染谷俊之が語る舞台『COSMO★PLAYER
S』外伝イベント、「『COSMO★PLAYE
RS』僕と私とみんなで創る演劇〜主役
はあなた〜」の楽しみ方

2020年9月に上演が予定されていたオリジナル舞台『COSMO★PLAYERS(コスモプレイヤーズ)』が、新型コロナウイルス感染対策に伴い開催見送りを決断。その代わりとしてプレイベントとなる外伝、「『COSMO★PLAYERS』僕と私とみんなで創る演劇〜主役はあなた〜」をライブ配信にて行うことが発表された。出演者による朗読劇プラス、主題歌や衣装デザイン、ストーリーの一部などを視聴者から募集していく視聴者参加型のこの新たな試みについて語ってくれるのは、主演を務める染谷俊之。“本編”を前に、演者と観客が共に舞台を創っていく楽しみへと思いを馳せた。
ーー今回、外伝という形でプレイベントを行うことはいつ頃決定されたのですか?
僕が聞いたのはわりと最近、ホヤホヤの情報ですね(笑)。でもまずは中止にならなくてよかったなって思いました。ここで視聴者のみなさんからいろんなアイデアをいただいて、それを……おそらく来年、舞台のほうに反映するっていうのも面白いなぁって。アイデアを温めて温めて準備していざ出していけるっていうのは、面白いやり方ですよね。
ーーでは本来上演されるはずだった舞台『COSMO★PLAYERS』についてはどんなイメージを抱いていたのでしょう?
結構ストーリーも何度も更新して練り直されていたんですが、最終的に聞いていた内容だとファンタジー要素が強くてポップな作品という印象。衣装もきっとみんなして派手になりそうですし、ストーリーもどちらかというとコメディ寄りになるんじゃないかな……うん、だいぶコメディになるでしょうね。最近ちょっと明るいニュースが多くないかもしれないんですけど、ここでみなさんになにか笑顔とか明るい気持ちになれるモノを届けられたらなって思いました。
ーーそのための“アイデア会議”が今回のプレイベントになるわけですね。
そうなんです。だから僕もいろいろ考えたいと思います。例えば劇場にコスプレしてきた方は値引きとか、いいんじゃないですか? 客席も華やかになったら楽しそうだし。
ーー確かにタイトルや“スペクタクル・コスプレヒューマンドラマ”というキャッチフレーズからもわかるように、「コスプレ」はこの作品を形作る重要なキーワードですからね。染谷さんはコスプレに関してはどんなイメージをお持ちですか?
うーん……プライベートで個人的にやることは恐らくないと思いますが、YouTubeのお仕事でやらせてもらって、それはすごく楽しいなって思いました。その経験から「コスプレと、例えば原作モノの作品で扮装をすることとの違いはなんだろう?」っていうことをすごく考えさせられて。もちろん全然違うんですけど……一番の違いは「お芝居をするかしないか」。僕はコスプレイヤーさんの気持ちが完全にわかるわけではないけれど、やっぱり役に対しての責任感、みたいなところの意識は違うんじゃないでしょうか。公式でその役を背負うっていうのはすごく大きなことで、僕らは常にそこへの責任を背負って舞台に立っています。コスプレイヤーさんにとってはその「責任感」の代わりになる感情が、キャラクターに対する大きな「愛」なんだと思います。愛情を持って自分の好きないろんなキャラクターの扮装を楽しむことが純粋な目的になっているんですよね。​
今回『COSMO★PLAYERS』で僕が演じるのはコスプレイヤーではなく、2次元のキャラクター。本物のほうです(笑)。僕のキャラクターとみんなとの絡みがね、きっと面白いことになるんじゃないかな。
ーーイベントではそうした面白みも含めて活発に意見交換をしていく、と。
ホントにいろんなアイデアが出てくるといいな。楽しそうだなぁ。でも僕は2次元キャラですから。コスプレイヤーのみんなが衣装として剣とか持ってたとしたらそれはあくまでも模造ですけど、僕が剣を出したら「なにそれ本物じゃん! ダメだよそんなの出したら。危ないよ!」っていう絡みとかもしてみたり。「捕まるじゃん、お前」みたいな(笑)。
ーーキャラクターあるある(笑)。
今思いつくままに言ってますけど、そんなのとかね、「北原里英ちゃんのキャラクターは男性にしちゃおうか」とか、自由にやってみたいことを持ち寄っていきたいです。
ーー生の舞台をやっていくにはまだまだ「世の中の様子と照らしながらできる範囲で」という状況が続いています。今回も「舞台を延期して配信イベントを」という作品の届け方を選択されたわけですが、舞台に立つ俳優さんとして、今、どんなことを感じ、考えているのでしょう?
