマニヨンズ リコメンド】
独立した個性が光る楽曲たちが並び、
それぞれが輝いている
飾り気もなければ、
無駄もないバンドサウンド
「大空がある」は真島昌利のカッティングが中心になって曲のノリを生み出す構成になっている。あえて隙間を生かしたことで、ヴォーカルもリズム隊もくっきりと浮かび上がるアレンジなのが聴きどころ。間奏のポエトリーリーディングも曲の大らかさにマッチしている。「もぐらとボンゴ」は、さらに隙間を重視した音作りが施された独特のナンバー。♪ボンゴボンゴ〜というコーラスがシュールに迫り、単にコミカルというだけでは終わらない異色作だ。歌詞の世界観も夢の中にいるようでいて、底知れないほど奥深い。たたみかけるような「ここにある」は豪快なカッティングと骨太なリズム隊が一体感を持って押し寄せ、ヒロトの声が真っ直ぐに突き刺さってくる。
そして、もしアナログ盤のアルバムが実現していれば、ここからがB面だ。アッパーな「爆音サイレンサー」は、聴き手の気持ちを高揚させながらも滑らかなメロディーに心奪われるナンバー。《爆音で夢を見る》という歌詞は何度聴いても鳥肌が立つ。ヒロトが高らかに叫んで始まる「イエー! ロックンロール!!」で、高まる気持ちはさらにヒートアップしていく。対照的にテンポをグッと落としたのが「冬のくわがた」だ。レゲエのリズムに乗せ、夏の記憶が遠ざかり、やがて冬が訪れることの寂しさを歌う。
10曲目はパンキッシュなイントロで鮮やかに始まる「ナイフの時代」。その勢いをさらに突き詰めたのが「ごくつぶし」で、ギラギラしたサウンドと歌詞が強烈だ。数々の毒気を振りまきながら、《生まれてよかった》という歌詞がドラマチックに耳に残る。ラストはジワジワと温かい気分になっていく「縄文BABY」。火焔型の縄文土器を彷彿させながらも、今眺めている星空がその時代から変わっていないことへの想いを馳せる歌詞が最後を締め括る。
さらにDISC2にはボーナストラックが2曲。「冬のくわがた(小さいメガネ)」と「光の魔人(夜のビンギ)」が収録されており、どちらも別テイクとしてザ・クロマニヨンズだからこその仕上がりとなっている。
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