道重さゆみと早見あかりが選んだ“恩
返し卒業”という決断

　4月29日、道重さゆみが今秋のツアーでモーニング娘。'14を卒業することを発表した。約2年に渡るリーダー仕事、シングル5作連続1位などで、モー娘。に対して十分恩返しが果たせたとの理由で、卒業に踏み切ったという。
　グループがスターダムに昇り詰めた頃合いを見て、卒業するというパターンで思い出すのが、早見あかりである。彼女もまた、ももクロ絶頂期に脱退を表明した。グループ活動が伸び悩んでいると、気まずさから辞めるに辞められない。脱退するのはブレイクしてからだ。グループを愛するがゆえの身の引き方、それが〝恩返し卒業〟なのである。
　よくアイドルが「女優になるため」「受験に専念するため」といかにもな理由で卒業するが、あれは嘘だと思って間違いない。本当は「オタクと握手したくないため」「彼氏といた方が楽しいため」などで、ドロドロの私情が絡んでいるケースも多い。それに比べると、道重さゆみと早見あかりの“恩返し卒業”は、この上なく素敵な辞め方ではないか。
　道重の恩返しは、モー娘。ブレイクに留まらない。かつてアップフロントが行った悪態によって、出入り禁止状態だった『ミュージックステーション』にもまた呼ばれるようになった。無論、広告代理店のプロモーション能力のおかげでもあるが、黄金期が過ぎてからは一切お呼ばれがかかることのなかった雑誌各種にも次々と登場していった。
　一時期の低迷期を考えると、驚きの変化である。ちなみにいち早くモー娘。再浮上の可能性に気がついた雑誌が『BREAK Max』（コアマガジン／現在休刊）だというのは、あまり知られてない。

　正直、道重の疲労は限界にまで達していた。auのCMでお婆ちゃんコスプレを見せたが、某テレビ番組で見せたスッピンは、それ以上に老け込んでいた。あまりにも痩せすぎたため、整形疑惑まで起こってしまった。早く休暇をとって、元の健康的な道重に戻って欲しい。なんなら“道重親方”と呼ばれてた頃まで復活したって構わない。
　モー娘。を卒業しても、道重にはファン限定イベントを続けて欲しい。ソロの道重は、本当に活き活きしていて可愛らしい。生田や佐藤など問題児が揃ったモー娘。本体だと、どうしても気苦労は付きまとうだろう。例えばPerfumeを歌って音程が外れたとしても、道重ヲタしかいない現場ならスルーされるのだ。モー娘。でのギラついた道重もいいが、ソロイベントで魅せる自然体の道重もグッとくる。本音の道重は優しくて、時折入れるジョークは微笑ましい。自身のラジオ番組『今夜もうさちゃんピース』も同様に。全てに愛が溢れている。
　そんな聖母のような存在に、モー娘。メンバーは甘えてばかりではいけない。今回の卒業は、可愛い子供達のために設けた、聖母道重による厳しい試練でもある。道重なきモー娘。の前進こそが真の成功。それを達成することが、残されたメンバーがすべき“恩返し”なのだ。

（文・編集部）

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