元ジャニーズ・平本淳也が佐村河内守
&小保方晴子問題を斬る!

 ゴーストライターと言えば聞こえは悪いが、「代筆」といえばどうだろうか。特に芸能人の場合はうまい文章など簡単に書けるものではない。モチーフとなるネタに優れていたとしても原稿に起こそうとすればやはり難しいわけで、それに長けている「プロ」への需要はあった。

 芸能人や文化人の多くが代筆に頼ってきた。自分で書きあげるという人も当然いるが編集によっては大半が削られた上に多くが代筆によって挿入される具合も頻繁だ。ただし、芸術性が求められる作品において「創作代行」となれば話は違う。作曲や作詞、絵画などにおいても、創作者が別人となると問題視されるのも当然だ。

 音楽の場合はとくに誰の曲か? 誰の詞か? という点が重要視されるようになっている。とくに経済市場が大きく形成されている音楽業界では「売れる人の名前」があるなら、それに乗ったほうが賢明と考えるものも多い。レコード会社担当者が誰もが考えることを、佐村河内守氏が気を効かせて、自ら率先してプロフィールを偽装し、「売れる人」になったのだ。こんなに優秀で使い勝手のあるプロデューサー兼作曲家はいない。売れっ子になるのも当然だ。

 レコード会社ともなれば、楽曲のストックやアーティストは無数に抱えている。しかし売れるのはほんの一部のみで、それらがなぜ売れたかの分析はほとんど無意味だ。そこで手っ取り早いのが、「名前」に頼るというケースだ。歌であれば「誰が歌う」かによって雲泥の差が生じる。ここに音楽性の優劣はない。あるのは、需要あるものは求められるという商業の理論だけだ。同じ楽曲でも嵐が歌えば100万枚、僕が歌ったら1枚も売れない。それ以前に、レコード会社から発売が検討されることもないだろう。

 そもそも音楽業界には、以前から楽曲の「買い取り」というのも広く行われてきた経緯がある。職業ミュージシャンらが創作・制作した楽曲をプロダクションやレコード会社が買い取る仕組みがある。その買い取り形態は様々で、著作権の放棄を求めるのは当然として、「作者名」を残すか残さないかという交渉もある。

 とくに、ポップス系の場合、人気作曲家は月産でも十数曲もの依頼がある。彼らも普通の人間なので、スランプもあれば、プライベートが影響して精神的な疲れが溜まることもある。そんなとき役に立つシステムが、この「買い取り」だった。企業でいえば材料を仕入れて、自社ブランドに塗り変えて販売するOEM商法に近い感覚だ。

 佐村河内守氏について言えば、ここまで問題が大きくなったのは、ゴーストライター問題より、「耳が聴こえない」「原爆二世」といった障害偽装が悪質だったことが影響している。

 例えば、僕の場合に照らし合わせてみる。平本淳也という書き手に需要があるのは、「元ジャニーズ」という経歴が大きい。だが、そんな文筆家がもし、ジャニーズにいたというのがウソで、本人のものとして公開しているイケメン画像(笑)も別人だとしたら批判は免れないだろう。

 ちなみに僕もよく「自分で書いているの?」と訊かれるが、この質問自体がゴーストの存在を理解しているうえでの疑問といえる。もちろん僕は物書きとして自分で書いている。金をかけてゴースト(代筆)を使うほどの名前も価値もないレベルだからだ。

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「帰ってきたカルチャースタァ☆平本淳也」

Profile●ジャニーズ出身の実業家、作家、投資家。10歳でジャニーズ事務所から芸能界入り、30歳過ぎまでアイ ドルを続け、現在もテレビや雑誌で活躍を続けるなか、月間100万アクセスを獲るカリスマブロガーとしても知られる。22歳のときに物書きデビューして以 来、34冊の書籍を発表。http://ameblo.jp/junya-hiramoto/

Written by 平本淳也

Photo by Asdrall Model

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