ミュージカル『GHOST』出演の浦井健
治×咲妃みゆ×桜井玲香が繰り広げる
、ほのぼの座談会

2021年3月5日(金)より、東京・日比谷シアタークリエで待望の再演を迎えるミュージカル『GHOST』。2月9日(火)に行われた製作発表会見の直後、主演の浦井健治、咲妃みゆ・桜井玲香(Wキャスト)の3人に話を聞いた。

この日は稽古が始まってまだ1週間というタイミング。インタビュー中、『GHOST』日本初演から出演している浦井と咲妃が、再演からの新キャストである桜井を優しく見守る姿が印象的だった。
ーー現在リモートでお稽古をしている演出家のダレン・ヤップさんの演出で、印象に残っている言葉があれば教えてください。
浦井:ダレンはダメ出しとかノーとかではなく、”褒め出し”をよくするんです。「やっちゃいけないことはないんだよ」ということを、Zoomの画面を通してオーストラリアからメッセージをみんなに投げかけてくれるんです。なので稽古が始まったばかりの今でも、アンサンブルキャスト含めカンパニーのみんなが活き活きしているんです。「僕はこう思う」「私はこう思う」「だからこうしたい」と、全員がまるで童心に帰ったよう。ダレンの手腕ってそういうところなのかなって思います。時間はすごいかかるんだけど(笑)、結論を早めず、むしろ結論なんか言わないというスタンス。そこで振り付けの桜木涼介さんが結論を出すという役割を担っている。このいい塩梅が、スピーディーな稽古の中でも安心感を与えてくれているんじゃないかな。
浦井健治
ーー浦井さん個人に対する言葉で印象に残っているものはありますか?
浦井:ポケトーク(AI翻訳機)を持っているんですが、それを使ってオーストラリア英語を日本語で通訳したら、ダレンが「僕それほしい!」って。以上です(笑)。
ーー(笑)。咲妃さんと桜井さんはいかがでしょう?
咲妃:今回の再演で私はお世話になるのが二度目になるんですけど、再演のお稽古の際に「2年半を経てかなり大人の女性に成長したね」という言葉をお稽古初日にリモートで話してくださって。それが一番言っていただいて嬉しかった言葉です。「一人の役者さんの成長過程を見届けることができるのも、すごく自分にとっては嬉しい経験です」という言葉にもすごく励ましていただきました。お稽古も毎日のようにリモートで参加してくださるんですけど、前回公演のことに囚われ過ぎずに、ダレンさんも今回のアプローチを新鮮に汲み取った上でアドバイスをくださるんです。なので、再演というよりは新たな気持ちでダレンさんとご一緒させていただいているという印象があります。
桜井:この作品のテーマはとても重いと思うのですが、そのテーマの理解をより深めるために、ダレン自身が経験している彼のデリケートな話なども話してくれるんです。それを聞いて、毎回胸がいっぱいになりながら稽古場に戻るという日々です。
今回は再演なのでとてもスピーディーに稽古が進んでいて、どうしても今は前回の段取りを教えてもらうという作業が多いんです。けれどそんな中で「私はこういう別の感情が湧くんです」と伝えたときに「それでいいよ」と言ってくれたり、自分で新しいアプローチをしてみようと挑戦したときにあえて伝えなくても「今のところすごく好きだったから活かしたい」とちゃんと言葉にしてくれたり。そういうところが、ちょっと自信がなくなってきた自分にすごく勇気をくれるんです。「あ、やっていいんだな」って思わせてくれる方なので、とてもやりがいを感じています。
(左から)桜井玲香、浦井健治、咲妃みゆ
ーー劇中、サムが恋人のモリーに対して愛を言葉で伝えられないという話があります。みなさんがこれまで生活してきた中で、「あのときあれ言っておけばよかったなあ」というエピソードを教えてください。
桜井:それ、大中小様々ありますよね……あんまり重々しい話はしない方が良いんですよね?
浦井&咲妃:え、何!? 何があったの!?(笑)。
ーーもちろん、お話しできる範囲でお話ししたいエピソードで大丈夫です。
咲妃:じゃあ私から。
浦井:では、我々(浦井&桜井)はゆうみちゃん(咲妃の愛称)のレベルに合わせていきましょう(笑)。
咲妃:私、幼少期は両親の仕事の都合上転勤族だったんです。あるとき宮崎に住んでいて、そのとき住んでいたお家の近所にいた野良猫ちゃんをかわいがっていたんです。でも引越し先には連れていけないと言われていて。引っ越しの日の朝、お別れを言おうと思ったらその日に限って姿を現してくれなくて! 出発するときになって探し回ったけどどこにもいない。だから最後の「元気でね」という言葉がかけられなかったんです。子どもの足では簡単に行けない場所に引っ越してしまったので、トラックの中でわんわん泣いちゃって……その時会えなかったのがすっごく心残り。猫ちゃんって、いてほしいときにいてくれないんですよね。その気ままなところが好きなんですけど(笑)。このことは幼少期の自分にとってはあまりにも大きな経験だったから、引越し先の学校で作文にしたためたら、給食の時間の作文コーナーで全校放送されたんです。「そんな子が転校してきたんだね」みたいな(笑)。あと、別のクラスの先生から「感動した!」って声をかけてもらうこともありました(笑)。
