初代から受け継ぐ、東京パフォーマン
スドールの先進性とは? 楽曲とライ
ブから読み解く

(参考:東京パフォーマンスドールがアイドル対バンライブを敢行中 今夏には東名阪単独ツアーも)

・トップクラスのクリエーターによる、前衛的かつ質の高い演劇

 TPDは2013年に復活して以来、渋谷の劇場「CBGKシブゲキ!!」(キャパ約250人)にて、演劇とライブを融合させた公演「PLAY×LIVE『1×0』」を行っている。企画・主催は、いきものがかり、いとうせいこう、藤木直人などを擁する大手芸能プロ・CUBEで、TPDもここに所属している。ステージは、前半が演劇パート、後半がライブパートの2つに分かれた構成だ。

 まずは演劇パートについて説明しよう。最新の映像技術である「プロジェクション・マッピング」が駆使されているだけでなく、セットもシンプルながら大掛かりで、かなり贅沢な作りがなされている。駆け出しのアイドルとしては、異例の豪華さと言えるだろう。演出は、世界で活躍するパフォーマンス集団「オリジナルテンポ」率いるウォーリー木下が担当。そして映像は、いきものがかりのライブ映像などを手掛けている上田大樹らが担当するなど、トップクラスのクリエーター陣が集結している。それら舞台装置や演出を生かすための核となる脚本は、前衛的かつテンポが良くスピーディー。「アイドルだからこそ観ていられる」演劇ではなく、単純に演劇単体としてのクオリティが高い。もちろん、アイドルがやるからこその魅力も詰め込まれている。

・初代から引き継ぐ珠玉の楽曲群 変わらないアグレッシブな姿勢

 ライブパートは「ダンスサミット」と呼ばれ、初代TPDのスタイルでもあったノンストップ形式を引き継いでいる。『ダイヤモンドは傷つかない』、『十代に罪はない』、『おちゃめなジュリエット』などの初代TPDの名曲の他、「Lost without you」、「DREAMIN'」、「Secret Garden」といったオリジナル曲も披露している。元々TPDは初代の頃から寺田創一、CONFUSIONのCMJK、下町兄弟BANANA ICEらを起用したり、リミックスアルバムを出したりと、楽曲的に攻めた姿勢だった。だからこそ、2014年の今聴いても色褪せることなく、新鮮な響きを持って聴くことができる曲が多い。新生TPD用に旧曲はリアレンジが施され、例えば「おちゃめなジュリエット」ではアレンジャーにtofubeatsが起用されている。また、新生TPDオリジナルのラップ曲「Bitter Sweet Memory」はいとうせいこうが作詞、Dub Master Xが作曲を担当していたりと、楽曲に対するアグレッシブな姿勢は90年代から変わっていないようだ。

 メンバーについても、まだまだ発展途上ではあるものの、ポテンシャルの高さを感じさせるものが多い。演劇+ノンストップのライブと、内容的にも体力的にもハードなステージを数多くこなして来たことで、着実に力をつけて来ている。しかし完成はしておらず、成長の伸びしろを感じさせる。そうした点もアイドルらしく、劇場やライブに通い詰めて応援したくなる気持ちを喚起させられる。

・ノンストップのライブパフォーマンス、洗練された楽曲群、未完成なメンバー

 現在TPDは、デビューシングル『BRAND NEW STORY』の6月11日の発売に向けて、大量のリリ-スイベントを展開している。今までは有料の劇場公演が活動の主体だったが、リリースに絡めて無料ライブを大量に打つことにより、新規のファン層を獲得することができるだろう。ゴールデンウィークに9日間連続で開催されたアップアップガールズ(仮)やNegiccoら他アイドルとの2マンライブシリーズも、同じ意図があったと思われる。まずは劇場での定期公演である程度の実力をつけさせた上で外部に出て新規の客を取り込んで行く…アイドルを売って行く戦略として、申し分ないやり方だ。ノンストップのライブパフォーマンスや、洗練された楽曲群、魅力あるメンバーたちは、数多くのグループアイドルがひしめく今のシーンでも、十分な個性をアピールできている。

 初代TPDの篠原涼子は『愛しさと切なさと心強さと』(レーベルは当時のTPDと同じく「Cha-DANCE」)で、市井由理EAST END×YURIとして『DA.YO.NE』で、それぞれ90年代に大ヒットを飛ばしている。新生TPDも先達たちにならって今後ブレイクできるかどうか、是非劇場やイベントに足を運んで、チェックしてみて欲しい。(岡島紳士)

リアルサウンド

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