Hinds『The Prettiest Curse』。自然
体のまま飛躍する変化作
今から2年前。ちょうど前作『I don’t run』がリリースされる頃、アメリカで開催されたSXSWから帰国したばかりのTENDOUJIを取材する機会があった。その時の彼らは実に屈託なく、同イベントに出ていたHindsの素晴らしさを語っていた。彼女達の楽曲の素晴らしさ、ユルい曲でダイブが起こるその光景…曰く、「ナチュラルで、客との境がない。それでいて音楽に対してはアグレッシブ」とのこと。「DJが音楽をかけるチークタイムみたいなところで、客がどんどんステージ上がっていって。Hindsはステージ上でめちゃくちゃベロチューしてるんですよ(笑)」というエピソードも、彼女達の魅力を存分に伝えるものだとう思う。飾ってないのにオシャレ、簡単なのにエキサイティング、Hindsは太陽みたいに眩しい。
鳴らされるのはスカスカのローファイ・ガレージ・サウンド、力の抜けた歌…そんな誰にでもできそうなのに、彼女達にしかできない音楽だ。2016年の『Leave Me Alone』リリース以降、母国スペインを飛び出し着実にワールドワイドな存在になっていったのは必然だろう。きっと世界中のインディファンが思ったはずだ、「本当にカッコいいバンドってこういうことだ」と。