西銘駿×飯島寛騎「不器用でも、全力
でスイングしていく」二人の役者 映
画『ツナガレラジオ~僕らの雨降Day
s~』インタビュー

現在配信中のwebラジオ番組「オールナイトニッポンi『おしゃべや』」は、映画・ドラマ・舞台で活躍中の若手俳優10名がパーソナリティを担当し、毎回ペアになってお届けしているもの。本番組の好評を受け、彼らの物語をオリジナル脚本で映画化した『ツナガレラジオ~僕らの雨降Days~』が2月11日(木・祝)から公開中だ。
物語は、主人公のアクト(西銘駿)とニガリ(飯島寛騎)を中心に、夢に破れた10人の若者たちが、神奈川県伊勢原市・大山、通称「雨降山」に集うところから始まる。その地で、過去に存在したラジオ局を復活させるべく、共同生活をしながら奮闘するのだが、思うようにいかず、様々なトラブルが起こるようになる。
劇中、共演シーンの多かった西銘&飯島は、ともに『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』グランプリ受賞者で、『男劇団 青山表参道X』のメンバー。また、西銘は『仮面ライダーゴースト』、飯島は『仮面ライダーエグゼイド』に出演した過去を持ち、たどってきたキャリアも近い。性格は違えど息ぴったりという、劇中の関係さながらのふたりに、作品に込めた想いや役者としての心構えまで、明かしてもらった。
「たとえヒットでもアウトでも、全力でスイングするくらいの役者」でいるために
左から、西銘駿、飯島寛騎 撮影=iwa
――『ツナガレラジオ』は完全なオリジナルストーリーと伺っています。それぞれ演じたアクト、ニガリについて、どのような印象を受けましたか?
西銘:アクトは「すごく僕っぽいな」と思いました。共通点がたくさんあって、自分っぽいから演じやすい印象でした。
飯島:うん。僕も、ニガリは普段の僕っぽくて。当て書きではないはずですけど、キャスティングで、たぶん僕らがどっちで、というのはあったと思うんです。ニガリは、バカみたいにうるさいやつじゃないし。
西銘:(うっすら微笑む)
飯島:あ!うるさいほう……いや、元気なほうだもんね(笑)?
西銘:うん、その通りです!
西銘駿 撮影=iwa
――特にご自分と似通っていると思えるエピソードはありましたか?
西銘:アクト自身、「自分は真剣にやっているつもりなのに」という感じで、すごく空回っちゃうところがあるんです。そこが、すごく僕っぽい(笑)。一生懸命ですごく頑張っているんだけど、なんか空回りしてしまい、結果メンバーに負荷をかけちゃっているところ。それで悩み、葛藤することは、僕もありましたし。プライベートでも、よかれと思ってやったことがたまに違っていたりもしますし、元気さのあまりやってしまった、という行動も結構あるので……やっぱりそこはアクトっぽいなと思いました。
――そんな西銘さんの行動を、飯島さんが目撃したことは?
飯島:ええ、よく空回っていますよ(笑)。
西銘:(笑)。
飯島:それこそ、一緒にラジオ(『おしゃべや』)をやっていますけど、基本、空回っているよね。空回るというか、もう、ヒットするか、フルスイングで三振か、っていう。
西銘:そう、そう! 当たれば特大ホームラン! けど大体、一生懸命やって、空振っちゃうんですよ。アクトは、それでも最終的にはいい方向にもっていくので、そこは僕にない素晴らしさだな、と演じながら思っていました。僕はみんなをまとめるというよりも、雰囲気をよくしたいというか。
――西銘さんはムードメーカー的な感じ?
西銘:そういう感じです。でも、アクトはそうじゃなくて、最終的にアクトの頑張りや無邪気さを見て、みんながついていくという力を持っているから。明るくて、信念が自分の中に1本ある、僕とはまた少し違った部分もあるなと思っていました。
飯島:アクトは『ジャンプ』の主人公っぽいキャラクターだよね。何やかんや、みんながついていく、無意識に惹かれるような存在がアクトなのかなと思いました。
飯島寛騎 撮影=iwa
――飯島さんが演じたニガリは、ご自身と比較して似ているところはどこでしたか?
飯島:すごく芯が強いキャラクターなので、ブレなさは共感できました。無理でも諦めたくない、という挑戦者の気持ちを常に持っているところが、僕はすごく好きなんです。大人なんだから大人の対応をする……とかは一切なく、やりたいことを実現させていくのは難しいことだけど、常にブレずに心に持っているのは素敵だな、と思いました。あと、器用貧乏なところも共通点かなと思っていて。僕は、悪い意味で器用貧乏なんですよ。どうせなら、不器用大富豪がよかったです(笑)。不器用でも何かを飛び抜けてできるなら、と思うので。
――役者さんは器用でないとできないと言いますか、器用なほうが得、というイメージを持っていました。
飯島:いや、そんなことないですよ。
西銘:うん、うん。
飯島:何かができないよりはマシですけど、器用かどうかはあまり関係ないのかなと思っています。さっき言った、「たとえヒットでもアウトでも、全力でスイングするくらい」の役者が、僕はいいと思うんです。そのほうが面白い。変にバントとか、ライトを狙っていくのも技術としては、もちろん大事ですけど。
西銘:全部、野球に例えちゃったね(笑)。でも、すごくわかる。
飯島:ね。それに、観ている人たちも、そういう役者のほうが、心が躍るのかなと思います。
厳しい演出に対する「悔しい、やってやる」の気持ちは「役者なら誰しもがあること」
(c)2021「雨降ラジオ」製作委員会
――アクトの過去シーンで、演出家に「必要ない」とばっさり言われ、傷つき飛び出す描写がありました。これまでお芝居をしていて、似たような経験はありましたか?