「できるエンターテインメントを届けて行こう」。今、演劇はできないかもしれないんですけど、一生この状況が続くわけではないですし。止まない雨はないというか、冬は必ず春となる、みたいな……きっとなにも気にしないで演劇ができる日が来ると思うので、その日をじっと待ちたいと思っています。僕は命よりも重い演劇はないなって思っているので、あがいてもしょうがない。今はとにかく耐える時期かなって。
ーーご自身のYouTubeチャンネルやラジオのレギュラーパーソナリティーなど、ファンの方々と繋がれる「窓」は持っている。
そうですね。舞台の本番に入るとなかなかそうもいかないですが、YouTubeは週2で動画をあげさせてもらってるんです。頻繁に撮影していかないとストックがなくなっちゃうんですが、今はそういうこともできているのでこの期間に演劇以外で僕がやれること、僕自身の違う一面をお見せできれば、と。今のこの時期を武器にしようって思って多方面で活動しています。ありがたいことにリモートのお芝居や、ドラマなどの映像作品でお芝居の仕事も割とやれていて……。ただ生でお客様の前に出ることはまだ叶っていないので、やっぱりお客様の笑い声とか反応とかは早く見たいな、感じたいなって思います、とても。
ーーリモートのお芝居はいかがでしたか?
結構大変なことは多いです……タイムラグとか。でもやっぱり「手応え」がないのが一番の違いかな。「ここ笑いどころなのに笑い声が一切聞こえてこない、滑ったのかなぁ」ってつい思っちゃったり(笑)。共演者の方とも遠隔なので、生でのやり取りはできないし。
でも佐藤流司くんと行ったリーディングシアター『緋色の研究』は舞台上でのお芝居を配信してもらう方法だったんです。あの時は久しぶりに舞台に立って劇場の匂いとか、照明の明るさとか、埃っぽさとか、袖の感じとか、「あ、舞台に立つってこういうことだったなぁ」って噛みしめていました。
ーー恋しい気持ち。お客様もその感覚を染谷さんと一緒に味わうときを心待ちにしていることと思います。ぜひみなさんにメッセージをお願いします。
公演を再開し始めているところもありますが、座席の空間だったりフェイスガードの着用だったり、なかなか思い切って気持ちよく演劇をやれていない現実はありますし、まだまだ延期になったり中止になってしまう作品もたくさんあって、楽しみにしているみなさんの思いが残念な気持ちになってしまうことは多いと思います。でもね、みなさんが演劇に飢えているように、僕らもみなさんに飢えています(笑)。なので劇場で演劇を届けられた際には、思いっきり受け取ってもらえたらなって思っています。
今回のイベントではみなさんからの要望を可能な限り受け止め、来るべき公演ではそれを可能な限り反映したいと考えております! 俳優さん、声優さん、コスプレイヤーさん、様々なジャンルから様々な年齢の人たちが集まってひとつの作品に向かっていく。初めましての方も一同に介して涙あり笑いあり感動あり、明るい気持ちをお届けできる作品にしたいので、まずはこのイベントを楽しんでください。ここで出たアイデアを本編に生かす、時間をかけて作品愛を育める体験をしましょう。僕も楽しみにしています。……あと、この作品、共に創るステージということで、通称“共(とも)ステ”と呼んでいます。共ステ、よろしくお願いいたします。
ーー共に創るステージ、共ステ。ちなみに染谷さんの中には創る気持ち、プロデューサー的要素やクリエイター欲のようなものって……
ないですっ! ハハハハッ(笑)。なんか、クリエイター的なことって向いてないんですよ〜。やっぱり自分は役者なんだなぁって思うことが多いので。それこそ現場で無理目な注文があったとしても応えたい。そういうところで「NO」と言いたくないんです。
ーーでは、役者としての“今の目標”は?
今はとにかく「演劇をやりたいな」って思います……やっぱり。どういう作品でもいいんですけど、観てくださった方の心にずっと残り続けるような作品を届けていけたらなって。この前、別のお仕事で玉城(裕規)くんと会ったときにもそういう話題になって、なんか……演劇ができなくて僕らも舞台に飢えてるよねって話から「じゃあ、いざ舞台に立ったらすごいエネルギーになりそうですよね」って言ってくださる方がいたんですけど、「そんな日こそ、いつも通りにお芝居したいね」って、ふたりで話したんです。それが、とても印象的に残ってる。そこに僕らの私情なんかはいらない、でも気持ちをグッと抑えたとしても絶対出ちゃうものではあるから、それでちょうどいんじゃないかって。もちろん、観に来てくださる方には自由に受け取ってもらって感じてもらえればと思います。だからこそ、やはり僕らはいつも通りに届けていく。そんな瞬間が迎えられたらとても幸せです。
取材・文=横澤 由香

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