【May'n インタビュー】
ひとりじゃできない、
みんなと一緒だからこそ
掴める夢がある
今回のシングルは全体を通して
“地元愛”がテーマ
カップリングの「シキザクラ」は同名TVアニメのエンディング主題歌ですが、この『シキザクラ』という作品は東海エリア初のオリジナルアニメーションだそうですね。
私にとっては地元の仲間が作る作品なので、めちゃくちゃ嬉しいんですよ! アニメの制作に携わっていらっしゃるYO!YO!YOSUKEさんはZIP-FMのDJで、それこそデビュー前からお世話になっている方なんですね。初めてのレギュラーラジオ番組でもご一緒していましたし、名古屋からエンタメを発信していきたいとおっしゃっていたのを前々から聞いていたので、“名古屋でアニメが作れることになったから参加してくれない?”って言われた時は“もちろんやります!”と即答しました。名古屋は特に地元愛が強いと言われていますし、私自身も名古屋が大好きで、味噌チューブも常備してるくらいですから(笑)。
(笑)。そこからどういう経緯で作詞作曲をボカロPのくじらさんにお願いすることに?
これも「オレンジ」と同じく、エンディング曲だからこそアニメを観終えて浸れるような楽曲にしたかったのと、当たり前の学生時代を過ごしていた子たちが日常を壊されて戦闘に巻き込まれていくお話なので、普通の学生の心情というものを表現したかったんです。そこで“日常を描くのなら誰がいいかな?”と考えた時に、浮かんだのがくじらさんだったんです。当時『15Colors』(2020年発表の企画ミニアルバム)でボカロPの方とご一緒させていただくことが多くて、私も新世代のボカロPの方に注目していたんですよ。そんな中でくじらさんの日常感とか、ちょっと胸がキュッとするようなミディアム調の楽曲がとても素敵だなと思ったんですよね。
なるほど。それで歌詞も“失われてゆく日常”のようなものを彷彿させるものになっているんですね。
こういった落ち着いたテンポ感とかやさしい世界観は、May’nにとって新しいものになる予感もしたのでワクワクしましたし、「オレンジ」以上に隣にいてあげられるようなやさしさのあるヴォーカルを目指しました。イメージとしては、ひょんなことから戦わざるを得なくなった学生の誓いの歌で。“いろんなことがあったけどこのまま歩んでいこう”っていう、その歩みを止めない感じを思い浮かべながら歌っていたから、エンディングのアニメーションを観た時、“本当にイメージどおりだ!”って驚いたんですよ。どんどん景色が変わる中でも、キャラクターが自分の意志を持って歩みを止めず、前に進んでいく絵になっていたので。
そこは「オレンジ」とも通じるところがありませんか? 両作品ともエンディングの映像では“歩む”ということがテーマになっている。
そうですね。この2曲を一緒に収録することになったのはタイミング的なもので偶然なんですけど、仲間と出会えた気持ちを大切にしたいとか、歩みを止めずに前に進んでいこうとか、学生時代ならではの胸が締めつけられる感じとか、変わらないでいたいと願う気持ちみたいなところは、すごくリンクした2曲になったと思います。
ある意味、偶然の必然ですね。ちなみに、タイトルの由来になっている四季桜の名所が名古屋にはあるそうですが、ご覧になったことはありますか?
いや、それがないんです。でも、名古屋では結構有名みたいなので、ぜひ行ってみたいですね。アニメの舞台が全て名古屋だから、観ていてめちゃくちゃ懐かしいんですよ! キャラ同士が名古屋駅で待ち合わせしていたり、エンディングにも名古屋の栄や駅前のナナちゃん人形が出てきたり。そもそもオープニング曲を歌っている亜咲花ちゃんも名古屋出身だし、制作陣やキャストの方もみなさん東海エリアの方なんです。しかも、アフレコの場所も名古屋なので、その“東海エリアからエンタメを届けるぞ!”という熱量は刺激になりますね。
そんな名古屋愛が高じた結果が3曲目の「B.H.U.」なんでしょうか?
そうなんです! 「オレンジ」を作りながら自分の青春時代…特に上京前の名古屋にいた時代を思い出し、もちろん「シキザクラ」は名古屋あっての曲なので、いっそのことシングルの裏テーマを名古屋にしてしまえ!と思って、初めて名古屋ソングを作ってみました(笑)。そこで、“名古屋と言えば何だろう?”と考えたら、やっぱり武将だなと。
三大武将いずれも愛知県出身ですからね。
いわば天下統一があった場所で、それって常に“一番を目指そうよ”とか“もっと高みを目指そう”というメッセージを発してきたMay'nとしての気持ちにもリンクするんですよね。ただMay’n自身が“天下を取ってやろうぜ!”と歌うんじゃなく、別のものに例えながら気持ちを乗せてパフォーマンスできるのが一番の理想だったから、May'n武将として歌えたら楽しいんじゃないかと。それで“ホトトギス”とかの三大武将を感じるワードや、徳川家康の名言を参考にした言葉を歌詞に入れたんです。なので、この曲は“部長ソング”であり“武将ソング”なんですよ(笑)。
もしや、曲中で繰り返される《BUCHO Hands Up!!》のコールは“部長”だけでなく、“武将”にもかけているんですか?