咲妃みゆ
桜井:私はちょっと前にマッサージに行ったとき、足湯を最初にしてもらうところだったんですけど、その足湯がすっごい熱くて。私の足がすごく冷えていたから「ちょっと熱いかもしれないけど大丈夫?」と聞かれて「大丈夫です!」って言っちゃったんです。足湯が冷めないように保温機能までついていて、そのあとありえないくらい熱くなってきちゃって(笑)。でも今さら言えなくて……。
浦井:言いなよ!(笑)。
咲妃:初めて行ったところじゃないんでしょ?
桜井:初めて行ったところだったんです。だからあまりよくわからなくて。段々熱さも落ち着いてきたし大丈夫だったかなと思っていたけど、家帰って足を見たらめっちゃ真っ赤になってて! しかも全然引かないんです、その赤さが(笑)。だから低温やけどしたのかなと思って、「低温やけど・痛くない・でも赤い」ですごい検索して調べました。どうしようもないからそのまま寝たのですが、次の日は大丈夫でした! ちゃんと言わなきゃなっていうお話です(笑)。
浦井:なんだよそれ〜〜〜(笑)。このあとどのくらいのレベルの話すればいいのかすっごい難しい(笑)。
咲妃:浦井さんはお優しいから、何か気になったことがあっても一旦は言わなそう。
浦井:うん、そうね(笑)。軽いタッチの話で言うと……『ウエスト・サイド・ストーリー Season3』(2020年4月〜5月上演予定だったが全公演中止)で、Wキャストのかっきー(柿澤勇人)たちのゲネプロを一度観て、その翌日のゲネがなくなったところで全公演中止になっちゃったんですよ。そのとき一緒にいた玲香が「やりたかった。むむ」ってしてたの。それに対して「頑張ろうな。またやろうな」と言って、そのあとに「僕も悔しかった」とは言わなかったんです。そこは共感しとけばよかったな~っていう。何で自分はそこでちょっと先輩ぶったんだろうって(笑)。「同じ気持ちだよ」っていうのは、今言いました。
桜井:あーーー大人だなって思ってました!
浦井:でしょでしょ! 全然違った(笑)。全然大人じゃなかった(笑)。
ーー本作は有名な映画作品がある上でのミュージカル版ということで、改めてミュージカル『GHOST』の魅力を教えてください。
咲妃:映画だと画面に映っている人物しか視聴者は見れませんが、舞台をご覧になる方は気になる人物の動向をご自分のタイミングで追えるというのがミュージカル『GHOST』の魅力のひとつ。それに、ミュージカルなので楽曲の心情表現がかなり色濃く提示されると思います。そういった意味でも映画とはまた違った角度からこの作品を楽しんでいただけるんじゃないかと。
桜井:(ものすごく小声で)その通りだと思います……。
咲妃:ちっちゃいよー声が(笑)。ふふふ(笑)。
桜井:重複するんですけど、映画の良いところを全部良いとこ取りした上に、ものすごく良い楽曲が合わさっているんです。目の前で行われる分、映画よりさらに『GHOST』の世界に一歩入り込めるのがミュージカル版の魅力ですし、日本の方が観ていて理解しやすい心情の変化の描き方をされているとも思います。そういうのを全部ひっくるめて、魅力だと思います!
桜井玲香
咲妃:はあ〜玲香かわいい〜。
桜井:(笑)。
ーー楽曲の魅力に触れていらっしゃいますが、やはり稽古前からサウンドトラックなども聴いていらっしゃったんですか?
桜井:はい。最初の「Overture」から大感動!
咲妃:あ〜好き! 大好き!
桜井:お話をいただいたときからサントラをずーっと聴いていました。「Overture」がかかっただけで泣けます。
咲妃:わかる。今も鳥肌立った。あのピアノの音色もすごくいいよねえ。
桜井:あれ聞き入っちゃうと、自分の出番の最初入れなくなっちゃう(笑)。
咲妃:そこは「玲香行くよ! 懐中電灯つけて!」って浦井さんに言ってもらって(笑)。
ーー浦井さんは『GHOST』ミュージカル版の魅力はどんなところにあると思いますか?
浦井:映画のろくろのシーンが有名ですが、まず森公美子さんが演じるまるで召喚されたようなオダ・メイ。日本でオダ・メイを演じるなら彼女という、ドンピシャな素晴らしい女優さんのパフォーマンスを見られることがひとつ。あとは、モリー、サム、カールの3人の関係性がどんどん変わっていくところから人間味というか、人間臭さが感じられます。人生の教訓のようなものもあって、最後には希望や清々しさが感じられる。このコロナ禍だからこそ、伝えたいメッセージがぎっしり詰まっている作品だと思います。
(左から)桜井玲香、浦井健治、咲妃みゆ
取材・文=松村蘭(らんねえ)  撮影=池上夢貢

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