【THE SLUT BANKS インタビュー】
“愛とまごころのロックンロール”を
改めて体現
新ドラマーGODを迎え、さらなる新陳代謝を成したTHE SLUT BANKSのニューアルバム『Rock’n Roll to the Max』はメロディアスさや美しさも特化させ、今一度自身の原点の歌とメロディー、幅広い種のロックンロールをマキシマムに炸裂! この状況下の倦怠や悶々さを吹き飛ばしてくれる痛快な一枚だ。
3分ぐらいの中にドラマを詰め込むも
今作ではより徹底できた
前作『NOIZ THE RIPPER』(2019年4月発表)が初期衝動性を重視し、荒々しくも激し目なロックンロールナンバーが中心の作風だったのに対し、今作からはみなさんがこれまで標榜してきた“愛と真心のバンド”を改めて体現した作品印象を受けました。
DUCK-LEE
前作はかなりライヴを意識した作風にしてみたんだけど、今回は最初からコンセプトも持たず、特に何も考えずに作り始めたんだよね。それこそたくさん音を重ねたし、自分たち以外の楽器もふんだんに入れて。ギターもゲストを招いたり(首振りDollsのJohny Diamondが4曲に参加)。とはいえ、こんな事態(COVID-19感染拡大防止に際するライヴや外出自粛要請等)になっちゃってライヴも飛んじゃったから、ライヴを前提に作んなくて良かった。結果オーライな作品にはなったよね(笑)。
(笑)。ちなみに前作とは対照的な作り方に移った理由は?
DUCK-LEE
前作もそんなに売れなかったし、話題にもあまりならなかったから、また同じことをやってもしょうがないと(笑)。だったら、少しでも方向転換をして新たなチャンスを掴んだほうがいいじゃん。
TUSK
でも、俺たちぐらいの年齢のバンドがさ、周りから特に求められてもいないのに、ここまで毎年コンスタントにアルバムを出すことって、ある意味ですごくないですか?(笑) もはやこれは俺たちにしかできないことかも。
(笑)。そんな今作は楽曲的にはこれまで以上に歌とメロディーが立ち、美しさが映える印象がありました。
DUCK-LEE
それはあるかも。俺、もともとうるさいビートルズみたいなのが一番好きだから。そんなことができたらなってのはあったかな。
ACE DRIVER
やっていること自体はあまり変わってないのに、結果的にかなりバラエティーに富んだ作品にはなったよね。“DUCK-LEEが曲を作って、TUSKが歌詞を書いて歌うとこうなります”的な。その奥深さがより出たかも。いつもの“3分ぐらいの中にドラマを詰め込む”も、今作ではより徹底できたし。
GODさんは新加入ながら、これだけバラエティーに富みつつ、短いんだけど濃厚なロックンロールな曲を、しかも15曲も録ることになり、さぞかし苦労されたのでは?
GOD
過去の曲を聴き込み、自分なりに消化し、バンドを把握して挑みましたが、結局は何も考えずに叩いてました(笑)。聴き返すといい意味でこれまでとは違った感じが出せたかなって。
その自分が思う“これまでとは違った感じ”とは?
GOD
これまで以上に煌びやかになったなって。先ほどおっしゃってくれた、メロの美しさもより立ったし。
でも、かなり手数も多かったんで相当大変だったのでは?
GOD
大変でした(笑)。手数も多い上にBPMも相当速い曲ばかりでしたから。自分がこのバンドに抱いていたドラムのイメージってもう少しシンプルなものだったんです。ところが、レコーディングの際に物足りなく感じたし、“もっと手数を増やしてくれ”とのリクエストもあったり(笑)。なので、そこからは怒涛へとスイッチしていきました(笑)。他に何も考える余裕がなく、ただがむしゃらに叩きましたね(笑)。
ACE DRIVER
GODはまだ若いじゃん。その伸びしろに期待して厳しく(笑)。
GOD
(笑)。でも、自分ではそのがむしゃらさがいい意味で暴れ太鼓感として独自性を出せたかなって。
「キワドイBABY」や「剃刀」の中盤なんて、かなりの暴れ太鼓感がありますからね。TUSKさん的には全体を振り返っていかがですか?
TUSK
さっきGODが“煌びやか”って言ってたけど、それは自分も賛同だな。あと、ここ何作か以上に音楽性の幅も広く出せたかなって。その辺りもGODが24歳で、このバンドの音楽性が分からないながらもトライしてくれたことも手伝い、いい感じに作用したよね。作品全体としては正直言って、今回も個人的には反省点はいっぱいあります。だけど、俺的には前作より今作のほうが、逆に初期衝動だったんですよ。
今作のほうがより洗練された印象だったので、それは意外です。ちなみにそれはどの辺りが?
TUSK
もちろん前作は勢いや荒々しさとしての初期衝動はあったよ。だけど、今作でのみんなでトライしてひとつのものを作り上げていく感じ? バンドを始めた頃の感覚や初めて一緒に音を出したり曲を作った嬉しさや達成感…その辺りでの初期衝動感は今作のほうが、俺にはあって。それこそ作品に詰め込んだ音楽の幅の広さは、このSLUT BANKSを始めた頃を思い起こさせてくれたし。