そうなんです! “Put Your Hands Up!!”をもじった“BUCHO Hands Up!!”はずっと温め続けてきたワードで、“私、日頃から変な言葉をストックしてるんです”という話をプロデューサーにしたら、“だったら、その変な言葉を使う曲を作れば?”と言われたんですよ。なので、作曲のTeddyLoidさんにも“BUCHO Hands Up!!”というワードを使いたいって、曲を作る前にお話しさせていただきました(笑)。あとは、名古屋人じゃない人でも名古屋を感じられる曲であり、名古屋人が聴いたらよりコアな部分で“めっちゃ名古屋人だな!”と分かる曲にしたくて、“えびふりゃあ”という単語も入れました。
どういうことでしょう? 名古屋人以外が聞いても“ザ・名古屋”なワードですが。
実は名古屋人、誰も“えびふりゃあ”なんて言わないんですよ。でも、面倒臭いから否定もしない。それが名古屋人のマインドなので、《そうね無駄に知らせない》って続くんです。この“無駄に知らせない”っていうのが名古屋人気質なんじゃないかと私は思っていて。名古屋人ってすごく気が強いくせに、そんなにアピールしないんですよね。東と西どっちのマインドも含まれていて、“別にいいよ”と言いながらも実は良くないみたいな。そういうちょっと分かりづらい心情ってあるんじゃないかな? でも、“無駄に言葉で伝えなくても分かり合えるよね”っていう気持ちを表しているのが、そこに続く《掌伝う温度で》なんです。私自身、日常生活でも“この人と仲良くなれるかも”ってなんとなく話す前に分かるし、声を出せない中のライヴでも空気感で伝わるものってあるので。
しかし、東の東京と西の大阪に挟まれて、名古屋人には主張したいこともあるのでは?
どっちかって言うと、ど真ん中だと思っているんですよ。名古屋には“にっぽんど真ん中祭り”っていう祭りもあるくらいなんで。でも、県外の人からはやっぱり東京、その次は大阪、下手したら最近は福岡で三大都市みたいな言われ方をすることもあるから、ちゃんと“名古屋がど真ん中だぜ!”ってことはアピールしたいですね。強いて言えば、東京よりも大阪寄りだとは思っていますけど、関西の人には“えっ、東京の人でしょ?”って言われたりもするんで…まぁ、そこは独自の名古屋人ってことでいいんじゃないですかね(笑)。
その気の強さ、さすが名古屋人です(笑)。12月には2年振りのクリスマスライヴ「May'n Studio Live 2021『May'n Xmas』」もオンラインで開催されますが、来年こそは有観客でのライヴが増えるといいですよね。
ここ最近、エンタメ的には光が見え始めてきているので、久々に全国を回りたいですね。全国各地で名古屋ソングの「B.H.U.」を披露していくという野望が私にはあるので、みなさんに私の名古屋愛を受け取ってもらえたら嬉しいです。そして、もちろん名古屋では“うちらの名古屋、最強だぜ!”って盛り上がれたらいいなと。
各地の盛り上がりを1としたら、名古屋での盛り上がりはどれくらいになりそうですか?
もう100ですよ! 名古屋人は地元愛が強いんで、カップリングでも名古屋ソングを作ったってYosukeさんに伝えたら、名古屋の方々がみんな“そんな曲作ってくれたの? ありがとう!”って大喜びしてくれたみたいですし(笑)。この曲だけじゃなく、今回のシングルは全体を通して“地元愛”がテーマでもあるんですよね。「オレンジ」はMVを日光で撮らせていただいたので、日光が地元のファンの方々からは“地元だ!”っていう喜びの反応も結構ありましたし。そういう意味では、今までとはまた違うかたちでみなさんに寄り添えるシングルになったと思いますので、それぞれの地元や青春時代を思い出しながら楽しんでもらえたら嬉しいです。
取材:清水素子
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シングル「オレンジ」2021年11月24日発売
Digital Double
- 【CD+Blu-ray】
- XNDD-00006/B
- ¥2,640(税込)
- 【CD】
- XNDD-00007
- ¥1,540(税込)
『May'n Studio Live 2021『May'n Xmas』』
12/25(土)
開演:19:00
※詳細は後日発表
メイン:ジャンルに縛られない圧倒的な歌唱力と伸びのあるハイトーンヴォイスで国内外のリスナーを魅了する実力派女性シンガー。2005年に弱冠15歳でメジャーデビューを果たし、これまで担当してきたアニメ、映画、ゲームなどの主題歌がチャート入りを果たすなど人気を不動のものにしている。ライヴも活発に行っており、日本武道館や横浜アリーナ等の国内の会場をはじめ、海外でのツアーやフェスへの出演など世界中にその歌声を届けている。さらに、近年ではミュージカルにも活躍のフィールドを広げ、21年12月には週刊少年ジャンプの伝説的コミック『北斗の拳』のミュージカル化作品『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』でヒロイン・ユリアを演じた。May'n オフィシャルHP
「オレンジ」MV
(2chorus.ver)
「B.H.U.」