西銘・飯島:全然あります!!
西銘:怒られたり、悔しかったり、逃げ出したくなるような気持ちは、僕だけじゃなく、役者なら誰しもが経験あることだと思います。だから、あのシーンを演じていたときは、やりやすいと言えばやりやすかったです。経験したことがないものを引っ張ってくるお芝居のほうが、経験していない分やっぱり難しいんですよ。けど、自分自身、経験したことがあるので、思い出しながらやっていました。
――思い出していたのは、どんな経験だったんですか?
西銘:昔出演した舞台の稽古を思い出していました。演出家さんに、めちゃくちゃ怒られたんです。自分はよかれと思ってそういう芝居をしているけれど、「そうじゃない!そうじゃない!」と言われ続けたとき、僕はずっと「そうですね、すみません……」と謝っていました。アクトの場合は、信念を持っているから「何でダメなんですか!!」と強く言って、自分の思いが届かないから逃げ出す、という展開でしたけど……現実は、そんなのは無理で(苦笑)。
左から、西銘駿、飯島寛騎 撮影=iwa
飯島:そうだよね。僕も、すごく怒られたりする経験、何度もありますよ。もちろん受け取ることはしますけど、逆に、「うるせえ、この野郎!やってやるよ!」と思っています。10代のときは、怒られたことへのイラつきが大きかったですけど、今では、たまのイラつきを大事にしつつ、ダメなところはしっかり改善しようという気持ちで、視野を広く持つようには心がけてはいます。言われた通りに演じるただのいい子ちゃんだと、つまらない道具になってしまう気がするから。
西銘:そうだよね。
3曲歌ったレコーディング秘話 「すごく大変だった」けど「すごくいい感じ!」
左から、西銘駿、飯島寛騎 撮影=iwa
――『ツナガレラジオ』では、皆さんで「イージュー★ライダー」、おふたりで「歌うたいのバラッド」、「ラストチャンス」を歌われています。レコーディングはいかがでしたか?
西銘:90年代の代表的なJ-POPを歌う機会をいただけたので、すごくうれしかったです。けど、レコーディングはめっちゃくちゃ大変でした! 飯島くんと一緒に歌う曲では、ふたりのキーを合わせないといけなかったんです。普段のカラオケだと、僕は原曲キーのままですけど、飯島くんの声が低いから、合わせて下げて歌うのがすごく大変でした! 飯島くん、普段はキーマイナス6?
飯島:え、6!? 6じゃないよ(笑)。マイナス3から4がいいなと言って、最終2くらいになったんだっけ?
西銘:そうかも。でも、2でも下げるのが、すごく大変で。ハモリもありましたし、「本当に難しいな」と思ってやっていたので、改めて歌手の方はすごいと思いました。けど、映画館で観たときには、すごくいい感じだった!
飯島:ね! 撮影していた当初は、音楽は僕らの歌でやるとは思っていなかったんです。撮影が終わって半年くらい経った頃に、「皆さんの声で録りますよ」となって、「え、そうなんですか!?」と驚きました。自分たちの音が入った完成作を観ていたら、本当にすごくよくて。音って素晴らしいよね。
西銘:うん、やっぱりテンションが上がりますよね!感情の起伏が生まれたときに、タイミングよく音楽が入ると、ますます乗ってくる。
飯島寛騎 撮影=iwa
――ご自身の歌声だと、聞きごたえや見ごたえのようなものも異なりますか?
西銘:僕は自分の声なので、恥ずかしさが勝っちゃいました。初めて映画で挿入歌を歌ったので、映画館で自分の歌声を聞いたとき、「本当に歌ってる!」と、ちょっと変な汗をかきました(笑)。
飯島:すごくよかったよ!
西銘:ええ……! ありがとう、恥ずかしい! けど、観ていただく方にはアクトやニガリが歌っていると思って観てもらえるので、感情移入して観られるんじゃないかな、と思います。
飯島:スッと入ってくると思いますね。
西銘駿 撮影=iwa
――ありがとうございました。最後に、公開を楽しみに待っている読者にメッセージをいただけますか?
西銘:今、こういう大変な時期だからこそ、この作品を観て元気になってくれたらいいなと思います。ラジオを通じて、思いを声に乗せて相手に伝えることが大事というメッセージを持っている作品なので、大切な人に言葉にして感謝の気持ちを伝えてもらえたら、うれしいです。ぜひ楽しんで観てください!
飯島:『ツナガレラジオ』は、観ていただく世代によっても、楽しみ方が違う作品になっているかな、と思っています。若者がやりたいことや目標を努力して実現していくストーリーなので、何かを探したいと思っている10代に向けては、何かのきっかけになればいいなと。そして、僕らより上の世代の方々には、「こういう若々しい思い、あったな。懐かしいな」というのと、「今の若者たちは、こういう社会を駆け抜けているんだな」と、かみしめてもらえたらうれしいです。パワーあふれる姿を、楽しんでもらえたらと思います。
左から、西銘駿、飯島寛騎 撮影=iwa
映画『ツナガレラジオ〜僕らの雨降Days〜』は公開中。
取材・文=赤山恭子 撮影=iwa

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