【しおんあい インタビュー】
リスナーと一緒に
成長していけたらいい
その時の自分のまんま、
思ったこととかを書いてた
一番最初に作った曲はどんな内容でした?
今の自分…自分を土台にしないとネタがないんですよ(笑)。“周りの人を観察しろ”って言われたけどよく分かんなくて。それで自分をテーマにするしかないって思ったので、その時の自分のまんま、思ったこととかを書いてました。東京に出てきて一発目に書いた曲は“人が多すぎて逆に寂しい”みたいなことを書いてました。
人が多い中で初めて感じたことですか?
やっぱり田舎で育ってるんで。例えば、誰か道端で転んでる人がいたら、私は“大丈夫?”って知らない人でも声かけてたんですよ。周りの人は見て見ぬふりだし、なんか寂しいなと思って。でも、住んでるうちにそれが当たり前になってい来ましたけど。
最初の頃は違和感があったのに?
そうなんです。だって、変な顔されるんですよ。高校の時に駅の階段で足を踏み外した女の人がいて、“あっ、危ない!”と思わず手が出たんですね。で、“大丈夫ですか?”って声をかけたら“この子、何?”みたいな顔されて。
なるほど。悲しいけど、それはだんだん人に距離を置いてしまいますね。ところで、“絶対シンガーソングライターになりたい!”という野心を今までの話では感じないのが、逆に面白いんですけど(笑)。
すいません! “情熱が欠けてる”と友達にも言われてます…。でも、音楽そのものが好きなんですよ。
現在、どれぐらいの持ち曲があります?
OK、NGは抜きにして40曲ぐらいはデモは録ってます。その中から何曲かレコーディングさせてもらって、自分の中での頭の中で“こんな感じかな?”と思ってたものがかたちになって、ようやく“自分のしたかったことってこういうことなんだ!?”っていうのが分かってきた感じです。
デビュー曲の「RISE」は最近書いた曲ですか?
わりと最近です。昨年書いた曲で…一番凹んでた時に書いた曲ですね。特に何が原因ってわけでもなく凹む時ってあるじゃないですか。凹んだ時とか落ち込んだ時、“なんかつまんないな”と思った時によく曲を書いたりします。
自分は何かを作れると実感することで回復できたり?
それもあるし、曲が出来上がった時に“自分はこういう言葉が欲しかったんだ”とか、“こういうことを思ってたんだ”とか、そういうのが初めて分かったりとかして。“なんだ、こんなことか”と思ったり、“まだまだやれる”と思ったりします。
「RISE」は出だしから《どうやったって どうして いつも届かないところに そうやって登って 行くのだ》というフレーズでインパクトが強くて。
ありがとうございます(笑)。
すぐに届くようなことってあまり魅力がない?
いや、お金で解決したらいいんですよ。例えば、大好きなのに別れちゃった元カレがお金で帰って来るなら、めっちゃ稼ぎます(笑)。
ほんとに? ドライですね(笑)。
でも、お金で解決できないことっていっぱいあるじゃないですか。どう自分が動いても、どう変わっても届かないものもあるし。そういうものって人それぞれにあるだろうなって思って書きました。
《憧れた あの人は Ah 結婚してしまったし》というのも正直な言葉だなと思いました。
男性でも女性でも憧れてた芸能人が結婚すると、おめでたいって気持ち半分、“もう今まで通りのことはしてくれなくなるのかな?”って思っちゃうじゃないですか。この歌詞は身近な人でそういうことがあったんで、“あっ、書いちゃお”と思って書きました。
今21歳でしょ? まだまだ迷ってる感じもありますね。
(笑)。でも、“大丈夫かな?”とか、そういうのはあんまりなくて。今回もデビューのタイミングで“コロナでついてないな”とか思うけど、逆にチャンスとも思ってて。“バリバリとライヴやってるぞ!”っていう情熱も大事だし、それがないといけないとも思うんですけど、それ以前になぜ音楽をやってるかと言うと、それはもう聴いてもらえるからで。今は“ほんとに音楽を必要としてもらえるかな?”っていう時期に来てると勝手に思ってます。お金を払ってまで聴きたいのかどうかっていう意味でも。
確かに。もう一曲聴かせてもらった「私の街」は夜の街の人の少なさで“あぁ、もうこんな時間なのか”って気づく内容なのですが、それが楽しい時も寂しい時もあると?
ありますね。さっき言ってた東京に来て寂しさを感じた頃のことなんですけど、最初は友達のところに住んでて、それが下北沢だったんですよ。その時に初めて親から離れて…なんなら友達も生活の時間帯が真逆だったからあんまり家にいなくて、ほとんど顔を合わせることがなかったんです。下北沢って人が多いじゃないですか。バイトから帰ってきたあとに、バンドマンが集まって打ち上げでウェーイ!とかやってるのを見て、“自分はやりたいことやれてんのかな?”ってなるみたいな。で、なんかポツンとなった気持ちで書きましたね。
これからもその時の自分の気持ちを書いていく感じですか?
はい。どんどん変わっていくと思います。今もリアルなものを書いているので。でも、きっと同じ気持ちの人もいるはずなんで、リスナーと一緒に成長していけたらいいなと思いますね。
取材:石角友香
「RISE」MV
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